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25話 罰

 真夏の炎天下の中、俺はよろいをかぶりながら門番をしていた。


 ひたいから汗がダラダラと流れていく。


「なんでこんな暑い日に門番をしないといけないんだ」

 

「仕方ないですよ。つぐないだと思ってしっかり見張っててください」


 一緒に見張りをやっていたストラが俺の不満を軽くあしらったきた。


 なんでこんなことになっているのか。


 俺は母さんに怒られた後、バツとして一人暮らしをむりやり止めさせられて、ふたたび宮殿での王族生活をさせられている。


 いや、前とおなじではないな……


 今みたいにメイドや門番の仕事などをやらされているのだから。


 母さんはいつも優しいのに、怒るとこんなに容赦がないとは……


 今後は相談なしに勝手なことをするのはひかえておこう。


「あ、ユウくんいた! お疲れー」


 どこからかミーロンの声が聞こえる。


 声が聞こえたほうがに振り向くと、宮殿の2階の窓からミーロンが手を振っている姿が見えた。


「暑いのに大変だねー」


「ああ、かなりしんどい。ところで何か用か?」


「あぁ、そうだった! ユウくん、そろそろ門番のお仕事はおしまいでいいらしいよ」


「おっ、ホントか! ようやくこれで休める……」


「次はメイド服に着替えて私たちと一緒に宮殿のお掃除をしてもらうから、早く準備してこっちに来てね」


 そういってミーロンは宮殿の奥に行ってしまった。


 ……え、俺はこの後メイドまでやるのか?


 なんでそんなことまでしなくちゃならないんだ?


 ああ、そうか。こんな宮殿があるからか。


 それなら…………


「王子、まさかとは思いますが、宮殿を全部ぶっ壊してやろうとか考えてはいませんよね? そんなことしたらますます王子としての立場がなくなりますよ」


「……そんなことは思っていない。半壊させるぐらいにとどめておこうとは思っていたぞ」


「いや、どっちにしろヤバいんでやめてください!!」


 結局俺は宮殿を壊すようなことはせず、メイドの仕事へと向かった。







「わぁー! ユウくんとってもカワイイよ。それに、メイド服もすっごく似合ってるよ」


 メイド用の準備室に行く途中、俺はミーロンにこうそくされてなすすべなくメイド服を着させられた。


「おい、なんで俺がこんな格好しなくちゃいけないだ? 執事用のスーツがあるだろう。それを用意してきてくれ」


「ユウくんわがまま言っちゃだめだよ! それに、残念ながらここにはメイドの服しかないの! だから、ガマンしてね」


 そういえば親父は女の子のメイドしか雇ってなかったな。


 男の執事は見たことがない。


 っていうか服があるかないかとか、そういう問題ではないんだがな……


「まあ、服に関しては置いておいて。……なんでお前は俺に化粧をしてるんだ!」


「え? だってメイド服を着るんだからお化粧もしておくべきでしょ? もっとかわいくなれるから私に任せておいて」


「誰もそんなこと頼んでないぞ。……ミーロン、もしかして俺で遊んで楽しんでる?」


「ギクッ、あはは、そんなことないよー」


 こいつというやつは……。


 俺はあきれてため息を1つもらした。


「ッと、はい。お化粧も完成! それじゃあさっそくお掃除しに行こー!」


 俺は半ばあきらめ、しぶしぶミーロンについていった。







「ユ、ユウト様、な、なんて格好してるんですか!」


 掃除をしている姿を、後から来たユキ達にも見られてしまった。


「勘違いしないでほしいが、ミーロンに無理やりこの格好にさせられたんだ」


「そ、そうなんですか……」


「で、でも、ユウト王子、その恰好もけっこうお似合いですよ」


 あまりうれしくないフォローをあまねちゃんにされてしまった。


「事情はどうでもいいので、さっさと着替えてください。今すぐ代わりの服を用意いたしますので、さあ、こちらの部屋に」


 俺はユキに腕を引っ張られた。


「あー! だめだよユッキー、今日はこのままやってもらおうと思ってたのに」


 それを止めようとミーロンがもう片方の腕を引っ張った。


「ミーロン、ふざけるのも大概にしてください!」


「ユッキーこそ、もうちょっと楽しんでもいいじゃん!」


 これはまずいな。


 二人の腕を引っ張る力が次第に大きくなってる……。


「ああっ、二人ともそんなにひっぱっちゃ……」


――ビリッ


 服の袖が破れたと同時に二人はいきおいよく地面にしりもちをついた。


「いっったーい!」


「ッ! ミーロン、あなたは……」


「皆さん、なにやらもめているようですが、いったい何かありましたか?」


「セ、セリア女王……」


 タイミング悪く母さんが俺たちのもとにきてしまった。


 ただでさえ謹慎中の身であるのに、こんなことしてたとバレたらどうなるかわからない。


 俺はすぐさま逃げようとしたが…… 


「そういうことですか。ユウト、何が起こっているのか説明してもらいますよ」


 母さんは真顔で俺のことを睨みつけていた。


「は、はい」


 このあと、俺たちに何があったかは言うまでもない…………


※次は15時20分ごろに第26話を投稿します。


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