27話 舞踏会開催
舞踏会当日、おれは招待客たちを王宮の中へと案内した。
「本日はおこしいただきありがとうございます。会場は奥の部屋になりますのでゆっくりと進んでください」
人数はしっかり把握していないが、おそらく300人以上来ているだろうか。
かなり混雑していたが、もんだいなく案内することが出来た。
「いやはや、まさかユウト王子自らご案内していただけるとは」
ほとんどの招待客が王宮に入った後、フォスト王国のゴモン国王に声をかけられた。
「ゴモン国王、お久しぶりです。今回は舞踏会にご参加いただきありがとうございます」
「いえいえ、むしろこちらこそお礼を言わせて下さい。わざわざ豪華な舞踏会を開催していただいたのですから」
「とんでもないです。ぜひ今回の舞踏会を楽しんでいってください。会場は奥の部屋になりますので」
「ああ、ありがとう」
そういってゴモン国王は奥へと歩いて行った。
(このかたくるしい挨拶をあと何回やればいいんだろうな……)
そんな不満をいだいていると、豪華な衣装を身にまとった長い灰色の髪をした女性と、その後ろに何人かの護衛たちがこちらに向かって近づいてきた。
「お越しいただきありがとうございます。会場は奥の部屋に……」
「認証開始」
「えっ?」
そういうと彼女の水色の瞳が赤色に変化した。
そのあと彼女は俺の顔を数秒見続けてきた。
いったいどうなっているんだ?
「えーっと、大丈夫ですか?」
「問題ありません」
そう答えてからすぐに彼女の瞳が水色に戻った。
「認証完了。対象の容姿と学習データを比較し、あなたがユウト王子であると判断。あなたはユウト王子で間違いありませんか?」
「……はい、そうですが。あなたはいったい?」
「申し遅れました。私はアイス。AICⅡの国王です。本日はお招きいただき大変感謝いたします」
「AICⅡの国王!?」
彼女の正体はかなり衝撃的なものだった。
「ユウト王子の心拍数上昇を検知。動揺していると判断。原因探索。……探索終了。私の推測ですが、ユウト王子は私のことをご存じありませんでしたか?」
「はい、失礼ながら知りませんでした。もう少し年配の方かと思っていましたので」
「原因判明。以後お見知りおきください」
「は、はい」
――ピピッ
「舞踏会開始予定時刻まであと5分。話が予定より長くなってしまいました。舞踏会が開始したあと改めてごあいさつさせていただきます。それでは先に失礼します」
彼女たちはゆっくりと奥の部屋に進んでいった。
……かなりふしぎな国王だな。
今までの会話であったおかしな言動が少し気になる。
「っていうか、あと5分で予定時刻って言ってたよな。俺も急いで戻らないと」
彼女のことはいったん忘れて、俺は会場へと駆け出した。
「皆さん、本日はお越しいただきありがとうございます。ぜひ楽しんでいってください」
俺のあいさつが終えると、みんながいっせいに拍手をしてくれた。
社交ダンスは1時間後におこなわれるからそれまではしばらく休けいできるはずだ。
「ようやく落ち着くことが出来そうだな」
俺は会場にあったイスに座りこんだ。
「ユウト王子。ここにいらっしゃいましたか」
「あの、ユウト王子。お、おつかれさまです」
「やっほー。ユウくんごくろうさま!」
顔を上げると、普段のメイド服と違って、はなやかなドレス姿の3人がいた。
「ああ、本当につかれたよ」
「えへへー。でも手伝ってあげられなくてごめんね」
「おれは別に大丈夫だ。それよりみんなは楽しんでるか?」
「うん! すっごく楽しいよ」
どうやらみんな満足してくれてるようだ。
「あ、あの、ユウト王子」
「ん? どうしたのあまねちゃん?」
「わ、わたしのドレス姿なんですけど、へ、へんじゃないでしょうか?」
あまねちゃんは空色のドレスを着ていた。
「いや、変じゃないぞ。むしろすごく似合ってる」
俺がほめてあげるとあまねちゃんはうれしそうに笑った。
いつも見ている3人だが、みんな今日は一段と大人っぽく感じた。
「ユウくん。私のドレスはどう?」
「ミーロンも緑色のドレスがすごく似合っているぞ」
「えへへー。ありがとー」
「ユウト様」
俺に一声かけると、ユキは怖い笑顔を浮かべながらじっと俺を見ていた。
そういえば昨日も同じような笑顔を向けられたな。
「ユ、ユキもすごくいいと思うぞ。やっぱりユキにはピンクのドレスがすごく似合うな」
「似合っているだけですか?」
「……すごく大人っぽくてかわいいです」
「は、はい。ありがとうございます」
なんか妙に照れくさくなってお互い顔をそむけた。
「みつけた。みんなあっちにいる」
「え? どこどこ? あっ! 見つけた! おーい。ユウト……じゃなくて、ユウト王子」
ちょうどいいタイミングでアンリたちが俺たちの所に集まってきた。
「あれ? アンリたちもきたのか?」
「うん。私たちも招待されたし」
「えっ? いったい誰から?」
「私が招待いたしました」
振り向くといつのまにか母さんが後ろにいた。
「セ、セリア女王でしたか……」
「はい。あなたがいつもお世話になっているギルドのパーティーメンバーもお呼びするべきかと思いましたので」
「そ、そうですか」
どちらかというと俺がお世話しているような気もするが……
「そういえば、ユウト。各国の国王様へのあいさつはすませましたか?」
「いや、まだしていませんが」
「そうですか。それなら、社交ダンスが始まる前にあなたもごあいさつをすませておいてくださいね」
「わ、わかりました」
そのあと母さんは招待客へのあいさつをしにどこかへいってしまった。
「仕方ない。俺もあいさつしに行くか」
「いってらっしゃい。あ、ユウくん。約束忘れないでね」
「ああ、わかってる」
みんなといったん分かれて、俺は招待客にあいさつしに行くことにした。
※次は明日の18時20分ごろに第28話を投稿します。
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