第141話 同じ車だと決めない引継ぎ
満タン便として長く走った、K2D-0713。
その車には。
四つの車歴状態があります。
A――特装前の白い車
B――赤い満タン便として運用中
C――日本側工場へ最終帰還した状態
D――特装を終え、再び普通の白い車になった状態
そして将来。
SR-01の第零試験が終わったあと。
白い車歴Dは、SR-02の帰着教育車へ移されます。
その時。
車を運転するのでも。
整備するのでもなく。
A・B・C・Dの記録が途中で切れていないことを確認する人。
その候補として。
ロウグの名前が表示されました。
けれど。
「記録が続いている」と確認することと。
「これは絶対に同じ一台だ」と決めることは。
同じではありません。
「まず、俺が何を証明するのか教えてください」
朝。
水車町配送所。
ロウグが言った。
昨日。
開いた未来記録。
K2D-0713・車歴D
SR-01第零試験終了後
SR-02帰着教育車へ移管
車両受領確認候補――ロウグ
条件。
K2D-0713の車歴A・B・C・Dすべての記録を読める。
満タン便配送網の車両管理記録を確認できる。
車両を運転する必要はない。
日本側への本人移動手段が確保されている。
誠司は。
すぐには。
本人意思票を出さない。
「そこから決めます」
「俺が」
ロウグは。
赤い満タン便を見る。
「この車と、日本側の白い車が同じ車だと判定する役目ですか」
「それなら」
誠司は答えた。
「頼みません」
*
物理的。
同一。
かどうか。
現在。
まだ。
正式確定していない。
車台番号。
K2D-0713
一致。
機関番号。
一致。
特殊車体。
履歴。
つながる。
でも。
日本側工場では。
最終帰還後。
三つの記録を。
独立比較する。
車歴A事前固定記録
車歴C出発前固定記録
車歴C搬入後記録
その結果。
大きな不一致。
あれば。
同一物理車両
という扱いを。
外せる。
その場合でも。
水車町で起きた配送。
修理。
事故。
帰着。
人員移動。
全部。
消えない。
返着個体。
M-001R
として。
別に。
残る。
「だから」
誠司が言う。
「ロウグさんの確認を、“同じ車の証明”にはしません」
ロウグ。
頷く。
「それなら読めます」
「まだ受けなくていいです」
「分かっています」
*
まず。
言葉。
作る。
車歴連続
と。
物理同一
分ける。
ロウグが。
帳面へ書く。
物理同一
同じ実体の車両が、時点をまたいで存在しているとの判定。
次。
車歴連続
ある状態から次の状態へ、
引渡し・改造・返却・検査などの記録が途切れず追跡できること。
「同じものじゃない?」
若い仕分け係が尋ねる。
「違います」
エレナが。
古地図を。
横へ置く。
「橋で考えると分かりやすいです」
東方。
古い木橋。
二十年。
使われている。
梁。
交換。
床板。
交換。
欄干。
交換。
杭。
一部。
交換。
「昔の木が全部残っていなくても」
エレナが言う。
「橋の補修記録は続いている」
「同じ橋?」
「そう呼んでいます」
「物として?」
「そこは、何をもって同じとするかで変わります」
だから。
一緒にしない。
*
車両で。
試す。
東方。
共同荷車。
E-07。
古い。
七年前。
車軸。
交換。
五年前。
右車輪。
交換。
三年前。
荷台。
全面交換。
去年。
引手。
交換。
現在。
最初から残っている。
主要部材。
車体枠。
左車輪。
一部金具。
「E-07は同じ荷車か」
ガランが尋ねる。
若い仕分け係。
「同じです」
「何で」
「番号が同じ」
「じゃあ枠を交換したら?」
「……同じ?」
「全部交換したら?」
「分からない」
そこ。
無理に。
答え。
一つにしない。
*
E-07。
履歴。
並べる。
E-07状態1――初回登録
状態2――車軸交換
状態3――右車輪交換
状態4――荷台交換
状態5――引手交換
各。
間。
記録。
ある。
誰が。
受けた。
誰が。
修理。
誰が。
返した。
旧部品。
どうした。
全部。
ある。
「車歴連続?」
ロウグ。
成立
では。
物理同一?
答え。
判定対象外
「判定しない?」
「必要ないからです」
今。
E-07として。
安全に。
運用できる。
所有。
管理。
修理。
明確。
それなら。
“最初の木材が何割残っているから同じ”。
を。
決める必要。
ない。
「必要になったら?」
「その時、目的を決めて判定します」
保険。
登録。
文化財。
部品保証。
目的によって。
基準。
変わる。
*
次。
わざと。
一枚。
記録を。
抜く。
E-07。
状態3。
右車輪交換。
記録。
隠す。
状態2。
次。
状態4。
いきなり。
右車輪。
違う。
「連続?」
若い仕分け係。
「たぶん交換したんだと思います」
誠司。
首を横に振る。
車歴連続――要確認
“たぶん”。
で。
つながない。
別の。
修理控え。
東方側。
探す。
E-07右車輪破損
東方臨時修理所
交換一
受領番号。
一致。
つながる。
車歴連続――成立
「無かったら?」
「未確認のままです」
「でも荷車は目の前にある」
「あります」
「使える」
「安全なら使えます」
記録の穴。
イコール。
車両使用禁止。
ではない。
ただし。
履歴。
完全。
とは。
書かない。
*
新しい票。
車歴連続確認票
項目。
状態番号
前状態
次状態
境界事象
引渡者
受取者
変更内容
原記録
未確認事項
物理同一判定――別票
最後。
赤。
本票は「同一物理車両」であることを証明しない。
ロウグが。
最後。
見る。
「これなら」
「はい」
「俺は読めます」
でも。
まだ。
受任。
ではない。
*
K2D-0713。
当てはめる。
A。
日本側特装前・白色
境界。
A→B。
特装工程
特殊車体M-001
赤色化
始発線関連設備
供給・帰還補助
B。
満タン便・運用状態
境界。
B→C。
第一最終帰還便
日本側特装工場・搬入受領
C。
最終帰還・完成検査状態
境界。
C→D。
完成検査
特装設備役目終了
特装解除
白色化
D。
普通車両・帰着教育使用状態
「A→B」
ロウグが言う。
「まだ未来」
「現在の日本側では」
「B→Cも未来」
「はい」
「C→Dも未来」
「はい」
なのに。
B。
現在。
水車町。
走り終えている。
時系列。
まっすぐ。
ではない。
でも。
記録境界。
一つずつ。
なら。
追える。
*
一番。
重要。
B→C
雪板。
満タン便。
日本側工場へ。
運ぶ。
工場。
搬入。
受領。
そこで。
車両保管責任。
移る。
雪板。
車両帰還役。
終わる。
「Cは」
ロウグが尋ねる。
「工場が受け取った瞬間から?」
日本側。
照会。
車歴C開始――搬入受領完了時
明確。
「完成検査が終わってからではない」
「はい」
C。
は。
“完成検査後”。
ではない。
帰って。
工場責任へ。
移った状態。
その中で。
検査。
修理。
比較。
行う。
*
「ならBの終了は?」
車歴B終了――搬入受領完了時
同じ。
時点。
B終了
C開始
一つの。
受領。
境界。
これなら。
空白。
ない。
しかし。
二人。
いる。
雪板。
渡す。
工場。
受ける。
どちらか。
片方だけ。
記録。
残らなければ。
境界。
弱い。
だから。
B終了確認――車両帰還担当
C開始確認――工場搬入受領担当
二者。
別。
「ロウグさんは?」
サーラ。
「その場では何もしません」
誠司が答える。
後から。
両方の。
原記録を読む。
一致。
確認。
する。
境界事象確認――ロウグ候補
第三者。
だが。
判定。
内容。
“雪板が正しい”。
“工場が正しい”。
ではない。
二つの記録が同じ受領事象を指しているか
それだけ。
*
次。
AとC。
物理比較。
ここ。
ロウグ。
触れない。
A固定記録
C出発固定記録
C搬入記録
工場。
比較。
結果。
仮に。
同一物理車両――不成立
となった場合。
ロウグの。
車歴連続票。
どうなる。
誠司。
試験票。
二案。
作る。
案一。
A→B→C→D
全部。
一本線。
これは。
危険。
物理同一。
否定。
されたのに。
同じ車。
として。
押し通す。
案二。
A→特装工程記録
B――満タン便運用個体
B→C――最終帰還
C→D――返着個体から普通車状態へ移行
Aとの。
物理同一。
未成立/別判定
それでも。
特装工程。
運行工程。
返却工程。
の。
記録関係。
追える。
「枝分かれ」
ロウグが言う。
「はい」
履歴は。
一本線。
とは。
限らない。
*
エレナが。
図を。
描く。
A。
左。
B。
中央。
C。
右。
D。
その間。
矢印。
でも。
AとBの。
物理同一。
確定しなければ。
矢印。
種類。
変える。
車両実体継承
運行記録継承
名称継承
管理番号継承
全部。
別。
「名前も」
ロウグ。
見る。
満タン便。
車両名。
M-001。
日本側。
最終受領。
そこで。
運用車両名として。
終了。
しかし。
満タン便配送網
名前。
水車町へ。
残る。
D。
普通の白い車。
車両名――満タン便ではない
でも。
履歴。
満タン便。
消さない。
「名前が終わっても」
サーラが言う。
「履歴は続く」
「はい」
*
ここで。
ロウグが。
質問した。
「俺が日本側へ行く必要は?」
誠司は。
条件を。
見る。
日本側への本人移動手段が確保されている。
「あります」
「でも」
ロウグが続ける。
「複写なら水車町でも読めます」
その通り。
未来側。
理由。
照会。
車歴移管確認では、
C完成検査後に作成される原記録と、
D状態開始時の原記録を同時確認する必要がある。
原記録は日本側特装工場保管。
「遠隔は?」
複写照合――可
最終移管確認――原記録対面確認を推奨
「推奨」
誠司が。
そこを見る。
必須。
ではない。
「なら」
ロウグが言う。
「行かなければいけない仕事ではない」
「はい」
ここ。
大きい。
未来に。
日本側移動手段が。
確保。
されている。
だから。
日本へ。
行く。
ではない。
原記録。
水車町側へ。
安全に。
送れる。
可能性も。
ある。
ただ。
工場。
保管義務。
ある。
だから。
その時。
どちらが。
安全で。
負担。
少ないか。
決める。
*
日本側。
追加。
原記録の工場外搬出――原則不可。
水車町側確認者の普通人員訪問――可能。
「なら」
ロウグが言う。
「行く方が現実的ですね」
「まだ未来の話です」
「はい」
「行くなら普通人員です」
「役目付きで転送しない?」
「日本に到着してから、本人が車歴確認役を受任します」
ロウグ。
少し。
笑う。
「最近そればかりですね」
「必要なので」
水車町。
出発。
普通人員
日本側。
到着。
役目なし
工場。
休息。
本人。
そこで。
まだ。
やる。
と。
言えば。
車歴移管確認
受任。
終わったら。
役目。
終了。
普通人員。
水車町。
帰る。
「帰ってきたら」
ロウグが。
尋ねる。
「俺の配送帳面の役目は?」
そこ。
止まる。
現在。
ロウグ。
後継配送帳面。
初回受領者。
継続確認。
重要。
水車町を。
留守。
できるか。
「今のままでは」
誠司が言う。
「駄目です」
ロウグが。
頷く。
予想。
していた。
*
一人。
記録。
分かる人。
日本へ。
行く。
その間。
水車町の。
記録が。
止まる。
では。
意味。
ない。
「俺がいない日に」
ロウグが言う。
「配送網が続かないなら、俺は日本へ行くべきじゃない」
「はい」
次の。
改善。
見える。
記録担当不在運用
ロウグ本人が。
言う。
「先に、それを作りましょう」
「役目受けます?」
「車歴確認はまだです」
「はい」
「不在運用の整備は、今の自分の仕事としてやります」
それなら。
現在の。
配送帳面継続確認。
の範囲。
本人。
受任。
済み。
新しい未来役。
ではない。
*
配送帳面。
現在。
ロウグしか。
分からない作業。
洗い出す。
一。
始発照会。
難しい文章。
読む。
二。
配送帳面。
異常表示。
分類。
三。
原記録。
索引。
四。
未来記録。
現在手順への。
混入。
防止。
五。
本人限定。
情報。
閲覧。
権限管理。
「多いですね」
サーラが言う。
ロウグ。
ため息。
「俺もそう思います」
誠司が。
見る。
「抱えすぎましたね」
「田村さんに言われたくないです」
ガランが。
吹き出す。
*
全部。
代わりの一人。
育てる。
ではない。
また。
分ける。
普通記録。
サーラ。
できる。
車両記録。
ガラン。
読める。
古記録。
エレナ。
強い。
本人限定。
運行安全受付。
二名制。
始発照会。
難読。
ここ。
ロウグ。
必要。
でも。
照会。
全部。
即答。
要らない。
ロウグ。
不在なら。
難読照会――保留
緊急。
安全。
人命。
の場合。
現在読める範囲。
優先。
それでも。
足りなければ。
通信。
ロウグ。
呼ぶ。
「日本にいたら」
サーラが言う。
「通信できる?」
世界間照会――可
ただし。
本人。
休息中。
役目なし。
なら。
呼ばない。
「役目確認の時間だけ」
誠司が言う。
「必要なら当番時間を決める」
日本旅行中。
二十四時間。
水車町の。
質問係。
にしない。
*
簡易試験。
翌運行日。
ロウグ。
配送所。
入らない。
満宿。
読書。
一日。
「休み?」
「試験です」
「役目なし?」
「現在の記録担当役はあります。ただ今日は不在運用試験のため非当番です」
ここ。
厳密。
役目。
消した。
わけではない。
当番。
ではない。
緊急呼出。
基準。
設定。
人命
重大安全
系統停止
だけ。
普通の。
難読。
翌日。
待てる。
保留。
*
朝。
東方。
帳面。
一件。
受取個数差異――一
サーラ。
処理。
現物。
再確認。
荷物。
修理品。
別棚。
以前と。
同じ種類。
解決。
ロウグ。
呼ばない。
昼。
古い標柱。
文字。
エレナ。
読める。
処理。
午後。
始発照会。
一件。
車歴D・境界原簿参照要求
難しい。
緊急。
なし。
保留。
ロウグ不在につき次運行日確認
正常。
誰も。
困らない。
夕方。
本人限定照会。
届く。
対象。
高瀬。
でも。
緊急。
なし。
安全受付。
封。
保持。
本人。
翌日。
確認。
可能。
「止まらない」
サーラが言う。
「遅くなるものはあります」
誠司が答える。
「それでいいです」
全部。
即答。
することと。
続く。
こと。
同じではない。
*
翌朝。
ロウグ。
戻る。
保留。
三件。
確認。
一時間。
全部。
解消。
記録担当不在運用――一日成立
配送停止――なし
安全支障――なし
保留案件――三
翌日解消――三
ロウグが。
記録を見る。
「日本へ行けますね」
「行く必要が出たら」
「はい」
また。
順番。
そこ。
*
これで。
未来の。
車歴移管確認。
説明。
十分。
ロウグへ。
正式。
本人限定票。
K2D-0713車歴移管確認候補
役割
A・B・C・Dの記録境界を確認し、未確認事項を未確認のまま引き継ぐ。
行わないこと
一、物理同一車両の最終判定
二、機械検査
三、車両運転
四、SR-02訓練可否判定
五、車両所有権判断
日本側訪問――必要時のみ普通人員として実施
帰着――水車町普通人員受入口
辞退――可
「これなら」
ロウグが。
読む。
長い。
時間。
「今、受けても実施はかなり先ですね」
「はい」
C。
まだ。
ない。
D。
もっと。
先。
SR-01第零試験。
雪板。
まだ。
受任すら。
していない。
SR-02。
その後。
「予約だけ?」
「できます」
ロウグ。
考える。
「候補のままで」
「はい」
「原記録が揃った時に、もう一度聞いてください」
誠司。
頷く。
ロウグ
車歴移管確認――現時点受任なし
再照会条件――A・B・C・D原記録成立後
未来。
決めない。
*
その登録で。
車歴D。
移管工程。
少し。
開く。
K2D-0713・車歴D
SR-01第零試験終了
↓
車歴移管確認
↓
SR-02教習車受領
SR-02。
第一受講。
小川健太郎
ここ。
変わらない。
「車歴Dの開始時点」
エレナが言う。
「完成検査後ですよね」
はい。
「初走行は?」
何気ない。
確認。
だった。
工場。
特装解除。
白。
戻る。
車歴D。
開始。
その後。
SR-01第零試験。
雪板。
運転。
さらに。
SR-02。
小川。
訓練。
なら。
走行履歴。
つながる。
表示。
車歴D開始時
走行距離――0km
ガランが。
頷く。
「状態Dとして数え直すんだな」
物理総走行距離。
ではない。
D状態。
運行距離。
状態別距離――0km
次。
SR-01第零試験開始時
状態別距離――17km
全員。
止まる。
「十七?」
ロウグが。
読む。
D。
始まる。
0。
第零試験。
始まる。
17。
間。
何か。
走っている。
*
「完成検査の走行試験?」
ガランが言う。
「それならCの間です」
誠司が答える。
車歴C。
工場搬入。
完成検査。
試験走行。
それが。
終わる。
特装解除。
D。
開始。
だから。
D開始後の。
17km。
別。
「工場構内?」
照会。
構内移動――3km
残。
14。
公道走行――14km
「誰が?」
運行者――未登録
サーラが。
眉を寄せる。
「また未登録」
誠司。
すぐ。
行方不明。
事故。
扱い。
しない。
まず。
状態。
車両帰着――完了
事故――なし
違反――なし
車両異常――なし
人員異常――なし
正常。
走った。
14km。
誰かが。
白いDを。
工場外へ。
出して。
戻している。
「何の便?」
表示。
配送便――いいえ
教習便――いいえ
検査便――いいえ
回送便――いいえ
ガラン。
首を傾げる。
「じゃあ何だ」
一番下。
運行区分――普通使用
「普通?」
満タン便。
だった車。
特装。
終わる。
白い。
普通の車。
その最初の17km。
荷物。
なし。
教習。
なし。
検査。
なし。
回送。
でもない。
ただ。
普通に。
走った。
目的欄。
本人私用――一件
部屋が。
静かになる。
「私用?」
ロウグ。
読み返す。
K2D-0713・車歴D
初回普通使用
走行距離――17km
用途――本人私用
運行者――未登録
所有者。
勤務命令。
配送。
全部。
関係なし。
誰かが。
満タン便としての役目を。
完全に終えた白い車を。
ただ。
自分の用事で。
十四キロ。
公道へ。
走らせ。
三キロ。
構内を。
移動させ。
戻した。
そのあと。
初めて。
SR-01第零試験の。
教習車になる。
最後。
私用時積荷――一
「何を載せた?」
個人物一個
内容。
非開示
目的地。
日本側生活拠点
誰かが。
白くなったK2D-0713で。
仕事でも。
試験でも。
配送でもなく。
自分の荷物を一つ載せ。
自分の生活拠点まで。
行って。
戻っている。
その十七キロだけが。
車歴Dの。
最初の走行だった。
そして。
その運転者の名前は。
まだ。
どの役目欄にも。
登録されていなかった。
ロウグに表示された将来の役目は、「K2D-0713が絶対に同じ一台である」と証明することではありませんでした。
今回、水車町では、
物理同一と、
車歴連続
を明確に分けています。
ロウグが将来確認するのは、
AからB。
BからC。
CからD。
それぞれの状態変化に、引渡し・受領・改造・返却などの原記録があり、途中の未確認事項が勝手に埋められていないことです。
仮に最終工場比較で「AとCは同一物理車両とは確認できない」という結果になっても、その結果をそのまま残した状態で車歴を引き継げます。
ロウグ自身は、この役目をまだ受任していません。
A・B・C・Dの原記録がすべて成立した時点で、もう一度本人確認を受けることを希望しています。
また、日本側へ確認に行く可能性に備え、ロウグが一日不在でも水車町の記録業務が止まらない運用試験を実施。
通常記録、車両記録、古記録、本人限定記録を分担し、難読だが緊急ではない照会は翌日へ保留することで、配送網は問題なく継続できました。
そして新たに判明したことがあります。
白い車歴Dは、SR-01第零試験で使われる前に。
すでに17km走っています。
そのうち公道走行は14km。
配送でも。
検査でも。
教習でも。
回送でもありません。
記録上の用途は――
本人私用。
誰かが、満タン便としての役目を完全に終えた白いK2D-0713へ個人の荷物を一つ載せ。
自分の生活拠点まで、ただ普通に走って戻っています。
その人物の名前は。
まだ登録されていません。




