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40話 親友

「久しいな。ノア、会いたかったよ。」

 剣を交え、声を張る。

「何故分かった?」

「どんな姿をしようと分かるに決まってるだろ。」

「随分と変わってしまったな。」

 その言葉に、レオパルドの剣が鈍った。

「みんな、自分を偽ってるんだ……。」

「責めないのか。俺を……。」

 今度はノアの剣が鈍る。

「責めないよ。理解はできないけどね。」

「それでいい。立場が違えば、それだけだ。」

「新しい居場所はどうだ?」

 微かに笑う。

「心地がいいんだ。どうしようもないくらいにね。」

 剣が止まり、距離が開く。

「そうか。私たちはもう"敵"なんだな。」

 レオパルドが目を細める。

「あぁ、これからも友であり、これからは敵だよ。」

 互い、剣を構えた。

「枷は外せ。俺の知ってるお前も、知らないお前も――全部見せてみろ。」

 ノアが手を広げる。漆黒の霧が溢れ、姿が消える。

「レンか? 髪の色が白に戻っているな。少女を連れて逃げろ。」

 忠告の直後、空気が歪む。

「間に合わないな……。すまない。少しここで待っていてくれ。」

 そう言い、無数の斬撃が俺に飛ぶ。

 腕を前に出し、目を閉じる。――痛みはない。

 目を開けると、斬撃が周囲で止まっている。

 ……結界か。


 刹那――視界が白に潰れた。

 直前、空間が削れるように円が開く。

 ホープが引き込まれる。

 内側には、別の景色が広がっていた。

 ……ワープゲート? 待て!逃げら……。

 一拍遅れて、轟音が耳を刺す。

 金属音と焼ける音が耳の奥で混ざる。

 気持ち悪い……。

 音が歪む。遠い。

 ……来ない。

 衝撃が、来ない。

 それより――

 ホープが逃げる! こいつらにはまだ仲間がいる。

 視界は真っ白に潰れ、俺はただ手を伸ばす。


 魔力が意に反して発動する感覚があった。

 なんだ? やめろ。動くな!

 どうなってるかわからない。しかし、手の延長のように発動した魔力の塊が何かに触れた。

 何かを掴んでいる。

 硬くない。

 ……でも、柔らかすぎない。

 

 ……動かせる。

 俺は、掴んだものを力いっぱいに引っ張った。

 少しずつ、ホープを引き寄せる。

 爆発に呑まれちまえよ。

 ……弱い。だが――抵抗が来る。

 視界は戻らない。力を入れ直した。

 その瞬間、真っ白な視界の中に男の姿が現れる。

「おや…じ……。」

 何も言わない。ただ立ち尽くす父の姿。俺は力を緩めた。

「……殺してほしくないのか?」

 ニコリと笑う父の笑顔を見て、思わず俺は魔力を消してしまう。

 父の姿は消える。

「待って!」

 轟音が鳴り終わる。ぼやけて見えてくる。

 何もない。

 頬に一つ、雫が伝う。

  

 ……いや、違う。今は美雪だ。

 俺は流れる雫を拭い、ぼやけた視界で美雪を探した。

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