49話 直接対決
「やあやあ、ユウト君。久しぶりだねぇ」
……あいかわらず気に食わないおっさんだな。
目の前で複数の女性を抱きかかえながら、カズキ国王が俺に話しかけてきた。
「まったく、ダメだねぇ。こんなところに忍び込んできて」
そういってこいつは気持ちの悪い笑みを浮かべた。
「……俺は雑談をしに来たんじゃない。あんたをぶちのめしに来たんだ」
「チッ、うぜぇガキだな。いいぜ、相手にやってやるよ。……クソ、どけやぁ女ども」
抱きかかえていた女性たちを次々蹴り飛ばす。
……ホントに最悪な野郎だな。
俺は瞬時にさやを抜き、魔力を刀に加えながら斬りかかった。
しかし、カズキ国王の姿が視界からなくなってしまった。
(……瞬間移動でも使ったのか?)
「ここだぜ! ユウト君!!」
振り返ると、こいつは炎で燃え上がった右腕を振りかぶり、俺を殴ろうとしていた。
――――ギンッ
ソード・ステッキで拳を受け流す。
……さすがにパワーがあるな。そのせいで少し腕がしびれてしまった。
(おぉ、これが手がしびれるって感覚か……。なかなか面白い)
「ほぉ、俺様の炎拳が貫通しないとは。なかなかいい武器じゃねーか。でもまあ、もうそれは使い物にならなそうだけどな」
……さっきの受けで刃が溶けてしまったか。
それにしてもあいつの腕、普通の炎魔法ではありえないくらい熱かったな。
いったいどうなっているんだろうか?
「俺は特別な存在だ。今の一撃でお前も分かっただろ? 俺の腕は灼熱のマグマだ。俺のパンチを顔面にでも食らってみろ。……テメェ死ぬぞ」
「……炎属性魔法に自信があるようだな」
「はぁ? 自信があるなんてモンじゃない。おれが世界一の炎使いだ!!」
「そうか。実は俺も炎の扱いには自信があってだな」
俺は龍神様から継承された力をつかい、あいつと同じように右腕に青い炎を発火させた。
初めてやってみたが、なかなかいい感じだな。
少しだけ気持ちが高揚した。
「……青色の炎だと!?」
「どうした? まさかこれを見ておじけづいてしまったのか?」
「はぁ? クソ生意気なガキが調子こいてんじゃねーよ!!」
勢い任せに俺に殴りかかってきた。
(……ほとんどケモノだな。動きが単純すぎる)
俺はするりと交わし、カウンターでこいつの脇腹にこぶしをおもいっきり叩き込んだ。
「グハッ!!」
白目をむいた状態で膝から崩れ落ちる。
「次は顔にいくぞ」
今度は右足に青い炎を発火させ、こいつの顔面めがけて蹴り上げた。
「ブゥッハァァァァァッッ……」
なさけない声をあげながら巨体が宙を舞った。
鼻血も大量に噴き出している。
――ドサッ
最後はあおむけの体勢になって地面に落ちた。
「この程度か? 世界一の炎使いってのも大したことないんだな」
「…………こ、この、クソガキ、な、なめんじゃ……」
―――グシャッ
必死に立ち上がろうとしていたが、俺が顔面を踏みつけてそれを制した。
「なに立ち上がろうとしてるんだ?」
「ふぇ、ふぇめえ、ふぃふぁふぇんひゃ」
……すこし強く踏みすぎてしまったか?
ほとんど歯が折れてしまい、何を言っているのか全く分からなくなってしまった。
顔もほとんど潰れてしまっている。
「残念だったな。親父と同じように俺を支配することが出来なくて」
「クッ……」
「お前がしてきたことは許されることじゃない。覚悟するんだな」
「ヒィ……。か、かんべぇんし……」
――――グシャ、グシャ、グシャ……
俺はひたすらこいつを殴りつづけた。
「……これでようやく終わったな」
気絶したこいつを放置し、俺はみんなを迎えに行くことにした。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ゆーちゃん、下の階に行っちゃった。
残念。ひさしぶりにお話ししたかったんだけどな。
まあ、今はそれより……
「あーあ。全身グチャグチャになっちゃってる。かろうじて生きてはいるみたいだけど、これじゃあ意味ないよ。もぉー。ゆーちゃんのバカ」
こんな気持ち悪い顔じゃ『お人形ちゃん』にできないじゃん。
……せっかくいいコマが手に入るチャンスだったのに。
「まあいいや。戦闘力は多少落ちちゃうけど、これは『ゾンビちゃん』にしよ!」
ゾンビちゃんも『全世界ダークネスタウン化計画』には必要だしね。
「お、おまえ、み、ミツキか……。た、たすけ……」
――ザクッ
「グハッ……」
私はカズキお兄ちゃんの首にナイフを刺した。
――ザクッ、ザクッ、ザクッ……
今までの恨みも込めて、何度も何度もナイフで刺す。
……もう死んだかな?
「チッ、……うらぎり者が私に話しかけんじゃねーよ!」
――グシャッ、グシャッ、グシャッ……
私は何度も何度も死体を踏みつける。
あなたはもう過去の人。
今の私は、ゆーちゃん一筋なのです!
「ウフフ、まっててね、ゆーちゃん。もうすぐ私たち2人だけの世界が出来るからね」
2人だけの世界になったらやることがいっぱい。
ゆーちゃんとの初デート
ゆーちゃんとの結婚式
ゆーちゃんとの新婚旅行
ゆーちゃんとの子作り生活
ゆーちゃんとの結婚1日目記念
ゆーちゃんとの結婚2日目記念
ゆーちゃんとの……
「ァアンッ!! ……ハァハァ、い、いけない。はやく、準備しなくちゃ」
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※次は明日の18時20分ごろに第6話を投稿します。
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