51話 終わりの始まり
俺は今フォスト王国にいる。なぜなら、舞踏会で聞いた『ある実験』とやら付き合わされているからである。そのある実験というのは、6つの属性魔法をそれぞれ複合して使えるのか試すことだった。
結果だけ言うと、複合することはできた。
炎属性魔法と氷属性魔法を混ぜ合わせたら水が出てきた。ゴモン国王はこれを新しく水属性魔法と名付けようだとか言ってたな。
ただ、すべての属性を混ぜ合わせることはできなかった。
「…‥ありがとう。ユウト国王。これは面白い結果が得られました」
「いいや。別にかまいません」
「いやぁ、ありがたい。今度もぜひ実験に協力してもらいたいものです」
「ははっ、そうですか。……ところで、1つ聞きたいことがあるのですが」
「はい。何でしょうか?」
「魔法石を使った研究で何か新しい情報は得られましたか?」
「ええ。それはもちろん。おかげさまで。……ああ、もちろんユウト国王の国にも情報は共有しましたよ。鍛冶屋の人に情報を提供したら、新しい武器の開発に役立つといって大喜びしていただきました」
「へぇ、新しい武器ですか?」
「聞いた話によると、魔力を大量に込めることが出来る剣らしいですよ。おそらくユウト国王の魔力もすべて受け入れるようになるとか」
「へぇ、それはすごいですね!」
「ええ、とても素晴らしいです。なにせ魔力は……」
ゴモン国王はひたすら魔力についての知識を語り始めた。
めんどくさい説明が続きそうだったので、俺はゴモン国王を放って帰ることにした。
屋敷に戻ると、みんなが勢ぞろいしていた。それに、部屋はキレイに飾りつけされていて、食卓には豪華な食事が大量に並べられている。
「おかえりなさいませ、ユウト様」
「ああ、ただいま。……これはいったい?」
「炎の国での戦いを終えた、いわば祝勝会です!」
なるほど。そういうことか。
「すみません。ユウト王子。参加してなかった俺まで呼んでいただいちゃって」
「いや、別にいいよ。人数が多いほうが楽しいだろうし」
「ゆうと。おにくおいしそう。いっしょにたべよう。じゃないとのろう」
「はいはい、わかったからちょっと待ってくれ」
……せっかくのごちそうだ。ありがたくいただくとするか。
「まったく、みんなハメをはずしすぎだ……」
祝勝会は大いに盛り上がり、非常に楽しかった。
ただ、バカ騒ぎしすぎたせいでみんな疲れたのか眠ってしまった。
おかげで俺がみんなを寝室に移動させなければならず、非常に大変だった。
「……俺も少し酒を飲みすぎたな。少し外で涼んでくるか」
外はかなり寒かった。おまけに冷たい風も吹いている。
「うぅ、さむっ! これ明日は雪が降るんじゃ……」
―――ガサッ
ぼーっと庭を眺めていると、茂みの中から怪しげな物音がした。
いったいなんだろう?
ソーッと近づいてみる……
「ッ!!」
「グゥゥゥゥウガアアアアアアアアアアアアアアアアア」
茂みの中から人型の魔物が俺に襲い掛かってきた。
「な、なんだこいつは!?」
俺はドラゴンの炎を使い、そいつを燃やし尽くした。
こいつはいったいなんなんだ?
それに、いったいどこから入ってきた?
「うーん。なんか騒がしいけど、いったいどうしたの?」
「ミーロンか。いや、ちょっと変な魔物が入ってきてな」
「うそ!? どれどれ?」
「こいつだ」
「ホントだ……。結界があるからこの街に魔物が入ってくるわけないのに、なんで入ってこれたんだろう?」
「ああ、……すごく不思議だ」
まさかこれが明日の大騒動の前触れだとは、この時の俺は気づきもしなかった。
翌朝、俺はすぐさま王宮に向かい、昨日の出来事をセリア女王に報告した。
「……魔物が侵入。なぜでしょう? 結界が弱まってしまったのでしょうか?」
「それは分かりませんが、とにかくなにかしら対処をすべきだと思われます」
「そうですね……。分かりました。早急に対処しますので後は任せてください」
「ありがとうございます」
「そういえば、どんな魔物が入ってきたんですか?」
「それが、どうやら人間みたいな魔物で」
「人間ですか?」
「ええ、しかしなんていうか、ほとんど自我を持っていなくて……」
―――バタンッ
「マスター。緊急事態です」
突然アイスがドアを勢いよくあけ、声を荒げた。
それにしても、やけに焦っているな……
「え? いったいどうしたんだ?」
「大量の人型の魔物が街に侵入しようとしています!」
「なんだって!?」
もしかして昨日の魔物の仲間か?
「ユウト、私たちも急いで街に向かいましょう!」
「分かりました!」
※次は明日の18時20分ごろに第52話を投稿します。
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