つまらなかった日々
前世の俺、八羽場 彼方 はただただつまらないやつだった。
何をやっても中途半端で、クラスとも馴染めなかった。
心は閉ざした。
クラスでわいわいしてる子を見ると嫌悪感が込み上がってきた。
これは嫉妬かな。
それとも偽りの友情を見たからかな。
わからない。
わからない。
なんで理解する必要があるのだろう。
他人は他人、自分は自分なのに。
他人の考えはわからない。
何を考え、何を感じたかは他人からは完全にはわからない。
わかった気になってふんぞり返ってるやつをみると吐き気がする。
その人がどんだけ苦労してきたかわかんないくせに。
そんなことを考える毎日。
暇だった。
退屈だった。
鬱になった。
そんな日々に終わりを告げる存在があった。
ゲームだ。
ゲームは面白かった。
この退屈な現実とは違った。
自分がやったのはVRMMOという種類のゲームだった。
冒険者になってモンスターを倒すもよし、生産職についてスローライフを送るのもよしといった感じのゲームだった。
それからはゲームにのめり込んで現実の辛いことはだんだん忘れていった。
世間から見たらゲーム廃人だろうが当時鬱だった自分には、これしかないという気持ちでいっぱいだった。
嬉しかった。
楽しかった。
それから自分は世界ランカーになった。
ステータスは魔法全振りの特殊タイプのビルドだった。
一人ギルドをつくり、ギルド対抗戦を荒らしまくった。
ついた二つ名は震天動地。
天地を揺るがすほどの魔法使いになった。
自分が主人公になった気がした。
それで自信がついて、一回学校行ってみよう、と思ったのが始まりだった。
いつも通りの学校だった。
いつも通り騒いでる男子、教室のドアの前で話してる女子、教室で座ってる俺含めたボッチ数人。
いつもの光景だ。
一時限から四時限まで何事もなく終わり、迎える5時限目、安斎 勤先生の数学の時間になった。
どうやらこの先生は人気で、つっくんと呼ばれているっぽい。
まあ見た目から善人オーラ出てるし、若いし、人気が出るのは当然だろう。
キラキラしている。
いけすかない。
その時が、前世の最後の記憶だ。




