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毎朝満タンになる補充トラックで異世界配送を始めました  作者: たむ


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110/156

第110話 二度目の返却票

第三配送者候補――雪板の預かり手には、まだ引き受けた覚えのない「完了済み」の運行記録がありました。


満タン便を日本側特装工場へ返す最終帰還便。


しかも、その便は二回で一組。


一回目は満タン便そのもの。


二回目の積荷は、まだ未登録。


けれど誠司は、「未来で完了しているらしい」という記録を理由に、現在の本人へ仕事を押しつけることを認めません。


完了記録は、命令書ではないからです。

「この記録は、今日の運行実績には数えません」


朝。


水車町配送所。


誠司は配送帳面の表示を指した。


第三配送者・最終帰還便


完了回数――二回中一回


第一最終帰還便

運行者――雪板

車両引渡――完了

運転者帰着――水車町

状態――完了


昨夜から。


文字は変わっていない。


ロウグが尋ねる。


「補給網が完了と表示していても?」


「今の水車町からは、出発していません」


雪板の預かり手自身も。


引き受けていない。


返答は。


保留。


返送庫の後任も決まっていない。


「なら、今ここで“完了便一件”として扱ったら」


サーラが言う。


「本人の意思より、未来の記録を優先することになります」


「はい」


数字がある。


印もある。


未来の工場側では。


すでに受け取られたことになっている。


それでも。


現在の運行実績にはしない。


誠司は新しい区分を作った。


白。


現在運行。


青。


完了。


黄。


確認待ち。


そして。


紫。


――先行完了記録。


「完了なのに、完了ではない?」


若い仕分け係が首を傾げる。


「別の地点や時点では完了結果が確認されている。でも、今のこちら側ではまだ実行していない記録です」


紫札には。


大きく。


運行指示に使用禁止


と書く。


未来で事故が起きていない。


だから安全。


未来で届いている。


だから今すぐ出せ。


そういう使い方をしない。


「参考にはするんですよね」


エレナが尋ねた。


「はい」


未来側の完了記録には。


結果が残っている。


工場が受領できたこと。


運転者が水車町へ帰ったこと。


途中で重大な事故が記録されていないこと。


それは。


運行計画を考える資料になる。


だが。


本人の同意。


現在の天候。


今の道路状態。


現在の車両状態。


それらの代わりにはならない。


「過去の成功例と同じです」


誠司は言った。


「前に成功したから、今日も無確認で走っていいわけではありません」


未来の成功例でも。


同じだった。


*


紫札を正式に運用するため。


まず、小さな試験をした。


東方補給庫。


昨日返却した小型荷車。


水車町側では。


返却完了。


運転者も帰着済み。


青札。


だが。


東方から送られてきた保守台帳では。


車両の使用記録だけが、まだ未受領になっていた。


「荷車は帰ったのに?」


ロウグが言う。


「修理場で使っていた記録を、まだ渡していません」


ガランが修理帳を出した。


三日間。


何を運んだか。


どのくらい走ったか。


車軸受け交換後。


異音があったか。


荷重。


雨天。


泥道。


水車町側には残っている。


車体は。


すでに東方へ返却済み。


「これも、二つに分かれている」


エレナが言った。


一つ。


現物返却。


二つ。


使用記録返却。


「車だけ返っても」


ガランが言う。


「向こうは交換した車軸が、どんな使われ方をしたか分からん」


「でも記録を先に返したら」


ロウグが続ける。


「最後の帰路で異常が出た場合、その情報が抜けます」


だから。


使用記録を閉じるのは。


車両が正式に引き渡されたあと。


水車町へ運転者が帰着し。


返却時の状態まで確認してから。


「現物と記録は」


誠司が言った。


「同じ日に同時に返す必要はありません」


ただし。


一組として追えるようにする。


新しい番号。


東方車両返却・組一二


一便目――車両現物

二便目――使用記録


一便目。


完了。


二便目。


本日発送。


「二つ目が終わるまで、全体は?」


「返却処理中です」


車体そのものは。


返却済み。


だが。


貸し出した側へ必要な情報を返し終わっていない。


全体を。


完了としない。


「満タン便も、これに近い可能性があります」


サーラが言った。


「一回目で車」


「二回目で、車と一緒に返せなかった何か」


誠司が頷く。


何なのか。


それを調べる。


*


東方への二便目。


使用記録は。


通常の共同便へ載せた。


満タン便は使わない。


封。


記録番号。


受取人。


東方補給庫車両担当。


到着。


受領。


返事。


使用記録――受領

車両現物記録との照合――一致


東方小型荷車返却・組一二

全処理――完了


配送帳面。


小さく光る。


二段階返却方式――適合


一つの物を返す。


だが。


返却便が一つとは限らない。


「現物便と、記録便」


ロウグが言う。


「満タン便の二回も、この形なら説明できます」


「まだ決めません」


誠司は答えた。


小型荷車で使えた。


だから。


満タン便も同じ。


とは限らない。


日本側特装工場へ。


正式に照会する。


*


始発照会口。


今回の問い合わせは。


短い。


水車町車両照会第二号


満タン便最終帰還便について。


「二回中一回」とは何を数えるのか。


第一便と第二便の目的を分けて回答願います。


なお、未来側完了記録を現在側運行同意とは扱わない。


最後の一文。


工場側にも伝える。


雪板の預かり手は。


まだ引き受けていない。


先行完了記録があっても。


現在の本人意思確認は必要。


送信。


百パーセント。


受領待ち。


*


返答を待つ間。


誠司たちは。


満タン便の運行記録について調べた。


配送帳面には。


満タン便・運行記録原本

保管地点――車両内

状態――蓄積中


蓄積率――九十九パーセント


とある。


「車両内のどこですか」


ガランが尋ねる。


管理人が古い図面を広げる。


始発照会口。


助手席箱。


帰還線接続器。


そのほかに。


車体中央。


細長い空間。


運行記録槽


とある。


だが。


開放手順は書かれていない。


「開けません」


誠司が先に言った。


ガランが笑う。


「まだ何も言ってないぞ」


「言いそうだったので」


運行記録原本。


九十九パーセント。


満タン便の完成に必要な重要記録。


今。


無理に開ける理由はない。


表示で。


状態確認だけする。


記録槽封印――正常


記録欠損――検出なし


最終記録待ち


「最後の記録は」


ロウグが言う。


「最終帰還便そのもの」


「でしょうね」


車両が。


水車町を出る。


日本側工場へ着く。


正式引渡。


その一連が。


最後の一パーセント。


つまり。


運行記録原本は。


車と一緒に返せる。


「なら、二回目は運行記録ではない」


エレナが言った。


候補が。


一つ消えた。


「ほかに工場が必要とする記録は?」


サーラが周囲を見る。


誠司。


ロウグ。


エレナ。


同時に。


水車町配送所の大きな帳面へ目を向けた。


配送帳面。


第一配送者の記録。


西方。


東方。


南方。


北方。


返送。


事故。


帰着。


受領。


満タン便の車内記録とは別に。


水車町側が持つ。


受け取った記録。


「まさか」


ロウグが言う。


誠司は答えない。


まだ。


推測。


*


その日の昼。


三浦直人と佐伯澪の面会はなかった。


昨日の約束どおり。


二人とも休養日。


直人は。


客室で短時間だけ歩行練習。


澪は。


返送受入所の中を。


移乗椅子ではなく。


支え付きの歩行具で数歩。


それぞれ。


別の場所。


別の回復。


無理に同じ速度へ揃えない。


直人が。


休憩中。


水車町配送帳面の写しを見て尋ねた。


「これ、全部こちら側の記録ですか」


「はい」


「満タン便の中にも、同じ記録が?」


「同じではありません」


誠司は説明した。


満タン便側。


いつ。


どこを走ったか。


燃料。


車両状態。


運行。


積載。


操作。


水車町側。


誰が受け取ったか。


返送されたか。


問題があったか。


帰着したか。


事故報告を受けたか。


「運んだ記録と」


直人が言う。


「受け取った記録」


「はい」


直人は。


少し考える。


「工場で」


「何か覚えていますか」


「一度」


断片。


直人は慎重に話す。


「運行記録を見せたら、足りないと言われた気がします」


「何が?」


「届いた証拠」


直人は。


眉を寄せる。


「走ったことは分かる」


「でも」


「本当に届いたかは、車だけでは分からないって」


誠司は。


その言葉を記録する。


三浦直人・記憶情報

未照合


未来の答えを。


記憶だけで確定しない。


だが。


照会返答を待つ理由は。


さらに強くなった。


*


午後。


返送庫からも。


小さな連絡票が来た。


雪板印。


先行完了記録について。


水車町側が、それを私の同意として扱わないと確認しました。


ありがとうございます。


短い。


その次。


私の側でも、完了記録と現在の仕事を分けます。


完了記録は参考。

今の返送庫引継ぎは、今の手順で行います。


そして。


後任探し。


進捗。


後任候補――三名


一人目――在庫管理に強い

二人目――北方経路に詳しい

三人目――返送待機経験あり


名前はない。


本人の同意前だから。


候補者名を広げない。


「返送待機経験?」


エレナが読む。


雪板の預かり手から説明。


三人目は、過去に自分宛ての荷物を二冬待った経験があります。


勝手に開封せず、宛先変更もせず、春まで待ちました。


誠司が。


小さく頷く。


返送庫を守る人に必要なのは。


鍵の扱い。


在庫。


雪道。


それだけではない。


待てること。


ただし。


一人の経験だけで決めない。


三人とも。


返送庫見学。


在庫確認。


封印手順。


返送条件。


一日ずつ試す予定。


後任決定――まだ行いません。


雪板の預かり手も。


急いでいない。


「順番がよく似てきましたね」


ロウグが言う。


「水車町と?」


「はい」


候補。


試験。


本人意思。


引継ぎ。


帰着。


一人へ役目を押しつけない。


物流網が。


地域ごとに。


同じ考え方を持ち始めていた。


*


夕方。


始発照会口。


からん。


日本側特装工場から。


返答。


表題。


満タン便最終帰還処理

二段階返却について


一行目。


水車町側の理解は、概ね正しい。


ロウグが。


帳面を開く。


誠司は読み進める。


第一最終帰還便


返却対象――満タン便車両

同梱――車両内運行記録原本


目的――車体と運行側記録の受領


「一回目は予想どおりです」


ガランが言う。


赤い満タン便。


その車体。


内部に蓄積した運行記録。


工場へ返す。


続いて。


工場は第一最終帰還便受領後、車両内運行記録を固定します。


ただし、その時点では完成検査を終了できません。


理由。


車両側記録のみでは、配送完了を証明できないため。


直人の記憶と。


一致。


次。


第二最終帰還便


返却対象――受領側記録原本


目的――運行記録と受領記録の照合


「受領側……」


エレナが。


水車町配送帳面を見る。


そして。


返答票の次の行。


予定積荷

水車町配送所・配送帳面原本


誰も。


しばらく動かなかった。


予想は。


していた。


それでも。


正式に書かれると。


重みが違った。


この帳面。


第一配送者が残した記録。


誠司が。


水車町へ来てから。


毎日のように開いてきたもの。


道路。


橋。


荷物。


事故。


帰着。


人。


届かなかったもの。


届いたもの。


全部。


最後には。


日本側工場へ返す。


「だから今は未登録」


ロウグが言う。


「まだ書き終わっていないから」


第二最終帰還便・積荷状態


水車町配送帳面原本――記載継続中

現時点では発送不可


工場返答。


続く。


配送帳面原本は、第一最終帰還便の完了記録を受領した後に閉鎖してください。


誠司が。


そこを指で追う。


「満タン便を返した記録まで、この帳面に書く必要がある」


「はい」


サーラが答える。


だから。


車と一緒には送れない。


満タン便を返す。


雪板の運転者が。


水車町へ帰ってくる。


その帰着を。


水車町が受け取る。


第一最終帰還便。


完了。


そこまで。


配送帳面に書く。


最後の行を閉じる。


そのあと。


二回目。


帳面そのものを工場へ送る。


「それなら」


ガランが言う。


「車を返す便と帳面を返す便で、二回」


「はい」


二回中。


一回。


未来側の記録にある一回目。


第二便の積荷が未登録だったのは。


今も書かれ続けている帳面だから。


*


しかし。


新しい問題がある。


「帳面を送ったら」


若い仕分け係が言う。


「水車町の記録がなくなりませんか」


その通りだった。


原本。


日本側工場へ。


返却。


水車町に。


何も残らない。


それでは。


今までの事故記録。


道路修理。


受取履歴。


二枚札制度。


すべて。


毎回工場へ問い合わせなければ確認できなくなる。


「原本を送る前に、写しを作る?」


エレナが言う。


「全部ですか?」


帳面は。


厚い。


ページも。


増え続けている。


ただ手書きで丸ごと複写すれば。


誤記。


抜け。


順番違い。


起こりうる。


「今から写しの仕組みを作ります」


誠司が言った。


「最後の日に急いで書き写すのではなく」


新しい帳面。


薄い。


同じページ番号。


同じ受付番号。


原本を更新するたび。


重要記録だけ。


運用写しへ転記する。


全部の会話や細部は不要。


今後の運行に必要なもの。


道路。


設備。


事故。


再発防止。


車両修理。


帰着制度。


契約条件。


受入手順。


「物語を写すのではありません」


誠司は言った。


「次の人が使う記録を残します」


エレナが。


少し笑う。


「でも、原本には物語が残る」


「はい」


工場へ送られる原本。


水車町へ残る運用写し。


目的が違う。


ロウグは。


さらに提案した。


「原本のページごとに、照合印を付けます」


一ページ。


写し作成。


二人確認。


原本と照合。


照合済み印。


原本の端に小さな青点。


写し側には。


同じページ番号。


「全部を一日でやらない」


サーラが言う。


通常業務の合間。


一日に。


数ページ。


現在よく使う記録から。


安全受付。


道路。


帰着。


車両。


次に。


古い記録。


「満タン便最終帰還まで時間があります」


誠司が言う。


「その時間を使います」


急いで最後を迎えるのではない。


最後に必要な仕事を。


今から少しずつ始める。


*


最初に写したのは。


事故報告ではなかった。


水車町の配送所ができた日の。


最初の在庫確認。


水。


食料。


燃料。


工具。


数。


場所。


誰が受け取ったか。


「これから?」


ロウグが尋ねる。


「最初に、何があったか分からないと」


誠司が答えた。


改善後の記録だけ残せば。


なぜ改善したのか分からない。


次。


返送受入所。


その前の。


北方一号回収準備。


余白。


荷台固定。


温度。


次。


安全受付所。


事故報告。


次。


二枚札。


人と役目。


一ページずつ。


原本。


写し。


読み合わせる。


誤字。


直す。


原本を直さない。


写し側に。


原本表記のまま


と記す。


原本の間違いも。


履歴。


後から綺麗に作り直しすぎない。


「写本を作ると、昔の間違いを直したくなりますね」


エレナが言う。


「分かります」


誠司が答える。


「でも、それをやると昔から正しかったことになる」


事故報告と同じ。


あとから。


設備故障。


と書き換えない。


間違えた記録は。


間違えた記録として残す。


訂正。


理由。


日付。


それを別に加える。


*


夜。


第一回の運用写し作業。


八ページ。


完了。


原本。


八つの青点。


写本。


八ページ。


保管場所。


水車町配送所。


原本とは。


別の棚。


同じ火事。


同じ雨漏り。


同じ盗難で。


二つ同時に失わないよう。


「少し離したほうがいい」


ガランが言う。


写本は。


車両返却所横の記録室。


原本は。


配送所の耐水箱。


場所を分ける。


「二つあると安心ですね」


若い仕分け係が言う。


「二つあるから、どちらが正しいか分からなくならないようにします」


ロウグが答えた。


原本。


一つ。


写し。


一つ。


原本へ新記録。


写しへは。


照合後に転記。


写し側で勝手に新規記録を始めない。


役割を分ける。


帳面まで。


二枚札と同じだった。


*


深夜。


配送帳面が。


静かに新しいページを開いた。


第一配送記録・車両第三便

満タン便を工場へ返したとき。


私は、車内の運行記録を渡した。


工場担当者は、それを受け取らなかった。


「これは、走った記録です」


「届いた記録はどこですか」


私は答えた。


「水車町です」


担当者は言った。


「では、まだ完成検査はできません」


続く。


車は。

自分がどこを走ったかを記録できる。


だが。


荷物が本当に誰かへ届いたかは。

受け取った側にしか記録できない。


満タン便は。

運ぶ側だけで作る車ではなかった。


誠司は。


文字を読む。


第二最終帰還便。


積荷――水車町配送帳面原本。


この帳面を受け取ったとき。

工場は初めて、満タン便を完成させる。


現在の表示が。


更新される。


第二最終帰還便


積荷――水車町配送帳面原本

状態――記載継続中


発送条件――第一最終帰還便完了後


ここまでは。


工場からの返答と同じ。


だが。


その下に。


新しい欄が出た。


配送帳面閉鎖条件――最終受領一件


「最終受領?」


ロウグが呟く。


帳面を閉じるには。


満タン便の返却記録だけでは足りない。


最後に。


水車町側が。


何かを受け取る必要がある。


詳細。


最終受領予定


荷名――満タン便

区分――初回納車


差出地――日本側特装工場

受取地――水車町配送所


誰も。


言葉を出せなかった。


満タン便を。


水車町から日本側工場へ返す。


工場は。


車両記録を受け取る。


その記録を使って。


まだ白いベース車へ特装を行う。


完成した満タン便を。


今度は。


日本側工場から。


水車町へ納車する。


その「最初の納車」を。


水車町配送帳面が受け取る。


そこで初めて。


帳面を閉じられる。


そして。


閉じた帳面を。


第二最終帰還便として。


日本側工場へ返す。


「車を返したあと」


エレナが言う。


「車が、もう一度こっちへ来る」


「それが」


ロウグが続ける。


「満タン便の最初?」


時間の輪が。


少しずつ形になる。


しかし。


表示には。


まだ一つ。


空欄があった。


満タン便・初回納車便


運行者――未登録


受取人――水車町配送所


到着時刻――水車町配送所設立以前


誠司の手が止まる。


水車町配送所が。


まだ存在しない時代。


そこへ。


満タン便は。


初回納車される。


受取人は。


まだないはずの。


水車町配送所。


さらに。


最後の一行。


初回納車便・受取確認者――田村誠司。


誠司は。


しばらく。


その表示を見つめた。


満タン便を作るためには。


水車町の記録が必要。


水車町の記録を閉じるためには。


完成した満タン便を受け取る必要がある。


そして。


その最初の満タン便を受け取るのは。


また。


田村誠司。


ただし。


現在の誠司よりも。


ずっと前の水車町で。

未来側で「完了」と表示されている記録を、現在の本人同意や運行実績と混同しないため、「先行完了記録」という区分が作られました。


また、小型荷車の返却を使い、車両そのものを返す「現物返却」と、その使用履歴を返す「記録返却」を二段階に分ける運用も確認されています。


日本側特装工場への照会で、満タン便の二回の最終帰還便の意味も判明しました。


一回目は、満タン便と車内の運行記録原本。


二回目は、水車町配送所の配送帳面原本。


運ぶ側の記録と、受け取る側の記録。


その二つが揃って、初めて満タン便は完成します。


しかし、水車町配送帳面を閉じるには、最後にもう一件の受領が必要でした。


日本側工場で完成した「満タン便の初回納車」。


しかもその納車時刻は、水車町配送所が作られるより前。


受取確認者として登録されているのは――田村誠司です。

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