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第2問 空野詩織は何処にいるのか

()んだら地獄(じごく)()けたらいいな」

 そう()った空野(そらの)横顔(よこがお)片割(かたわ)(づき)のようだった。


 ()()れる野道(のみち)二人(ふたり)(なら)んで(ある)いていた。

 稲刈(いねか)りの()んだ水田(すいでん)夕焼(ゆうや)けを(うつ)して()えている。

 道端(みちばた)には彼岸花(ひがんばな)点々(てんてん)()いていた。

 二人(ふたり)何処(どこ)かに(いざな)うように。


地獄(じごく)なんざあるものか」

 藤村(ふじむら)(まゆ)(しか)めて()()てた。

「さあ。それでも(わたし)は、地獄(じごく)があると(しん)じたい」

「なぜ、地獄(じごく)(もと)める」

 空野(そらの)(かお)(かげ)った。

(わたし)(ひと)(こころ)()いから」

「………はあ」

(わたし)はひどく(わる)いことをしたらしいの。(わたし)には(なに)がどう(わる)いのか()からなかった。でも、地獄(じごく)()ったらきっと()かるわ。こんな(わたし)だって()(あらた)めることができる」

空野(そらの)(なに)をしたんだ」

「それが(おも)()せないの。(わる)いことをした自覚(じかく)()いぶん、よけいに(わる)いのでしょうね」

「……それで、『(ひと)(こころ)()い』と()われたのか」

「…うん」

 そんなに(くる)しんでいるのに、空野(そらの)には(ひと)(こころ)()いのか。

空野(そらの)(しん)じているほど、世界(せかい)(ただ)しくなんかない」

「…そうかしら」

 空野(そらの)(ちい)さな(こえ)()った。そして藤村(ふじむら)(かお)()けて、満月(まんげつ)のように微笑(ほほえ)んだ。

「ありがとう、藤村(ふじむら)くん」


 そこで(はなし)途切(とぎ)れた。

 (みち)()かれるところに()いたからだ。

 そこには野仏(のぼとけ)があった。

 空野(そらの)野仏(のぼとけ)()かって瞑目(めいもく)合掌(がっしょう)する。

 空野(そらの)にとって献身(けんしん)当然(とうぜん)なのだろう。

 そんな空野(そらの)藤村(ふじむら)は見ていた。

 (まつげ)(なが)い。まるで人形(にんぎょう)だ。

 空野(そらの)無心(むしん)()()じている。

 (いま)藤村(ふじむら)()びかけたら、空野(そらの)()()けてくれるだろうか。


空野(そらの)


 その(こえ)藤村(ふじむら)()()めた。

 空野(そらの)はいない。

 (こた)()わせはできない。

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