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毎朝満タンになる補充トラックで異世界配送を始めました  作者: たむ


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123/156

第123話 原鍵の帰り道

SR-01を最初に設定する人物は、三浦直人。


しかし、その設定はまだ行われていません。


予定されているのは、


満タン便を日本側工場へ返し。


水車町配送帳面原本まで第二最終帰還便で返却した、その後。


そこでSR-01を設定し、原鍵を事故前日の田村誠司へ発送する。


ところが、その原鍵は――すでに現在の水車町にあります。


事故前日の誠司が受け取り。


小川健太郎へ預け。


小川が普通の乗客として水車町へ持ってきたからです。


ならば。


未来から過去へ送る前に。


この原鍵は、まず現在の水車町から未来の日本側工場へ届かなければなりません。


誠司たちは、「誰が過去へ送るのか」を探す前に。


一本の鍵が通るべき道そのものを整理します。

「発送者を探すのは、あとです」


朝。


水車町運行安全受付所。


机の上。


SR-01原鍵。


ただし。


直接ではない。


安全保管箱。


箱の中。


封印袋。


さらに。


柔らかい布。


一本の。


暗い銀色の鍵。


SR-01

ORG


ロウグが。


昨日の記録を開いている。


SR-01初回設定完了後

原鍵発送――一件


発送先――日本側始発配送所

受取人――田村誠司

発送時点――田村誠司事故前日


原鍵発送者――未登録


「送り主が分かれば」


ロウグが言う。


「かなり先まで見えそうですが」


「その前に」


誠司は。


現在地を書く。


SR-01原鍵

現在地――水車町


次。


未来の使用地点。


SR-01初回設定

使用地点――日本側特装工場


「ここが抜けています」


水車町。


現在。


原鍵。


ある。


未来。


日本側工場。


原鍵。


必要。


さらに。


そのあと。


過去の日本。


誠司へ送る。


「つまり」


サーラが言う。


「過去へ送る前に、一度未来へ返さないといけない」


「はい」


ガランが。


腕を組む。


「妙な荷物だな」


「道順だけ見れば」


誠司は答えた。


「普通です」


現在地から。


次の使用地点へ。


運ぶ。


そのあと。


さらに別の宛先へ。


ただ。


二つ目の宛先が。


時間的に前にあるだけ。


「一つずつ処理します」


*


原鍵の。


既知履歴。


ロウグが。


順番ではなく。


確認できている地点ごとに。


紙へ並べた。


地点A

日本側始発配送所・事故前日


田村誠司――受領


地点B

同日


田村誠司→小川健太郎

個人預託


地点C

現在


小川健太郎→田村誠司

水車町で返却


地点D

将来


日本側特装工場

SR-01初回設定に使用


地点E

将来の設定後


日本側特装工場→事故前日の田村誠司

原鍵発送


「並べると」


エレナが言う。


「CからDが未登録」


「はい」


そこを。


埋めなければならない。


「第二最終帰還便?」


サーラが尋ねる。


満タン便の。


第一最終帰還便。


車そのもの。


日本側工場へ。


そのあと。


水車町配送帳面原本。


第二最終帰還便。


始発線経由で。


工場へ。


人員同行。


不要。


「可能性は高いです」


誠司は答えた。


「でも勝手に載せません」


現在。


第二最終帰還便の正式積荷は。


水車町配送帳面原本


原鍵は。


書かれていない。


一本くらい。


帳面の箱へ。


入れてしまえば。


届く。


それが。


一番危ない。


「なぜ?」


若い仕分け係が尋ねる。


「記録にない荷物になるからです」


紛失。


誰の責任か。


分からない。


帳面だけ受領。


鍵なし。


それでも。


外箱が未開封なら。


工場側は。


“全部届いた”と思うかもしれない。


「同梱するなら」


サーラが言う。


「同梱する荷物として登録する」


「はい」


*


始発照会口。


水車町権限物照会第一号


SR-01原鍵について。


現在、水車町で保管中。


将来のSR-01初回設定時、日本側特装工場で原鍵が必要と表示されている。


現在地点から日本側特装工場までの正式輸送経路を回答願います。


追記。


水車町配送帳面原本への無記録同梱は行わない。


送信。


*


返事を待つ間。


誠司たちは。


原鍵を。


どう扱うか整理した。


「これ、鍵ではあるんですよね」


ガランが言う。


「でも扉は開けない」


「はい」


SR-01。


帰着受入系統。


権限。


受入拠点変更。


後継系統。


旧系統閉鎖。


それを。


操作する。


「なら、普通の鍵箱に入れておくのも違うな」


ガランが言う。


車両鍵。


倉庫鍵。


宿鍵。


そうした。


物理鍵と。


混ざれば。


用途を誤る。


新しい分類。


権限物


ロウグが書く。


権限物


物理設備を直接開閉するためではなく、

系統・契約・管理権限を変更するための物品。


現在。


SR-01原鍵。


一件。


「これから増える?」


若い仕分け係が尋ねる。


「増えないほうが楽ですが」


誠司は答えた。


でも。


役目札。


車両鍵。


二重鍵。


封印札。


すでに。


似たものはある。


今後。


物流網が大きくなれば。


権限だけを動かす物。


出てくるかもしれない。


「専用の返却票を作ります」


権限物返却票


権限物名称

現在保管者

現在保管場所

使用可能処理


日常運用への影響


持出中に停止する手続き

持出中も継続可能な手続き


発送先

受取人または受取組織


封印

開封条件


紛失時対応


「鍵がない間」


ロウグが言う。


「SR-01そのものは止まる?」


そこ。


重要。


原鍵。


今後。


水車町から。


日本側工場へ送れば。


手元からなくなる。


その間。


普通の帰着が。


できなくなるなら。


送る時期を。


慎重に決めなければならない。


照会。


SR-01原鍵保管地点変更中

日常帰着受入――継続可能


「通常運行には使わない」


サーラが言う。


「はい」


必要なのは。


権限変更時。


だから。


鍵を運んでいる間。


停止するのは。


SR-01受入拠点変更

SR-01閉鎖

SR-01権限分割


その三つ。


通常帰着。


教育記録。


事故報告。


継続。


「なら」


誠司は書く。


原鍵輸送中


通常帰着――継続


権限変更――凍結


“凍結”。


変えない。


それだけ。


*


ガランが。


原鍵を。


安全箱越しに見る。


「目印を付けるか」


「何を?」


「小さく水車町の印を打つ」


誠司が。


すぐ首を横に振った。


「付けません」


「取り違え防止だぞ」


「だからです」


この原鍵は。


未来の日本側工場から。


事故前日の誠司へ。


発送される。


事故前日。


誠司が。


受け取った鍵。


今。


ここにある鍵。


同じ。


もし。


現在。


水車町印を刻めば。


その印も。


未来の工場へ行き。


過去の誠司へ送られる可能性がある。


「事故前日の俺が」


誠司が言う。


「水車町の印が付いた鍵を見ていないなら」


記録。


変わる。


「覚えてないんだろ?」


「覚えていないからこそ」


書かれていないことを。


勝手に増やさない。


現在の鍵へ。


永久的な加工。


しない。


「識別は?」


サーラが尋ねる。


「外装で」


原鍵本体。


無加工。


外袋。


水車町側管理番号。


権限物一号


封。


記録。


写真の代わりに。


エレナが。


形状図。


傷。


寸法。


刻印。


写す。


「袋は未来で外す?」


「必要なら」


本体に。


追加履歴を残さない。


*


昼。


始発照会口。


返事。


SR-01原鍵

現在地点→日本側特装工場

正式輸送経路


一。


水車町にて保管継続


二。


第二最終帰還便発送時、水車町配送帳面原本と同一便に登録


「やっぱり」


ロウグが言う。


しかし。


続き。


同梱ではなく、別個口として扱うこと。


誠司が頷く。


帳面。


一個。


原鍵。


一個。


同じ便。


別の荷物。


第二最終帰還便


主荷――水車町配送帳面原本


付帯権限物――SR-01原鍵


「副荷じゃない?」


ガランが言う。


「権限物は積荷分類を分けるみたいです」


続く。


帳面原本受領と原鍵受領を別々に確認すること。


一方のみ受領の場合、第二最終帰還便全体を完了として扱わない。


「これが大事」


サーラが言う。


帳面だけ。


届いた。


鍵。


紛失。


そこで。


完了にしない。


逆も。


同じ。


工場受領後

SR-01原鍵――初回設定区画へ移送


水車町配送帳面原本――記録照合区画へ移送


同じ工場内でも。


別。


用途。


違う。


*


返答の。


最後。


SR-01初回設定完了後

原鍵は事故前日の田村誠司へ始発線発送。


既知。


その下。


発送前に、水車町付帯封印を解除。

原鍵本体を加工・再刻印しないこと。


「同じ判断ですね」


エレナが言う。


「よかったです」


さらに。


原鍵発送後、水車町側へ同一原鍵が再到着するまで、権限物一号は「循環中」と記録。


「再到着?」


ロウグが言う。


今。


到着している。


未来で。


日本側から。


過去へ発送。


事故前日。


誠司。


小川。


そして。


小川が。


現在の水車町へ。


持ってくる。


「一周」


エレナが言った。


鍵自身の道。


水車町

↓

日本側特装工場

↓

事故前日の日本側始発配送所

↓

小川健太郎保管

↓

水車町


輪。


「だから」


誠司が言う。


「紛失させたら困る」


替えがあるとは。


思わないほうがいい。


*


原鍵。


輸送履歴票。


新しい名称。


ロウグが。


少し迷ってから書いた。


循環権限物票


誠司が。


首を横に振る。


「分かりにくいです」


「では」


原鍵運行票


「それで」


難しいものほど。


名前まで。


難しくしない。


項目。


現在区間

水車町保管中


次。


次区間

水車町→日本側特装工場

第二最終帰還便


次。


次々区間

日本側特装工場→事故前日日本側始発配送所

始発線発送


次。


その後

田村誠司→小川健太郎→水車町


「最後の区間は」


若い仕分け係が言う。


「もう済んでる」


「この鍵にとっては」


ロウグが答える。


「これからまた通る道でもある」


「変な感じですね」


「記録は変でも」


誠司が言う。


「受渡しは一回ずつです」


未来へ。


過去へ。


考えすぎない。


誰から。


誰へ。


何を。


何個。


どんな状態で。


それだけ。


*


そこで。


一つ問題。


「第二最終帰還便まで」


サーラが言う。


「原鍵は水車町に置く?」


「はい」


「持ち主は田村さん」


「はい」


「発送時に、所有も日本側工場へ?」


誠司は。


少し考える。


原鍵。


事故前日の自分へ。


個人宛。


送られる。


だが。


用途は。


SR-01。


個人物と。


系統権限物。


二つの性格。


今。


水車町で。


所有・預かり。


田村誠司。


保管。


安全箱。


「発送時に」


誠司は答えた。


「所有は変えません」


「工場へ送るのに?」


「管理保管だけ移します」


工場は。


鍵の持ち主になるわけではない。


設定作業のため。


預かる。


所有・権利帰属――田村誠司


現在保管――水車町


第二最終帰還便後

一時保管――日本側特装工場


そのあと。


事故前日の田村誠司へ。


返る。


「自分から自分へ」


ロウグが言う。


「所有は同じまま?」


「そうなります」


保管場所だけが。


回る。


*


午後。


その方式を。


普通の物で試す。


東方補給庫。


計量器。


水車町所有。


だが。


東方で。


共同便の荷重確認に。


一か月。


貸していた。


今回。


修理校正のため。


水車町へ戻す。


所有。


水車町。


保管。


東方。


輸送中。


共同便。


到着後。


水車町修理棚。


「持ち主を毎回変えない」


サーラが言う。


「保管者だけ変える」


「はい」


計量器。


封印。


番号。


出庫。


東方。


受渡。


共同便。


水車町。


到着。


保管。


修理棚。


所有――水車町

保管――東方→共同便→水車町


所有変更――なし


正常。


同じ方式。


原鍵にも使える。


「鍵だから特別に考えすぎない」


誠司が言う。


ただし。


権限物だから。


受領確認を。


厳しくする。


*


夕方。


三浦直人へ。


原鍵の輸送計画を説明した。


役目なし。


そのまま。


説明だけ。


直人が。


図を見る。


水車町。


工場。


過去の日本。


小川。


水車町。


「これ」


「はい」


「俺がSR-01を設定するとき」


「原鍵も工場にあります」


「設定したあと」


「事故前日の俺ではなく、田村誠司へ発送されます」


直人が。


誠司を見る。


「俺が送るんですか」


「まだ分かりません」


「発送者、未登録」


「はい」


直人が。


少し考えた。


「俺が設定して」


「はい」


「俺が発送先を確認して」


「そこまでは設定役に含まれる可能性があります」


「そのまま俺が送れば、一番早い」


「だから、別にしている可能性があります」


誠司が言った。


作る人。


送る人。


同じ。


それが。


危ない場合もある。


SR-01。


人の帰る場所に関わる。


原鍵。


権限を動かせる。


「一人で全部決めない」


直人が。


静かに言った。


「はい」


第一配送者だった頃。


一人で。


判断した。


北方一号。


名前照会。


事故。


報告書改変。


その失敗。


何度も。


見てきた。


「なら」


直人が言う。


「発送者は、俺じゃないほうがいい」


「今決めなくていいです」


「希望として」


「記録します」


三浦直人


SR-01初回設定を本人が将来受任した場合でも、

原鍵発送担当との兼務を希望しない。


本人希望。


記録。


まだ。


初回設定自体。


未同意。


そこも。


変えない。


*


その記録を入れた瞬間。


SR-01。


発送条件欄が。


開いた。


原鍵発送


初回設定者との兼務――不可


直人が。


表示を見て。


少し笑う。


「希望しなくても、元々駄目だった」


「確認できました」


次。


現帰還基準者との兼務――不可


「俺も駄目」


誠司が言う。


設定者。


直人。


帰還基準者。


誠司。


二人とも。


発送できない。


さらに。


原鍵受取人との兼務――不可


受取人。


事故前日の田村誠司。


やはり。


誠司。


不可。


「じゃあ」


ロウグが言う。


「必ず第三者」


原鍵発送担当


条件

一、SR-01設定者でない

二、帰還基準者でない

三、原鍵受取人でない

四、発送時点で日本側帰着教育系統を理解している

五、始発配送所の帰着受入を一度以上経験している

六、本人受任


「かなり絞られる」


サーラが言う。


日本側。


帰着教育系統。


理解。


始発配送所で。


帰着受入経験。


「帰着当番」


ロウグが呟く。


始発照会口。


さらに。


候補照会。


ただし。


誠司は。


名前を開く前に。


候補表示は本人受任と扱わない


を付ける。


照合。


一件。


原鍵発送担当候補――一名


全員。


静かに。


待つ。


表示。


小川健太郎


誠司が。


目を閉じるように。


一度。


瞬きをした。


小川。


事故の日。


誠司の便を引き継いだ。


誠司が帰っていないことを。


未完了として覚えていた。


日本側帰着当番。


SR-02。


初回訓練対象。


そして。


事故前日。


誠司から。


原鍵を預かった人。


未来では。


その原鍵を。


事故前日の誠司へ。


発送する候補。


「一周全部にいますね」


ロウグが言う。


「だからといって」


誠司は言った。


「頼むとは決めません」


*


日本側。


小川へ。


本人限定照会。


SR-01原鍵発送担当候補として表示されています。


現在、仕事の受任依頼ではありません。


条件と将来手順の説明を希望しますか。


一、説明を希望

二、保留

三、候補辞退


送信。


小川は。


すぐには返さなかった。


日本側。


勤務中。


こちらが。


今。


知りたいから。


返事を急がせない。


夜。


水車町。


通常業務。


終わる。


満タン便。


点検。


異常なし。


後継帳面。


三十六パーセント。


雪板。


最終返却票。


読み合わせ。


直人。


休養。


澪。


名称記録の確認。


原鍵。


安全保管。


何も。


動かさない。


*


夜遅く。


からん。


小川。


返答。


二、保留。


その下。


説明は受けます。


ただし、SR-02実車教習が終わるまでは受任しません。


誠司が。


少しだけ。


口元を緩める。


小川らしい。


帰着を教える側の手順を、自分で一度終えてから判断します。


さらに。


それと、一点確認してください。


質問。


未来の自分が原鍵を送った場合。


事故前日の自分は、その鍵が届くことを知っていますか。


誠司の手が止まる。


事故前日。


小川は。


誠司から。


鍵を預かった。


未来の小川が。


その鍵を。


過去の誠司へ発送するなら。


過去の小川は。


自分が未来で送ったものを。


知らずに預かることになる。


「調べます?」


ロウグが尋ねる。


「本人の質問です」


「はい」


照会。


過去小川への情報開示。


原鍵未来発送情報

事故前日小川健太郎――通知記録あり?


返答。


なし。


「知らなかった」


サーラが言う。


過去の小川は。


ただ。


誠司から。


よく分からない鍵を。


預かった。


未来で。


自分がその鍵を。


送る候補になることも。


知らない。


追加。


事故前日小川健太郎への未来情報通知――禁止設定あり


「禁止?」


詳細。


禁止理由


原鍵発送担当本人による指定。


全員が。


表示を見る。


未来の発送担当。


まだ。


本人受任していない。


現在の小川。


でも。


記録上。


発送担当になった未来の本人が。


過去の自分へ。


知らせないように。


設定している。


「未来の小川さん」


ロウグが言う。


「自分に知らせないって決めてる」


誠司は。


小川へ。


そのまま返答する。


過去のあなたは、未来発送を知らない記録です。


また、将来の発送担当本人が、過去の自分への通知を禁止した記録があります。


現在のあなたが受任する必要はありません。


送信。


返答。


少しして。


一行。


分かりました。保留のままでお願いします。


それで終わり。


*


深夜。


配送帳面が。


静かに開いた。


第一配送記録・原鍵第一便

SR-01を設定したあと。


原鍵を、田村誠司へ送る必要があった。


私は自分で送ろうとした。


三浦直人の。


記録。


工場担当者は止めた。


「設定した人が、発送までしてはいけません」


私は言った。


「私が一番、手順を知っています」


担当者は言った。


「だからです」


直人。


昔。


何度も。


同じ言葉を聞いていた。


できる。


知っている。


だから。


全部。


自分でやる。


それを。


止めるための。


分業。


「帰る場所を作る人」


「帰る場所を決める人」


「その鍵を運ぶ人」


三人に分けてください。


続く。


私は尋ねた。


「誰に頼めばいいですか」


工場担当者は答えた。


「その鍵を、一度預かったことのある人です」


誠司の視線が。


止まる。


私は意味が分からなかった。


最後。


「未来で送る前に」


「過去で一度、その鍵を預かる人です」


第一配送記録。


終了。


現在表示。


SR-01原鍵発送担当候補


小川健太郎


本人受任――保留


ここまでは。


予想どおり。


だが。


その下。


新しい欄。


原鍵発送・受渡確認者


必要人数――二名


一名。


小川健太郎


「発送担当本人?」


ロウグが言う。


いや。


表示が訂正される。


発送担当――未確定


受渡確認者一――小川健太郎


「候補から変わった?」


実際に鍵を。


始発線へ載せる人。


それとは別に。


二人の確認者が必要。


一人目。


小川。


そして。


二人目。


ゆっくり。


表示される。


受渡確認者二――田村誠司


誠司が。


眉を寄せる。


「俺は発送担当にはなれない」


「確認者なら?」


ロウグが。


詳細を開く。


田村誠司本人


発送時点――水車町側本人確認


つまり。


未来の日本側工場へ。


誠司自身が行く必要はない。


始発線を挟んで。


水車町側から。


原鍵の発送を。


確認する。


しかし。


さらに。


その下。


原鍵発送実行条件


水車町側・田村誠司本人確認


日本側・小川健太郎確認


発送担当――第三者一名


「三人?」


サーラが言う。


直人。


設定者。


誠司。


水車町側確認。


小川。


日本側確認。


そして。


実際に発送する。


もう一人。


発送担当候補――未登録


さっきまで。


小川だと思われていた候補欄が。


役目を分けたことで。


空白になった。


最後。


条件だけが出る。


発送担当条件


SR-01設定者ではない。

帰還基準者ではない。

原鍵受取人ではない。

小川健太郎ではない。


日本側特装工場で車両M-001の最終受領に立ち会った者。


部屋が。


静かになる。


満タン便。


M-001。


日本側工場へ。


最終返却。


その受領に。


立ち会う人物。


今。


その便を運ぶことになっているのは。


雪板。


だが。


雪板は。


車両を引き渡したあと。


役目を降り。


水車町へ帰る予定。


そのほかに。


工場側で。


最終受領へ立ち会う誰かがいる。


現在。


その名前は。


まだ表示されない。


原鍵を。


事故前日の誠司へ送る人。


それは。


第三配送者でも。


第一配送者でも。


小川でもなかった。


満タン便という車を。


最後に日本側で受け取る。


まだ名前のない一人だった。

SR-01原鍵が、現在の水車町から将来の日本側工場へどう届くのかが判明しました。


原鍵は、水車町配送帳面原本を返す第二最終帰還便に、


主荷――水車町配送帳面原本

付帯権限物――SR-01原鍵


という別個口で登録されます。


帳面だけ届いても。


原鍵だけ届いても。


第二最終帰還便は完了になりません。


また、原鍵本体には水車町印などの永久加工を施さず、外装と記録だけで識別することになりました。


一本の原鍵は、


水車町 → 日本側特装工場 → 事故前日の田村誠司 → 小川健太郎 → 水車町


という循環経路を通ります。


そして、SR-01を作る三浦直人自身は原鍵を発送できません。


帰還基準者である誠司も発送担当にはなれません。


さらに記録を細かく分けた結果、小川健太郎も「発送者」ではなく、日本側の受渡確認者であることが判明しました。


実際に原鍵を始発線へ載せる発送担当は、まだ未登録です。


分かっている条件は一つ。


その人物は――


日本側特装工場で、満タン便M-001の最終受領に立ち会う者。


満タン便を最後に受け取る人物が誰なのか。


その名前は、まだ表示されていません。

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