第22話 瑠偉ちゃんが考えたお上品なお食事な仕方
「それじゃあ~、始末しますかね」
木製の扉のドアノブを回せばドアが開く事も理解出来なくなり、腐り果て死者となり呻き声とドアを叩くだけのゾンビが写る曇りガラスに向かって通路を歩くと、そのまま金属バットの先端を突き出すように曇りガラスごと『ガシャーン』の割れる音と共に金属バットの先端で突き破るとゾンビの額に当て後方によろめかせる、その隙に素早くドアノブを回しドアを開けるとよろめいているゾンビの胸部を思いっきり前蹴りをして、さらに後方によろめかせると十分に空いたスペースが出来て金属バットを両腕で握りフルスイングで前頭部に狙いを定めて振り切ると首から上が吹っ飛んで和室の畳みの上に粉砕され転がる。
「ふぅ~、今回は圧勝やったな・・・こいつこのスポーツショップ店の店長やったんや・・・」
木製のドアの先の部屋は6畳ぐらいの和室で畳が敷いてあり綺麗に整頓されていてちゃぶ台の上には冷めたお茶の湯呑と和菓子が置かれ、その横にうつ伏せで首筋を喰い千切られ血を畳に滲み込ませている年配で小太りの女性の死体もちゃぶ台に突っ伏している、今は首から上が無くなり畳に倒れ首の切断面から血を噴き出している眼鏡を掛けエプロンをしているこちらも年配で小太りの男性の胸には【スポーツショップタナカ・店長田中」の名札を付けている。
「この店長さんがゾンビ化してこっちの奥さんなんかな?奥さんらしき小太りの女性を襲ったんかな?」
言葉に出してしまうが、すぐに『考えてもしゃーないな』と考え直し和室を見渡す、さらに奥には部屋が見えキッチンなども綺麗に整頓されている、とりあえず和室を調べるが和菓子を発見するぐらいで他には特に無いので和菓子を背負い袋に放り込んでおく、それから奥の部屋のキッチン、リビング、寝室などゾンビなどの気配も瑠偉ちゃんの右腕も反応しないので使えそうな物を拝借して回り6畳の和室に戻って来た。
「あれっ?、瑠偉ちゃん?お食事はしなくてええの?」
部屋を見て回る間ずっと真横にいた瑠偉ちゃんに不思議に思い聞いてみる。
「い”イィィい”イィィか”アァァァァ」
瑠偉ちゃんは慎吾の目を見つめて低い唸り声で『良いか?』と聞いて来た。
「・・・うん、全然ええけど?どうして我慢してたん?」
突然の変わり様に少し驚いて聞き返す。
「い”イィィい”イィィこ”オォォォォが”アァァま”アァァん”んンンす”うゥゥる”ウゥゥゥ」
苦しそうに低い呻き声で『良い子、我慢する』と聞き取れる。
「まぁ~確かに瑠偉ちゃんは良い子やよ、けど我慢するのは何でなん?・・・もしかしていつも読んでる教科書の影響?」
慎吾は瑠偉ちゃんの変わり様にまず頭に浮かんだのが教科書なのでそこを聞いてみる。
「ウ”ァァァァァ」
低い呻き声で肯定する。
「なるほど・・・そしたら俺がお食事良いよって言うまで我慢するのね?」
「ウ”ァァァァァ」
低い呻き声で肯定する。
「教科書で勉強したんやね、瑠偉ちゃんはエライな」
「ウ”ァァァァァ」
低い呻き声で肯定する。
「ゾンビとか人間食いまくって成長した事と教科書を読んだ事の影響が大きいんやろな~・・・瑠偉ちゃんすげ~な」
「ウ”ァァァァァ」
低い呻き声で肯定する。慎吾は『昨日まで始末したゾンビや人間みたら真っ先にお食事してたのに・・・子供の成長はあっという間なんですな~』っと未婚で子供もいないが親の気持ちを味わいながら1人感動していた。
「それじゃあ~、お待たせしました瑠偉ちゃん、お食事どうぞ」
感動が終わり真横で見つめて来る瑠偉ちゃんにOKを出す。すると瑠偉ちゃんは年配で小太りの始末した店長に近付くと、いつもの四つん這いの獣スタイルでは無く血溜まりを避けて両手を器用に使って頭部を両手で割って脳味噌に手を突っ込んで引き抜いて掴んだ物質を口に運び喰い、腕を引き千切るとゾンビの手首を手で掴むと小さな可愛い口を顔半分以上まで拡げて口元まで持って来てかぶり付いて喰い、足は付け根から引き千切ると足首を掴み腕と同じ様に顔半分以上に広げた口でかじって喰い、その他の胴体は手を皮膚に突っ込んで『グチャグチャ』鳴らして掴んで握り引き抜いて来た物質を喰ったり、骨類は手ごろなサイズに両手で折ると口元まで持って来て『ガリガリ』喰いだした。
「・・・・・瑠偉ちゃん?瑠偉ちゃん?・・・そのエグ過ぎるお食事は・・・どうしたのかな??」
堪らず慎吾を見つめられながらのお食事中だが理解不能で聞いている。
「お”オォォし”ヨォォお”オォォひ”イィィん”ンンン、や”アァァく”ウゥゥそ”オォォく”ウゥゥし”イィィた”アァァァァ」
瑠偉ちゃんは大きくした口で咀嚼していた左腕を一旦口から出すと苦しそうな低い呻き声で『お上品約束した』と口元を血塗れにして答えている。
「・・・あ~あ・・・確か部屋でそんな事お願いした事ありましたけど・・・・・それが瑠偉ちゃんのお上品なお食事の仕方なんですか?」
「お”オぉぉよ”オォォふ”ウゥゥく”ウゥゥ、よ”オォォこ”オォォさ”アァァな”アァァい”イィィ、や”アァァく”ウゥゥそ”オォォく”ウゥゥし”イィィた”アァァァァ」
苦しそうに『お洋服、汚さない、約束した』と呻いて答える。
「・・・あ~あ・・・確かにそれなら血溜まりも避けてますし、四つん這いじゃ無いですからお洋服は汚しませんな・・・・・」
「ウ”ァァァァァ」
瑠偉ちゃんは慎吾の返答を聞くと、一旦口元から離していた左腕を大きくした口でお食事を再開する。慎吾は『それが瑠偉ちゃんが考えたお上品なお食事な仕方なんですな・・・・・確かに四つん這いのゾンビスタイルじゃ無いし、お洋服も汚れ無いし、瑠偉ちゃんなりに良く考えて成長したと思うんですけど・・・今のお上品スタイルはめちゃくちゃエグイんですけど・・・・・・・』っと考えて、まだ口元と両手が血塗れで今は心臓らしき物質を引っこ抜いて慎吾を見つめながら喰らい付こうとして瑠偉ちゃんを眺めている。
「うん、どうやらお食事終わった様ですな、前のゾンビスタイルに比べるとお食事時間が少し長くなるみたいですな・・・・・抉ったりや引き千切ったりや掴んだりで口元に獲物を持ってくるからしゃーないですかね・・・・・」
吸い終わった煙草を灰皿が見当たらないのでちゃぶ台のお茶の入った湯呑に捨てると真横に来た瑠偉ちゃんに確認する。年配女性の死体は新鮮では無いらしくお食事はせずにそのまま残していた、慎吾も特に興味も無いので放置しておく。
「ウ”ァァァァァ」
唸り声で肯定する。それから背負い袋からタオルを1枚出すと口元、両手血塗れの瑠偉ちゃんを『確かに、お洋服汚れないのは有りやな』っと考えて汚れた個所を拭いて行く。そして瑠偉ちゃんの金属バットペロペロも終了して、この住居エリアの拝借も完了したので慎吾と瑠偉ちゃんは木製のドアを通り売り場の方に歩き出す。
「では。お高いジャージ遠慮しないで拝借しましょうかね」
ジャージが陳列しているコーナーに行くと、まず前に着ていた同じ黒のジャージ上下に着替えて残り5着色違いを拝借してこのスポーツショップの大き目の紙袋に詰め込むと、前回と同じで着ていたサイズもセンスも合わない服を『つまらない物ですが』の気持ちで本当につまらない物を適当に置いておく。ついでに少しだけ傷んでいた金属バットも遠慮しないで交換していた。
「よしっ!!、これで俺は準備完了!、瑠偉ちゃんは何か欲しいのある?」
「イ”ァァァァァ」
瑠偉ちゃんは店内を見渡し暫く考えてから『いらない』と呻いて答える。
「オッケー!それじゃあ~、最初の目的の俺のパンツ一丁からの卒業も無事終了したことやし次の商店街のショップまで行くぞ~、エイ、エイ、オー」
慎吾は新しいジャージ上下にご満悦でテンションも少し上がり良く分からない掛け声をしてからスポーツショップ店の出口に向かう。瑠偉ちゃんは無表情で慎吾を見つめていて後に続いて歩き出す。




