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遊と英子の出会い 其の5

今回は登場人物が古典落語『時そば』のパロディを行うという筋書きとなっています。そのため、『時そば』のネタばれが含まれますのでご了承ください。

 こうして、英子による『時そば』の独演会が始まりました。


「ええ、最近はずいぶんと日本をひいきにしていただける海外の方もお増えになりまして、そういう方々がわざわざ外国からここ日本に来て下さるんですなあ」


「やれやれ、ここのところそばの屋台なんかやってても客なんかちっとも来やしねえ。そろそろこの屋台も辞め時かねえ」

「スイマセーン、チョット、ヨロシイですかー?」

「おう、お客さんかい。ってこりゃあ、金髪に青い目をした兄ちゃんじゃあないか。珍しいこともあるもんだねえ」

「スイマセーン。ココはそばヌードルのオミセですかー」

「あ、ああ。そばのお店だよ。兄ちゃん、外国から来なすったのかい。せっかくだか一つ食っていくかい」

「ハーイ、ソウしまーす」

「じゃあ、何にするかね、兄ちゃん。と言っても外国人の兄ちゃんにきつねやたぬきなんてわかるのかねえ」

「フツウの、アツイやつオネガイしまーす」

「普通の熱いやつって、かけのことかねえ。ええと、そば、だけ、いいかい」

「オーケー、オーケー、プリーズ」

「はいよ、少し待っててくんな。それにしても、かけを頼むなんてこの昔の白黒アメリカ映画に出てきそうな兄ちゃんもなかなか分かってるじゃねえか。そばはかけに始まってかけに終わるってね。ほら、できた。お待ちどうさん、兄ちゃん」

「アリガトウゴザイマース。それで、タイショウ、ニッポンではアツイスープをノムトキはとってもアツガルのがエチケットだとキキマシター」

「えっ、ああ、大将と来たかい、まったくこの兄ちゃんは。それにしても、エチケットって、テレビのバラエティーのあれかな。妙なこと知ってやがんな、この兄ちゃん。まあいいや。そうだよ。だから派手にやっておくれ」

「リョウカイしましたー。ではヤラセテイタダキまーす。ペロッ。アツイ! アツイ! オウノウ! ベリーホット! オーマイゴッド! ジーザスクライスト! タイショウ、コレでヨロシイですかー?」

「ああ、大変結構だよ、兄ちゃん。それじゃあそばのほうも食ってくれ」

「ワカリましたー。でも、タイショウ、ボクのクニではショクジチュウにオトをダスのはゼッタイダメなんですがー」

「そうらしいね、だけどね、兄ちゃん、兄ちゃんの国ではどうだか知らねえがここ日本じゃあそばってものは盛大に音を出してかきこむのが作法なんだ。だから兄ちゃん、安心してやってくんな」

「ホントウですかー。ジツはボク、ソレがタノシミでニッポンにキタようなものなのデース。ジャア、シツレイしまーす。ズズッ、ズゾゾッ、ズビズバッ」

「まるで、電気掃除機だね。何もそこまで親の仇みたいにしなくても……」

「ナニかイイマシタか、タイショウ」

「何も言っちゃあいないよ、兄ちゃん。それより早く食べちまいな。冷めちまうよ」

「オウ、ガッテンだ。そばヌードルってスッゴクオイシイねー。ゴチソウサマデシター」

「あいよ、兄ちゃんみたいな人にも、そばの味がわかるとは泣かせるじゃねえか、屋台をやっててよかったてものだよ」

「ソレで、タイショウ。ボク、タイショウにオネガイがアリマース」

「お願い?いいよ、乗り掛かった舟だ。何でも言ってくんな」

「ハーイ。ソレとイウモノ、ボク、ニッポンのそばヌードルのオミセでシタイことがフタツありマシター。ヒトツはオトをタテながらタベルことデース。ソレはタイショウのオカゲでカナイマシター。ドウモアリガトウゴザイマシター」

「ああ、いいってことよ、兄ちゃん。それで、もう一つは何なんだい」

「ソレはデスネー、ジツはボク、コマカイコインをイッパイモッテきたんデース」

「ああ、そういう事かい。本当に兄ちゃんは日本のことをよく知っているねえ。感激しちゃうよ。よし分かった。それなら好きなようにしてくれよ」

「ダケド、タイショウはホントにヤサシイタイショウデース。ソンナタイショウのコト、ボク、ダマシたくナイデース」

「なるほどね。ますますもって感激しちゃったよ。それならね、兄ちゃん、こうしようじゃあないか。兄ちゃんが食ったかけそばのお代は六百円だ。兄ちゃん、五十円玉はたくさん持っているかい」

「ハイ、ニジュウマイはモッテマース」

「よっしゃ、それなら大丈夫だ。いいかい、兄ちゃん、今は七時だよ、わかったね。七時だからね。それで、兄ちゃんは五十円玉をいっぱい持っているからね、そいつでお代を払うんだ。小銭だから一枚一枚数えて渡してくれよ。ただし、兄ちゃんのお国の言葉でだ。わかったかい」

「デモ、タイショウ……」

「つべこべ言わずにさっさとしな」

「オーケーデース、タイショウ。ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ、シックス……タイショウ、ヨロシイデスカ」

「いいから、兄ちゃんのしたいようにするんだよ」

「オーケー、タイショウ。ワットタイムイズイットナウ」

「今かい、今は七時だ、セブンだよ、兄ちゃん」」

「オーケー、イッツセブンオクロック。エイト、ナイン」

「Hey, brother. What did you eat?」

「ブ、ブラザー? タイショウ? ドウイウことデスかー?」

「No, What did you eat?」

「ダカラ……アイエイトそばヌードル」

「Yes, you ate soba noodles.」

「イエス。アイエイトそばヌードル。オー、アイエイトそばヌードル。アイエイトそばヌードル。ナイン、テン、イレブン、トゥエルブ。タイショウ、ボク、ジュウニマイハライマシター。ゴジュウエンダマでジュウニマイハライマシター。ロッピャクエンデース」

「Thank you, my friend.」

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