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ざまぁフラグが立ってる王子様に転生した  作者:
王子様の学園生活(四年生)

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80 新学期早々不穏な気配

 楽しい長期休みは、あっという間に終わってしまった。

 王立学園に戻ったら、恒例の学力試験がある。

 夏の長期休暇明けの学力試験は、去年の難癖事件を思い出して、イヤーな気分になっちゃうんだよなぁ。

 もうあんな頭が悪いことをする人はいないと思うけどね。


 昼休憩、いつもの空き部屋で、いつものメンバーと一緒に昼食を食べていると、ヒルトが僕に声をかけた。

「アルベルト様。報告したいことがあります」

「ん? なにかな?」

「オクタヴィア・ギーア男爵令嬢のことです」


 あー、そういえば、いたね。

 休み前はジュスティスのことがあって、そっちの方に気を取られてたけど……。

 エウラリア様の話によると、オクタヴィア・ギーア嬢はジュスティスと繋がってるし、何よりもウイス教の聖女らしいしねぇ。

 女神となんかの関係があると見ていいと思うんだけど……。


「何かあった?」

「休み前の彼女と、同一人物とは思えないほど、様子が変わっています」

 変わった?

 確か悪役令嬢が主人公の物語に出てくる転生ヒロインみたいなことやってたけど、あれ、転生者かどうかもいまいちわかってないんだよね。


「以前の彼女は……、自分が選ばれた人間のような立ち振る舞いであったことを覚えていますか?」

 まぁ女神の声が聴こえるって言いまわって、その後聖女に就任したなら、自分は選ばれし者って調子に乗ったんじゃないかな?

「あとやたらとオティーリエを敵視してたよね? 何かと突っかかってたし」

 それがまさに転生ヒロインっぽい思考っていうか、行動っぽく見えるんだよね。


「その件は、アルベルト様とオティーリエ様がお付き合いしているというフェイクの噂を信じていたからでしょう」

 ヒルトの発言を聞いたテオは、何か言いたそうな視線を向けてくるけど、ちょっと相手にしてられないから無視させてもらう。


「休み前の彼女の行動は、明らかにアルベルト様の寵愛を得ようとしているように見えました」

「……僕、限定で良いのかな」

「と、言いますと?」

「ほら彼女、確か聖女に認定される前までは『ラーヴェ王国の王太子を導く』って言ってたんだよね? ラーヴェ王国には同じ歳の王子が二人いるわけで、どっちが王太子になるっていう発表もしてない。まぁあラーヴェ王家の王位継承権の第一位は、第一王子って決まってるから、それを踏まえての行動だったとしたら、狙いは確かに僕だろうけどね」


 ギーア男爵家はラーヴェ王国の貴族だから王家の継承権に関しては知っていてもおかしくはない情報だ。

 だけど、オクタヴィア・ギーア嬢はリトス王国で生まれ育った。

 ギーア男爵家の血を引いていたとしても、ラーヴェ王国の国民じゃないから、その辺のことがわからなくって、だからこそ『ラーヴェ王国の王太子を導く』なんて曖昧な言い方をしたんじゃないか?

 もしそうだとしたら、その『ラーヴェ王国の王太子を導く』って言葉は、嘘になるのかな?

 女神ってどこまで万能な存在なんだろう。

 こういう王家の情報も知ってるのなら、国王陛下の強い希望(笑)で今代の王太子は、第一王子から第二王子に移行することになったって、女神はわかってるのかな?


「客観的に見てもギーア男爵令嬢は、明かにアルベルト様をターゲットにしていたと思います」

「で、今は?」

 ヒルトの言葉に訊ねると、考え込んだ仕草を見せる。

「ちょっと難しいですね」

「それは、今はそう見えないってこと?」

「見えないというか、なんと言ったらいいのか……」

 口ごもるヒルトの代わりに、イヴが口を開いた。


「普通なのよ」


 普通……って、どういうこと?

「前にも言ったでしょ? 下位であっても貴族令嬢なのに、貴族の常識が備わってないように見えるって」

 あー、ヘッダも、入学に必須のマナー試験をどうやってかいくぐってきたのかわからんとか言ってたっけ?

「そうですわねぇ。休み前のギーア嬢が、自分のことを物語のヒロインのように思い込んで、そのように生きていたのだとしたら、今のギーア嬢は夢から覚めた……。もしくは現実に戻ったといった感じですわね」

 ヘッダはコロコロと笑い、さも楽しいと言わんばかりだ。

 不思議大好き、解明したーいって欲が出てきちゃってる、バレてるよ。


「まともになったっていうのは、違うかな?」

 自分で言っておいてなんだけど、女神と繋がってる可能性が高いギーア嬢が、まともになったっていうのは考えにくい。

 ほら僕とネーベルは、三年の剣術大会で、ギーア嬢とベーム先輩のやり取りを見てるからねぇ。

 あれを見てしまうと、ヒロイン願望な態度もフリだったのかな?って思ってしまうし、その時さえよければ、それでいいって様子でもなかった気がする。


「なんだろうねぇ。オティーリエに対して攻撃的な態度を改めてくれてるなら、よかったねになるけど……」

 そう言ってヒルトを見るけど、ヒルトは首を横に振る。

「……アルベルト様流に、三段方式でまとめます。『公爵令嬢であるのだから、オティーリエ様の結婚は政略結婚であるはず』。『なのに第一王子であるリューゲン殿下とお付き合いをしている』。『王家が公爵家に強く出れない立場を盾にして、無理やり婚約者になったと思った』。以上がオクタヴィア・ギーア嬢の弁です」

 僕の名前の件に関してはともかく、オティーリエを公女ではなく公爵令嬢だと思っているところは、怪しい。

 そこまで情報が入ってないってことなのかな?


「婚約という発表はされていないので、その辺は勘違いだったと気づいたのでしょう。でもアルベルト様とオティーリエ様がお付き合いをしているというフェイクの噂は信じ込んでいるようです」

 つまり王家は立場上、公爵家を蔑ろにできないから、オティーリエの我儘を聞いてるって思ってるのか。




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