入学式後、教室にて 其の2
すっかり気落ちしてしまった英子の様子には、遊は少しも気づ気はしません。そんな遊を恨めしそうに見つつ、英子は質問をします。
「遊さんって、怜先生の電話番号知っているんだね」
「はい。ほら、昨日保健室で英子さんが倒れていた時、放送で柄見先生が呼び出されましたよね。その時に、柄見先生が何かあった時にって教えてくれました。だけどあの時、英子さんは気がついていたんじゃあないんでしたっけ」
「ああ、そういえばそんなこともあったわね。それで、怜先生に電話して何があったのかしら」
「ええ、柄見先生が言うにはですね、『入学式の後は何か予定はあるか、ないのなら武道場にきてほしい』って。それで、あたしは『予定なんてないからいいですよ、でも武道場の場所がわかりません』と答えたんです。そしたら先生は『じゃあ、英子さんに案内してもらいなさい。先生の頼みだと言えば、英子さんは了解するはずだ』なんて言うんですよ。きっと、昨日のベッドでの一件があるから英子さんもあたしも逆らえないなんて思っているんですよ」
「そうね、そうよね、昨日のベッドでのことをばらされるわけにはいかないわ。これは仕方がないわね。怜先生のいう通りにするしかないわね」
「あの、英子さん。あたしは別に一人でも構いませんよ。武道場の場所くらいなら誰かに聞けばわかるだろうし」
「だめよ、遊さん。いけません、そんなことを言っちゃあ、遊さんはこの海応学園に編入したばかりなのよ。そんな遊さんを放っておくなんてわたしにはできないわ。この英子さんに万事おまかせなさい」
「はあ、ありがとうございます」
「それじゃあ、遊さん。すぐに行きましょう。ふ・た・り・で」
「そうですね、英子さん。それにしても、武道場かあ。何することになるんだろうなあ」
「ええ、全く。なにをするんでしょうねえ」
こうして、遊はいぶかしみながら、英子は妙なことを考えながら、武道場に向かっていくのでした。




