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賢者の国  作者: てんぴつ
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貧民街編1『神歴999年1月15日』

 『君を護りたい』

 

 俺が、ずっと思っていることだった。


 君を護って、かばって、救って、最後に君の笑顔を見て、助けてよかったと思う。見返りなんて求めない。


 わかっていたよ。そんなカッコつけで、分不相応な都合のいい妄想、あるはずがない。


 それでも、そんな人間にあこがれていた。


 まぁ、無理だったんだけど。


 枯れない花の、終わりを見に行こう。


 永遠の結末を、感じに行こう。


 もちろん、君と二人で。


 ☓☓ ☓☓ ☓☓ ☓☓ ☓☓ ☓☓ ☓☓ ☓☓ ☓☓ ☓☓


 ゴーン、ゴーン、ゴーン


 王都中に鐘の音が鳴り響く。


 と同時に、そこかしこから歓声が聞こえてきた。王都を出入りする大きな門から王宮へと続く街道のわきに、ぎっしりと人が詰まっていて、その一人一人がこれでもかという程に叫んでいるのだ。


 「賢者隊が返ってくるぞォォォ。帰還祭の準備をしろォォォ」


 「今回はツヨソウニミエテクソザッコ国の内乱を収めてきたのでしょう? あそこの国の兵士は強いという噂なのに、流石賢者様たちだわ!」


 「ふん、賢者様方が勝つのは当たり前じゃ。何を騒いでおる」


 賢者は最強! 今回も勝利!


 聞きなじみのある言葉が今日も聞こえてくる。


 ったく、たった一か月ちょっとの遠征だっていうのに、この馬鹿騒ぎ。この国の連中はどいつもこいつも祭り好きと見える。


 どうも、俺の名前はリヒト=ハナズオウ。この国の国民だ。

 といっても、俺は賢者とかじゃない。何なら賢者隊に正式入隊すらしていない。ただの一般ピーポーだ。


 「賢者様の、ご帰還~」


 大きな門が開き、馬と、それにまたがっている人間が、ぞろぞろと入ってきた。


 そう、あれこそが賢者隊だ。


 「キャ~賢者様~」


 「かっこいい~」


 あたりから黄色い声援が聞こえてくる。当然だ。賢者ほどこの国で人気なものはないだろう。ここ約千年間、代替わりを続けてきた国の英雄だ。人気じゃないわけがない。


 俺は賢者のことは嫌いだが、そんなのは圧倒的少数派だ。 

 むしろ犯罪者や異常者以外に賢者のことを嫌ってんの、俺だけじゃね?


 ま、まぁ、気を取り直して賢者たちの説明をしよう。


 一番先頭で歩いている黒髪の男、こいつが第一賢者、ユリウス=アキメネス。こいつが賢者を統括する存在で、実質上の賢者隊のトップだ。

 戦闘力、学力、統率力、カリスマ性など、すべてに於いて完璧で、弱点なんて見当たらないという本当に人間なのか怪しいようなやつだ。しかもイケメン。よくないぞイケメン。

 あ、別に俺がモテないからって僻んでるわけじゃないぞ。


 そんで、ユリウスのすぐ後ろ、並んで歩いている二人が、第二賢者のダリオン=アフェランドと第三賢者シン=ミムラスだ。


 見分け方としては、大きい方がダリオンで、小さい方がシンだ。


 ダリオンは、ハゲのゴリマッチョおじさんで、身長約二メートル、体重推定120キログラムともはや熊なんじゃね? って思う体躯をしている。

 そのせいで女性人気はあまりなく、代わりに男児からの人気がすさまじい。


 もう一人、シンのほうは、わずか13歳で賢者になるという偉業を成し遂げた男だ。

 これは歴代賢者一の記録で、名門ミムラス家に恥じない成果を残した。

 現在18歳で、すでに賢者の中でも上から三番目の地位にいるわけだから、天才ってすごいなと思う。


 次に、そのさらに後ろでニコニコしながら歩いている赤毛の男。

 こいつが第四賢者、アルト=ハナズオウだ。

  こいつの説明は...しなくてもいいか。

 どうせ今後わかるだし。


 さて、次はあの無防備な格好をして歩いてるねーちゃんだ。

 彼女は第六賢者、カトレア=ホンロー。

 かつては娼婦だったらしい色気漂う賢者だ。肌を露出させることに強いこだわりがあるらしく、戦闘中も街中を歩く時もどんな時も煽情的な格好をしている。

 当然のことながら、男性人気が高い。


 ん? 第五賢者の説明がないって? そういえば、この場にいないから忘れてたな。

 第五賢者、フジ=ライノット。

 名前はこんなだが、男だ。

 今はちょうど内乱の後始末をつけるために、何だ? ツヨソウニミエテクソザッコ国? とやらに残っている。

 実際行ってないのにわかるのは、後始末係がいつもフジだからだ。


 そんで、次にあそこにいる明らかに異質なナイフペロペロしているやばい奴。あいつが第七賢者、キョウキ=ナメロウだ。

 四六時中ナイフなめ続けてるというかなり精神がいかれているやつで、何考えてんのか何一つわからない。

 おそらく賢者の中で一番人気がない奴だ。

 舌切らないのかな?


 そして、あそこにいる馬で街道をうろちょろしてる覇気のない男。

 あれが第八賢者、シャテだ。

 あいつについて俺ら一般市民がわかっていることといえば、男で、賢者ということだけだ。

 強さや詳細な性格など、誰も知らない。いろいろな情報が謎に包まれている男だ。



 最後にもう一人だけ、賢者がいる。

 今のところ賢者の中で最年少で、灰色の髪と澄んだ緑色の目が特徴的な女。

 名前はユリ=フラン。

 第九賢者で

 

 俺の、親友だ。


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