37話 vsホープ
「ルーク!」
目の前の光景を見て俺は叫んでいた。
悶絶するルークに、茂さんが寄り、俺も駆け寄った。
「ルーク、大丈夫か?」
ルークは仰向けに倒れていた。
足からは大量の血が流れ、腕で目を覆っている。
「なんでお前は強くなれるのに……俺は変われねぇんだよ。追いつけねぇのかよ……。」
「……何言ってんだよ。変わってるに決まってんだろ。俺はズルいだけだ。……いいから止血する。もう喋るな。」
そう言い、俺はルークの足に手を伸ばす。
「やめろ! やめてくれ。」
悲痛の叫びを聞いた瞬間、俺は動きを止めた。
あの時の俺と同じ……。
「杏! ルークの手当てを。」
俺だって……直接アイに助けられるのは嫌だ……。
「茂さん。まだ行けますか?」
「えぇ、勿論です。」
「どう動けばいい?」
この人はまだ半分も出してないはず。……それはあいつも同じか。俺は可能な限り合わせるしかない。
「2秒でいいです。奴の意識を逸らしてください。」
茂はそう言う。俺は問う。
「やり方は任せてもらいます。」
「えぇ、期待していますよ新人。」
俺は大きく息を吸うと、横で茂が魔力を練り始める。
「……さて、俺も全力で行こうか。」
右手を顎の位置に構え、左手を前に出す。右足を半歩引く。
そのニヤケヅラ消してやるよ。
風の音が消えたその刹那――俺は地面を強く蹴った。
俺は腰を捻り右手をホープの顎目掛けて突き出そうとする。
当然のようにそれに反応するホープ。旋風を飛ばすが、強引に突破する。
「ただの風でビビるわけねぇだろ!」
俺はそのまま拳を前に突き出した。
「ブラフだ。」
目の前の男の声が耳を刺す。拳は確実に奴の顎に直撃した。力には自信がある――喋れるはずない。
魔力の気配!?
俺は下を見る。そこにはもう小さな魔法の塊が俺を襲っていた。
……死ぬわ、これ。
――そう思った瞬間、赤い"何か"が、視界に割り込む。
風の魔法が消え、魔法の陰に隠れていたホープの手が、止められる。
俺は咄嗟に後ろに下がった。
くそっ……今、返せた。
……なんで下がった?
体が、動かない。
それより……何が起こった?
そこにはホープと、もう一つの影があった。
俺とホープの間に赤い炎が割り込む。
エルが、ホープの腕を掴んでいた。
「エル……。なんで!?」
「二度もあいつを救うために俺の魔法消しただと? おもしれぇ。本当に面白いよ。エル!」
「誰も死なせない!――今です、茂さん!」
「肝の座った、少年だ……。君の頑張りを無駄にはしないよ。」
そう言い、茂は手のひらに作られた魔法を放った。
光線がホープを貫いた。遅れて森中に轟音が鳴り響く。
ホープはその場を倒れた。




