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毎朝満タンになる補充トラックで異世界配送を始めました  作者: たむ


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146/156

第146話 帰さないと言える人

満タン便の第一最終帰還便。

運転するのは雪板です。

けれど。

最終帰還の途中で異常が起きた時。

雪板一人に、

故障原因を当てることも。

床下の予備材を加工することも。

「何としても工場まで届ける」ことも。

求めない。

そのために必要だと判明したのが。

車両外技術支援


水車町側と。

日本側。

両方に一人ずつ。

車の外から。

必要なら。

「今日は帰さない」


と言える人。

現在。

水車町側では。

条件に一致する候補が一人だけ。

ですが。

名前を開く前に。

そもそも、その人が何をするのかを決めなければなりません。

「最初に決めます」

朝。

水車町車両返却所。

赤い満タン便。

動かない。

誠司が。

黒板へ書く。

車両外技術支援


その下。

一。

運転者より偉くない。


二。

車両を必ず帰す役目ではない。


三。

原因を必ず特定する役目ではない。


四。

現地修理を必ず成立させる役目ではない。


五。

「分からないので止める」を選べる。


ガランが。

腕を組む。

「できないことばかりだな」

「先にそこを決めないと」

ロウグが言う。

「何でもやる技術屋になります」

「それは嫌だな」

ガラン。

即答。

まだ。

候補名。

出していない。

でも。

自分事。

みたいに。

言う。

誠司は。

何も言わない。

*

次。

雪板。

運転者側。

「異常が出たら」

誠司が言う。

「何をしますか」

雪板。

少し考える。

「安全に止める」

「はい」

「人の状態を見る」

「はい」

「車から降りても安全なら、外を見る」

「どこまで?」

雪板が。

赤い車を見る。

「潜らない」

「はい」

「熱いところを触らない」

「はい」

「漏れているものが何か分からなければ近づかない」

「はい」

「原因は……」

一度。

止まる。

「当てない」

「それでいいです」

*

新しい。

報告票。

帰還途中・異常第一報


一。

現在、安全に停止できているか。


二。

人員に怪我・体調異常があるか。


三。

煙・火・異臭・液体漏れがあるか。


四。

制動・操舵・走行に明確な異常があるか。


五。

車外から安全に見える範囲で、外れ・傾き・接触物があるか。


六。

現在地点に停止し続けること自体が安全か。


最後。

原因名――記入不要


「故障名を書かない?」

若い車両当番。

「分かる場合は書けます」

誠司が答える。

「分からない時に、埋めなくていい欄にします」

症状――必須


原因――分かる場合のみ


「異音」

で。

足りる。

「右後ろ付近から、速度に合わせて金属音」。

そこまで。

言えれば。

技術側が。

聞く。

*

実地。

でも。

満タン便は。

使わない。

西方共同荷車。

一台。

返却所。

空き区画。

ガランが。

危険のない。

木片と。

小さな鈴。

使う。

右後方。

泥除けの。

外側。

走行安全へ。

影響しない場所。

紐。

一本。

低速時だけ。

から。

から。

鳴る。

「故障じゃないじゃないですか」

雪板。

「模擬なので」

「原因知ってる人がそこにいる」

ガラン。

自分を指す。

「俺は黙っとく」

*

雪板。

荷車。

低速。

十歩。

から。

から。

止める。

「右後ろから、周期的な金属っぽい音」

「制動?」

サーラ。

技術連絡役の。

模擬。

「異常なし」

「操舵」

「異常なし」

「臭い」

「なし」

「漏れ」

「見える範囲ではなし」

「安全に外から見られる?」

「はい」

雪板。

降りる。

距離。

取る。

見る。

「泥除け外側に、何かぶら下がっています」

「触らなくていいです」

サーラ。

「今の停止場所は安全?」

「はい」

「では停止継続」

ここで。

ガランが。

聞く。

「外して走ればいいだろ?」

サーラ。

「私はそこまで判断できません」

「正解です」

誠司。

言う。

模擬。

技術連絡役。

だから。

技術者。

とは。

限らない。

「じゃあ」

ガラン。

技術側。

交代。

症状だけ。

受ける。

原因。

見ていない。

「泥除け外側にぶら下がり?」

「はい」

「車体へ巻き込む位置?」

「見える範囲では違います」

「固定部が外れてる?」

「分かりません」

「分からないなら近づかなくていい」

ガラン。

少し。

考える。

「そこに止めたまま。俺が見に行く」

「走行再開は?」

「しない」

結果。

現地確認。

模擬。

木片。

鈴。

安全。

除去。

継続走行――可


簡単。

*

二回目。

今度。

症状札。

雪板にも。

技術側にも。

事前。

見せない。

運行係が。

一枚。

引く。

制動時、踏み始めの感触が通常と異なる。

制動自体は成立。

漏れ・煙なし。


雪板。

読む。

「安全な場所へ止まります」

技術側。

ガラン。

聞く。

「止まった後、制動は保持できる?」

「はい」

「ペダルの感触を、もう一回確かめるために走れる?」

雪板。

一瞬。

答えようとする。

誠司が。

何も言わない。

雪板。

首を横に振る。

「そのためには走りません」

ガラン。

頷く。

「そうだな」

異常確認のために。

異常のあるかもしれない車を。

わざわざ。

動かさない。

「原因」

「分からない」

「現地修理」

「分からない」

「帰れる?」

「分からない」

結論。

停止継続


「技術者なのに」

若い当番が。

笑う。

「三回も分からない」

ガランが。

睨む。

「分からんもんは分からん」

誠司。

それを。

書く。

技術支援者は「不明」を回答できる。


*

さらに。

重要。

「帰還中止」

誠司が言う。

「これを“引き返す”と同じ意味にしません」

ロウグが。

黒板へ。

四つ。

書く。

継続


安全地点まで限定移動


現地補修


停止継続・帰還中断


「帰還中断なら」

雪板が言う。

「水車町へ戻る?」

「戻れるとは限りません」

制動。

怪しい。

のに。

来た道。

走って戻る。

おかしい。

「日本側へ進むのも駄目」

「はい」

「水車町へ戻るのも駄目」

「はい」

「なら」

雪板。

「そこにいる」

「安全なら」

帰還。

止める。

イコール。

逆走。

ではない。

そこ。

大きい。

*

帰還中断


の。

定義。

予定された帰還運行を、それ以上進行させないこと。


自走による引返しを自動で意味しない。


現在地点保持・救援待ち・牽引・別経路・後日再開を含む。


ガランが。

「帰さない、って」

「はい」

「水車町へも帰さない場合がある」

「あります」

安全。

一番。

近い。

行動。

取る。

“帰る”。

言葉に。

引っ張られない。

*

次。

床下。

K2D-RS 2/2。

帰路予備材。

話。

ガラン。

尋ねる。

「鉄があるから、俺が“切れ”って言えるのか」

「使用判断と作業判断を分けます」

予備材使用必要性――技術支援判断可


でも。

現地加工可否――別


作業者技能――別


作業環境安全――別


工具適合――別


修理手順――別


全部。

成立。

して。

初めて。

加工。

「雪板さんに」

誠司が言う。

「鉄板があるから切って曲げて穴開けて、と頼むことはありません」

雪板。

「できません」

「それで正常です」

材料。

ある。

イコール。

修理できる。

ではない。

工具。

ある。

イコール。

作業していい。

でもない。

*

「簡単な締め直しは?」

ガランが。

「本人ができる範囲で、事前に手順が決まっているものなら」

車輪止め。

交換。

灯火。

予備球。

固定ベルト。

そうした。

簡易作業。

別。

でも。

RF0級。

金属加工。

させない。

K2D-RS。

もし。

本当に。

使う事態。

なら。

まず。

車両を返さない選択


確認。

あの。

内札。

通り。

「予備材があるせいで」

雪板が言う。

「無理して帰る理由にならない」

「はい」

*

通信。

次。

水車町。

日本側。

両方。

支援。

する。

なら。

誰が。

いつ。

聞く。

誠司。

経路図。

広げる。

水車町出発


始発線接続


世界間帰還区間


日本側工場受入


技術支援。

水車町側。

出発前から。

担当。

日本側。

工場受入。

始まる前から。

待機。

「ずっと二人?」

ロウグが尋ねる。

「重複区間はあります」

でも。

一人を。

何時間も。

何十時間も。

待機。

させない。

時間差。

不確定。

だから。

引継ぎ。

必要。

水車町側主担当区間


両側重複区間


日本側主担当区間


ただし。

どちらか。

届かない。

なら。

もう片方。

対応。

できる。

*

「両方届かなかったら」

雪板。

聞く。

そこ。

最重要。

未来記録。

見ない。

現在。

ルール。

決める。

通信不能時


一。

異常がなければ、事前承認された帰還経路を継続可能。


二。

異常がある場合、原則安全停止。


三。

停止地点自体が危険な場合のみ、運転者判断で最小限移動。


四。

原因診断・現地加工を単独で行わない。


五。

通信回復を待つ。


「ずっと回復しなかったら?」

「その場合の待機可能時間と、別の救援手段が必要です」

まだ。

作れていない。

だから。

出発。

できない。

*

「候補」

ガランが言った。

「そろそろ開けるか」

誠司。

役目票。

確認。

水車町側車両外技術連絡担当


範囲。

第一最終帰還便一回


出発前技術確認


帰還途中の遠隔症状聞取


継続/限定移動/現地補修/中断の技術判断


不明回答可


運転者へ走行継続命令不可


現地加工強制不可


通信不能時の運転者安全停止を覆せない


最終帰還完遂を成果指標にしない


車両帰還完了後、自動継続なし


最後。

候補条件。

満タン便の構造補修経験


遠隔で症状から危険度を分けられる


修理不成立を受け入れられる


「直さない」判断実績あり


本人受任――必要


これで。

本人へ。

説明できる。

候補者一名


照会。

送る。

名前。

まだ。

画面に。

出さない。

*

数分。

ガランの。

腰袋に。

本人札。

淡く。

光る。

ガラン。

それを見る。

「俺か」

「説明を受けますか」

「受ける」

候補名。

初めて。

開く。

ガラン


*

「“直さない判断実績”って何だ」

本人。

最初の質問。

ロウグが。

記録。

読む。

東方橋。

古い。

支持金具。

現地。

仮補修。

できた。

でも。

ガラン。

「今日は渡らせない」。

と。

止めた。

西方。

ポンプ軸。

削れば。

動いた。

でも。

軸。

薄くなる。

から。

交換まで。

停止。

そして。

RF0。

最初の。

加工。

穴。

外れ。

自分で。

不合格。

にした。

「それか」

「はい」

「直した回数じゃないんだな」

「止めた記録も必要です」

ガラン。

役目票。

読む。

長い。

*

「俺が“走れる”って言って」

「はい」

「雪板が“怖いから止まる”って言ったら」

「止まります」

「俺の判断より?」

「運転者は、より安全側を選べます」

「逆は?」

「ガランさんが“止める”と言って、雪板さんが走りたいと言ったら」

誠司。

答える。

「止めます」

技術側。

重大。

危険。

判断。

なら。

走行不可。

つまり。

継続には双方同意が必要。


停止にはどちらか一方の判断で足りる。


ガラン。

笑う。

「止める方が強い」

「安全判断だけは」

*

「俺が分からなかったら」

「不明でいいです」

「日本側へ聞ける?」

「はい」

「向こうも分からなかったら」

「止めます」

「返却予定日、ずれるぞ」

「ずらします」

「工場が困る」

「待ちます」

「未来記録と違ったら」

「現在の安全を優先します」

ガラン。

そこまで。

聞いて。

一度。

腕をほどく。

「じゃあ」

少し。

考える。

「第一最終帰還便だけ」

「はい」

「受ける」

ガラン

水車町側車両外技術連絡担当

第一最終帰還便一回――受任


恒常担当――なし


次便自動継続――なし


成立。

*

日本側。

こちら。

個人名。

まだ。

必要。

ない。

工場。

返答。

車両外技術連絡担当は通常技術当番から一名選任可能。


第一最終帰還便当日、資格・休息・勤務時間を確認して確定。


車両C搬入受領担当とは別人とする。


「別人」

サーラが。

頷く。

技術支援側が。

“工場へ入れたい”。

気持ち。

持たないよう。

受領側。

分ける。

さらに。

K2D-0713車歴A管理担当・高瀬圭介とは別役とする。


誠司。

そこ。

確認。

高瀬。

技術。

分かる。

RF0。

QA。

した。

でも。

この役。

自動で。

付けない。

高瀬圭介への依頼――なし


初回納車便受任状態――保留継続


正常。

*

日本側。

技術当番。

人数。

当日選任可能者――複数


だから。

今。

候補名。

出さない。

出発前。

普通の。

勤務表。

から。

一名。

選ぶ。

また。

普通。

を。

守る。

*

次。

両側。

模擬通信。

雪板。

水車町車両返却所。

満タン便。

座らない。

机。

運転席代わり。

ガラン。

工房。

離れた場所。

日本側役。

ロウグ。

模擬。

症状札。

エレナ。

封。

一。

走行中、右前付近から一度大きな衝撃音。

その後、操舵にわずかな偏り。

煙なし。漏れ不明。


雪板。

読む。

「安全停止」

ガラン。

通信。

「止まった?」

「止まった」

「怪我?」

「なし」

「車、傾いてる?」

「見える範囲では分からない」

「右前を見に行ける?」

雪板。

周辺条件札。

見る。

路肩狭い。右側へ降車危険。


「右側へは降りません」

「了解。見るな」

短い。

それで。

いい。

「操舵偏りがあるなら、俺は走行継続を許可しない」

ロウグ。

日本側模擬。

「同意」

結論。

帰還中断


でも。

ここで。

問題。

「車はどこで待つ?」

雪板が。

言った。

全員。

止まる。

*

今まで。

“止める”。

決めた。

でも。

停止場所。

ずっと。

安全。

とは。

限らない。

狭い。

路肩。

世界間経路。

待機。

できる。

時間。

分からない。

「限定移動も」

ガランが言う。

「移動できる程度の故障じゃないと無理だ」

「はい」

「動かせないなら?」

「救援が来るまで、その場?」

雪板。

首を傾げる。

「その場が危険なら?」

そこ。

抜けている。

*

経路図。

広げる。

水車町。

始発線。

日本側工場。

途中。

安全停車点。

表示。

なし。

「ない?」

サーラ。

「今の図には」

しかし。

技術支援手順を。

正式登録。

した瞬間。

配送帳面。

補助欄。

一つ。

開いた。

第一最終帰還便

異常停止時待避先


全員。

見る。

帰路待避点――0


ガランが。

顔をしかめる。

「また零か」

詳細。

名称――帰路待避点0


区分――車両一時保持


用途――帰還継続不能時の安全待機


修理施設――なし


荷役――なし


人員役目付与――なし


車両受領――しない


次用途決定――しない


ロウグが。

読む。

「零番車両枠と似てる」

水車町の。

零番。

次用途。

決めず。

まず。

車両を。

受ける。

帰路待避点0。

こちら。

次へ。

進めない車を。

まず。

安全に。

止める。

でも。

受領。

しない。

所有。

変えない。

役目。

付けない。

ただ。

待つ。

ため。

*

「場所」

雪板が尋ねる。

表示。

所在――始発線帰還経路・中間保持区画


全員。

黙る。

水車町側。

地図。

ない。

日本側。

地図。

ない。

「中間?」

エレナが。

古い。

始発線図。

何枚。

めくる。

ない。

帰路。

線。

だけ。

点。

なし。

「設備は?」

車両一台分


停止固定可能


人員一名待機可能


最低飲料保持


双方向通信再接続可能


水車町側へ逆送可


日本側へ再送可


いずれも本人・車両安全確認後


ガラン。

低く。

「そんな場所、あるのか」

現在状態。

帰路待避点0

設備状態――存在確認済み


「誰が?」

次。

現在管理者――なし


「管理者なしで、存在確認済み?」

ロウグ。

さらに。

初回使用記録――一回


雪板。

目を細める。

「もう使ってる?」

使用車両――K2D-0713


部屋。

静か。

車歴状態――B


今。

赤い。

満タン便。

状態B。

使用区分――帰還中断


誠司の。

手が。

止まる。

第一最終帰還便。

まだ。

出ていない。

今までの。

通常配送で。

中間待避点。

使った。

記録。

ない。

それなのに。

K2D-0713

帰路待避点0

使用回数――一


使用時。

運転者――なし


「運転者なし?」

ガランが。

見る。

車内人員――なし


「空車?」

はい


搭載物――一件


その下。

搭載物種別――原票


ロウグが。

ゆっくり。

読む。

原票番号――P-0000


全員。

言葉を。

失う。

ゼロ番の乗客票。

初回納車運転者が。

仕事を終えたあと。

人として。

日本へ帰るための。

原票。

今は。

満タン便の。

最終帰還貨物として。

日本側工場へ。

送られる予定。

そのP-0000が。

過去か。

未来か。

一度だけ。

無人の満タン便に載せられ。

始発線の途中にある「帰路待避点0」で、車ごと止まった記録が。

すでに存在していた。

最後。

停止理由――通信未成立


車両異常――なし


人員異常――該当なし


帰還中断理由――

「受け取る側が、まだ人を帰せなかったため」


満タン便そのものが。

壊れた。

のではない。

運転者も。

いない。

それでも。

車は。

途中で。

帰るのをやめている。

日本側工場が。

まだ。

人を普通の人として帰す準備を終えていなかったから。

そして。

その時。

無人の車を。

どちらの世界にも入れず。

一度だけ。

安全に止めておくために使われた場所。

それが。

帰路待避点0。

でした。

第一最終帰還便のため、水車町では車両外技術支援の役目を正式に整理しました。

運転者である雪板が行うのは、

異常に気づく。

安全に止める。

症状を伝える。

ところまでです。

故障原因を一人で当てる必要はありません。

また、床下にK2D-RS 2/2という補修材があるからといって、雪板自身が金属加工まで行う義務もありません。

特に重要なのは、

継続走行には運転者と技術側の双方が安全と判断する必要がある。

停止は、どちらか一方が危険と判断すれば成立する。


という原則です。

そして水車町側の第一最終帰還便・車両外技術連絡担当を、ガランが一便限定で受任しました。

ガランの役目は「必ず直す人」ではありません。

むしろ。

必要なら、

「分からない」

「直さない」

「今日は帰さない」


と言える技術担当です。

日本側は特定人物を未来から固定せず、第一最終帰還便当日の通常技術当番から一名を選任。

車両C搬入受領担当とも、高瀬圭介とも別役になります。

高瀬の初回納車便受任は、現在も保留のままです。

そして技術支援の模擬訓練から、新たな問題が判明しました。

帰還を中断した車を。

どこで安全に待たせるのか。

配送帳面に現れた答えは、

帰路待避点0


始発線の帰還経路途中にある、車両一台だけを一時保持できる場所です。

しかも。

そこにはすでに一度だけ、K2D-0713が停止した記録があります。

車内は無人。

車両故障もなし。

積まれていたのは――ゼロ番の乗客票P-0000。

停止理由は。

「受け取る側が、まだ人を帰せなかったため」


満タン便は一度。

壊れたからではなく。

人を安全に帰せる仕組みがまだ完成していなかったために。

世界と世界の途中で。

帰ることそのものを、止めていました。

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