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38話 歪んだ怒り

「何をしている? ホープ。」

 空から響く、低い声に背筋が凍る。

 黒い翼。

 舞い降りる影。

 羊の角を生やした男が、音もなくホープのそばに降り立った。

 なんだ、あいつ……。

 体が動かない。

 男がホープに触れると、ホープは目を開ける。

「ノア……着いちまったのか。」

 ホープは起き上がり、頭の側面を手のひらでコンコンと叩き言った。

「状況を見れば分かる。お前の負けだ。……さぁ、処理を行おう。」

 その言葉に、体が勝手に動く。

 同時にもう一人、行動を起こした者がいた。

 誰だ? いや、気にしてる暇はない。美雪が危ない!

 俺は森中を走った。

 何処だ……何処にいる?

 森を駆ける。笑い声と泣き声が、耳の中で混ざっていく。

 あの女の声……。左か? 右? 違う。あらゆる方向から声が聞こえてくる。

 どうか無事で居てくれ。美雪……。

 俺は大地を蹴り更に速度を上げた。周囲は夜のように暗く、息が上がる。木々が避けるように見える。

 正面に一つの光が刺す。――森を抜けた。

 そこは高い崖の上だった。一本だけ力強く佇む木のふもとで2つの影が目に映る。

 見つけた!!

 俺は美雪を殴り続けている女に魔弾を飛ばす。

 一直線に向かう魔弾、しかしそれは空間に呑み込まれるように消えた。

 なんだ? あいつの魔法か。

 俺は止まることなく走る。

 止めろ。早く、頭から血を流してる。止めろ!

 高く振り上がる女の手。迷いなく振りかぶるその手を見て、俺は殺意を覚えた。一回、二回とそれが続く。

 三回目、女が振り上げたその手を俺は掴んだ。


 ――――

 

 こんな手……潰れてしまえばいい。

 俺は掴んだ手に力を込めた。

 グッ…ギリッ……ミシッ……メキッ

 指が食い込む。

 骨の感触が返ってくる。

 更に押し込む。

「痛い……痛い痛い痛い! 辞めてよ!!」

 ……何言ってんだ? 美雪は頭から血を流して気絶してるんだぞ? 最悪だよ……。なんでだ。どうしてこんなことが平気できる? ……お前にも同じ目に合わしてやるよ。

 力を、振り絞る。

 ミシッ……メキッ…メキッ……ボキッ!

 鈍い音だった。その音と共に女が悲鳴をあげる。何を言ってるはわからない。聞きたくなかった。

 俺は女の手を離し、手のひらを見る。指先にうっすら血が滲む。

 汚れた。

 俺はダランと力を抜き、ズボンで血を拭いた。

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