第二十五話 はるかの目論見
ラス半が入って、空いた席に案内する客が居なかったのではるかが
「エリカ、ここに入りなさい!」
とエリカに本走に入ることを指示する。エリカは自分だけただ立っているわけにはいかないから、素直にその席に座る。
「今度の試合は勝たなければならないから、あんたもばんばん本走に入って貰うからね」
朝のやる気の無さとは一転して、勝負イベントに対して力を入れているから、エリカはただ戸惑うが、ゲームが始まるから、目の前の卓に集中した。
「店長、タッグベルト作ってよ。私達チャンピオンだから、やっぱベルトが無いとチャンピオンとしてアピールできないじゃない」
とはるかは店長に無理を言う。それを聞いてエリカはまた驚く。プロレスのベルトは高価な物だから、一般人には簡単に作れるものではなかった。それでも柏木店長の財力なら簡単に作れたけど、店長は
「はるかちゃん、競艇の選手はベルトなんかしていないでしょ。だからベルトは必要なのじゃないの」
とベルトは断った。はるかはそれもそうだと納得して
「ねえ、ゆっきぃ、私達が勝ったら優勝祝賀会をやりましょう。もち店長のおごりで」
「はるかちゃん、駄目だって店長だって忙しいのだから」
美幸は、店長のおごりって聞いた時点で優勝祝賀会を潰そうと考えた。サバンナで働かせて貰って世話になっている店長に、さらに負担を掛けるようなことをしたくもないし、させたくもなかった。しかしはるかはそんなことを気にせずに
「海野さんも呼ぼうか。あの人店長が出席するなら参加してくれるし」
と勝手に話を進めていた。




