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50話 結末

 下の階に降りると、驚いたことに兵隊たちは血を流して倒れこんでいた。


 一方ユキ達は、血まみれの状態でぐったり座り込んでいた。


「みんな、大丈夫……ではないよな」


「ううぅ……。ユウくん、私もうダメ。これ以上動けないよぉ~」


「エネルギー残量。残り5%。スリープモードに移行」


 みんなの反応を見るに、相当疲れているように感じた。


 しかし、あれだけの敵をたった7人で倒すとは……。ホント、毎回彼女たちには驚かされてばっかりだな。


「ユウト様、カズキ国王とほ……」


「ああ、ちゃんと倒してきた」


「それはよかったです……」


 そういうとユキは安心したのか、地面に倒れこんでしまった。


「ユキ、大丈夫か!?」


「大丈夫でしょ。……どうせ、そのアホは疲れて寝ちゃっただけだろうし」


「そうだね。ユッキー、あまねるに負けないよう意地になって頑張ってたし」


 なんで意地になったのかはよく分からんが、とにかく頑張ってくれたようだな。


「そういえば、あまねちゃんはどこにいるんだ?」


「あっちの壁にもたれかかって休んでるよ」


 ミーロンが言った通り、そこには壁にもたれかかって寝ているあまねちゃんがいた。


 よく見ると、装備はボロボロの状態になっている。


「……大変だったな。それにしても、よく頑張ったね。えらいえらい」


 起こさないようにそっと頭をなでる。


「……う~ん。……あっ、ユウト国王! って、えっ!? ……あ、あ、あの、その、こ、これは、いったい?」


 あまねちゃんは目を覚ますと、なぜか顔を真っ赤にして慌てだした。


「あれ、起こしちゃった? 休んでたのにごめんね」


「いいえ、ダイジョ―ブです……。あ、あの、あたま……」


「あたま? って、あぁ、ごめん。嫌だったかな? すぐやめるよ」


「あぁ、い、いいえ! 続けてもらってダイジョ―ブです!」


「えっ? あ、うん。分かった……」


 再び頭をなでると、嬉しそうに笑ってくれた。


「あ、あの、私、頑張って兵隊さんたちをたくさん倒しました。なので、そ、その……、もっといっぱい褒めていただきたいんですけど…」


 ……意外な要求をされてしまった。


 ただ、この要求には応えてあげるべきだな。


「もちろんいいぞ。今回はあまねちゃんが頑張ってくれたようで嬉しいよ。えらいえらい」


「えへへ~」


 なんだか小さい動物を可愛がってるみたいで気持ちがほっこりとした。


 ……ただ、それと同時に何か悪寒がした。


 そっと振り向くと、気絶したはずのユキがじっと俺を睨んでいた。そしてめちゃくちゃ怒っている。それに、他のみんなもユキほどではないが、俺たちのことを見て睨んでいる。




 ……これは気づいてないふりをしたほうがよさそうだな。






 しばらく休憩した後、俺はあいつのいるところへ戻ったが、そこにはカズキ国王の姿はどこにもなかった。それに、床には大量の血が染みついていた。それはどう見ても俺と戦った時にでた血ではなかった。


 ……何かがおかしい。


 疑問に思ったが、結局この場で問題を解決することはできなかった。この問題がすべて解決するのは、もう少し先になる。








 このあと俺はカズキ国王のことを炎の国の住民に伝え、この騒動の終わりを迎えた。


 炎の国から王国に戻った後、俺たちはいつも通りセリア女王に報告しにいったのだが……


「ユウト、私が言ったことを覚えていますか?」


「え、えっーと。カズキ国王を討伐してくれ……」


「違います!! 待機してくださいって言ったじゃないですか!! な、ん、で、そんなことも守れないんですか!!!」


 ……そういえばそうだった。


 そんな命令があったことをすっかり忘れていた。


「し、か、も、そんな危険なことにユキちゃんたちを巻き込むなんて!! あなたはいったいどういう神経をしてるの!!」


 ……めちゃくちゃ怒ってるな。


 眉間にしわを寄せ、ゴブリンのような顔で俺を睨んできた。


「セ、セリア女王、失礼ながら申し上げます。今回の件はユウト様は悪くありません。私たちが勝手に……」


「ユキちゃんたちが行くって言ったとしても、それを止める責任がユウトにはあります。まったくもう、全員無事に生きて帰ってきたことも奇跡なんですからね!」


 まあ、確かに母さんの言うとおりだ。今回の潜入調査はちょっとだけ無計画だった。そのせいでユキ達に危険な目にあわせてしまったのも事実だ。


「……反省してます」


「まったく、……ちょっと見直したと思ったら、すぐ問題を起こす! そ、れ、に、あなたはユキちゃんたちに甘えすぎです! 彼女たちは確かに戦闘能力が高いですが……」



 ……にしても今日は疲れたな。



 なんだか眠くなって、



―――ギュゥゥウゥ



「痛っ!?」


 ハッと目を覚ますと、俺は母さんに両頬をつねられていた。


 ……またやってしまった。


「……口だけでなんにも反省してないようですね」


「す、すみません」


 あまりにおそろして、俺は謝ることしかできなかった。




 しばらくすると気が済んだのか、ため息を吐いてユキ達に視線を向けた。

 

「はぁ、……みんな、この子にはもっと厳しく接してあげてね。このままだとろくでもない国王になっちゃうから」


「は、はい」


 まったく、母さんのどこが聖女なんだ。


 ただの説教が長いババ……


「ユウト、あなたの思っていることはすべてわかってますからね」


 ……今後母さんには二度と逆らわないことにしよう。




 これが、炎の国で起こったすべての出来事である。

※次は明日の18時20分ごろに第51話を投稿します。


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