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ざまぁフラグが立ってる王子様に転生した  作者:
王子様の学園生活(四年生)

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76 フルフトバールで魔獣狩りだぁ! そのじゅうろく

 大爪熊が地面を蹴り、一直線に突っ込んでくる。


「来る!」


 叫んだテオには迷いがない。

 テオは真正面から踏み込むと、剣を大きく振り上げ、大爪熊の視線を奪うように大きく斬りつける。

 テオの剣と大爪熊の爪がぶつかって火花が散った。


「硬ぁっ!」


 斬りこめないと思ったであろうテオは、そのまま勢いづいて後方に飛び上がり、その動きに合わせるように、イジーが横から滑り込む。

 テオが弾いた大爪熊の前脚の軌道を読んで、逆側へ斬撃を入れるけど、それは浅く、躱されてしまう。


「右に来る!」

「わーってる!!」


 テオとイジーは連携して大爪熊へ攻撃してる。

 うまく動いてる二人とは裏腹に、僕は宵闇に振り回されていた。

 宵闇は早く斬らせろと言わんばかりに、勝手に大爪熊へ向かっていこうとするのだ。


「どーなってんだよ、これぇ!! お前、まだ付喪神になってないのに、勝手に動いてるんじゃないよ!! 僕の言うことを聞け!!」


 抑え込もうとすると、煩いと言わんばかりに暴れ出す。

 力負けしそうになる。

 魔力巡りで体内に循環させてる魔力は、当然僕の魔力なのに、宵闇に乗せている僕の魔力が僕の体内に戻ってくるとき、少し何かが混ざってる感じがする。


 混ざった何か……。

 たぶん、宵闇の闘争心だ。

 その闘争心は悪くないんだけど、闇雲に出されると、僕の感情が呑まれそう!

「落ち着けって!!」

 勝手に動き出そうとする宵闇を押さえてる横で、イジーの剣が大爪に弾かれ、その身体が後方へと弾かれるのが見えた。


「イジー!!」


 考える暇もなく、気が付いたら宵闇を振りぬく。

 避けられた!

 クソッ!

 あんな大きな身体なのに、なんで動きが速いんだよ!!


「アル!」


 ネーベルの掛け声とともに、風を割く音。

 縄の先に付いた鋭い鏢が飛んで、大爪熊の前脚に絡みつく。

 いつの間にか剣を捨てたネーベルは、持ち替えた縄鏢を使って、大爪熊の足止めに入る。


 絡みついた縄が締まっているのか、大爪熊の動きが一瞬止まった。

「アル! いまだ!!」

 ネーベルの掛け声に押されて、僕は宵闇を振り上げながら跳びあがる。

 宵闇に自分の魔力を乗せたまま、思いっきり振り下ろす。


「くらえ!!」


 振り下ろした宵闇が、大爪熊の肩口を裂いた。

 ――と、思ったら、宵闇の刃は深く通ってない。

 大爪熊は、咆哮を上げると同時に巨体をねじって絡みついた縄を力任せん引き千切ろうとする。


 けど無駄!!


 縄鏢にはネーベルの魔力が通ってる。

 そこらの縄と違って、鋼鉄以上の強度を持ってるから、そうそう簡単に引き千切られることはない。

 でも、大爪熊に比べれば、ネーベルの体重は軽いから、大爪熊が力任せに暴れたら、振り回されるのは必須だ。


「うわっ!」


 案の定、ちょっとしたフェイントを食らって、ネーベルは縄から手を放してしまい、吹き飛ばされてしまった。

 同時に大爪熊の前脚が、横に振り抜かれる。


「兄上!!」


 イジーの声に、咄嗟に身体をひねって攻撃をよける。

 けど間に合わない!!

 次に来たのは、強い衝撃。


 目の前が真っ白になる。

 気が付いたら地面に転がってた。

「ヒッ……ハァ……」

 叩きつけられた衝撃で、息が、できない。

「ぐぅっ!」

 動け!

 はやく! 体勢を取り直せ!

 僕はまだ、動けるだろう!


 手の中にある宵闇を握り締める。


「アル、避けろ!!」


 テオの叫びと同時に、僕の上に落ちる影。

 間一髪、構えた宵闇で大爪熊の前脚を受け止める。

 重い打撃に、腕がびりびり痺れ、踏みしめた地面がひび割れる。


「フヒッ……」


 やってくれるじゃないか。

 中層で、この強さ。

 深層は、これよりも、もっと強いのが出てくるんだろう?

 この不帰の樹海の管理者になろうって者が、この程度で倒れて気を失うなんて、あってたまるか!!


「ヒヒヒッ!」


 押し潰そうとしてくる大爪熊の前脚を宵闇で薙ぎ払う。

 間合いを詰めて、そのまま宵闇を振りかぶるけれど、また阻まれた。

 おーおー、強い強い!


「兄上……?」


 インカム越しに、イジーの戸惑ったような声が聞こえる。

 そりゃぁ、これだけ強い魔獣に遭遇したのなんて、初めてだもんね。

 でも、大丈夫。

 こんなの、全然、脅威でも、なんでもないよ。


「フヒヒヒッ」


 さっきまで自分勝手に暴れようとしていた宵闇を、今度は僕が好き勝手に振り回す。

 大爪熊の懐に真正面から踏み込む。

 僕の動きを読んだように、振り下ろされる大爪の軌道を、紙一重で躱して、そのまま一歩奥へ。

 胴へ一閃。

 深く入らなかった。


「フハハッ! ほらっ! 遅いぞ! 鈍いぞ! さっきまで暴れてたくせに、なにやってんだ、お前!! 全然、大爪熊に傷付けれてないじゃんか!!」


 咆哮を上げる大爪熊から離れるために後方へ跳びずさると同時に、両の前脚を地面に叩き付けられた。

 衝撃で粉塵が舞い上がり、砕けて跳ね上がった石が、頬を掠める。

 ほら、大爪熊は、まだ元気じゃんか。


「どうした、宵闇っ! 大爪熊はまだ立ってるぞ!!」


 僕の煽りが効いたのか、宵闇から不満の気配。

 鈍ら扱いするなと言わんばかりに、大爪熊に向かって闘争心を向ける。

 それに呼応するように、大爪熊が咆哮した。


 耳がぼわっとして、頭がくらくらする。

 けど、この程度で止まるか!


「ヒャハハ!」


 攻撃に崩れた体勢を立て直して、宵闇を横に薙ぐ。

 急所! 急所に入れるのが一番!

 やっぱ首を落とすか。


 そうだ、それが良い。

 そうしよう!

 狙うは首。


 振り上げられた爪が頭上を掠めて、風圧で髪が斬れた。

 おっと。危ない、危ない。


「アル! 上!」

 ネーベルは引き寄せた縄を再び放ち、鏢を大爪熊の右の前脚と胴体に巻き付けて、再び大爪熊の動きを制限させる。


「くらえ!!」


 テオが斬りこんで、イジーが大爪熊の足元へ滑り込む。

 三方向からの連撃を浴びせるも、大爪熊は倒れない。

 大爪熊は縄に絡め取られたまま、無理やり首を振り上げ、地面を抉りながら前へ出る。

 僕は宵闇を構え直した。




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