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毎朝満タンになる補充トラックで異世界配送を始めました  作者: たむ


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第25話 残された二つの反応

泉から回収された謎の外殻片。

それは満タン便と同系統の反応を示していた。

森にはまだ、同じ反応が二つ残っている。誠司は再び森の奥へ向かう。

翌朝、帳面には赤い点が二つ残っていた。


西方大森林の奥。


泉よりさらに深い場所。


そこに、満タン便と同系統の反応がある。


田村誠司はしばらく黙っていた。


「行くしかないか」


ロウグは珍しく反対しなかった。


「放置すれば森との道が閉じます」


ミナも真剣に頷いた。


荷台には水、薬、包帯、ロープ。


そして隔離輸送箱を二つ。


前回と同じ黒い箱だ。


森入口受渡所に着くと、森の民たちはすでに待っていた。


年長の女性は、奥へ続く道を指差した。


今回は案内役が二人。


森の民にとっても重大な問題らしい。


トラックは入口に置き、そこからは徒歩で進む。


一つ目の反応は、倒れた巨木の根元にあった。


黒い金属片。


前回より小さい。


だが周囲の苔が枯れている。


誠司は隔離箱を開け、慎重に回収した。


帳面が光る。


残存反応一件回収


問題は二つ目だった。


森のさらに奥。


そこには古い石の広場があった。


自然のものではない。


誰かが作った場所。


中央に、錆びた金属の輪が半分埋まっている。


誠司はそれを見た瞬間、息を呑んだ。


「タイヤ……か?」


完全に崩れている。


だが形は車輪に似ていた。


帳面が勝手に開く。


同系統反応強


旧式輸送機構部品の可能性


旧式。


つまり、自分のトラックより前に来た“何か”。


ミナが不安そうに誠司を見る。


森の民たちは、その場所に近づこうとしない。


誠司はロープを使い、金属の輪を掘り出した。


重い。


だが全員で引き上げる。


その裏側に、焦げた木札が挟まっていた。


文字は読めない。


しかし帳面が反応する。


記録媒体検出


復元不可


誠司は木札をそっと持ち上げた。


そこには、かすかに日本語らしき文字が残っていた。


「……配送……便……」


背筋が冷えた。


自分だけではない。


この世界には以前にも、配送に関わる誰かが来ていた。


その人はどうなったのか。


なぜ森に壊れた部品だけが残っているのか。


帳面に新しい文字が浮かぶ。


残存反応二件回収完了


森路汚染低下


旧配送者記録:断片確認


旧配送者。


誠司はその言葉を見つめた。


森の異変は解決に向かっている。


だが代わりに、もっと大きな謎が現れた。


帰り道、森の小川は少し澄んでいた。


泉の濁りも薄くなっている。


森の民たちは静かに頭を下げた。


感謝の仕草だった。


だが誠司の心は晴れない。


水車町へ戻ると、ガランとロウグが隔離箱を確認した。


ガランは錆びた輪を見て、低く唸った。


「これは車輪だな」


ロウグが訳す。


「ただし、この世界の馬車のものではない、と」


誠司は頷いた。


「たぶん、俺と同じような誰かのものだ」


ロウグの顔から笑みが消えた。


「その人は?」


「分からない」


夜。


誠司は荷台で一人、帳面を開いた。


ページの端に、新しい項目が浮かんでいる。


旧配送者記録:未解放


解放条件:関連部品三点以上、または記録拠点発見


関連部品は、今三点ある。


外殻片。


小さな破片。


車輪。


すると、文字が淡く光った。


条件達成


旧配送者記録、一部解放


ページに、かすれた文字が浮かぶ。


第一配送者。

西方大森林にて運行不能。

補充機能暴走。

拠点喪失。

運転者記録、不明。


誠司は息を止めた。


補充機能暴走。


運行不能。


拠点喪失。


まるで未来の自分を見せられているようだった。


翌朝。


荷台は満タン。


ガソリンも満タン。


だが、帳面には新しい警告が浮かんでいた。


満タン便規則六:補充機能を過信しないこと。


誠司は静かに頷いた。


便利だから続くわけじゃない。


正しく使わなければ、いつか壊れる。


そして、前に壊れた者がいる。


西方大森林編は、ただの新配送路では終わらない。


満タン便の過去と未来に関わる道になり始めていた。

第25話では、旧配送者の痕跡が明らかになりました。

補充機能は便利なだけではなく、暴走の危険もあるようです。

次回は「第一配送者」の記録を手がかりに、満タン便の仕組みへさらに迫ります。

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