第一章 十年十色 第二十一話 まな
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「それで、私は由奈に会えばいいの?」
まなはそう響に問う。
響は何をしないといけないのか理解している。
仙人と約束したことがあるから。
その約束にはまなが必要だから。
「お願い。由奈ちゃんに会ってよ。きっと由奈ちゃんにもちゃんと理由があると思うから。」
彼はそう言って彼女のほうを見つめる。彼女は苦虫を噛み潰したように
「嫌だ。」
と言ってそっぽを向いた。
「大体、理由って何?ドタキャンして理由を聞いたら誤魔化す。そんなの友達としてどうかと思うんだけど。」
「それは・・・」
そう言ったあとの言葉が思いつかない。逃げることのできないこの状況において言葉は慎重に言っていかないと上手くいかないしこんな機会滅多にない。
下を向いて何を言おうか迷う響をみてまなは表情ではイライラした顔つきでいるが内心ではどこか会いたいと願いつつも叶わないし会って何を言えばいいのか分からないと考えていた。
「私、帰るね。」
そう言って去ろうとするまな。その行動に対してどう言って止めべきなのか分からない響はただそこに立ち尽くすしかなかった。
「仙人、ごめん・・・」
下を見たままそう呟くと目から一滴の涙がこぼれ落ちた。
「待って!行くな、まなさん!」
誰かがまなに大声でそういった。響もまなも辺りを目で探るとそこには息を切らした宏がいた。
「まなさん。由奈さんとの過去を聞いたよ。あなたはそれだけ由奈さんと会うのを嫌がっている。その気持ちはよく分かる。傷つくようなことがあったのだから。けど、自分の考えだけでこの過去を終わらせないで。」
強く言い放つ宏に対してまなは
「あなたに何が分かるっていうの?」
宏はまなからかけられたその言葉に対して今できる最大限の笑顔で
「僕の特異体質は『僕以外の人の感情を色で見分ける』。だから君の感情はよくわかった。あとは蟠りをなくそうよ。」
宏はそう言ったあとある人を呼ぶ。
その相手は由奈だった。
「僕と響くんはここら辺で退散するよ。最後に1つ。君の今思っている感情はちゃんと伝えたほうがいいよ。それじゃ!」
そう言って響を呼び出し2人で帰っていく。
2人が帰って行って直ぐに由奈がまなの方に近づいてくる。
「向こうで話さない?」
そう提案する由奈はどこか嬉しそうだった。
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「ねぇ、宏くん。さっきはありがとうね。どうやってここがわかったの?教えていないのに。」
響は宏にお礼をしたあと何気ない質問をしてきた。当然、当事者なら誰もがそう思うだろう。
宏は響の質問に対して正直に答える。
「康介さんが仙人さんに電話して聞いたんだよ。で、その相手がまなさんって知った時に由奈さんが会いたいって言ったから急いできただけだよ。まぁ、行く前に2人の過去は聞いたからもしかしたらと思ってね。」
「もしかしたらって?」
「由奈さんの特異体質は『この1年間に石本由奈と関わった人全員、ある日を境に石本由奈という存在を忘れてしまう』。もしかしたらその反対の特異体質の人もいるんじゃないかなって僕は思ったんだよ。」
響はいてもおかしくはないけどそんなこと有り得るのだろうかと考えた時にハッと何かを思い出した。それをみた宏は響に
「気づいた?」
と尋ねるとゆっくり頷く。
そうだ、なんで見落としていたのだろう。
だってまなさんはハッキリと中学生の頃の由奈ちゃんのことを覚えているのだから。
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