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毎朝満タンになる補充トラックで異世界配送を始めました  作者: たむ


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124/156

第124話 車を置いて帰れる印

SR-01原鍵を、事故前日の田村誠司へ実際に発送する人物。


その条件は、


日本側特装工場で、満タン便M-001の最終受領に立ち会った者。


でした。


けれど、その人物の名前はまだ分かりません。


誠司は、先に名前を探しません。


満タン便を運ぶ雪板が、日本側工場へ到着したあと。


どの時点で。


「もうこの車を置いて帰っていい」


と言えるのか。


その受領手順のほうを、先に作ります。

「完成検査が終わるまで、雪板さんを工場に待たせません」


朝。


水車町車両返却所。


誠司は。


日本側特装工場から届いている手順を。


もう一度並べた。


満タン便。


日本側工場へ到着。


運行記録原本。


取り出し。


車体状態。


比較。


修理履歴。


確認。


特装設備。


検査。


完成仕様。


固定。


赤い塗装。


記録。


車歴D。


白色通常車へ。


復帰。


「全部やったら」


ガランが言う。


「一日じゃ終わらんだろうな」


「日本側時間でも?」


「車体全部見るならな」


しかも。


満タン便は。


ただの中古車ではない。


何度も。


異世界の道を走った。


橋。


砂。


雪。


雨。


泥。


現地修理。


後付け設備。


運行記録。


事故記録。


全部。


工場にとっては。


完成検査の材料。


「雪板さんの仕事は」


サーラが言う。


「そこまで待つことではない」


「はい」


雪板の役目。


車両帰還担当


水車町から。


日本側特装工場へ。


満タン便を。


安全に運ぶ。


工場へ。


正式に引き渡す。


そこまで。


工場が。


そのあと三時間調べるか。


三日調べるか。


それは。


工場側の仕事。


「でも」


ロウグが言う。


「どこからが工場側の責任か、印が必要です」


誠司は。


新しい紙を出した。


車両搬入受領票


ガランが。


表題を見る。


「完成受領じゃない?」


「分けます」


一。


搬入受領。


二。


完成検査受領。


「車を受け取ることと」


誠司は言った。


「その車が完成仕様として正しいと認めることは、別です」


*


試すため。


ちょうどよい車が。


西方から戻ってきていた。


共同用の水運び荷車。


水車町で。


車軸を交換したあと。


二週間。


西方第二水場で。


試用。


今日。


ガランの工房へ。


最終確認のため戻す。


運転者。


西方の若い運び手。


到着。


「全部検査が終わるまで待っていてください」


ガランが。


わざと言う。


運び手が。


空を見る。


「夕方便で戻る予定なんですが」


「車輪外して、軸受け見て、荷重掛けて……」


「何時間です?」


「二、三時間」


「それだと夕方便に間に合わないです」


これ。


満タン便でも。


同じ。


車を届けた人が。


受取側の検査時間に。


拘束される。


「では」


誠司は。


搬入受領だけを先にする。


車両番号――西方W-11


搬入地点――水車町修理場


到着時外観――確認


車輪――四

鍵――一

付属工具――二


修理履歴札――あり


運転者申告異常――なし


水車町側保管引受――可


ガラン。


受領。


印。


搬入受領――完了


その時点で。


管理責任。


西方運転者から。


水車町修理場へ。


移る。


「もう帰っていい?」


若い運び手が尋ねる。


「はい」


ただし。


後で。


整備担当から。


事実確認の問い合わせが来る可能性。


その場合。


分かる範囲で答える。


だが。


本人を。


工房へ待機させない。


乗客票。


西方行き。


夕方便。


席。


確認。


運び手。


帰る。


*


二時間後。


ガランが。


荷車の左軸に。


小さな擦れを見つけた。


「これ」


「危険ですか」


「いや」


使用範囲。


ただ。


砂が。


入りやすい位置。


西方側で。


泥除け布を。


少し短く結んでいたらしい。


「運転者を呼び戻す?」


若い仕分け係が尋ねる。


「呼び戻しません」


ガランが言う。


いつから。


擦れていたか。


確認したい。


だから。


西方へ。


照会票。


W-11


左軸外側擦れ――確認


使用中に異音・振動があったか。


夕方便。


運転者。


もう。


西方へ向かっている。


現地到着後。


回答。


異音――なし

振動――なし


五日前、泥除け布を結び直した。


十分。


整備記録へ。


原因候補。


記載。


「車を届けた人を」


誠司が言う。


「工場の都合で待たせなくても確認できます」


「重大事故なら?」


リアが尋ねる。


「別です」


運転者本人の安全。


事情確認。


緊急。


その場合は。


連絡。


しかし。


“あとで聞くかもしれない”。


というだけで。


人を拘束しない。


*


翌朝。


W-11。


整備完了。


完成検査――合格


これは。


搬入受領の。


翌日。


「受領印が二つ」


ロウグが言う。


一つ目。


この車をここで預かる。


二つ目。


この車の検査を終えた。


違う。


「満タン便も」


雪板が。


横で聞いていた。


「工場へ着いた時点で、一つ目だけもらえばいい?」


「はい」


「二つ目まで待たない」


「はい」


雪板は。


少し考える。


「それなら帰れます」


その言葉を。


誠司は。


そのまま記録した。


車両帰還担当・雪板


車両搬入受領完了後――本人帰着手続開始可


未来の。


完成検査。


SR-01。


原鍵。


白い車歴D。


そこまで。


雪板が。


工場で待つ必要はない。


*


日本側特装工場へ。


正式照会。


満タン便M-001最終返却について。


水車町では「搬入受領」と「完成検査受領」を分離する。


車両、鍵、運行記録原本、外観状態、運転者申告を工場が受け取った時点で、車両帰還担当の役目を終了可能か。


追記。


完成検査終了まで車両帰還担当を工場へ待機させないことを希望。


送信。


返答。


日本側。


早い。


運用可能。


工場側も同方式を推奨。


続く。


満タン便M-001

最終返却時受領を二段階とする。


第一。


搬入受領


車体到着

車台番号

車歴状態

主鍵

予備鍵

運行記録封印

搬入時外観

運転者申告


上記確認後、工場が車両保管責任を引き受ける。


第二。


完成検査受領


車体詳細照合

修理履歴照合

運行記録抽出

現地改善評価

特装仕様確定


工場内部工程。


「雪板さんは?」


ロウグが読む。


第一段階完了後、車両帰還担当は帰着可能。


第二段階への立会義務なし。


雪板が。


静かに頷いた。


*


さらに。


工場側から。


重要な注意。


搬入受領後に新たな不具合が判明しても、

搬入時に隠匿がなければ車両帰還担当の再拘束は行わない。


「再拘束」


サーラが言う。


「戻ってこい、としない」


分からないことがあれば。


照会。


必要なら。


本人が。


答える。


しかし。


工場が。


受け取ったあと。


見つけた傷。


摩耗。


設計問題。


それを。


届けた人へ。


背負わせない。


「ただし」


誠司は続きも読む。


故意の虚偽申告、重大異常の未申告が後から確認された場合は、安全記録として別途照会。


責任を。


消すわけではない。


受領。


イコール。


何をしても免責。


ではない。


ただ。


役目の境目を。


明確にする。


*


「じゃあ」


ガランが言う。


「誰が一個目の印を押す」


そこ。


今回の。


本題。


工場返答。


搬入受領担当――一名


完成検査担当――一名以上


最終受領立会――両系統の確認をもって成立


「一個目の人と」


ロウグが言う。


「二個目の人は別」


「はい」


満タン便を。


工場へ置いて帰れるようにするのは。


搬入受領担当。


車を。


製造上。


完成と認めるのは。


完成検査担当。


さらに。


SR-01原鍵。


未来発送担当の条件。


日本側特装工場で車両M-001の最終受領に立ち会った者


これは。


どちらを指すのか。


追加照会。


返答。


両方ではありません。


次。


原鍵発送担当候補条件における「最終受領立会」とは、

搬入受領時に車両の物理的引渡しを確認した者を指す。


「一個目」


サーラが言った。


「雪板さんが鍵を渡す相手」


「はい」


完成検査員ではない。


車を。


受け取る人。


*


誠司は。


そこで。


名前照会をしなかった。


代わりに。


役目の条件。


搬入受領担当の選任条件を回答願います。


個人名は不要。


工場。


回答。


一、K2D-0713の車台照合経験

二、車歴Aまたは同等基体車の保管経験

三、特装車両の搬入受領教育

四、権限物・封印物の受領教育

五、本人当番受任


「本人当番受任」


ロウグが。


そこへ印を付ける。


未来記録に。


誰かが写っていても。


その日の当番を。


本人が引き受けなければ。


別の人。


「固定の人じゃない」


誠司が言う。


工場側も。


受領当番制。


誰か一人が。


永遠に満タン便を待つわけではない。


「なら」


雪板が尋ねる。


「私が着く日に、その人が休みなら?」


代替受領担当――選任可


「よかった」


未来に表示される人が。


いなければ。


便が止まる。


そんな設計にはしない。


*


水車町側でも。


同じ考えを。


正式化する。


車両返却・受領原則


運転者を、受取側の内部検査終了まで拘束しない。


引渡しに必要な事実が確認された時点で、保管責任を受取側へ移す。


詳細検査は受取側の工程として実施する。


満タン便だけの。


特別手順にしない。


修理車。


借用車。


共同荷車。


全部。


使える。


ガランが。


工房の入口に。


二つの札を作った。


青。


搬入受領済


緑。


検査完了


青。


まだ。


整備中かもしれない。


でも。


届けた人は。


帰っていい。


緑。


全部。


確認済み。


一目で。


分かる。


*


午後。


雪板。


第一最終帰還便の。


引渡し練習。


実車。


満タン便。


ただし。


水車町構内。


工場役。


ガラン。


雪板。


運転者。


誠司。


記録。


主鍵。


予備鍵。


二本。


車台番号。


K2D-0713。


特装番号。


M-001。


車歴。


B。


運行記録槽。


封印。


正常。


車体。


現在傷。


右側面。


砂道の擦り傷。


北方補修。


左後輪周辺。


柔軟管。


次回交換候補。


危険。


なし。


泥よけ。


現地追加。


助手席箱。


閉。


始発照会口。


正常。


帰還線。


接続。


「搬入時申告」


ガランが言う。


雪板。


読み上げる。


「現在の運行制限なし」


「未解決」


「帰還基準者設定、完了」


「記録槽」


「九十九パーセント。最終帰還便記録待ち」


「燃料」


「最終返却必要量以上」


「個人荷物」


「降ろします」


そこ。


重要。


雪板の。


一包。


雪板。


個人札。


それは。


工場へ。


車と一緒に渡さない。


人の物。


本人へ。


残す。


「雪板」


誠司が尋ねる。


「車を渡したあと、何を持っていますか」


雪板は。


確認する。


個人札。


個人荷物。


帰着票。


それだけ。


満タン便の鍵。


ない。


役目札。


車両帰還。


引渡し時点で。


終了。


「帰る便は?」


「人員帰還線」


「工場が完成検査中でも?」


「帰ります」


「問題が見つかったら?」


「照会を受けます。工場には残りません」


「受領不能なら?」


「工場待機区画。長期なら、車両ごと水車町へ返送可能」


誠司が頷く。


完了。


最終車両引渡し模擬――合格


雪板は。


満タン便の鍵を。


ガランから。


もう一度受け取る。


今は。


まだ水車町の車。


本番ではない。


*


「一つ」


雪板が言った。


「受領担当の人と、話す必要は?」


「業務上は」


ロウグが答える。


「車両状態の確認だけ」


「名前は?」


「名乗り合うことを禁止はしません」


誠司が言う。


「でも、受領の条件ではありません」


相手の名前を。


知らなければ。


車を渡せない。


ではない。


工場側。


受領当番。


雪板側。


車両帰還担当。


役目札で。


引渡しできる。


本人同士が。


名前を話したければ。


話せばいい。


「分かりました」


雪板が言った。


役目のために。


個人名を要求しない。


それも。


今まで作ってきた手順の一つだった。


*


その日の夕方。


日本側工場へ。


最後の照会。


満タン便M-001搬入受領担当について。


現在、個人名登録は必要なし。


本番時の受領当番本人意思を優先する。


ただし、原鍵発送担当候補条件の検証のため、現在の候補者に必要な資格が存在するかだけ回答願います。


返答。


少し遅い。


条件該当者――一名あり。


「一人」


ロウグが言う。


名前。


非表示。


本人への将来役目通知――未実施


「いいですね」


サーラが言った。


未来の仕事を。


今から。


押しつけていない。


現在の役目。


表示。


日本側特装工場

K2D-0713保管担当


ガランが。


眉を上げる。


「K2D-0713?」


続き。


車歴A

白色基体車


現在保管責任者――該当者


部屋が。


静かになった。


今。


日本側工場にある。


まだ。


特装されていない。


白いK2D-0713。


満タン便になる前の車。


その車を。


現在。


保管している人。


その同じ人物が。


将来。


赤い満タン便となって。


長い運行を終え。


日本側工場へ戻ってきたK2D-0713を。


受け取る可能性がある。


「最初と最後を」


エレナが言う。


「同じ人が見る」


「候補としては」


誠司が訂正する。


まだ。


本人は。


将来役目を知らない。


本番の当番も。


未受任。


候補。


それだけ。


*


工場側の。


現在保管記録を。


必要最小限だけ。


照会する。


個人名。


不要。


車歴A。


白色K2D-0713。


保管状態。


車両――正常


特装作業――未開始


外装――白


運行距離――工場構内移動のみ


始発線設備――未装着


そして。


保管担当の。


日常確認記録。


車台番号――K2D-0713


同番号別車歴照合――あり


部品混同防止――別管理


「もう」


ガランが言う。


「車歴Bがあることを知ってる?」


工場は。


水車町との照会で。


現在。


赤い満タン便の存在を知っている。


だから。


白い車歴Aと。


部品を混ぜない。


安全第八号。


効いている。


さらに。


備考。


将来返却車歴C受領時、

車歴Aとの物理比較予定。


「二台を並べる?」


ロウグが言う。


正確には。


同じ一台の。


違う時点。


でも。


工場では。


同時に存在できる。


白いA。


赤いC。


車台番号。


同じ。


「置き場所は」


誠司が尋ねる。


返答。


同一作業区画への同時搬入禁止。


ガランが。


即座に頷いた。


「当然だ」


部品を。


間違えて。


片方から。


もう片方へ。


移したら。


どの時点の部品か。


分からなくなる。


「比較するのに、並べない?」


「記録越しに比較するんでしょう」


寸法。


傷。


部品番号。


重量。


写真に相当する工場記録。


直接。


隣へ。


置かない。


同じ車の。


別時点を。


物理的に。


混ぜない。


*


その夜。


配送帳面が。


新しいページを開いた。


第一配送記録・工場第一便

満タン便を工場へ返したとき。


私は完成検査が終わるまで待とうとした。


三浦直人の記録。


工場担当者は言った。


「車は受け取りました」


私は言った。


「まだ検査が終わっていません」


担当者は言った。


「それは、これから私たちの仕事です」


続く。


私は車のそばを離れなかった。


何か見つかったら。

私が説明しなければならないと思った。


担当者は。

私に一枚の受領票を見せた。


「鍵を受け取りました」


「車を受け取りました」


「記録を受け取りました」


「ここから先は、こちらの責任です」


直人。


それでも。


動かなかった。


担当者は言った。


「運転者が、車の検査終了まで帰れないなら」


「私たちは車を受け取ったことになりません」


一行。


空く。


私は、その意味を。

そのとき理解できなかった。


現在。


雪板は。


理解している。


車を置く。


鍵を渡す。


受領印をもらう。


役目を置く。


自分は。


帰る。


第一配送記録。


終了。


だが。


工場側の。


K2D-0713保管記録に。


新しい欄が現れた。


車歴A保管担当


車歴C最終受領立会候補――同一人物


原鍵発送担当候補条件――適合


名前。


まだ。


非表示。


その下。


車歴A・受領記録


受領日――日本側現在


差出元――日本側車両製造工程


普通。


白い基体車を。


工場内で受け取った記録。


だが。


一番下。


受領時付帯物――一件


「付帯物?」


ロウグが読む。


白い車歴A。


まだ。


満タン便になる前。


始発線設備も。


付いていない。


その車に。


すでに。


一件。


何かが付いてきている。


内容。


封印物


開封条件――車歴C最終受領後


ガランが。


顔を上げた。


現在の白いK2D-0713に。


未来の赤い満タン便が。


戻ってくるまで。


開けてはいけない物が。


すでに積まれている。


受取人。


車歴A保管担当本人


そして。


差出人。


未登録。


満タン便が。


まだ作られる前から。


工場には。


その車が帰ってきたあとでしか。


開けられない荷物が。


一つ。


待っていた。

満タン便の最終返却では、「工場に到着したこと」と「完成検査が終わること」を分ける手順が作られました。


搬入受領では、


車体。

鍵。

運行記録原本。

外観状態。

運転者申告。


を工場側が確認し、その時点で車両の保管責任が工場へ移ります。


雪板の車両帰還担当としての役目は、ここで終了。


その後の詳細な完成検査まで工場へ残る必要はありません。


これにより、


車を置く。

鍵を返す。

役目を置く。

人として水車町へ帰る。


という雪板の帰着手順が、さらに具体化しました。


また、満タン便を最終的に受け取る候補者について、名前ではなく現在の役目だけが判明しています。


その人物は現在――


日本側特装工場で、白いK2D-0713・車歴Aを保管している担当者。


満タン便になる前の白い車を受け取った人が、将来、すべての運行を終えた赤い満タン便を受け取る可能性があります。


しかし。


現在の白いK2D-0713には、すでに一件の封印物が付帯していました。


開封条件は――


「車歴C最終受領後」


満タン便がまだ作られていない時点から。


満タン便が帰ってくる日を待つ荷物が、工場に存在しています。

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