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異世界なんてクソくらえ  作者: 南都河埜
西の国の動乱
121/194

狸親父の事と戦後処理


 狸親父ことアルフレート・フォン・バウワーの行動が理解出来ない。

 そもそもあの親父を理解する方が俺には無理なのかもと思うくらいだが、とりあえずオイレンブルクの当主であるデニスに事の顛末を話してみる事にした。

 一応元盟友だろうし、あいつのせいで投獄されたと言っても間違いでは無いので、何かしら話が聞けたらと思ったのだ。


「と言うわけで、何故か古城で待ち構えていて、俺達が来たら待ってたと言わんばかりに転移門の魔法で飛んで魔獣に食われたわけです」

「……現場を見ていない私に何を期待しているのかと思ったが、なるほど……全く予想できないわけでも無かった」

「と言うと?」

「そこは取引と行こうでは無いか」


 この人はこの状況でも諦めない精神を持っている。

 だからこそ、本当に知っているのか疑問でもあるのだが、話を聞くだけ聞いて損はないと思う。

 この薄暗い牢の中に数日交流され、会話なんてあれから今回が初だろうに、その精神は折れる事無くそこにあった。

 場所は王城の地下にある昔使われていた牢屋なのだが、王城内で悪さをした人を投獄しておく場所だっただけに、機密保持の観点や投獄されてる事自体が漏れないように色々な設置式の魔法が掛けられている。

 尚且つ精神的にもダメージがあるようにと人が来る時以外は暗闇だ。

 

「内容次第ですね」

「では一生悶々として過ごすがいい」

「いや、どうせあの狸親父の事ですし、わからないならわからないでいいんです」

「奴が生きているかもしれないとしてもか」

「――」


 そう言われると反応せざるを得なかった。


「でも内容次第です」

「まぁいい。それだけ反応するのであれば十分可能性は見えた」


 そう言って口元を歪ませて笑う。

 そんなに顔に出てしまったか。


「古城の地下にあったと言う書庫。そこに用があったのは事実だろう」

「何かあったんですか?」

「古い歴史書や魔法書と言った、今では一冊で金貨二十枚や三十枚になるような高価な物がゴロゴロしている。家を焼かれ金品が無いアルフレートなら目を付けて当然だ」


 忙しくてあの書庫の調査なんてしていないが、確かに大昔の城の書庫だから蔵書も古くて当然だ。

 現代でも実用性があるのか知らないが、特殊な魔法書があっても不思議は無い。

 何なら楓子が持たされた聖典だって、神が残した物とされる神聖術の構成を書かれた本で、それを再現するには色々な勉強しなければならないと言う。

 そう言った古い特殊な魔法があったとしたら、その魔法書に金貨数十枚は十分にあり得る話だ。


「そんなものが置き去りにされていたんですか?」

「魔法で封印されていて、一部の当主しか解除の方法を知らなかったんだ。それでも長い間手付かずだったのなら、大昔の内乱で各地の領主から狙われた王が実は愛に満ちた賢王で、その城を荒らすべきではないと言う考えは長い事守られたことになる」

「この国が王国だった時代ですか」

「結局内乱ではなく病気か自然死かで亡くなってしまい、それによって目標を無くした領主達はこれまでの戦いを悔やんだ。王は戦力的には可能だったのに絶対に攻めに転じなかった。内乱の原因も一部の領主の反乱が元らしく、結局王は悪くなかったと言う結論になり、以来古城は領主たちにとって特別な場所になったのだ」


 その古城に立ち入り古書を回収したのであれば、同じ領主であるデニスとしても思う所があるようだ。


「そんな場所なのに、金のためですか」

「だが、金策の為だけでは無い。お前達を城に引き付ける理由が無ければならないからな」

「はい」

「その書庫の前に魔法陣用の部屋があっただろう。どこの城にもあるとされる地脈近くに設置された魔力濃度の濃い部屋が」

「ありました」

「大昔の城は王族の窮地を救うために、今考えれば滅茶苦茶な魔法が作られて隠されていた。恐らくあったのだろう、そこに」


 滅茶苦茶と言えばベスターの城の魔王化する魔法陣だ。

 それだけでは無く魔力を地脈に注入すると言うのも、構成を見ればなるほどと思わなくも無いけど、思いつくには変態的な思考と閃きが無きゃ無理だなと思う物だった。


「あったとは?」

「仮説になるが、主にデコイ的な物だ。囮だよ囮」

「……あれが囮? ちゃんと会話出来たのに?」

「その者の魔力を纏わせて極簡単な行動をインプットさせられる物があったとされる。今回に関してはお前が来て、何か適当な事を一方的に言って転移門であらかじめ決めておいた方向に飛ばすだけ」

「飛ばすだけなら飛んだ先でバレるでしょう」

「普通誰がどこに飛んだなんてわからんだろう。デコイ自体は魔力が尽きれば自然と消えるから、仮にどっちの方角へ行ったとわかっても、魔力を回復して転移門の魔法で追いかけた時には消えてなくなっている」

「……いや、でも確かに人の体だった」


 あれが魔法で作られた囮とは考えられない。

 狸親父と従者のアークウィザードの二人分、魔力を付与していれば魔力でしか見なかった俺が騙されるのは十分あり得る。

 だが、あのイノシシの魔獣に圧し掛かられていたのは人の体だったはずだ。


「だとしたら分身系の物かもしれない」

「分身?」

「全てをコピーできるわけでは無いが、簡単な行動だけ出来る分の意識を分身体として分ける魔法と言う物も過去にあったらしい」

「デコイと何が違うんですか」

「だから言葉通り分けるんだ。後日合流して魔法を解除すれば自分に戻って来るが、それが出来ないと分離した物は自分の中からごっそり消えてしまうらしい」

「えーっと、つまり、行動自体はデコイと大差無いって事ですね?」

「話を聞いているとそうだろう」

「でも魔法で体の複製なんか出来るんですか?」

「さぁな。実用的なら今の時代でも使われていたはずだ。何かしら欠陥があって然るべきだと思う。肉体自体は短期間なら新鮮な死体を代用すればしばらく持つから、魔法でアルフレートに見えるようにして自分の中身、記憶や感情と言った物を分け与えた可能性もある。その場合複製と言えないかも知れないが、まぁ記憶や感情を移すんだから似たり寄ったりだな」


 実際殆ど会話らしい会話も無く転移門で飛んでったから、デニスの言う事もあるのかもと思ってしまう。


「でもそれだとアルフレートは生きている事になります。生きている前提で話されているように思えます」

「私が感じた違和感は、魔獣三体如きにある程度魔力が枯渇したとは言え、アークウィザードが負けるのかと言う点だ」

「攻撃魔法特化でなければあり得ますが」

「いや、アイツは攻撃魔法も一通り問題無く使えた。備えとして色々持っていただろうしな」

「じゃあ、対応するだけの何かが無かったと言う事ですか」

「そうだ。デコイや分身体では対応できないだろう」


 そう言われてしまうと信憑性が増す。


「しかし、わざわざそんな形で逃げる姿を見せなくても、逃げるだけで充分だったのでは」

「もしかしたら分身体を追わせ、それを捕らえさせるか殺されるかして本人を生かそうとしたのではないか?」


 そう言われて納得してしまった。

 あり得る。

 あり得るが、何にしてもリスキーだ。


「そんな事をしたら、分けた分が自分から消えてしまうではないですか」

「自分の命が掛かっているのだ。確実に逃げおおせる事が出来るのであれば、その程度のリスクを追わない奴では無い」

「……」


 ヤバい。

 逃げられた。

 そう思うだけの信憑性を感じてしまった。


「いや、でも俺は毎日何度も探知の範囲を広げてチェックしてた。あの状況で逃げるとしたら想定外の方向へ飛ぶ以外無いはずだ」

「そもそもの想定が間違っているのだ」

「……何が?」

「奴の連れていたライナーは全魔力を使えば、この地方を飛び超えて中部連合地域にまで行ける」


 ライナーと言うのはアークウィザードの名前で、中部連合地域と言うのは東にある旧ソビエト連邦みたいな地域の事だ。

 中部連合地域なんて全てにおいてこちら側と違うらしく、国交も全くと言っていい程無い。

 それは信じる神の違いで言語体系も違い、敵対されているわけでは無いがお互い近づけば争いになりかねないと何となく感じているから、特に交流を持つ事も無いのだ。

 そもそも王国の南や西の山脈以上に険しい山々に阻まれているので、転移門以外で移動するとなると東の海から船で東へ進み、山脈を超えた辺りで切り立った渓谷をフライで超えて、そこから数週間から一ヶ月はフライで飛ばないと一番近い町に辿り着かないらしい。

 それでも全くと言っていい程無い、と言う事は極々少しだが中部連合地域の物品がこっちに来る事があるらしい。


「でも会話も出来ないそんな所に行って、どうするんだ」

「元々ライナーがそっち出身らしいのだ。ざっとしか経緯は知らんがな。高額な書籍さえあれば向こうで暮らして行くだけの資金は確保できるだろう」

「……うーん本当に逃げられた?」

「仮説に過ぎん。だが、奴が大人しく死ぬとも思えんだろう?」


 その問いかけにイエスと即決出来てしまう自分がいる。

 意識を集中して東へ東へと探知を広げていくが、向こうは結構人口が多く類似した魔力も散見するので、見つけるまでに滅茶苦茶時間が掛かりそうだ。

 ぶっちゃけ行った事も無い場所だし遠すぎだしで、俺の探知範囲外なので探し出す事自体が無謀と言ってもいい。


「そのライナーさんの伝手とかあるんでしょうか」

「知らん。どうやらライナー自身は転移門の魔法の暴発でこちらに来たらしいのだが、ショックでしばらく記憶が飛んでいたようで、アルフレートに救われた恩からこちらに根付いたらしい。その程度までは聞いたが、中部連合地域のどこ出身だとか、そう言ったプライベートな事は何も聞いていない」

「これはお手上げか……」

「奴とてしばらくは此方に帰って来れないだろう。少なくともこちらの情勢が落ち着いて、バウワーと言う貴族家があったと言われる程度まで記憶が薄れんとな」


 ノイベルトも売国奴と一部で呼ばれつつあるが、バウワーもそれが正しければ自分が逃げるために有能な兵を切り捨てた事になる。

 ユニークスキルによって人生が決まると言っていい世界で、有能な兵を切り捨てるような真似をしたら末代まで語り継がれる汚点となるのだ。


「でも、そこまで飛べるなら分身体もいらないんじゃ?」

「奴の性格をわかっていないな。アレは万全に万全を期す男だ。周囲の噂すらコントロールして無能を演じ、自分を騙そうとして来た連中を全て取り込んだ男だ。それは君も経験があるだろう」


 いやな事を思い出させる。


「自分の複製に最低限とは言え分けてしまった部分がある以上、奴は何らかのハンデを負って生きて行く事になる。本来なら後で回収する事も考えていただろうが、最悪本人が無事ならそれでいいと考えていたはずだ。よって今回はアルフレートの勝ちだな」

「……なるほど」


 仮説ではあれど、あの狸親父の事だからそれくらいあり得ると納得してしまった。

 納得した時点で俺の負けだ。


「有意義な話でした」

「さて、私の身の安全は保障してもらえるのかな」

「一考はします」

「期待しておくとしよう」


 そう言う顔は半信半疑と言った所だが、それでも自信は滲ませている。

 デニスを生かす事自体、と言うか基本殺しとか勘弁してくれな人間なので生かしたいとは思っているが、それこそ狸親父が戻ってきた時にデニスが手助けしないとも限らない。

 いや今回の件で裏切られたから無いと言えなくもないが、とは言え反王国で結託していた仲だ。

 王国の一部となってしまった今、いずれ取り戻すつもりがあれば狸親父を助ける事も考えられる。

 まぁ仮に狸親父が帰って来たとして、狸親父に従う人がどれだけいるのかと言う問題もあるのだけど。

 とは言え奴の思考力は脅威なので、警戒しないわけにも行かないのだ。

 これでデニスを処刑した場合、何の憂いも無い。

 狸親父を何となく探して見つけたら確保と処刑、見つからなければそれでいいやと言う事で。

 だが、このデニスと言う男は非常に出来る男だと思う。

 人格も反王国派ではあれど素晴らしいと思うし、頭もキレる。

 むしろ王国の一員として好きに働かせたら、かなりの功績を期待出来るのではと思ってしまうだけの力がある。

 西の地、恐らく近々イフナース・ディーデリック・アントーン・ヴァンダムの名前から家名を取ってヴァンダム領とされるだろうが、そこでイフナース前教皇猊下の手足として働かせてみたらいいのではと頭に浮かぶ。

 それこそ売国奴と一部で蔑まれるノイベルトなんかよりも、実質殆ど被害を出していないデニスの方がヴァンダム領を纏められるのではないだろうか。


「あ、ちなみになんですけど」


 牢から離れて外に出ようとしたところで、もう一度戻って来た。


「デニスさんって、ジャポニー教についてどう思いますか?」

「どうも何も、私はイフナース教皇と遠い親戚である事を心より感謝している身だ」

「……昔あったとされるアントーン領ってオイレンブルクに関係が?」

「親戚だ」

「あれ、亡命してきたからノイベルトと関係があるのだと勝手に思ってたけど、アントーン家って西の国でも西寄りだったんですか?」

「その考えに疲れ、嫌気が差してオイレンブルクに領を明け渡して去ったのがアントーン家だ」

「ああ、なるほど……」


 それを聞いてしまうと、後はあの人の判断に従うのが一番だろう。





「と言うわけで、アルフレート・フォン・バウワーはどうやら生きていると考えておいた方がいいようです」

「あの男も本当に厄介だ……」


 今後の事を話すために、ルーベルトの爺様が暇になったイフナース前教皇を連れて王城に来た。

 今日はリリアナ達もいるので、シャルを連れて応接室で二人と話す事にしたのだが、シャルじゃなくてシェリールの方が良かったなぁなんてイフナース前教皇をチラ見しながら考えていた。

 若返り関係の時にシャルの姿で何度か楓子を送ってくれているはずだが、シャルとシェリールが同一人物とは知らないので多少の配慮が必要だ。


「まぁそれについては気長に探します。人相書きは各地にバラまいてあるので、こっちの地方に現れたら情報が入るでしょうし」

「でだトモヤ。前教皇猊下の今後の扱いなのだが」

「辺境伯とかも考えたのですが、他の国の基準を調べたら扱いが微妙と言うか伯爵家未満の解釈が多いので、いっその事第五の公爵家にしてしまえばいいのでは、と言うのが俺の考えです。な?」

「ん、結局一国分を見なきゃいけないから、一番無難と言えば無難。王国の公爵位は他所の国での侯爵位とほぼ同じ。かと言って王国で侯爵位としてしまうとサウスルタンの件があるから立場が低く見られかねない。だから公爵」

「そーかそーか。それなら私も賛成だ」


 ルーベルトの爺様がシャルを見てデレデレの顔で同意した。


「トモヤよ。私にそんな爵位を与えるとなると、やはり私は教皇であったと周りに知られるのではないか?」

「むしろ聞きますが、バレないと思っていますか?」

「――――」


 そこなのだ。

 本人としては教皇だったと言う肩書はいらないようだが、こちらとしては西の地を安定させる為には是非とも使っていただきたい。

 ヴァンダム領とする事でバレる恐れがあるかと言うと、実はそんな事は無かったりする。

 と言うのも、教皇が変わったばかりなので、『前教皇の功績を鑑みて新たな領地にイフナース前教皇の家名であるヴァンダムを付けた』と言ってしまえばいいだけだ。

 西の国は元々家名が町名になるから、その領地を治める貴族をヴァンダム家として新たに貴族を配置するとすれば解決だ。

 王国貴族側からはクエスチョンマークが飛びまくるだろうが、別段押し通せない話でも無い。

 が、手っ取り早い統治は前教皇の威光をフル活用した物なのだ。


「それと前教皇。西の国時代の親戚を捕らえていまして、前教皇として立ち回って頂けるのであれば、その者の処遇はお任せしようかと思っています。まぁこれは爺様にも言っていない俺の独断なのですが」

「うむ、今聞いたぞトモヤ。どういうつもりだ?」

「俺にとって、王国にとっても多少のリスクはありますが、人材としてはこの上ないと思います」

「まぁわからんでも無いが……。いや、今回兵を集めただけで出兵させていないし、大きな被害も出していないのか。しかし無くはない、程度では無いかな……?」


 そう、王国としてデニスは微妙な立ち位置だ。

 反王国派の旗印として狸親父とのツートップだっただけに、王国貴族からの受けは非常に悪い。

 だが、それを前教皇の遠い親戚だと発表する事で相殺する事は多分可能で、後は本人次第だ。


「親戚とは、つまりオイレンブルクの当主と言う事かな?」

「ええ」

「なるほど。……仕方あるまい、その話を呑もう」

「え、そうなって欲しいとは思いましたけど簡単に決めていいんですか?」

「亡命に当たって、実は裏でオイレンブルク家が尽力してくれたと言う記録があるのだ」

「ああ……、確かに亡命って色々大変ですからね」


 現にノイベルトは亡命したはいいが、その扱いには非常に困っている。

 ピレネー公爵家がバックに付いているので雑には扱えないし、かと言って丁寧に扱うのも憚られるからだ。

 一応ノイベルトの一連の動きによって西の国が王国の一部になったから、そこは考慮して優遇措置をと言うのが一般的な声ではあるが、裏では同じだけ西の国の貴族を潰せと言う声もある。

 俺としては爵位は与えずに前教皇の元で働かせるつもりだったが、デニスの件があるので個人的にはどうでもいい家になってしまった。

 ピレネー家が面倒を見ると言うのであれば、ピレネー領の街で好きにさせたらいいと思う。

 多分直接会ったら悪意しかわかないの、あの街から一生出ないでひっそり暮らしていて欲しい。


「ではあの一家を丸ごとこちらで面倒見よう。それくらいしなければバチが当たってしまうからな」

「ちなみにノイベルトって言う少々扱いに困る家もあるのですが、そっちで使えますか?」

「使えと言うのならばな」

「ではそれも一応フレデリクの爺様と話し合ってみます。あの家はある種戦犯でもあるので、個人的に近くにいて欲しくないと言うか何と言うか」

「トモヤがそうまで言うとは珍しい。まぁどうせゼロからスタートだ。人材は必要であろう」


 デニスをヴァンダム領の代官、と言うかそれこそ辺境伯に据えてしまい、ノイベルトの当主であるハーゲンを前教皇の手足として使えばいい。


「トモヤ、バウワー家の者はどうなったのだ? それもこちらで引き取ってもいい」

「あの家は完全に潰れました。当主が側近のアークウィザードを連れて逃走、残った家族は領民に吊るしあげられて追放されたようですが、その後で恨みを持った者に殺されたらしいです」

「それは何と惨たらしい……」


 バウワーに関しては本当に後味の悪い物になってしまった。

 屋敷を焼かれた後、王国とノイベルトの兵が西へ行った後には既に領民が動いていて、知った時には既に殺された後だった。

 あくまでそう聞いただけなので、実は嘘で生きているのではと思いもしたが、最早バウワーの名を使って生きる事は出来ないので、生き延びていたとしても先は暗い。


「ではヴァンダム家、ヴァンダム領の事はそんな感じでお願いします。これを会議に通して議会に通してとやるので少し時間はかかりますが」

「それまで西の地はどうするのだ」

「各街普段通りの生活をお願いしているので、決まるまでの時間くらいなら問題無いと思いますよ」

「そうか」


 実際は多少王国に反感を持つ人は少なからずいて、暴動みたいな物の芽が見え隠れしている。

 だが下手に刺激すれば実際に暴動が起きてしまうし、今はそっとしておくしかないと思うのだ。

 起きてしまえば鎮圧せざるを得ないので、早く前教皇の威光フル活用で治めてもらわなければ。


実はこっそりベスターが狸親父を監視してました的な裏設定も考えていましたが、とりあえずこんな形で片を付けて見ました。

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