28話 国王との交流
俺はあたりを見渡して、招待客の中からある人物を探していた。
「それにしても人が多すぎるな」
そんな不満を口にしていると、奥の方でゴモン国王が談笑している姿が確認できた。
会話が終了したタイミングを見計らって、俺はゴモン国王に話しかけた。
「ゴモン国王。舞踏会は楽しんでいただけているでしょうか?」
「おおっ、ユウト王子。はい、とても楽しんでいますよ」
「それは良かったです。この後もぜひお楽しみください」
「ユウト王子、少々お時間いただいてもよろしいですか? 少しお話したいこともありますので」
そういって早急に立ち去ろうと思っていたんだが、ゴモン国王に呼び止められてしまった。
「え、ええ。もちろん。かまいませんよ」
「ありがとうございます。それではさっそく何ですが……」
ゴモン国王は様々な情報を教えてくれた。
魔法石をより効率的に使う方法や武器への活用法など有益な情報ばかりだった。
しばらく話をして、そろそろ話をやめようとしたタイミングでゴモン国王がある話題について切り出してきた。
「それで、最後に確認したいことがあるのですが……」
「なんでしょうか?」
「ユウト王子の父親であるマサト君のことについてです」
「親父のことですか?」
「はい。マサト君が追放されたあと、彼が何をしているのか知っていますか?」
「いや。とくに何もしりません。どこかでゆっくり過ごしてるんじゃないでしょうか?」
「そうですか。実はマサト君に協力してもらいたい実験があったのですが、どうやらできそうにありませんね……」
「実験ですか」
「はい。まあ、別にいいでしょう。代わりにユウト君にやってもらえばいいですし」
さらっと俺を実験台にしようとしてるのが気になったが、そこはスルーした。
それにしても、親父は一体今どこでなにをしているのだろうか?
今まで存在を忘れていたが、少し気になってきた。
オヤジのことを考えてしばらく俺がだまり込んでいると、
「ああ、すみません。少し話し込んでしまいましたね。それじゃあ私はこれで」
「あっ、はい。ありがとうございました」
そう言ってゴモン国王は立ち去ってしまった。
ゴモン国王が立ち去ったあと、すぐにアイス国王を探しに行こうとした時だった。
「ユウト王子を発見。会話モードに移行」
どうやらアイス国王も俺のことを探していたようだった。
彼女は俺の方に向かって近づいてきた。
「ユウト王子。改めましてごあいさつさせていただきます」
「こちらこそどうも」
お互いに挨拶をした後、俺たちはだまりこんでしまった。
この沈黙した空気をかえるべく、俺はギモンに思っていたことを聞くことにした。
「あの、アイス国王」
「アイスと呼んでいただいて構いません」
「じゃ、じゃあ、アイス、さん」
「なんでしょうか?」
「えーっと、失礼なんですが、アイスさんは人間なんでしょうか?」
「いえ、私は人間ではありません。私はマスターであるカトウ・ノリアキ様によって作りだされた人型AIロボットです」
「人型AIロボットですか……」
いったいそれが何なのかはわからないが、どうやら人間ではないことは確からしい。
「その、カトウ・ノリアキさんっていうのは……」
「マスターは前国王です。今はもう亡くなっていますが」
「そうでしたか」
たぶんカトウさんも異世界転生者の一人なのだろう。
俺はアイスさんからくわしく話を聞いてみたくなった。
「あの、もしよければ、もうすこしカトウさんについて教えていただいてもよろしいでしょうか?」
「マスターのことですか? もちろんかまいません。ですが……」
アイスさんは俺から目線を外すと、俺の後ろをじっと見つめだした。
「どうしました?」
「対象確認。ユウト王子のことを見つめている女性が複数人いることが確認されました」
俺も振りかえって確認する。
どうやらユキ達が俺のことを待っているようだった。
「しまった! もうそろそろ社交ダンスがはじまる時間だ。あの、アイスさん。すみませんが……」
「構いません。またの機会にお話いたしましょう」
「すみません。ありがとうございます。それじゃあまた後で」
俺は一礼した後、ユキ達の方へ向かってかけ出した。
「ユウト様、あの方は一体?」
「あの人はAICⅡの国王だ。ちょうどあいさつをしていたところだったんだ」
「そうでしたか。それなら安心いたしました」
「なんで安心なんだ?」
そういうとユキは少しムッとした表情をしたが、すぐに元の顔に戻った。
「な、なんでもありません。それより、そろそろダンスの時間なので準備してください」
「そうだよ! ユウくんまさかそんなカッコウでダンスするわけじゃないよね」
「えっ? これじゃダメか?」
「ダメだよ!!」
「わ、わかった。すぐ着替えてくるよ」
俺は急いで更衣室へと向かった。
※次は明日の12時20分ごろに第29話を投稿します。
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