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毎朝満タンになる補充トラックで異世界配送を始めました  作者: たむ


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142/156

第142話 仕事ではない十七キロ

満タン便としての役目を終えたあと。

K2D-0713は、特装を外され。

赤から白へ戻り。

普通の車歴Dになります。

その車が。

SR-01第零試験の教習車になるより前。

すでに十七キロ走っていました。

配送便――いいえ

教習便――いいえ

検査便――いいえ

回送便――いいえ


用途は。

本人私用


積荷は。

個人物 一


行き先。

日本側生活拠点


誰かが。

かつて満タン便だった白い車を。

仕事ではなく。

ただ、自分の用事のために使っています。

けれど。

誰が使ったのかを知る前に。

水車町には、決めなければならないことがありました。

仕事の車を。

仕事ではない理由で借りるとは。

どういうことなのか。

「住所から探すのは禁止です」

朝。

水車町配送所。

誠司が。

最初に言った。

ロウグが。

昨日の記録を閉じる。

K2D-0713・車歴D

初回普通使用

走行距離――17km

用途――本人私用

個人物――一

目的地――日本側生活拠点

運行者――未登録


「生活拠点が分かれば」

若い仕分け係が言う。

「候補、絞れません?」

「絞りません」

「でも本人記録に」

「それを使いません」

生活拠点。

本人の。

安全。

連絡。

帰着。

そのために。

登録した。

車の運転者を。

逆算するためではない。

「荷物も」

誠司が続ける。

「開示要求しません」

個人物。

一。

危険物。

なし。

それで。

車両安全上。

足りる。

中身。

何。

誰の。

思い出。

必要。

ない。

サーラが。

頷く。

「個人情報を集めると」

「後から別の目的に使いたくなります」

だから。

目的。

越えて。

使わない。

*

先に。

普通使用。

を。

作る。

水車町にも。

共同車両。

ある。

仕事用。

荷車。

そり。

手押し車。

全部。

配送。

修理。

共同作業。

それが。

中心。

でも。

仕事がない時間。

空いている。

「私用で貸したこと」

ロウグが尋ねる。

ガランが。

手を挙げる。

「ある」

全員。

見る。

「西の小荷車」

「何に?」

「去年、家の棚運んだ」

誠司が。

額を押さえた。

「記録は?」

「借りるって言ったぞ」

「誰に」

「その日の車両当番」

「返却は」

「夕方」

「帳面」

「……ないな」

ガランが。

少し。

目を逸らした。

*

事故。

なし。

壊して。

ない。

だから。

今まで。

問題にならなかった。

でも。

もし。

車輪。

壊れた。

人。

怪我。

した。

戻らない。

その時。

仕事中か。

私用か。

誰の責任。

どこまで。

燃料。

資材。

誰が。

負担。

曖昧。

「仕事の車だから」

サーラが言う。

「私用禁止にします?」

誠司は。

首を横に振った。

「禁止する必要があるかを先に考えます」

共同。

所有。

管理。

されている物。

空いている時。

本人が。

安全に。

使えるなら。

地域。

助かる。

個人で。

全部。

荷車。

持つ必要。

ない。

ただし。

配送が。

止まるほど。

貸す。

ではない。

*

ちょうど。

試せる。

案件。

あった。

若い仕分け係。

一人。

満宿から。

借り部屋へ。

移る。

荷物。

木箱。

二つ。

布袋。

一つ。

寝具。

一組。

歩いても。

運べる。

でも。

何往復も。

必要。

共同手押し車。

午後。

空いている。

「借りたい?」

サーラが尋ねる。

「借りられるなら」

本人。

少し。

戸惑う。

「でも仕事じゃないですよ」

「だから試します」

*

新しい票。

業務外車両貸出票


車両。

水車町共同手押し車・S-04


貸出主体。

水車町共同車両管理


利用者。

本人


用途。

個人利用


詳細。

記載任意


荷物。

個人物


危険物。

なし


走行。

水車町内


返却予定。

当日夕方


業務優先。

緊急共同運用時のみ返却要請あり


「途中で配送が入ったら」

若い仕分け係。

「呼び戻される?」

「この車しか使えない緊急時だけ」

普通便。

増えた。

程度で。

個人利用を。

途中終了。

させない。

貸した。

なら。

貸した時間も。

約束。

*

次。

事故。

業務外利用中事故――通常安全受付へ報告


けれど。

業務事故として自動登録しない


仕事中。

ではない。

ただし。

車両管理上。

壊れた。

記録。

必要。

「壊したら弁償?」

本人が。

心配そうに言う。

一律。

ではない。

故意。

乱暴。

無申告。

普通使用。

通常摩耗。

道路。

原因。

それぞれ。

違う。

費用負担――事故内容確認後


最初から。

全部。

利用者。

にしない。

逆に。

共同物だから。

全部。

共同負担。

でもない。

*

貸出前。

車輪。

四。

異常なし。

軸。

正常。

取手。

正常。

雨。

なし。

鍵。

ない。

手押し。

だから。

札。

一。

渡す。

貸出中


若い仕分け係。

役目札。

持たない。

勤務。

終わり。

個人札。

だけ。

「これを借りてる間」

本人が言う。

「配送係じゃない?」

「はい」

「何か荷物見つけても?」

「拾得物なら安全受付。配送依頼なら受付へ案内してください」

「ついでに運んじゃ駄目?」

「業務外利用中なので」

仕事と。

私用を。

途中で。

混ぜない。

必要なら。

一度。

返却。

そのあと。

正式便。

受任。

*

午後。

木箱。

二。

布袋。

一。

寝具。

一。

手押し車。

進む。

借り部屋。

到着。

本人。

荷物。

降ろす。

帰り。

空。

水車町配送所。

返却。

車輪。

正常。

軸。

正常。

汚れ。

少し。

自分で。

払う。

業務外貸出――完了


配送件数――0


業務時間――0


役目付与――なし


「本当に」

ロウグが言う。

「何も配送してない」

「本人の荷物は運びました」

若い仕分け係。

「でも配送じゃない」

「はい」

自分の物を。

自分で。

運んだ。

それだけ。

*

問題。

一つ。

貸出票。

目的地。

最初。

新借り部屋


と。

書きかけた。

誠司。

止める。

「そこまで必要ですか」

水車町内。

往復。

道。

安全。

返却時刻。

分かる。

詳しい。

部屋番号。

不要。

利用範囲――水車町内生活区域


で。

足りる。

「事故の時」

サーラが言う。

「どこへ探しに行く?」

出発時。

本人連絡先。

ある。

必要なら。

本人限定。

確認。

通常帳面へ。

私生活の。

行き先。

残さない。

*

次。

車。

燃料。

ある場合。

必要。

出発時燃料


返却時燃料


でも。

「借りた分を満タンにして返す」

を。

一律。

にはしない。

短距離。

一回。

僅か。

そのために。

遠い補給所へ。

寄る方が。

無駄。

貸出元。

基準。

決める。

使用量が規定以上の場合――補給


未満――共通利用費へ計上


料金。

貨幣。

違う世界。

水車町。

まだ。

個人貸出制度。

試用。

だから。

当面。

試用期間――利用料なし


ただし。

市場。

常用。

増える。

なら。

資材費。

維持費。

決める。

「無料だから」

ガランが言う。

「毎日俺が借りても?」

「空いていて、他の人も同じ条件なら」

「……本当に?」

「制度が持たないなら、その時改めます」

禁止。

から。

始めない。

*

業務外貸出標準。

第0版。

一、業務に使用中でない車両のみ貸出可能。


二、安全確認済みであること。


三、本人の運転・操作資格または技能を確認する。


四、私用目的の詳細を必要以上に記録しない。


五、個人物の内容は、安全上必要な分類のみ確認する。


六、業務実績・配送実績へ計上しない。


七、私用中の走行を、本人同意なく教習・技能評価・性能試験へ転用しない。


高瀬の。

未来記録。

ここに。

関係する。

特に。

七。

*

「これ」

ガランが言う。

「大事か?」

「かなり」

白いK2D-0713。

D。

私用で。

十七キロ。

走る。

あとから。

「公道で問題なく走った」。

だから。

SR-01試験。

大丈夫。

とは。

しない。

私用で。

運転した人。

その人を。

勝手に。

試験運転手。

にも。

しない。

私用走行記録

車両故障・事故の有無は車両安全履歴へ記録可。


ただし。

運転技能評価――禁止


教習合格根拠――禁止


車両性能検査の代替――禁止


「普通に使っただけ」

サーラが言う。

「はい」

普通を。

普通のまま。

残す。

*

日本側特装工場へ。

照会。

K2D-0713車歴D・初回普通使用について。

当該17km走行が、完成検査・教習・回送等の代替として扱われていないことを確認願います。


返答。

確認。


車歴Dは私用貸出前に通常公道使用可能状態として登録済み。


私用走行は完成検査・路上試験に含めない。


SR-01/SR-02教習実績にも含めない。


「つまり」

ロウグが言う。

「もう普通に走っていい車だった」

「はい」

誰かを。

試験台に。

した。

わけではない。

*

次。

貸出権限。

K2D-0713・車歴D

車両管理――日本側特装工場・普通車管理


業務外貸出――可


特殊車両扱い――終了済み


満タン便車両名――運用終了済み


「名前」

ガランが言う。

「もう満タン便じゃない」

「車両名としては」

でも。

履歴。

残る。

旧運用名――満タン便M-001


白い車。

普通車。

でも。

昔。

何だったか。

消さない。

*

業務外貸出票。

未来記録。

開く。

車両――K2D-0713・車歴D


利用区分――本人私用


公道――14km


構内――3km


荷物――個人物一個


危険物――なし


目的地分類――本人生活拠点


返却――同日


事故――なし


車両異常――なし


配送実績――0


教習実績――0


検査実績――0


完璧に。

普通利用。

ただ。

利用者。

非表示。

*

「今なら」

ロウグが言う。

「本人へ照会できます」

誠司。

頷く。

住所。

荷物。

使わない。

車両記録から。

対象。

本人限定。

K2D-0713車歴Dの将来業務外貸出記録について。

当該記録の利用者本人にのみ照会しています。

この照会は、車両利用・運転・初回納車便その他の役目依頼ではありません。

現在の本人意思へ影響しません。

選択肢

一、記録内容の説明を受ける

二、本人名のみ開示可

三、回答しない


送信。

誰へ。

届いたか。

表示。

されない。

*

その間。

満タン便。

最終返却準備。

進める。

通常。

灯火。

確認。

救急箱。

封。

正常。

水。

交換期限。

まだ。

余力七項。

正常。

床下K2D-RS。

封印。

正常。

比較封印二。

本測定。

まだ。

しない。

ガランが。

準備率。

見る。

四十七パーセント


誠司が。

先に見る。

ガラン。

笑う。

「今日はお前が見た」

「見ただけです」

「俺もいつも見てるだけだ」

ロウグが。

照会端末を見る。

「返事、来ました」

*

本人回答――一、説明を受ける


説明。

車歴D。

十七キロ。

私用。

生活拠点。

個人物。

一。

事故。

なし。

正式利用者。

役目。

なし。

そこまで。

送る。

返答。

記録内容に心当たりがあります。


次。

本人名の開示も可。


表示。

高瀬圭介


サーラが。

小さく。

頷く。

誠司は。

驚かなかった。

今。

日本側。

生活拠点。

登録。

済み。

普通車。

運転資格。

ある。

K2D。

扱った。

経験。

ある。

でも。

だから。

本人だろう。

と。

推測して。

名前を。

開かなかった。

本人が。

開示。

選んだ。

*

高瀬から。

続き。

たぶん、あの時のことです。


「たぶん?」

ロウグが。

読む。

未来。

本人にとっても。

まだ。

未実施。

当然。

記憶。

ではない。

未来記録の。

条件を。

見て。

心当たり。

という意味。

自分が車を指定した記録になっていますか。


誠司。

確認。

車両指定――本人ではない。


高瀬。

すぐ。

返答。

それなら合っています。


「どういうこと?」

ガラン。

本人が。

自分から。

説明を。

続けた。

その私用で、K2D-0713を選ぶつもりはありません。


普通車貸出の空き車両を借りるだけです。


たまたま、その日にK2D-0713が割り当てられる。


誠司は。

画面を。

少し長く見る。

これが。

大事。

だった。

満タン便だったから。

記念に。

乗りたい。

ではない。

K2Dだから。

試したい。

でもない。

空いていた普通の車だったから。


それだけ。

*

「個人物一個について」

誠司が。

送る。

内容開示は不要です。

危険物なしの確認のみ使用します。


高瀬。

ありがとうございます。


少しして。

ただ、分類だけ補足します。


個人箱一個です。


それ以上。

書かない。

水車町も。

聞かない。

*

「なぜ車が必要だったんですか」

若い仕分け係が。

言いかけ。

自分で。

止まる。

「……聞かない方がいい?」

誠司が。

頷く。

車両貸出。

成立条件。

安全。

資格。

時間。

返却。

それで。

足りる。

理由。

私物箱。

重い。

かもしれない。

天候。

かもしれない。

他の移動手段。

なかった。

かもしれない。

ただ。

車を借りたい。

私用。

それで。

制度上。

足りる。

*

高瀬から。

もう一つ。

もし将来、本当にこの貸出をする時。


お願いがあります。


「満タン便だった車だから」という理由でK2D-0713を割り当てないでください。


誠司。

即。

返す。

了承。


普通車貸出の通常割当だけを使用します。


高瀬。

それなら借りられます。


これで。

未来記録に。

合わせて。

K2Dを。

予約。

しない。

その日。

普通車管理。

空き。

順番。

用途。

サイズ。

安全。

それで。

K2Dが。

割り当たった場合だけ。

歴史。

つながる。

割り当たらなければ。

別の車。

高瀬は。

それで。

私用。

済ませる。

未来記録が。

変わるかもしれない。

でも。

本人の。

普通利用を。

未来合わせ。

にしない。

*

日本側工場。

この条件。

送る。

車歴D初回私用貸出に際し、K2D-0713を特別指定しない。


工場。

了承。


普通車貸出規定による自動割当を使用。


車両履歴を割当優先条件に含めない。


「これで」

サーラが言う。

「本当にたまたまになる」

「はい」

たまたま。

を。

仕組みで。

守る。

変な話。

でも。

必要。

未来記録を。

知っている人が。

多すぎるから。

*

さらに。

普通車貸出。

条件。

K2D-0713・車歴D

特別扱い禁止


という。

専用札は。

付けない。

それも。

逆に。

特別。

だから。

全普通車。

共通。

過去の車歴・著名用途を理由に貸出優先順位を変更しない。


一般標準。

にする。

他の。

有名だった。

救援車。

古い。

公用車。

同じ。

普通車へ。

戻ったなら。

普通に。

扱う。

必要な。

履歴。

安全。

残す。

でも。

毎回。

過去を。

前へ。

出さない。

*

高瀬。

最後。

私用貸出が終わったあと、何か役目が付きますか。


誠司。

付きません。


車両返却で貸出終了です。


その後、SR-01第零試験・初回納車便・車歴管理その他へ自動連結しません。


分かりました。


一文。

その十七キロは、十七キロだけにしてください。


誠司は。

そのまま。

標準の。

余白へ。

書いた。

業務外走行は、その走行自体を超える意味を本人同意なく付与しない。


*

夕方。

車歴D。

未来表示。

少し。

更新。

初回普通使用

利用者――高瀬圭介

本人名開示――本人同意済み


車両指定――普通車貸出自動割当


本人指定――なし


用途――私用


役目――なし


配送――なし


教習――なし


検査――なし


返却――完了予定


「これなら」

ロウグが言う。

「普通ですね」

「普通です」

満タン便だった。

車。

普通に。

借りる。

それだけ。

それが。

難しかった。

*

だが。

一つ。

残る。

「返却」

サーラが。

指す。

車を。

借りる。

なら。

返す人。

受ける側。

必要。

未来記録。

貸出開始確認――日本側特装工場・普通車管理


貸出終了確認――普通車返却当番


ここまで。

普通。

個人名。

必要なし。

ところが。

詳細。

一件。

初回普通使用のみ、返却確認者記録あり。


ガラン。

眉を寄せる。

「なんで最初だけ」

誠司は。

先に。

理由を見る。

車歴D・普通車管理移行初回のため。


なるほど。

最初の。

一回。

普通車管理の。

返却手順が。

本当に。

働くか。

確認。

する。

ただし。

高瀬の。

私用走行を。

試験には。

しない。

返却側。

自分たちの。

手順を。

確認する。

確認対象――返却受付手順


利用者技能――対象外


車両性能――対象外


正常。

「誰が?」

ロウグ。

表示。

返却確認者――一名


本人。

役目。

あり。

普通車返却当番・臨時


現在所属。

日本側始発配送所


誠司が。

少し。

嫌な予感。

というより。

見覚えのある流れを。

感じる。

名前。

開く。

今回は。

業務記録。

本人限定ではない。

小川健太郎


部屋が。

静かになる。

「小川さん?」

サーラが言う。

今。

小川。

日本側。

配送所。

帰着当番。

SR-02。

これから。

訓練。

予定。

高瀬の。

私用貸出が。

起きる未来時点では。

まだ。

SR-01第零試験より前。

つまり。

SR-02の。

正式教習開始前。

それなのに。

小川は。

日本側始発配送所から。

特装工場へ。

来ている。

目的。

普通車返却手順・臨時応援


K2D-0713車歴Dの専門確認――行わない


高瀬圭介との業務関係――なし


「本当に」

ロウグが言う。

「返却だけ」

「はい」

鍵。

受ける。

燃料。

見る。

傷。

見る。

忘れ物。

確認。

車両状態。

普通。

返す。

それだけ。

だが。

一番下。

小川の。

当日移動記録。

日本側始発配送所

↓

日本側特装工場


移動理由。

返却当番応援


復路。

日本側特装工場

↓

日本側始発配送所


その途中。

立寄。

一件。

車両――K2D-0713・車歴D


「乗る?」

ガランが。

見る。

運転――しない


同乗――一回


小川は。

まだ。

SR-02の訓練を。

受けていない。

白いK2D-0713を。

運転もしない。

ただ。

返却された車の。

助手席へ。

一度だけ。

乗る。

区分。

普通人員同乗


目的。

始発配送所までの帰路


誰が。

運転するのか。

表示。

運行者――未登録


また。

一人。

名前のない人。

ただし。

今度の車は。

仕事でも。

教習でも。

特殊便でもない。

高瀬の私用を終え。

普通車として返された。

白いK2D-0713。

その助手席へ。

小川健太郎が。

SR-02の最初の訓練より前に。

一度だけ。

普通の帰り道として乗ることになっていた。

車歴Dの最初の十七キロについて、水車町は運転者の生活拠点や個人物から本人を推測することをせず、まず業務外車両貸出の手順を整備しました。

仕事用・共同用の車両であっても、安全に貸せる時間と条件があるなら、個人利用を一律禁止する必要はありません。

ただし、

私用中の走行を配送実績にしない。

本人の同意なく技能評価へ使わない。

車両性能試験の代わりにしない。

私生活の行き先や荷物内容を必要以上に記録しない。

という線引きが必要です。

未来記録への本人限定照会を行った結果。

車歴Dの最初の普通使用者は――高瀬圭介でした。

ただし高瀬本人がK2D-0713を指定するわけではありません。

未来にその記録があるからといって、工場側が特別にK2Dを割り当てることも禁止。

その日、普通車貸出制度によって空いている車が通常の手順で割り当てられ。

結果としてK2D-0713だった場合だけ、この十七キロが成立します。

高瀬の希望は一つ。

「その十七キロは、十七キロだけにしてください。」


その私用を、初回納車便や教習や技能証明の理由に変えないためです。

そして新たに判明したことがあります。

高瀬が普通車としてK2D-0713を返却する日。

初回の普通車返却手順を確認する臨時当番として、日本側始発配送所から――小川健太郎が特装工場へ来ます。

小川はまだSR-02の正式訓練前。

K2D-0713を運転もしません。

しかし。

返却業務を終えて始発配送所へ戻る途中。

白いK2D-0713の助手席へ、一度だけ普通の同乗者として乗る予定になっています。

その時。

運転席に座る人物の名前は――まだ登録されていません。

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