第十話 偏差
この一週間は接続訓練が続いていた。一日に何度も接続を行い、体を順応させる。これを延々と繰り返していた。回数を重ねるごとに訓練生の中でも差がはっきりと浮き彫りになっていく。最初は数秒しか接続できなかったが、次第に接続時間に明確な差が生まれ始めたのだ。数秒で切られる者、十秒近く持つ者、そしてそれ以上を維持できる者。
今日も変わらず接続訓練を行っていた。何度目か分からないが、ユウトと台座に上がり接続を行う。ユウトの顔色も最初に比べるとだいぶマシになっていた。
「はじめ」
鷹宮の一言でシステムが起動する。床、壁、天井、後方の訓練生、教官。そのすべてが同時に流れ込んでくる。視界というより、空間そのものを認識しているような感覚だ。カイもこの一週間でかなり慣れてきた。必要な情報を選び、不要な情報は流す。
十数秒くらいだろうか。
隣でユウトの呼吸が乱れだした。だが、昨日よりもさらに接続時間は伸びている。
「……っ、まだ……いける」
掠れた声。それでも昨日より記録は長い。
カイは自分の処理を維持する。視界を固定せず、全体を捉え続ける。意識を一点に寄せず、広げたまま。その状態を崩さないように。
「ーー終了」
ミサキの声でユウト側の接続が落ちる。カイの視界はまだそのまま。隣のシステムが消えたことで一瞬だけ認識に空白が生まれるが、すぐに処理をする。
「そこまで」
続けてカイの接続も切られる。視界が閉じ、静寂が戻る。台座を降りる。
足取りは変わらない。軽く息を整えるだけで、体はすぐに正常に戻る。
「やっぱすげぇな」
ユウトが息を整えながら言う。
「記録が全然違うわ」
「慣れだろ」
「いや、それだけじゃないだろ」
苦笑が混じる。
次のペアと入れ替わるように台座を後にする。
列に戻るころにはすでに次の接続は終わっていた。数秒も持たなかったのだろう。台座から降りてきた訓練生の顔色は明らかに悪い。視線も定まっていない。
この一週間で、現実ははっきりしてきていた。
以前、教官たちは言っていた。一週間の接続訓練で記録が伸びない者は適性がない、と。今目の前にいるのは、その線に近い者たちだ。ここで弾かれた場合、戦装機への搭乗は認められない。退校か、別の部隊への配属か。いずれにせよ、この場に立ち続けることはできない。
つまりこれは、試験の続きだ。形を変えただけの選別。静かに、確実に振り落とされていく。
カイは視線を前に戻す。次の呼び出しを待つだけだ。




