帝国① 絶対強者 栄枯盛衰
この世界にある帝国のお話です。 主人公は出てきません。
帝国。
生産力、軍事力、科学力。
どれをとっても他国に引けをとらないその大国はコンスタリア帝国、絶対強者と呼ばれていた。
生産力。
一杯のワイン、気さくな国民、一樽のビール。
労働時間は平日10時から5時までと一律で決まっている。
前代皇帝がした改革によって決められたこの時間は生産力2位の国とは思えない労働時間だったが、国民性にあっていたのだろう、生産力が途端に上がっていったのだ。
時間を長くすると怠けてしまう。
それでは本末転倒であろう。
軍事力。
固い忠誠、強固な要塞、一騎当千不屈の兵。
一人一人が他国の将に匹敵するその強さは祖国への忠誠から来るものだろう、毎日自主的に鍛える者が後を絶たない。
また、帝国は戦術が様々な状況に対応するためにつくられている。
帝国は月に数回、軍人の代表を連れて会議を開いていて現場の声がそのまま採用されることがよくある。
現場の意見は貴重だ。
それを見過ごして上の者だけでものを決めることは帝国はあまり良しとしないのだろう。
科学力。
知識の結晶、努力の科学、帝国の科学力は世界一ィ!!
広く、深く、研究に取り組む研究者たち。
世界最高の機材と素材と研究員を集めたその研究室には活気があふれている。
意見を交換しあって穴がないか探す者、文面で研究を伝える者、研究発表の準備をする者。
知識の波の中で、成果というダイヤを探す者達。
その者達はとても輝いていた。
ダイヤを探す人間が輝いていればダイヤも応えてくれるだろう。
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皇帝視点
帝国は間違いなく世界最強だったろう。
あの時が来るまでは。
当時帝国が攻めていたアレフ大聖教王国という海上国家に大損害を与えられたのだ。
それも問題だったがそれ以上に問題になったのはアレフ大聖教王国からの警告であった。
『我々は神の加護を得た!攻めてこない方が身のためだぞ皇帝!』
と。
「神の加護など馬鹿馬鹿しいと思っていたが、大損害を受けた方法が自然災害だというのが気にかかる。
しかも晴れていたのに竜巻、落雷とありえない方法だ。」
今代皇帝、ノアベルト・アルタイル・コンスタリアは憂いた。
もしかしたら負けるかもしれない。
そんな考えが頭をよぎる。
その時だった。
その者が現れたのは。
『お困りの様だね。 助けてあげようか? こ・う・て・い?』
その小娘はいきなり現れ、そんなことを言った。
「!!」
こんな小娘が我々の最適化された警備を抜けれるわけがない。
なぜだ。
なぜここまで。
そんな馬鹿な。
それではまるでここまで転移魔法で飛んできた様ではないか。
この城には術式干渉結界が張ってあったはず。
転移で飛んでこれるわけがない。
だがここに彼女はいる。
それの示す答えは少なくとも我々では敵わないということだ。
穏便にいかねば。
驚きをグッと我慢する。
「こんにちは、フロイライン。
すまないが今は悩んでいるんだ。
もう少し待ってはくれないだろうか。」
しかし、その小娘は口を結ぶことなくこう続けた。
『その悩み事を僕が解決できる。
って言ったら?』
と。
「……どういうことかな?」
どういうことだ。
意図がわからない。
少なくとも今のところは敵意は無さそうだが、どうなるかな。
『そのまんまの意味だよ皇帝。
つまり力が欲しいんだろう?
なら簡単だ。
私達に全てを任せればいい。
そう、私達、‘’魔神,,にね。
あ、申し遅れました。
ソロモン・ヴァーテックスと申します。』
魔神だと?
そんな馬鹿な。
だが本物ならここに転移できた理由もつけられる。
一応認めよう。
文献には目を通したことはあるが現物を見たのは初めてだ。
待てよ?
アレフ大聖教王国の神の加護発言、魔神の出現。
此度の謁見……
まさか……
青ざめる。
神々は世界規模で戦争をするつもりだ。
自分のその様子を見はからった様に
その魔神は口を開けて話した。
『私達魔神は、神に対して宣戦布告を近いうちにするつもりだよ。
理由は……世界の再建のため。』
世界の再建?
今でも世界は保たれてるはずだが?
なぜ?
帝国を陥れるフェイクか…?
本当にやるとは思えん。
そうだ、そうに違いない。
『信じて無さそうだね。
でも私最初に言ったよ?
力が欲しいんじゃないか? って。』
「!」
『皇帝。
あなたは賢明な方だ。
返事は三日後のこの時間とする。
いい返事を、待ってるよ?』
そう言ってその魔神は去っていった。
皇帝はさらに憂いた。
「また仕事が増えるな……凄くでかいのが一個……」




