第24話 お願いしますっス
『あ~あ、また誰か見つかったっスね・・・・・』と視線を送る。
何かの物が地面に倒れる音と空き缶が倒れる音が少しの時間差で聞こえると走るタイプの女性と少年の姿のゾンビ2匹が2件先の店の路地の間から飛び出し狂気の呻き声を発して商店街の駅とは逆方向に猛スピードで走り出す、そこには黒いジャージ上下に金髪坊主の背の高い男が金属バットを持って立っておりその横にも少女が確認出来ていてその方向に向かって走って行く2匹のゾンビの背中を変形学生服ショップの2階の窓から眺めながら女ヤンキーは思う。
『走るタイプのゾンビっスから、それも2匹もいるっス、小さな女の子もいるっスから・・・もう逃げれ無いっスね・・・・・』
すると2匹の女性と少年のゾンビが金髪坊主の1メートル手前ぐらい前で急に止まり上を向く。
「・・・・・えっ?・・・それは何なんっスか・・・・・」
すると最初の走るタイプのゾンビの呻き声に反応したゾンビ5匹が商店街の駅側の方向からいつの間にかワラワラ現れると、女が居る建物の前を通り過ぎ両手を上げてフラフラ揺れて獲物認定された金髪坊主に向かって目の前を進んで行く、女は『何故止まる』の混乱と理解出来ない思考のまま見ていると金髪坊主の1メートル手前ぐらいで5匹全員のゾンビも立ち止まり上を向く。
「・・・・・・・・・・何が起きているんっスか?」
女は訳が分からず呆然と金髪坊主と横の少女と7匹の狂気も殺意も無く上を向くゾンビ達を眺めていると、金髪坊主が数秒の間を空けてから一番手前のゾンビの頭部に金属バットで凄いスイングで殴り始めるのを『何故抵抗しない』の理解不能で身体も金縛り状態で呆然と見ていたが、最後の7匹目のゾンビの頭部を血と肉と体液を撒き散らして倒した所で我に返ると『・・・・・・・あっ!!・・・やばいっス!・・・あの金髪坊主の男、何か凄いっス、凄すぎるっス』が全身を駆け巡ると理解力も金縛りも復活して自然と知らない間に窓際から離れると1階に走り出し変形学生服ショップの閉めていたシャッターを上げると金髪坊主と横の少女の元に向かっていた。
「しゃああああらあああああ、これで4匹目終わったあああああ、疲れたああああああああああ!」
慎吾は瑠偉ちゃんが『そう思う』と苦しそうな呻き声で答えてくれた新しい成長の効果。ゾンビ達が瑠偉ちゃんの手前で急に立ち止まり襲う事も呻き声も止まり上を向き脱力状態に陥ったゾンビの無防備の頭部に前方、側方、後方を関係無く目に入ったゾンビの順に金属バットのフルスイングで始末して行くと、4匹目を倒した所でスイングの疲労と腐り劣化して硬度が脆くなってる頭蓋骨だが4連続だと流石に手の痺れが耐えられなくなり、金属バットを杖代わりに体重を預けると手をヒラヒラさせて痺れを逃しながら慎吾もその場で足を止めて呼吸を整える。残っている3匹のゾンビ達は同じ状態で突っ立っている。
「・・・あと3匹やな・・・・・もうひと踏ん張りしましょうかね」
身体の疲労も手の痺れも少し回復すると金属バットを握り直すと1番最初に目に入った5匹目のゾンビの頭部に金属バットの真芯を叩きつけて頭蓋骨と脳を破壊して始末すると6匹目、7匹目も順番に始末を終える。
「・・・はぁ~・・・はぁ~・・・終わった、終わりましたで・・・やっと7匹のゾンビ終わらせたった・・・はぁ~・・・しんどかった~・・・」
慎吾はまた金属バットを杖代わりにして体重を預けて大きく深呼吸を繰り返すと手をヒラヒラさせて痺れを逃しながら、周囲に転がる7匹のゾンビ達の死骸と血と体液と油や肉の破片で埋め尽くされた商店街のシャッターや壁や地面を見て『地獄絵図ですやん・・・』と『俺は地獄絵図に参加せんで良かった』を同時に一瞬だけ思う。
「待たせたね、そしたらお食事多かったら残してもええんやで?」
お食事を我慢する事を覚え、呼吸も手の痺れも殆ど治まった慎吾を真横で見つめている瑠偉ちゃんに『7匹もゾンビ食べれるんやろか?』と少し心配しながら話かけると、瑠偉ちゃんは慎吾の横を離れず右腕をゆっくり上げると人差し指を出す。
「んっ?」
慎吾が人差し指の先を目で追うと真っ赤な特攻服を着た金髪の髪の長い女が走って来ている。
「んっ?・・・めっちゃヤンキーが走ってきてますやん・・・」
小さく呟くと。杖代わりににしていた金属バットから身体を起こすとグリップを握りいつでも殴れる準備をする。
「あっ?・・・大丈夫っス、私は怪しくないっス、怪しくないっスよ、金髪坊主のお兄さん何か凄いっスね~」
走って来る女は慎吾が身構えた事に慌てて方手を顔の前で左右に振って否定をしながら速度を落として歩きに変える。
「とりあえず止まれ・・・それ以上近づくな」
「あっ?分かったっス、そうっスよね」
女は納得して3メートル先ぐらいで止まる。女ヤンキーは真っ赤な特攻服にサラシを巻いて、首の後ろに黄色の安全帽を引っ付けて、真っ白い鉄板入りのブーツを履いて、両腕には金の刺繍で『喧嘩上等』『唯我独尊』が見える。
「でっ?何か用?」
「とりあえず私は丸腰っス、木刀は部屋に置いてきたっス、これが証拠っス」
女は目の前で両手を高く上げて『降参ポーズ』をしてその場で一回転すると背中に金刺繍で『弐代目』と『今 宵 鬼 姫 降 臨』が見えるが武器は背中には見当たらず、すると突然「失礼しまっス」と一声掛けると真っ赤な特攻服を脱ぎだして白いサラシと薄いピンクの下着だけの姿になると慎吾の目の前でもう一回転している。
「・・・・・えっ?!・・・あ~あ分かった信用するから,とりあえず服着てええよ・・・」
「そうっスか?、信用されなかったら真っ裸になってもう一回転する用意はあったんっスよ?,あとは噛まれても無いっス、念の為っス一応言っとくっス」
「・・・・・あ~あ、背中にも特攻服の中にも武器も無く噛み痕も見当たらなかった、それで俺に何の用なん?」
女は脱いだばかりの真っ赤な特攻服を「失礼しまっス」と声を出すと着始める、慎吾は腰まで届く金髪の髪、真っ白い綺麗な肌、サラシで押し上げられたボリューム感たっぷりの胸、引き締まった腰、小ぶりのお尻もちゃんとチェックしたが、それ以外にも武器、噛み痕もチェックしていて瑠偉ちゃんの指差しを100%信用している。
「はいっ!さっき2階から見させて貰ってたっス、ゾンビを始末する所っス、それで金髪坊主のお兄さんすげ~凄いっスと思ったっスから、舎弟にして欲しいっス。何でもしますからお願いしまっス!!」
女は真っ赤な特攻服を着終わると、背筋を伸ばして腕を腰の後ろで組んで両足を少し広めに拡げると深々とお辞儀をして慎吾に頭を下げてお願いする。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「何でもしますっス、どうかっス、お願いしますっス!!」
慎吾が『えっ?えっ?えっ?舎弟?すっス?っス多くない?何でもする?舎弟?舎弟?舎弟?・・・舎弟ってアノ舎弟?』っと出会って3分弱で人生初の舎弟願いの展開とその他諸々に言葉を失うと、目の前の女は熱意が足りないと感じたのかもう一度深々とお辞儀をして頭をそのまま下げた状態で待っている。
「・・・・・・・・・・あっ?・・・・・うんっ?・・・舎弟ね?」
慎吾もある程度の悪い事や他人様に迷惑を掛けて来て世間からは不良と呼ばれる1人なので舎弟の意味は完全に理解出来るが、自分が舎弟をお願いされる事は想像もしていなかったのでそこは理解が追いつかない。
「はいっス、何でもしますっス、どうかっス、舎弟にお願いしますっス!!」
女は同じ体勢で同じセリフを言っている。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
慎吾は女の垂れ下がる金髪を思考停止状態で見て、真横で無表情無感情無言の瑠偉ちゃんは下から真剣な女の顔を見つめていた。




