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侵蝕の戦装機〈アーク〉  作者: なついろあきめ
【第1章】喪失編
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第九話 接続訓練

 養成学校に入って数日、連携訓練と称した実践形式の訓練が続いていた。だが、今日の訓練はいつもの屋外訓練施設とは違う場所で行われるらしい。屋内の訓練区画、殺風景で冷たさしかない見た目の区画。見上げるほど高い天井と、温かみの無い冷たい床が広がる空間の中央に円形の台座が2台鎮座している。これまでの訓練とは明らかに違う設備だった。

 鷹宮が台座の前に立ち、こちらに振り返る。 


「これより戦装機〈アーク〉の接続訓練を行う」

「まだ実機に搭乗は行わない。今回は基礎同調訓練のみだ」


 養成学校の座学でも登場していた戦装機との同調。まだ原理までは教わっていないが、頭、神経と戦装機を同調させ、自分の手足のように戦装機を扱うことができるようになるらしい。そして、敵感知システム、行動予測線などのシステムの使用もこの同調によるものと教わった。

 人によるが、同調に慣れない内は吐き気や頭痛がひどいため、こうして同調訓練を行っていると聞いた。


 「今日は初めての同調だ。短時間で感覚に慣れる程度にする」


 鷹宮の説明の後、順番に名前が呼ばれていく。2人の訓練生が台座の前に座ると、戦装機のシステム画面のようなものが訓練生を取り囲むように表示される。

 これが、鷹宮の言っていた全周囲観測システムというやつだろう。自分の目で見るよりも広範囲を視認することができるシステムだと習った。

 ーー数秒だろうか。次第に画面が赤く点滅し、警報音のような音が鳴りだした。


「そこまで」


 鷹宮の声がすると同時にミサキがシステムを強制終了させた。

 台座の訓練生は口元を手で抑えている。吐く寸前のところでこらえているようだ。


「次」


 鷹宮はおかまいなく名前を呼んでいく。

 同じような光景が何度か繰り広げられた後、カイの番となった。もう一人はユウトのようだ。


「楽しみだな」


 ユウトはニヤッと笑い台座に歩き出す。

 カイも後に続き台座に向かう。


 台座に座ると目の前に全周囲観測システムが表示される。今回は他のシステムの使用はないらしい。

 隣のユウトも同じように全方位を画面に包まれている。

 自分の目で視認するよりも遥かに多くの情報が頭に流れ込んでくる。これを瞬時に処理し、的確にアークを操縦する必要があると考えると至難の業だろう。

 他の訓練生は数秒で吐き気や頭痛を催していたが、カイはしばらくたっても平気だった。隣のユウトは他と同様に数秒で強制終了していた。


「これは珍しいな。久しぶりに見た」


 鷹宮が物珍しそうにカイを観察していた。だが、その後すぐにシステムを強制終了するようにミサキへ指示を出す。


 ミサキが強制終了を行ったことでカイの画面も瞬く間に消滅してしまう。

 カイは台座を離れ、後に続く訓練生の同調をボーッと見つめる。


「なぁ……カイ……すごいな……」


 顔色の悪いユウトが話しかけてくる。まだ吐き気が酷いのだろう。いつもの飄々とした顔が酷くゆがんでいた。


「ああ……自分でもよくわからない」

「そうだろうな。でも鷹宮が驚いていたのは新鮮だった」

「そうだな」


 鷹宮が言っていた珍しいというのがどういうことなのかは確かに気になるが、今はそんなことはどうでもいいだろう。自分がアークを操縦するという実感が湧いたことに珍しくカイも興奮していた。他の訓練生も例外じゃない。これを操縦するためにこの養成学校に入学しているようなものだ。

 この恒例行事は毎年、初々しい訓練生に実感を与える重要な訓練でもあった。

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