表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
12/14

第12問 心理は式で解けるか

 空野(そらの)(ほん)()んでいる。

 空野(そらの)(いわ)く、「文字(もじ)紙上(しじょう)(ほし)」らしい。

 その(げん)(したが)えば、空野(そらの)紙上(しじょう)(ほし)(なが)めている。

 宇宙(うちゅう)(うつ)空野(そらの)(ひとみ)()(わた)っているだろう。

 (ほし)(ひと)から(とお)い。

 (ひと)から(とお)いものを(なが)める空野(そらの)もまた、(とお)い。

 空野(そらの)存在感(そんざいかん)座敷童(ざしきわらし)のように(うす)い。

 (くも)のように浮世離(うきよばな)れしている。

 そういえば、(くも)(みず)である。

 そして、人体(じんたい)密度(みつど)は、(みず)とほぼ(おな)じらしい。

 ならば、空野(そらの)(くも)のようでも、不思議(ふしぎ)ではないかも()れない。

 藤村(ふじむら)自由帳(じゆうちょう)()(つら)ねる。


密度(みつど)()質量(しつりょう)÷(わる)体積(たいせき)

空野(そらの)密度(みつど)()空野(そらの)質量(しつりょう)÷(わる)空野(そらの)体積(たいせき)()人体(じんたい)密度(みつど)(にほぼひとしい)(みず)密度(みつど)()(くも)密度(みつど)

空野(そらの)存在(そんざい)密度(みつど)()空野(そらの)存在(そんざい)(おも)÷(わる)空野(そらの)存在(そんざい)(おお)きさ

空野(そらの)(こころ)密度(みつど)()空野(そらの)(こころ)(おも)÷(わる)空野(そらの)(こころ)(おお)きさ

空野(そらの)(あい)密度(みつど)()空野(そらの)(あい)(おも)÷(わる)空野(そらの)(あい)(おお)きさ

圧力(あつりょく)()(ちから)÷(わる)面積(めんせき)

空野(そらの)藤村(ふじむら)(たい)する(こころ)圧力(あつりょく)()空野(そらの)藤村(ふじむら)(たい)する(こころ)(ちから)÷(わる)空野(そらの)藤村(ふじむら)(たい)する(こころ)境界(きょうかい)面積(めんせき)


 ずらずら(しき)(なら)()ててから、ようやく気付(きづ)いた。

 これは自分(じぶん)(もと)めるものでは()い、と。

 藤村(ふじむら)()しいのは、空野(そらの)関心(かんしん)であり、空野(そらの)との関係(かんけい)である。

 さて、如何(どう)すれば藤村(ふじむら)空野(そらの)関心(かんしん)()られるのか。

 ()になる(ひと)への(かか)わり(かた)など、教科書(きょうかしょ)にも()っていない。

 そもそも、学校(がっこう)は、学習(がくしゅう)という共通(きょうつう)目的(もくてき)があるからこそ、学業(がくぎょう)をする組織(そしき)として成立(せいりつ)する。

 其処(そこ)縁結(えんむす)びに目的外使用(もくてきがいしよう)するのは、御法度(ごはっと)ではないだろうか。

 藤村(ふじむら)は、如何(どう)すれば()いか、()からない。

 だから、空野(そらの)(さっ)して()しいし、空野(そらの)から藤村(ふじむら)近付(ちかづ)いて()しい。

 しかし、そんな期待(きたい)をしている自分(じぶん)は、(ずる)い、と藤村(ふじむら)(おも)う。

 何故(なぜ)なら、藤村(ふじむら)が、()(くば)るコストも(きず)つくリスクも、空野(そらの)負担(ふたん)させようとしているからだ。

 かといって、自分(じぶん)欲求(よっきゅう)(たい)する責任(せきにん)藤村(ふじむら)()えても、問題(もんだい)はまだ()る。

 たとえば、藤村(ふじむら)が「あーそーぼ」と空野(そらの)(さそ)えば、空野(そらの)は「いーいーよ」と(こた)えてくれるだろう。

 たとえ(ほん)()じても。

 空野(そらの)(やさ)しいから。

 しかし、その(やさ)しさに(あま)えてしまえば、藤村(ふじむら)(くさ)って駄目(だめ)になる。

 いっそのこと、空野(そらの)(こま)っていれば、(はな)しかけやすいだろうに。

 あたかもヒロインを(すく)うヒーローのように。

 そんな下心(したごころ)は、いざ空野(そらの)(こま)った(とき)に、(かえ)って空野(そらの)(きず)つけるだけだろう。

 だから、藤村(ふじむら)利害(りがい)得失(とくしつ)()(はか)る。

 藤村(ふじむら)空野(そらの)(なに)(あた)えられるか。

 それは、藤村(ふじむら)空野(そらの)から(うば)読書(どくしょ)より、価値(かち)()るか。

 しかし、どんなに藤村(ふじむら)(おもんぱか)っても、それは空野(そらの)()める(こと)だ。

 自分(じぶん)価値(かち)他者(たしゃ)()るのは、(おそ)ろしかった。

 自分(じぶん)価値(かち)自分(じぶん)でコントロールできないのは、(こわ)かった。

 藤村(ふじむら)(あたま)(かか)えていると、チャイムが()った。

 時間切(じかんぎ)れだ。

 いつのまにか、藤村(ふじむら)恐怖(きょうふ)回避(かいひ)する(ほう)(えら)んでいた。


 藤村(ふじむら)(うな)りながら()()ました。

試験(しけん)()わったよ。これを(まえ)(まわ)して」

 (うし)ろの(せき)紅谷(べにたに)が、答案用紙(とうあんようし)()()した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ