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竜眼のハーフエルフ  作者: 二砂音
二章 湖の街編
96/135

92話 道具屋

 ソニー「あーやっと来た!」

 犬娘マギー「いらっしゃいです!」

 猫娘レン「ルーナ姉ちゃんにゃ!」


 道具屋に娘たちがいた。

 まぁ、知ってたのだが。


 中は武器屋と同じくらいの広さだ、作りが一緒だな。

 奥に通路もある。

 さっき工房の裏口から見えていたのは奥の部屋だろう。


 天井から長い紐で、瓶がぶら下がって光っている。

 火の灯火も置いてあるが、これは中に“尻光虫”が入ってるな。


 なんだか草が多い。

 天井に大量にぶら下がっている。壁にも。


 店内は、天井まで棚があり、様々な物が山のように置かれている。


 魔法薬らしきいろんな形の瓶がいくつも並んでいたり、鞄や外套、ローブが吊るされていたり、袋や、かごに詰まった何かの実が置かれたり、とにかくもので溢れていた。


 向こうの鉄と油と違い、こちらは色んな匂いで溢れていた。


 薬、草、木、甘い、ムズムズする、変な匂い、色々だ。


 あの置物は、マモの剥製はくせい、か?

 本物みたいなのがいくつかの土産? らしき像の並ぶ中に置いてあった。

 アリエスタ「どわあ!? 本物じゃねえか!」

 違った、生きてた。

 マモ「スンスン……」


 ベル「やー!」


 娘達は仲良しらしいから、ソニーはレンと組合に来たのかもしれないな、私達がいなかったので、こっちに来たのだろう。

 マギーはわからない。

 それと、娘たちの奥の、受付に置かれた物に隠れて、誰かいる。

 

「来たぞ。ここはマギーの店なのか」

「あ、はい、ここ私の家がやってるお店なんです、お爺ちゃん、話してたルーナさんが来たです」


 ???「おりょ、なんや、お客さんかいの? いらっしゃ~い」

 お爺ちゃんだったか。


 眼鏡をかけた真っ黒な犬族の老人が受付から顔を出した。

 どうやらしゃがんでいたようだな。


 私達に言ったようだが、話しかけている方向が少しズレているな。

 棚に向かって話している。


 ガストン「じいさん、来たぜー、まだ生きてるか?」

 アリエスタ「おっすじいちゃん」

 ビクター「こんにちは、ジミーさん」

 みんな知り合いの様だな。


 ベル「こんちはー!」


「こんにちは、私はルーナだ」


 ???「おりょ、元気な声やの、はいこんにちは、わしゃジミーや、この古ぼけた道具屋のぬしやで」

 マギー「おじいちゃん、そっちは棚です」

「おりょ?」


 ベル「おりょーだって」


 彼の眼鏡のガラスの奥の眼は、拡大、したように大きく見える。

 ガラスが特殊なのかもしれない。

 それと、眼鏡なのにまだ目が悪そうだな。


 ガストン「ソニー、ガキ共は送り終わったのか?」


「あ、はい! 無事に届けました。おかみさんとルーカスさん、とっても感謝してましたっ、お昼終わりだったのでレンちゃんがお礼に一緒に来てくれましたけど、組合もこっちにもいなかったのでここで待たせてもらってました」


 そうか。

 ああ、じゃあ、モードの部屋で話してる時に戻って来てたのかな。


 レン「ルーナ姉ちゃん、あとアリエスタお兄ちゃん、弟と妹を助けてくれてありがとうにゃ!」

 レンがわざわざ前に出て来て、丁寧にお礼をしてきた。


 アリエスタ「いいってもう、飯おごってくれるからなっ」

「子供らを怖い目に合わせてすまなかった」


 マギー「レンちゃんとソニーちゃんから聞きましたよー早速すごい活躍したんですねー、あたし街に盗賊がいたなんて聞いて、びっくりしたですー」


 ガストン「奴らはどこにでもいるぜ? 地下とかにな」

 アリエスタ「そうそう、ゴキとかドブネズミと同じだからな」

 酷い言われようだな。


 ベル「えっへっへーん」

 彼女も活躍したんだ。

 レン「あれ? ベルちゃん、胸当て作ってもらったにゃ? かっこいいにゃん!」

 マギー「あ、ほんとだー、奇麗な赤色です、さすがミナトスおじさんです」


 ソニーが私達の元に来て、隠れるように手招きしてきたので皆で顔を合わせるように近づく。

 アリエスタは背が届かないので、少しイラついて背伸びしてきている。


 ソニー(ミウちゃんの毒のことは話してません、レイアさんが怖くて……)

 ほう?

 ビクター「うわ~、言ったらレイアさん、きっと怒りますよっ、怖いなぁ」

 彼女は元冒険者なようだからな、あんなに小さい子を死にかけさせたなんて聞いたら、怒って襲い掛かって来るかもな。

 ガストン「ルーナ、悪い顔になってるぞ」

 アリエスタ「なんでお前そこで笑顔になるんだよ? 怖いんだけど?」

 何。


 ビクター(でも、すぐ噂でバレちゃうんじゃないかな?)


 レン「どうしたにゃ?」


 マギー「皆さん、そんなところですが、今日はどんなごようですかー?」

 アリエスタ「どんなところだよ?」


 ジミー「賑やかでええのう、何でもあるで、たくさん買うてってくりゃんさい……おりょ? おお、おおお? あんた、あんたっエルフ様ちゃうか!? “雷女王”様!? たまげたっ、小妖精もおるで!?」

 ?


 アリエスタ「今更かよ爺ちゃん」

 ガストン「爺さん、“雷の”とは別だぜ」

 ふむ、さっきもアレグサンタが雷とかなんとか言っていたな?


 おぉ、じいが立ち上がり、よろよろとこちらに来て、私達をよく見ようとして、眼鏡のガラスの奥の、何故か大きく見える目を細めて見た途端、急に眼を見開いて震え出した。

 商人の恰好だな。

 ぶかぶかのローブだ。


 マギー「お爺ちゃん、この人はルーナさんですよー」


 ベル「あははは、ぷるぷるしてる!」

 ソニー「ベルちゃんっ、あんまり笑っちゃだめだよ」

 アリエスタ「ははは、驚きすぎて心臓止まるんじゃねえか爺ちゃん」

 マギー「爺ちゃん、あんま興奮するとまた腰痛めるですよ?」


 アリエスタ「うおおなん、なんだ!?」

 両手を震えながら出して私を掴んでくる。

 彼を挟みローブに飲み込む形で。

 おっ、脱出した。


 マギー「そうですよお爺ちゃん、大蛙から私とレンちゃんを助けてくれたんです」


「おりょ、そうやったな、セレナール様のことかと思うとったが、本当に外から旅のエルフ様が来られはったんやなぁ……いや、よくぞ孫娘と友人を助けて下さりましたエルフ様。このジミー、誠に感謝いたしとります。この事は末代まで語り継ぐ所存でございます」


 老人が大変そうに、ゆっくりと床に座り土下座、のような礼をし始めた。


 アリエスタ「おいおい爺ちゃん、おおげさだっての!」

 私は彼を掴んでその動きを止め、立ち上がらせた。


「その言葉で十分だ、私はルーナでいいし、あと、語り継がなくていいぞ」


 アリエスタ「そうだ爺ちゃん、感謝してんなら買物値引きしてくれよ!」


 ジミー「おお、なんとお優しい、そして強い力や、誠にエルフ様なんやな、なんちゅうお美しい眼じゃ、噂の通りやで」

 噂?


 アリエスタ「なぁ聞いてる? 俺の言ったこと」


 ビクター「噂ですか? 蜥蜴族の人達かな?」

 ガストン「その内尾ひれがつくなこりゃ」

 

 アリエスタ「値引き! 値引き!」

 ジミー「わかっとるわい、黙ぁっとれ小僧っ。エルフ様、つきましては是非、こちらの色紙にサインをいただけまへんか?」

「ちゃっかりしてんな!」

 あ、これは、アリエスタがゼラに頼んだものだな。

 ここで買ったのか。


 彼はうろうろして色紙と、筆を持って戻って来た。


 壁の絵の方を見て見ると、色紙がいくつか並んでいる、あの文字は、ケイラッドと、セレナールだろうか、あれは、マイケル神父かな?

 特徴があって判読、しにくいな。


 ケイラッドだけ大きな手形が一緒に押されている。


 む、わかった。

 筆を受け取りサインとやらをした。


 自分の名前を書くのは初めてだな?


 アリエスタ「へったクソな字だな!」

 ソニー「ちょっと先輩!」

 そうか?

 ガストン「もしかして初めて書くのか? 文字もいけるみたいだな、安心安心 (えらく“古い書体”だなおい……)」

 ビクター「ルーナさんすごいですね! 僕達はこっち来てガストン先輩に習ったんですよ」

 ソニー「そうだね、慣れればすぐ上手くなりますよルーナさんなら!」


 ジミー「おお、有難うございますエルフ様、なんという達筆や」


 ソニー「うわっ、会長のサインがあるっ、神父様のも!」

 レン「ソニーちゃん、今気付いたんにゃ?」

 マギー「お爺ちゃんのコレクションですー」


 アリエスタ「爺ちゃん、ルーナはきっと有名になるから、価値が出るぜ~そのサイン」

「おりょ、ほんまか? ひょっひょっひょっ、得したで」

「俺もサインしてやろうか? (サイン代金もらうけど)」

「ひょっひょっひょっ! アホいうなや!」

「なんでだよ!」


 独特だな。

 ジミーのように、話し方が少し変わっている獣人達がいるな?


 ガストン「ん? ああ、ルーナ、爺さんは“南の海都”出身なんだよ、獣人のほとんどがだけどな」

 お、シージュエルとかいうのだな?


 ビクター「確か、ケンウッドさんの親もですよね?」

「ああ、そうそう」

 ほう、そうだったのか。


 アリエスタ「“南方弁”だろ? 大体がめついんだよな“南方人”って」

「おまえもな」

 南方、北方とかそういうあれか。獣人は南方人とも言うということか?


 ビクター「へ?」

 ソニー「!? ルーナさん、今突っ込みました!?」


 ジミー「“蛇神様”のご加護があるんやで」

 アリエスタ「意味わかんねえから」

 蛇の神というのがいるのか。


 水教会は水魔法だから……蛇魔法でも使えるのだろうか?

 蛇と言えば……。


「……青色のやつか?」

 ビクター「え」


 ジミー「ああ、ちゃいますで、それはモッカ湖の守り神様ですわエルフ様」

 うん?


 マギー「あれ? ロッカ様じゃないのお爺ちゃん? ロッカ湖のロッカ様で、モッカ湖はお姉ちゃんのモッカ様ですー」


 レン「あたしとミウみたいな姉妹にゃ」

 アリエスタ「その間にフィンがいんだろうが、外すなよ弟をよ」

 長男もいるな


 ケイラッドの傍に居た青蛇は、神なのか? ロッカ湖の?

 う~ん、よくわからないな。


 ジミー「ああ! そうやそうや、二択になると、どっちがどっちかよぅわからんくなって難儀なんぎやなほんま」

 姉妹の神様か。

 アリエスタ「へー、それは知らなかったぜ、でもホントはそんなの居ないんだろ?」

 ソニー「ちょっと先輩っ!」

「ひょっひょっひょっ、まぁ信じる信じないんはそれぞれやな」


 ソニー「そうだルーナさん、お月様達も姉妹なんですよ? 姉月と妹月なんです」

「ほう」

 月の姉妹か……。

 う~ん、何か思い出しそうで思い出せないな。


 ガストン「青い蛇だって?」

 ベル「あー、ルーナ見たって言ってたねー」

 アリエスタ「なんの話だよ?」


 ビクター(やっぱりルーナさん“も”どっかで見たのかな……)


 ケイラッドの大剣に取りつく謎の使い魔っぽい青い蛇がいる。

 そいつは小さい方のロッカ湖の神らしい。

 でかいモッカ湖には、でかい主が居るらしいな?


 サインを大事そうに抱え、受付のとこに行って、壁際の棚の、一番良いところに置いている。

 手を叩いて、拝んでいるな。


 そこには金色の蛇の像があった。

 明りに照らされて、蠢いている。

 蛇神がこちらに金の舌をチロチロしてるぞ。


 大体わかって来たが、皆あれは見えてないんだな?


 ベル「自分を食べてる! なくなっちゃうのかなー?」

 すぐに元に戻って尾を噛み、輪になっていた。


 ジミー「ひょひょひょ、なくならへんよ、新しい体に生まれ変わるんよ。おもしろい子やね、なつかしいのぅ、小妖精なんぞ森の近くで休んどるときに、寄って来たもんで、よう弁当分けとったで」


 生まれ変わる?

 食べたらなくなると思うが。

 しかし、食いしんぼうなのはベルだけではないようだな。


 ベル「ふーん? 爺ちゃん他の子に会ったことあんだ?」

 ジミー「そうやで、そんで羽掴んで、ぶん投げて遊ぶんやで、そんでもあげたもん離さへんから、ようけ飛んでくねん」


 ソニー「ええ!?」

 アリエスタ「たち悪ぃなっ」


 ベル「きゃははははは!」

「いや笑ってるよこいつ!?」


 ガストン「野良フェアリーには、いたずらされるからなぁ」

 野良フェアリー……。


 ジミー「そうやのぅ、ジョンの奴のことがあるからのぅ」

 二人で小さく話してるのが聞こえたが、誰だ?


 !

 ベルのツボ? にハマったようで、笑い飛んでいるその羽から、こぼれ落ちているうっすらと輝く鱗粉を、すかさずジミーは取り出した瓶に入れ始めた。


 アリエスタ「……爺ちゃんさりげなく何してんの?」


「おりょ、これが協会に高く売れるねん」

「うちにかよ!? マジで!?」

 ふふ、ジミーというこの老人、最初に比べずいぶん元気がよくなってるな。



 ガストンやビクターは一連の騒ぎを見ていたり、道具屋で買う物を調べていたが、目当ての者を見つけて持ってきた。


「ルーナ、さっき組合で話した簡単に応援を呼べる方法ってやつさ」

 なんだ?

 手に収まる、太い樹の枝のような、筒だな。


 何かの草と、あの魔物の臭い袋が炸裂さくれつした時の香りが混じった内部の周りを羊皮紙で巻いた筒だ。

 ビクター「ああ、煙筒えんずつだったんだ」

 えんずつ、煙の筒か。


「照明煙筒って言ってな、この硬い部分に火を近づけるか擦ると、でかい音を出した後、赤い煙がしばらく出続けるのさ」

「ああ、煙で場所を知らせるのか、いいな」


 ガストン「硬い部分は、お察しの通り、爆裂茸で作った炸裂粉だな」

 む、また聞いたなその茸の名。

 どんな茸なのかだんだんわかって来たぞ。


 ジミー「さて、ありがとうな、ベルちゃんやったかの? エルフ様にふさわしいお供やのう、ええ子や。エルフ様、タダとは言いまへんが、勉強さしてもらいますさかい、どうぞ買うてってくだされ」

 レン「爺ちゃんの言葉はよくわかんにゃいにゃ」

 マギー「うふふ、お安くしますですー」


「この筒をもらおう、あとは……水筒かな」

 魔法の練習をせねば。


 ベル「ルーナ! 干し肉があるよ!」

 うむ、あればあるほどいいぞ。


 ビクター「えーと、ソニー、僕らはどうしようか?」

 ガストン「とりあえずルーナとアリエスタのをまとめて買っちまおうぜ、こいつら完全に初心者だろ」

 ソニー「あ、はい、教えてあげましょうルーナさん、えへんっ」

 ああ、頼む。


 まったくわからん。

 いい感じの寝台も買えるのかここで?


 アリエスタ「俺はこいつより先輩だかんな!」

 ガストン「五十歩百歩って言葉知ってるか?」

「なんだそりゃ?」

 知らんな。


 ガストンいわく、なんでもどっちも大差ないと言うことだそうだ。

 ソニー「先輩だって初心者ですからねっ、みっちりここでひちゅじゅ、必需品ひつじゅひんを教えますからっ」

 アリエスタ「今噛んだろ?」

 マギー「噛んだです」

 レン「ちょっとかわいかったにゃ」


「そうだな、よろしく頼むソニー、それにガストン」


 ソニーは真っ赤になったな。


 読んでくださりありがとうございます。

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