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閉じこもりのいしょ? C

「まずさっきの詩をもう一度教えてくれるかい?」


「ゆめめざしばしょ、ひる…」


「おっと待ってくれ」


 勝はポケットに入れてたメモ帳を取り出した。


「じゃあ教えてくれ」


「……ゆめめざしばしょ、ひるにもひかりかがやく、とものこえがなくなれば、はばたくひなをまち、そのいしつぐものにたからを」


 勝は素早く書き終えると、雪にメモ帳を見せた。雪は驚いて目を見開いた。


「これであってるかい?」


「え…………う、うん」


 答えてくれた雪に笑顔を見せる。凄く驚いてるが、それがわかるのは正面から見てる勝だけだ。


「不明! 未明! 何かわかるか?」


 勝は二人を呼びだし、近くまで来てメモ帳を覗き込ませた。


「うーん……正直これだけ言われてもさっぱりだよ」


「………」


 頭を悩ませるが、まだこれを解くにはピースが足りない。だから勝は雪に話を聞く必要がある。


「さて……何から聞くかな?」


「でも僕……わからないよ。叔父さんとはよく話したり遊んだりしたけど、この詩のヒントすら教えてくれなかった。そもそもこれが金庫を開ける方法だなんて、知らなかった」


「それは当然だよ。ヒントだよって言ったらつまらない。こういうのはいつも話を聞いてる人にしか、わからない。多分叔父さんは、日頃から君にヒントをあげていたはずだ」


「日頃から?」


「ねえねえ。叔父さんはよく何を話してたの?」


「叔父さん……夢を話してた。飛行機に乗って空を飛びたいって」


「空を……か」


 勝は高い天井を見上げた。天井には小さな星のマークが所々についている。雪が星について話してくれた。


「あの星光るんだ。光を弱くしたりできるから夜は綺麗な星になるよ」


「オシャレだね〜。あれがヒントになるのかな?」


「さあな。で、叔父さん夢は叶ったのか?」


「叶えたけど、お友達が事故で死んじゃったって。だから飛ぶの辞めたって言ってた」


「……ん?」


 勝は違和感を感じてきた。もしかして自分は同じ事を聞いてるのかと思う。


「その……死んだお友達の事を覚えてるか?」


「覚えてるよ。お昼の練習の時にエンジンが壊れて動かないで落ちていったって、叔父さんから聞いた」


「……あーすまん雪君、前言撤回。もしかしたら叔父さんヒントなんか与えてなかったかもしれない」


 目を強くつぶり、勝は早くもがっかりしてしまう。もしかしたらとんでもない勘違いでここに連れてこられたかも。雪から離れて不明と未明で話し合う。


「さてお前ら。面倒事は一つだけだ。さっさと片付けて帰るぞ」


「え! もうむぐっ……」


「黙れ不明。とにかく念には念をだ。何かあるか未明」


「……本がある」


「よし」


 話が終わると不明は手を挙げて見張ってる旗家に声をかけた。


「すいませーん。トイレ行きたいんですけど!」


「……だったら全員で動いてもらう」


「えー。僕ちょっとトイレだよ。全員でぞろぞろ行くのー?」


「そこの探偵が答えがわかって勝手に開けられては困るからだ」


 不明の不満など気にせず、全員行動では行かせてはくれないみたいだ。


「確かに、一理あるな……わかりました。依頼人の指示には従おう」


 ここで別れて行動できたら楽だったがそうは上手くいかないだろう。言う通り全員で動いた。廊下に出て五分もしないうちにトイレのマークが描かれてあるドアの前に着いた。


「ちょっと! なんでトイレまで入ってくるのよ! レディに失礼極まりなくってよ!」


「あ、いや……」


「旗家さん……でしたか? 流石に中に入るのは失礼ですよ。例え相手が子供だろうとレディはレディですから」


「……わかった。早く済ませろ」


 不明は軽く返事をしてトイレに入っていった。不機嫌な旗家の隣で勝は考える。身体の大きさを見て喧嘩が強そうだ。そして腰の懐には拳銃がある。それとポケットにはケータイの大きさともう一つ、恐らくタバコだろう。


「……旗家さん。ボディガードってあなただけなんですか?」


「いや、俺とあと一人いる」


「……へえ。しかし誰もいないんですね。重要な物があるとか言われた割には警備が甘いですよ」


「……不自然に警備員がいると逆に怪しまれる。何もしないことが一番だ」


 まるで警備のプロみたいな考えだが、そんなことではないのは明白だ。ボディガードはあと一人。おそらく澪紀さんと一緒にいるんだろう。


「お待たせしましたー!」


 トイレから勢いよく出てきた不明は右手でピースをする。旗家は無反応で元の部屋に戻る様に指示する。からかいが嫌いな様だが、不明の左手を隠してる事に気付かなかった。




「……たく。あの探偵使えるのかね」


 豪華なソファに座り、澪紀はタバコを取り出した。


「おい権田ごんた、火貸せ」


 そこにいたスーツ姿の痩せ細った長身の男はポケットからライターを取り出した。


「そういえば依頼料はどうしたんだ? 前払いってあの紙には書いてあっただろ?」


「まだ払ってないわ。そもそも払う必要あるのかしら? あっちも言ってこないし……」


 机に置いてたケータイが鳴る。澪紀が出ると相手は旗家だった。


「どうしたの? 何かトラブル発生?」


「それが……探偵の方が暗号を解いたと!」


「……は?」

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