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毎朝満タンになる補充トラックで異世界配送を始めました  作者: たむ


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第24話 泉底の異物回収

森の泉を濁らせていたのは、トラックと同系統の反応を示す謎の金属片だった。

満タン便は、初めて自分自身の秘密に関わる荷物を運ぶことになる。

翌朝、田村誠司は荷台の前で黙っていた。


飲み物は満タン。


ガソリンも満タン。


だが、今日はその当たり前が少し怖かった。


森の泉に沈んでいた黒い金属片。


帳面が示した言葉。


同系統反応検知。


つまり、あれはこのトラックと何か関係がある。


「ただの異世界転移じゃないってことか……」


ロウグは珍しく口数が少なかった。


ミナも不安そうだ。


満タン便は水車町から、森入口受渡所へ向かった。


荷台にはロープ、滑車、木箱、布、薬、水。


鍛冶町のガランが用意した鉄を使わない引き上げ道具もある。


森の民への配慮だ。


泉に着くと、黒い金属片は昨日と同じ場所に沈んでいた。


水はさらに濁っている。


森の民たちの表情は暗い。


誠司は深呼吸した。


「引き上げる」


森の民の若者たちが、蔓のロープを泉へ投げる。


ミナが岸で指示を手伝う。


誠司は水辺ぎりぎりまで近づき、懐中電灯で金属片を照らした。


やはり人工物だ。


焦げたように黒く、端はねじれている。


まるで何かの車体の一部。


ロープが金属片に掛かる。


全員で引く。


重い。


だが少しずつ動く。


水面が波立ち、黒い泥が広がる。


やがて、金属片が岸へ引き上げられた。


その瞬間、帳面が勝手に開いた。


異常物資回収成功


汚染源一部除去


一部。


誠司は眉をひそめた。


「一部ってことは、まだあるのか」


泉の水は少し澄み始めたが、完全ではない。


帳面に新しい地図が浮かぶ。


泉からさらに森の奥へ、赤い点が二つ。


追加反応あり


森の民たちがざわめく。


年長の女性が誠司を見る。


奥へ行け、という目ではない。


むしろ、行かせたくない目だった。


誠司もすぐには頷かなかった。


今日は回収した金属片を調べるのが先だ。


「これを運ぶ」


誠司は木箱を指差した。


だが金属片を木箱へ入れようとした時、問題が起きた。


触れた蔓が黒く変色したのだ。


森の民が悲鳴を上げる。


誠司は慌てて手を引いた。


直接持ち帰るのは危険。


そこで保冷区画の隣にある新機能の棚が、淡く光った。


帳面に文字が浮かぶ。


隔離輸送箱:一時解放


荷台へ戻ると、小棚の中に黒い箱が現れていた。


金属でも木でもない、不思議な材質の箱。


誠司はそれを見て背筋が冷えた。


トラックは、この状況を想定している。


金属片を隔離輸送箱へ入れると、黒い変色は止まった。


帳面に文字。


隔離完了


誠司は箱を荷台に固定した。


帰り道、誰もあまり話さなかった。


水車町へ戻ると、ロウグ、薬師、ガランが待っていた。


隔離箱を見たガランは目を細める。


「嫌な鉄だ」


ロウグが訳す。


薬師も顔をしかめる。


「生き物の流れを乱す、と言っています」


誠司は帳面を開いた。


金属片の記録が浮かぶ。


名称不明。満タン便系統外殻片の可能性。


外殻片。


つまり、何かの乗り物か装置の破片。


自分のトラックと同じ系統。


誠司はぞっとした。


「俺以外にも、来たやつがいたのか……?」


誰も答えられなかった。


その夜。


隔離箱は水車町の倉庫の奥へ置かれた。


勝手に触らないよう、満タン便管理品として封印する。


帳面に新しい依頼が浮かぶ。


西方大森林追加回収:残存反応二件


その下に、さらに一文。


注意:長期放置により森路閉鎖の可能性


誠司は目を閉じた。


やるしかない。


けれど、これはもう普通の配送ではない。


危険物回収。


満タン便自身の謎。


そして、もしかすると先にこの世界へ来た誰かの痕跡。


翌朝。


荷台は満タンだった。


だが誠司の心は、少しも満たされていなかった。

第24話では泉の異物を回収し、トラックと同系統の外殻片らしきものが判明しました。

次回は残る二つの反応を追い、森のさらに奥へ向かいます。

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