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毎朝満タンになる補充トラックで異世界配送を始めました  作者: たむ


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129/156

第129話 次の鍵を渡さない立会

満タン便の初回納車運転者候補は、現在、日本側特装工場で二つの役目を持っています。

K2D-0713車歴A保管担当

日本側人員帰着当番


本人は、赤い満タン便――車歴Cが工場へ戻ってくるまでは、その仕事を続けたいと希望しました。

そして車を受け取ったあと。

二つの役目を後任へ渡し。

何の役目も持たない状態になってから。

初回納車便を引き受けるかどうか、改めて決める。

その引継ぎを水車町側から見届ける候補として、田村誠司の名前が表示されています。

立会の目的は一つ。

役目を降りた人に。

その勢いのまま、次の鍵を渡さないことでした。

「立会うだけなら、引き受けます」

朝。

水車町運行安全受付所。

誠司は言った。

ロウグが。

すぐには書かない。

「“だけ”の範囲を決めましょう」

「はい」

机の上。

未来側表示。

日本側特装工場

役目引継ぎ・遠隔立会候補

田村誠司

立会目的――

「役目を降りた本人が、初回納車便を断ってもよい」ことの確認


サーラが尋ねる。

「後任の人を選ぶのは?」

「工場側です」

「引継ぎが十分か判断するのは?」

「工場側です」

「初回納車運転者に向いているかは?」

「判断しません」

「断ったら?」

「それで終了です」

ロウグが。

一つずつ。

書く。

遠隔立会人が行わないこと

一、後任者の指名

二、後任者の技能判定

三、初回納車便の受任勧告

四、未来記録を理由とした説得

五、辞退理由の要求

六、次役目の即時提示


ガランが。

最後を見る。

「六が本題だな」

「はい」

役目を。

二つ降ろした。

その瞬間。

「では次です」

と。

満タン便の鍵を。

差し出さない。

*

「でも」

若い仕分け係が言う。

「次の仕事を聞きたい本人だったら?」

「本人から言えば説明します」

誠司が答えた。

「こちらから先に出さないだけです」

仕事を。

隠すわけではない。

選択肢を。

奪うわけでもない。

ただ。

役目を降りた瞬間の人へ。

空白を。

残す。

「どのくらい?」

ガランが尋ねる。

「時間では決めません」

一時間。

一日。

三日。

固定しない。

人によって。

違う。

必要なのは。

本人が。

前の仕事から。

次の仕事へ。

自動で流されていないこと。

「なら」

ロウグが言う。

「時間ではなく、状態を確認する」

誠司が頷く。

新しい票。

役目離脱確認票


項目。

旧役目札――返却済み


鍵・記録・備品――引継ぎ済み


未処理事項――後任へ移管済み


事故・異常報告――残置なし/別記録へ移管


個人物――本人保持


旧役目からの待機義務――なし


次役目――未登録


最後。

本人状態――「現在、役目を持たない個人として扱われている」


「これを」

サーラが言う。

「立会人が確認する?」

「最後の二つだけです」

引継ぎ内容の。

専門的な正しさ。

それは。

現地担当。

誠司は。

遠くから。

全部を知ったふりをしない。

水車町側遠隔立会

確認一――旧役目が終了している

確認二――次役目が自動登録されていない

確認三――本人が辞退可能と説明されている


三つ。

それだけ。

*

「試します」

いつものように。

いきなり。

世界を越えた引継ぎへ。

使わない。

水車町乗継所。

昼当番。

今。

一人の担当者が。

二つ。

兼ねていた。

乗客到着確認


荷物一時置場確認


人員。

増えていなかった頃。

一人で。

十分だった。

でも。

固定人員受入口。

できた。

人と。

荷物。

同時に来る可能性。

高くなる。

これを。

二人へ分ける。

「私、失敗したんですか」

現在担当が尋ねる。

「いいえ」

サーラが答える。

「仕事が増えたので分けます」

役目を。

取られる。

ではない。

仕組みを。

大きくする。

一人目。

乗客到着確認。

受任。

二人目。

荷物一時置場。

受任。

旧担当。

二つの役目札。

返す。

鍵。

一個。

到着票箱。

一個。

荷物棚記録。

一冊。

それぞれ。

後任へ。

引渡し。

未処理。

なし。

「これで終わりですか」

旧担当が尋ねる。

「役目としては」

誠司が答える。

ところが。

配送帳面。

表示。

旧担当

乗継所待機――継続


サーラが。

眉を寄せる。

「待機?」

本人も。

首を傾げる。

「私、残るんですか」

詳細。

後任から問い合わせがある場合に備え、旧担当を待機状態へ移行。


ガランが。

鼻を鳴らす。

「結局、降りてないじゃねえか」

*

便利。

ではある。

引継ぎ後。

分からない。

前の人に。

聞く。

でも。

そのために。

旧担当を。

ずっと。

待機させる。

それは。

役目が。

名前を変えただけ。

誠司は。

待機を。

二つに分けた。

業務待機


と。

照会可能


業務待機。

その場に。

いる必要がある。

呼ばれたら。

応じる義務。

役目。

照会可能。

本人が。

希望する場合だけ。

後日。

質問を受けてもよい。

断れる。

居場所。

自由。

役目ではない。

「どちらにしますか」

旧担当へ。

尋ねる。

「もう帰りたいです」

「では、照会可能にもしますか」

「明日の昼までなら」

本人が。

選ぶ。

引継ぎ後照会

本人任意対応――明日昼まで

応答義務――なし

所在拘束――なし


表示。

乗継所待機――解除


現在役目――なし


旧担当。

自分の個人札だけ。

持つ。

「じゃあ、行っていいんですか」

「はい」

「食堂に行きます」

「どうぞ」

本当に。

行った。

サーラが。

後ろ姿を見る。

「簡単ですね」

「簡単じゃなかったから」

誠司が言う。

「今、書きました」

*

一時間後。

新しい荷物一時置場担当が。

記録棚の。

古い番号について。

分からない。

「前の人を呼びます?」

若い仕分け係。

「まず記録を見ます」

索引。

ある。

番号。

解決。

前の人。

呼ばない。

「聞けば早いのに」

「毎回それをやると」

ロウグが言う。

「前の人が永遠に仕事を降りられません」

後任が。

記録で。

仕事を続けられる。

それも。

良い引継ぎ。

だった。

*

午後。

役目離脱確認票。

改訂。

引継ぎ後照会について

旧担当者を自動的に待機扱いしない。

照会可能とする場合も、本人同意・期間・応答義務の有無を明記する。


さらに。

次役目提示

旧役目終了確認前――禁止

旧役目終了直後――本人希望がなければ提示しない


「直後って」

ロウグが言う。

「どこまで?」

「だから時間では書きません」

本人が次役目の説明を希望した時点で解除。


「本人発信」

サーラが言う。

「はい」

先に。

「次があります」

と言わない。

本人が。

「次の話を聞きたい」

と言ったら。

出す。

*

日本側特装工場へ。

改訂案。

送信。

車歴A保管担当および日本側人員帰着当番の引継ぎ時、

水車町では以下を立会条件とする。

旧役目終了後の自動待機を行わない。

旧担当への後日照会は本人任意。

初回納車便の説明は、本人から希望があるまで提示しない。


返答。

採用可能。


さらに。

工場側から。

追加。

後任選定についても、二役を一名へ再集約しない方針を推奨。


「向こうも分ける」

ガランが言う。

車歴A保管担当。

後任。

一人。

人員帰着当番。

後任。

別人。

元の候補者が。

二つやっていたから。

後任も。

二つやる。

にはしない。

K2D-0713車歴管理――車両系統


人員帰着受入――人員系統


二つ。

分離。

「仕事を引き継ぐとき」

エレナが言う。

「前の人の形まで引き継がなくていい」

「はい」

昔。

一人でやっていた。

それが。

正しい分担だったとは。

限らない。

*

誠司は。

自分の遠隔立会票を。

もう一度読む。

遠隔立会予約

対象――日本側特装工場役目引継ぎ

立会人候補――田村誠司


「予約?」

ロウグが尋ねる。

「今、役目として持ちたくありません」

第一最終帰還便。

帰還基準者。

通常運行。

誠司は。

すでに。

複数。

抱えている。

未来のある一日。

数分の立会。

それを。

今から。

毎日の役目札へ。

載せない。

「先行救援予約と同じ考え方?」

「近いです」

条件が。

成立したときだけ。

本人へ。

確認。

その時。

改めて。

受けるか。

断るか。

今。

できるのは。

立会要請を受ける予約


そこまで。

「未来記録では田村さん」

「それでも、その日に断れます」

予約票。

条件成立

一、車歴C搬入受領完了

二、二役の後任受任完了

三、現担当本人が引継ぎ実施を希望

四、水車町側通信正常

条件成立時――田村誠司へ立会依頼

本人辞退――可

辞退時――別立会人を選定


誠司。

印。

遠隔立会依頼予約――受理


現在の役目。

増えない。

田村誠司

現在役目変更――なし


「それなら」

サーラが言う。

「いいですね」

誠司も。

頷いた。

*

その登録で。

日本側工場の。

引継ぎ工程が。

少し。

開いた。

車歴C搬入受領後

第一工程――車歴A保管担当引継ぎ


第二工程――日本側人員帰着当番引継ぎ


第三工程――旧担当・役目離脱確認


第四工程――無役目状態


第五工程――本人希望待ち


以前。

第五。

初回納車便説明


だったものが。

変わっている。

本人希望待ち


「改善が入った」

ロウグが言う。

水車町で。

今。

追加した手順。

未来工程へ。

反映された。

そして。

本人希望がない場合

初回納車便――別候補選定へ移行


「ちゃんと」

雪板が言う。

「断った後も道がある」

「はい」

この人が。

やらない。

なら。

満タン便の初回納車が。

消える。

ではない。

別候補。

探す。

未来記録。

一つ。

あるから。

そこへ。

人を押し込まない。

*

第一最終帰還便。

準備。

今日も。

進む。

車両付属品。

一覧。

確認。

配送網共有物。

降ろし済み。

人員線助手席。

新規受付。

停止。

比較封印二。

予備測定。

完了。

満タン便。

通常配送。

不使用。

二日目。

配送網。

問題なし。

準備率。

二十三パーセント


「一日で四」

ガランが言う。

「率を上げることが目的じゃありません」

「分かってる」

「本当に?」

「分かってるって」

*

夕方。

固定人員受入口。

試用点検。

サーラ。

今日。

利用。

なし。

水。

交換。

遮断具。

正常。

乗客票箱。

確認。

0000原票――安全保管

第一最終帰還便付帯予定


若い仕分け係が。

尋ねる。

「普通の乗客、次は誰が来るんでしょうね」

「希望がある人です」

誠司が答えた。

「募集は?」

「まだしません」

運賃。

貨幣。

宿泊。

人数。

滞在規則。

整備。

途中。

だから。

今は。

必要な一件ずつ。

急いで。

人を増やさない。

*

夜。

日本側工場から。

本人限定返答。

初回納車運転者候補。

役目離脱手順――確認しました。


次。

「引継ぎ後照会を任意にする」ことに同意します。


「初回納車説明を自動提示しない」ことに同意します。


そして。

一行。

役目を降りた後、一度だけ希望があります。


誠司が。

表示を見る。

まだ。

初回納車受任ではない。

初回納車便を判断する前に、普通人員訪問を希望します。


サーラが。

顔を上げた。

行き先。

水車町乗継所


「水車町へ?」

ロウグが読む。

区分。

普通訪問


役目。

なし


業務目的。

なし


車両M-001関連作業。

なし


視察。

なし


初回納車説明。

訪問中は実施しないことを希望


雪板が。

小さく笑った。

「徹底してますね」

「はい」

仕事で。

来る。

ではない。

候補者として。

来る。

でもない。

ただの人として。

水車町へ。

来たい。

理由欄。

任意。

本人は。

書いていた。

「車を届ける場所にするかもしれないので、

仕事になる前に、一度そこへ行ってみたいです。」


誠司は。

長く。

その文を見る。

正しい。

と思った。

行ったこともない場所。

記録。

地図。

未来結果。

それだけを見て。

仕事として。

引き受ける。

必要はない。

一度。

ただ行く。

水車を見る。

飯を食う。

泊まる。

嫌なら。

帰る。

そのあと。

決める。

*

「受け入れますか」

サーラが尋ねる。

「今すぐ決めません」

ガランが。

笑う。

「またか」

「固定人員受入口の実旅客第一号になります」

設備試験。

済み。

小川。

人員線実績。

済み。

でも。

新しい固定受入口を。

人が。

実際に使ったことは。

まだない。

「人だから」

誠司が言う。

「試験台にはしません」

本人が。

訪問を希望している。

その希望と。

設備側の準備。

両方。

確認する。

宿。

満宿。

空き。

あり。

食事。

あり。

貨幣。

問題。

ある。

小川のときと同じ。

第一号固定旅客。

試用便。

基本宿泊。

配送網負担。

買物。

別。

滞在。

本人希望。

一泊


帰路。

日本側特装工場


代替帰路。

固定人員線停止時――満宿延泊可


本人。

了承。

「なら」

誠司が言う。

「受入準備を作ります」

*

その夜。

配送帳面が。

静かに開いた。

第一配送記録・引継ぎ第二便

工場で。

一人の担当者が。

二つの役目を降りた。


三浦直人の。

記録。

白い車の保管。

帰ってくる人の受入。

どちらも。

長く、その人がやっていた。


後任。

二人。

決まる。

鍵。

渡す。

記録。

渡す。

当番札。

返す。

私は。

その人へ、満タン便の鍵を見せた。


誠司の手が。

止まる。

「次の仕事があります」


担当者は。

鍵を見なかった。

「まだ渡さないでください」


直人。

聞く。

「でも、あなたしか条件に合いません」


「今までの役目を降りたばかりです」


「説明だけでも」


「それも、まだです」


一行。

空く。

「役目を二つ降ろした直後に。

三つ目を選びたくありません」


直人は。

何も言えなかった。

しばらくして。

その人は私へ言った。


「水車町へ行けますか」


私は言った。

「満タン便で?」


「いいえ」


「仕事で?」


「いいえ」


「では、何をしに?」


担当者。

答えた。

「何もしに」


そして。

「一度。

あそこへ、客として行きたいです」


第一配送記録。

そこで。

終わる。

*

現在の帳面。

新しい人員票が。

開いた。

水車町固定人員受入口

実旅客第一号・事前票


出発。

日本側特装工場


到着。

水車町乗継所


区分。

普通訪問


役目。

なし


滞在。

一泊希望


初回納車便。

判断保留


本人呼称。

非表示


名前。

まだ。

開かない。

それは。

いい。

普通の乗客として来るなら。

本人が。

名乗りたい時でいい。

しかし。

票の一番下。

水車町側で。

まだ登録していない項目が。

すでに一つあった。

訪問中の立寄希望――一件


場所。

水車町車両返却所


ロウグが。

眉を寄せる。

「満タン便を見る?」

詳細。

車両M-001見学――希望なし


「じゃあ、何を?」

立寄目的。

「空いている駐車場所を見たい」


誰も。

すぐには。

意味が分からなかった。

満タン便を。

見るのではない。

赤い車が。

今いる場所でもない。

車両返却所にある。

空いている一台分の場所。

それを。

見たい。

さらに。

未来側補足。

指定駐車枠――零番


水車町車両返却所に。

現在。

零番という駐車枠は。

存在しない。

一番。

二番。

修理待ち。

仮置き。

それだけ。

なのに。

日本側の。

名前もまだ知らない一人の訪問者は。

水車町へ普通の客として来たとき。

存在しない。

「駐車枠零番」

を見たいと希望していた。

田村誠司は、日本側特装工場で行われる将来の役目引継ぎについて、「立会人」として今すぐ役目を抱えるのではなく、条件成立時に改めて本人確認を受ける遠隔立会依頼予約だけを受理しました。

立会の範囲も限定されています。

後任を選ばない。

初回納車便を勧めない。

未来記録を理由に説得しない。

ただ、

古い役目が終わったこと。

次の役目が自動登録されていないこと。

本人が断れると説明されていること。

だけを確認します。

また水車町の引継ぎ試験から、「旧担当を問い合わせのため自動的に待機させる」ことも、実質的に役目を残す行為だと判明しました。

今後は、引継ぎ後の照会も本人任意。

役目を降りた人へ、すぐ次の鍵を渡しません。

そして日本側の初回納車運転者候補は、二つの現在役目を降りたあと、初回納車便を決める前に――普通の乗客として水車町を一度訪れたいと希望しました。

固定人員受入口を使う、最初の実旅客になる予定です。

ただし、その人物が水車町で見たいものは満タン便ではありません。

希望しているのは、水車町車両返却所にあるという――

「駐車枠零番」

現在の水車町には、まだ存在しない駐車枠です。

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