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毎朝満タンになる補充トラックで異世界配送を始めました  作者: たむ


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第39話 分けて運ぶということ

雨季の晴れ間を狙い、満タン便は山の集落へ塩を届けた。

しかし雨季の道では、一度に多くを運ぶほど危険が増す。

誠司は各地の配送を「分割便」に切り替えることを決める。

雨季の満タン便は、以前より遅くなった。


川下漁村路は半量。


山道便は晴れ間のみ。


北砦便は中継所受渡。


リーベル方面は仮橋で軽荷受渡。


どの道も、細くなっている。


だが、完全には止まっていない。


田村誠司は集荷所の前で帳面を開いた。


推奨:雨季分割配送


「やっぱりそうなるか」


一度に全部運ばない。


重い荷物は小分けにする。


急がない荷物は後ろへ回す。


届け先には予定を伝える。


それが雨季の基本方針になる。


ロウグはすぐに木札を用意した。


分割便


ミナはそれを半分に割れた丸の形にした。


一目で「一部だけ届く」と分かるように。


最初の分割便は、リーベル行きの布だった。


大きな布束を一度に運ぶと橋で止まる。


そこで三つに分ける。


今日一つ。


晴れ間に一つ。


次週に一つ。


布職人は最初、不満そうだった。


だが遅延札と予定札を見せると、しぶしぶ頷いた。


「全部遅れるより、一部でも先に届く方がいい」


ロウグが訳す。


誠司は頷いた。


「そういうことだ」


次は山の集落への塩。


大袋をやめ、小袋に分ける。


一袋ずつなら徒歩でも運べる。


山道連絡箱に、小袋を一つ置くこともできる。


山の若者たちは、その仕組みを歓迎した。


全部を待たなくていい。


少しずつ届く。


それだけで保存作業を進められる。


北砦では、包帯と薬を分けた。


砦まで行けない日は、中継所へ半分だけ置く。


砦側が取りに来る。


残りは次の晴れ間。


カイルは真剣に頷いた。


「全部待つより、半分でも助かる」


その言葉が、分割便の意味をよく表していた。


漁村では魚の分割が少し難しかった。


鮮度がある。


保冷区画は小さい。


そこで魚を三種類に分けた。


すぐ運ぶ鮮魚。


漁村で干す干物。


雨が止むまで待つ魚。


全部を満タン便に頼らない。


漁村側も工夫する。


それで道は続く。


夕方、集荷所の棚には新しい区画ができた。


分割待ち


次便予定


受領済み一部


ミナが札を並べる。


受付係も慣れた手つきで記録する。


満タン便は、もう単に速く届ける存在ではなかった。


遅くても。


少なくても。


計画的に届く。


それが信用になっている。


夜、帳面に第一配送者の記録が浮かんだ。


私は「全部届ける」と約束した。

だから、全部届けられない日は嘘つきになった。

最初から「半分ずつ」と言えばよかった。


誠司は静かに息を吐いた。


大きく見せない。


できる範囲を正直に伝える。


それが道を守る。


翌朝。


雨はまだ降っていた。


だが集荷所は混乱していなかった。


分割便の札が並び、人々は自分の荷が何便目かを確認している。


「満タン便、分割便一号。出発」


誠司はエンジンをかけた。


荷台は満タン。


でも積む荷物は少なめ。


それでいい。


雨季の道では、少なく運ぶことが、長く運ぶことにつながる。

第39話では、雨季の分割配送を導入しました。

全部を一度に届けようとしないことが、結果的に信用を守ります。

次回は、分割便によって生まれた余裕が、思わぬ緊急事態への対応力になります。

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