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咲瀬町の小さな物語  作者: しょーたろー
第二章 Re:Member
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第二章 Re:Member エピソード18 Candles reduce their lives and illuminate people

昨日はすみませんでした!

是非、見てください!

あれから1ヶ月が経とうとしていた。

7月に入り町は夏の暑さが浸透していてインドア派軍団の最終兵器『エアコン』を使用している。

だけど、俺の住んでいる寮では冷房は26度まででそれが嫌なら扇風機2台を貸すから我慢しろというのが夏のルールらしい。


学校は相変わらずで毎日大輔くんや綾瀬さん達と過ごしており今も当たり前のように綾瀬さんと一緒に帰っている。


「あちぃ〜。夏は嫌いだァ。冬が一番だァ。早く冬になっちまぇ〜。」


俺がそう呟くと綾瀬さんがクスクスと笑いながら

「蒲池くん、夏は嫌いなの?」と聞いてきた。俺からしたら至極当然なことなので何故そこに疑問を抱いたのかが分からなかったが「当たり前だよぉ。夏休みは好きだけど、やること無くなるし部屋から出たら暑いし外に出るなんて以ての外だよぉ。」と返事をした。


「・・・。」


嘘でしょ?みたいな顔をしている綾瀬さん。嘘ではないよ。本当だよ。


「綾瀬さんは夏が好きなの?」俺がそう質問すると綾瀬さんは小学生のような喜んだ顔をして「当然だよ!」と即答してきた。


「夏休みがあるでしょ?その長期休みの期間に色々と思い出が作れるんだよ?海行ったり夏祭り行ったり花火したり。たくさんの思い出が作れるんだよ!私も元々は夏はそんなに好きじゃなかったけど幼馴染の影響で大好きになったよ。」


夏だから町中暑いのにも関わらず隣にいる綾瀬さんも負けじと夏の良さを熱く語っている。あんな質問をした約2分前の俺よ。聞くべきではないぞ。暑さと熱さに挟まれてしまうからな。


そんなこんなしてるうちに俺は寮に着いてしまっていた。「じゃあまたね。」俺がそう言うと綾瀬さんは「うん!また明日。」と言って大きく手を振ってくれた。あの無邪気な笑顔はなんていうか・・・可愛いと思う。


♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢


自分の部屋に直行した俺は冷房をつけてそのまま眠ってしまっていた。

起きたのは夜の8時くらいで食堂で夜ご飯を食べたあと、外に出かけた。

あんまり運動をしない俺は夜のこの時間帯くらいに外にでている。ゲームセンターとかに行くわけではなく、単に歩くだけ。静かなのが好きな俺にとって夜の町はとても落ち着く。虫たちの鳴き声は自然が生み出す合唱のようでとても心地よい。


自分の好きな曲を脳内再生しながら歩く。目的がないから適当に歩いていたその時、偶然見かけてしまった。


「一体、何の用事だ?」


俺がそう独り言を言う理由はたまたま通りかかった咲瀬公園には一人で入っていった同じ年齢くらいの少女を見かけてしまったからだ。

夜だったため誰かは分からなかった。こんな時間に一人となると・・・まさか!

脳裏を過ぎったその発想はあまり考えたくないものだった。違ったことを考えたら慌てていくのは不味いかもしれない。そう考えた俺は落ち着け落ち着けと暗示をかけるように心の中で呟き、その子の後を追いかけた。


この咲瀬公園には立ち入り禁止の場所がある。

その場所には大きな木がある。でもその木の隣は崖でそこから落ちたら確実に死ぬため自殺スポットとも言われている。

もしその子が今からそこで自殺を図ろうとするのなら止めなければ。その子からしたら大きなお世話かもしれないけど止めなければいけない。

そう考えたから俺はその子の後を追いかけた。


色々と案があったけど、まさかだったよ。

彼氏に会うのかもしれない。友達に会うのかもしれない。自殺するかもしれない。夜の公園で休みたかったのかもしれない。

色々と思いついていたけど、その案だけは思いつかなかったよ。

だって、その子は確かに立ち入り禁止のところに入って木と一緒に夜の咲瀬町を見ているようだった。


俺はその場所には入らず、物に隠れながらその子の行動を見ていた。

とりあえず確信をもって言えるのは今の状況を他の人に見られたら不味いっていうことと、楽しそうに木と話してるその子は今から自殺をするようには思えない。

まぁ、単純に考えて木に話しかけるなんて中々痛い子だと思う。


確信をもったからには帰ろうとしよう。そう考えた俺は最後にその子の後ろ姿を見てから帰った。小さな声が風に流されて俺の耳に入ってきた。


「大好きだからこそ忘れて欲しいのに。」


その言葉を聞いてしまった俺は反射的に


「そんな事言うなよ!君が相手のことを大好きだと思う気持ちと相手が君のことを大好きだと思う気持ちは同じだと思うよ!忘れたいなんて友達なら誰も望んでないし思ってないよ!」


と言ってしまった。やっべぇ、見てたのバレたかもしれない・・・。

けど、忘れて欲しいなんて思わないで欲しい。友達とのかけがえのない時間は思い出となってずっと残り続ける。その人自身が忘れない、忘れたくなんかないと望めばずっと忘れることの無い永遠の思い出となる。

そういうのが一番大事だと俺は思う。

たとえ友達がどこか遠くに行ってしまってもう二度と会えなくなったとしてもその人と築いてきた時間は自分の中に刻まれている。いつかまた会えたらその時間を思い出として話したら笑い合えるじゃないか。

だから俺はあんなことを言ったのだと思う。


俺がそう言ってからその子は俺の方を見て何も言わずにシーっと口の前で人差し指をたてて笑っていた。月明かりのおかげで見えたうっすらとしたその笑みには数滴の涙と一緒にありがとうという気持ちが込められてるように思えた。


最後まで見てくださりありがとうございます!

今日中、明日どちらかに2話連続投稿します

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