第二章 Re:Member エピソード3 Parenting superior to parent thinking
お久しぶりです!
初めましての方は初めまして!
気合が入った話になりました!
最後まで見てくれたら嬉しいです
よろしくお願いします
「ちょっと!何2人で帰ろうとしてるのよ!私も混ぜてよ。」
そう言えば綾瀬さんは他の人と帰ろうとしていた。なんか割って入るなり一緒に帰ろうなんて言って2人で帰ろうとするなんて悪いことをしたな。
「ごめんなさい。悪気はなかったんだ。」
俺がそう言って謝るとその人は「いいよ、いいよ。心、この人を紹介して。」と言って許してくれた。俺もこの人のことは女性であるということしか知らない。
「えっと、こちら私のクラスメイトで蒲池良太郎くん。で、こちら私の中学校からの友達の木崎彩音ちゃん。」
お互い初めましての挨拶を済ませてコミュニケーションをとろうとしないでいると綾瀬さんが気を使ってか俺と木崎さんの間に入り「さ!一緒に帰ろう!」と言って歩き始めた。俺も木崎さんも最初はよく分からないでいたが状況を察し、先を歩く綾瀬さんを追いかけた。
「それで、話したいことってなに?」
校門をでてすぐに綾瀬さんが俺に質問をしてきた。そうだった。あのことを話すつもりで一緒に帰ろうなんて言ったんだった。
「結構、長い話になるんだけどいいかな?」
そう言うと綾瀬さんが俺の住んでいる寮の近くにある公園に行こうと言いそこに向かった。どうやら木崎さんも寮生活らしく、また綾瀬さんが気を使ってくれたのだろうと思いながら公園に向かう。
公園に着いた俺たちはコンクリートでできた丸テーブルと、5人くらいがそのテーブルの周りに座れるイスに腰をかける。心の準備をしてから俺はこの学校に来た本当の理由を2人に話すことにした。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
あれは転校する1ヶ月前のことだった。
年が変わり慌しい毎日を過ごす人達を見て俺は呆れていた。
俺の両親は俺が生まれる前に離婚をしていた。実のことを言うと離婚を知ったのは5歳の頃でそれまでは亡くなったとしか教えられなかった。知った理由は俺のワガママだった。顔も見たこともない、ただ亡くなったとしか教えられてない俺を見て母がそんなに会いたいなら会いに行こうと言って2人で会いに言った。
地元から遠い遠い町に向かいある店に着いた。俺はここで休憩でもするのかなと思いながら母の手を握り店の中に入った。店の中に入ると母が目の前にいる男の人を見ながら仁王立ちをしていた。俺は誰だろうと思いながら立っていると、目の前の人の口から俺と母の名前がでてきた。
「久しぶり」と母が言うとその人は俺を見て「大きくなったね」と言って俺を撫でてきた。本物のお父さんに会えたんだと思った俺は嬉しくてしょうがなかった。けれど、その思いは一瞬にして打ち砕かれた。
その人の口からでてきた次の言葉は結婚の話だった。
「結婚するから会いたくない。」
その言葉で俺は全てを理解した。なんで、亡くなったことになっているのか。なんで今まで会おうとしなかったのか。
全てを理解したあの日から俺は父親のことをその人呼ばわりし、一生会わないことを誓った。
それから時は流れ俺は隣町にある学校に通っていた。母は俺を1人で育てながら仕事もきっちりとこなしており、そんな母を俺は尊敬していた。高校2年生の3月。母が会社の専務になった。それから俺の家は崩壊していった。
崩壊といっても暴力とかではなく家族の時間が無くなっていき、会話はsnsか電話でしかなく、家で会うのは2、3週間に1回くらいにしかならなくなっていった。
こんな経験をしている人なら理解してくれると思うことがある。それは見放されていると思うようになったり、誰かに構ってほしいと思い夜遅くまで友達と遊ぶようになったりすると思う。俺も同じで家族の絆を感じなくなってきたくらいから夜遅くまで友達の家にお邪魔したり、友達とファミレスで時間を潰したりしていた。
そして、転校する1ヶ月前。1年ぶりだろうか。母が休みだったため2人でご飯を食べに行くためにここ咲瀬町にあるレストランで食事をしたのだが、俺は不機嫌だった。
なぜなら休みで時間を作ってくれたのは嬉しいのだが、移動中も食事中も仕事をしていた。車を運転しながらハンズフリー通話で会社の人と仕事の話をし、食事中は会社で済ませるはずだった仕事をタブレットしていた。
社会ってこんな感じで回っているのかと思うと呆れてしょうがなかった。
時間と仕事を両立し、上の立場の人にペコペコと頭を下げ言いたいことも言えず、出世すればするほどしなくてもいい謝罪や仕事をしなくてはならない。
休みなのにも関わらず仕事をする母を見て俺は何のためにここまで頑張れるのだろうと思っていた。車で来ていたので家まで帰宅中、赤信号で止まっていた時、俺はムスッとしていた。自分の気持ちに整理がつかずイライラしていたのだ。そんな時に信号無視したトラックが俺と母を乗せた車に追突した。
車は右側の正面から追突してきた。何故か俺はあまり怪我せずに助かった。あとから聞いたのだが、 母が隣に座っていた俺の方のドアを開けて俺が付けていたシートベルトを外しドア側に蹴ってくれたおかげで間一髪助かったらしい。
養育権がその人(父親)になったのだが、一緒に住むのが嫌だし何より母と過ごしたこの町にいたいと伝えたら、編入試験を受けて受かったら即編入できる咲瀬高校を受ければいいと言われた。
咲瀬高校には寮があるし、すぐに離れられるのならと考えた俺は咲瀬高校に転校することに決めた。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
綾瀬さんも木崎さんも俯いていた。そりゃあそうだろう。こんな空気になるのも分かる。話自体が重いし何より話してる俺も辛い。
すると、綾瀬さんが声を震わせながら
「聞かせてくれてありがとうね。私如きが言える立場ではないけど、きっとお母さんは貴方のために一生懸命仕事をしていたのだと思う。」
綾瀬さんは続けてこう話す。
「父親を見たあなたの姿を見てもう二度とあんな姿は見たくないという思いから仕事に切磋琢磨し、どんどん出世していき家庭の時間が無くなってでもあなたのために仕事を頑張っていたのだと私は思う。だってわざわざ休みをとったりしないもの。仕事しか目にないのなら休みを取ったりしないし、休みの日に家族で食事にも行かない。上から目線になるけどあなたとの家族の時間を少しでも取り戻そうとお母さんはしていたんじゃないかな。」
今となっては綾瀬さんの言う通りだ。俺は何にも背負わずに過ごしていだけれど、同じ屋根の下に住んでいた母には1人では荷が重くなるようなものを背負って毎日を過ごしていたと思う。どれだけ苦労したとしても弱音を吐かないかっこいいお母さんだと思っていたのに、いつしか子供を見放すお母さんだと思っていた。
あの事故だってそうじゃないか。自分のことは放っておいて俺のことを助けてくれた母に何とお詫びすればいいのか分からない。分からないからこそこの町に住んで自分の力で答えを見つけ出そうとしているんだ。
綾瀬さんは最後にこう言ってくれた。
「小さい頃に友達が教えてくれた言葉なんだけど『母親は父親以上の味方なんだ』って言ってた友達がいたの。その言葉の通り母親っていうのはお腹に命を宿したその日からずっとその命を守り続け、どんな子になって欲しいのかを願い続け、お腹が大きくになるに連れてどんな痛みに耐え続けて出産するんだよ。そんな日々を過ごしていないからこそ父親以上に愛情があるしどんなことでもできるもんなの。それに気づけないのが思春期ってもんだよ。だから、ありがとうって言葉を母親に伝える時はちゃんと感謝の気持ちを表さないとダメだからね」
俺は綾瀬さんのその言葉に涙が出てきた。伝えるタイミングはあったのに伝えられなかった。今更後悔しても遅いけれど、やっぱり会いたいなと心から思った放課後だった。
最後まで見てくださりありがとうございます!
次の投稿は来週の木曜日です!
下の評価を付けてくれたら、作者としてはとても嬉しい限りです!
よろしくお願いします




