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24話 交渉

 俺たちはツタまみれの部屋から王室へと移動した。


「それで、なんで俺たちのことを呼び出したんですか?」


「それは先ほどユウト王子がおっしゃっていたではありませんか」


「何かしらの取引がしたいってことでいいんですね?」


「はい。その認識で間違いありません」


「わかりました。それで、その取引っていうのは?」


「単刀直入に申しますと、『マサト王国』にある魔法石を少し分けていただきたいのです。この国では数年前から魔法石が不足しておりまして。それで、資源が豊富なマサト王国となら交渉の余地があるのではないかと思っておりまして」

 

 魔法石か。たしか武器に魔力を注げるようになったのはこれのおかげだったはず。


「取引については理解しました。ただ、なんで今なんでしょう? 俺の親父が国王だった時にでも交渉すればよかったのに」


「マサト君とも交渉はしてみたんです。しかし、彼の場合すぐに私を拒絶してしまって」


 まあ、あいつらしい行動だな……


「それで先日、ユウト王子がマサト君を追放したことを耳にしましてね。いやー、それを聞いた時は本当に驚きました。絶好のチャンスがきたと。マサト君がいないのならばこの交渉を受けてもらえると思い、こうしてユウト王子を呼び出させてもらいました」


「なるほど。邪魔者のオヤジがいなくなったことで交渉が出来る。それに、うまくいけば王国ごと乗っ取ることもできますもんね。」


「うっ、それに関しては本当に失礼いたしました」


「まあいい。それで取引の件だが……」


「おお、取引をして下さるのですか!」


「あんなことをしたんだ。まさか魔法石と金のやり取りだけってわけじゃないですよね? もしそうだとしたらどうなるかはご想像できますよね?」


「クッ、マサト君の息子だとは思えないくらい交渉がお上手ですね」


「それで、どうなんですか?」


「分かりました。私たちが研究して得られた情報も提供いたします。この情報で新たな魔道具や武器を作ることも可能かと」


「他には?」


「他ですか……」


「それなら、友好条約を結んでくれないか? フォスト王国はマサト王国に一切敵意を向けないといった内容で」


「友好条約ですか……。ちなみに、なぜそんなものを要求するのか理由をうかがってもよろしいですかな?」


「俺はオヤジを追放したんだ。そのことはすでに他の国にもバレている。親父は唯一の異世界転生者で、その異世界転生者がいなくなったんだ。今後あなたのように俺たちを襲ってくる国が増えてくることは必然。だから出来るだけ他の国とは友好関係を築いて襲われないようにしたい」


「なるほど。そういう考えがありましたか……」


「あ、そうだ。フォスト王国はユウト王国が襲われたときには援護してくれるって内容も条約の中に入れてもらっていいですよね? それで先ほどの件は許そうと思うので」


「……ハッハッハッ、全く、あなたはとんでもないお人ですね。いいでしょう。ただ、フォスト王国にはあまり戦闘でお役に立てる者はほとんどいませんので、期待はしないでくださいね」


「それじゃあこの取引は成立ってことで、あ、あと条約に関してはセリア王女と話し合ってテキトーに決めておいてください。俺はそういうこと決めるのめんどくさくて嫌なんで」


「分かりました。今回はありがとうございました。ユウト王子」


 取引を終え、俺たちはさっさと帰宅した。







 帰宅している途中でユキ達に声をかけられた。


「ユウト様、勝手にあんな重要な取引をなさって本当によろしかったんですか? もしセリア王女がこのことを知ったら……」


「そ、そうだよ。ユウくん怒られちゃうかもよ」


「まあ、いいんじゃないか? 今回の取引は相手の弱みにつけこんでこっちに有利なものにしたんだし」


「そ、それはそうですけど……」


「そ、それにしてもユウト王子すごかったです。最初あの人が偽物だって全然気づきませんでした」


「私もぜんぜん分かんなかったー。ユッキーは分かった?」


「ま、まあ当然です! 偽物だってすぐわかりました」


「プッ、アハハ。アホユキが見え張ってる。あんたもあやしんでたじゃん。ウソつくのやめてもらっていいですか?」


 そういってアンリは笑い転げた。


「ッ! ちょ、調子に乗らないでください!」


 またケンカが始まってしまった。


「あまねちゃん、ミーロン。3人でさっさと帰るぞ」


「は、はい」


 俺たちは2人を置いて先に街に戻った。






 今回のクエストを終えて数日がたった後、俺は母さんに呼びだされた。


 母さんは笑顔だったが、目が一切笑っていなかった。


「ユーウートーくーん。一体どういうことか説明してくれるかな?」


「は、はい……」


 この後、俺は何時間も叱られ続けたのであった。


※次は2週間後の10時20分ごろに第25話を投稿します。


次の投稿まで期間が空いてしまい申し訳ありません。


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