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竜眼のハーフエルフ  作者: 二砂音
二章 湖の街編
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91話 試射

 剣の修理依頼を頼んだが、直ぐには終わらないようだ。

 また訪ねよう。


 頼み忘れていたベルの防具は、直ぐに作ってくれた。

 胸当てだけだが、この街で一番硬い良い防具となった。


 他の部位も素材はあるので作成してくれるようだが、ベルの体は小さいのでこれも時間がかかるそうだ。

 ベル「靴と手袋がいい!」


 ミナトス「……こういうのか?」


 大柄な牛の剣鍛冶師は雑多な作業場の品々の中から、手をすっぽり包むような手袋を探し出して見せて来た。


 親指の部分と、それ以外の四本は一つに包むような手袋だ。かろうじて物は掴める形の。

「うん! こういうのでいいよ!」


「……剣の後だな」

 彼は炉を眺めてそう言った。

 剣の破片がドロドロに溶けて赤熱して輝きながら炉の下部の皿に流れ込んでいた。

 先に溶かした槍と混ぜて、立てかけてある大きな槌で叩くのだろうか。


 私達を見ていた新人冒険者の鳥人族、アレグサンタが自分で鎧を修理させられていた槌より、遥に大きい。


 イオ「これ、そっちから入っちゃだめだよ、横着おうちゃくしないでちゃんと入口から入んな」

 ソニー「それじゃお兄ちゃん、入口から入って来てね」

 恐らく、店の者の使う通用口、のような扉から魔術士ソニーが手を振る。


 レン「待ってるにゃ~」

 マギー「来てくださいねー」

 背後に猫と犬の娘達もいるな。

 

 アリエスタ「ちぇ、行こうぜルーナ。なんでソニーはいいんだよ?」


 ガストン「親父さんそんじゃ頼むわ」

 ビクター「失礼しますミナトスさん、イオさん」


 大剣使いのガストンと剣士ビクターは砥石で刃を研いで鞘に納めた。


 ベル「じゃあねミナトスー」

 アリエスタ「友達かよ!?」


「では剣を頼む、世話になった」

 ミナトスは無言でこちらを見ず、頷いた。完成が楽しみだな。


 槍は失ったので、小剣と中剣の二本でしのがなければならないな。


 隣の道具屋とやらに行くか。


 赤熱した金属を眺めた切り腕を組み黙っているミナトスを置いて、おかみさんのイオの後をついて店内に戻った。


「あ、イオ、弓は扱ってるか」

 陳列された武器をながめてふと思い出した、弓が壊れていたのだった。

 色んな武器や剣を見るのもいいが。


「ああ、うちにも多少は置いてあるよ」

 あの彼女は顎を動かし場所を示す。

 受付の隣、棚の背後に弓が並んでいた。

 うちにも?


 ガストン「ああ、ここから離れた西地区に専門店があるんだよ、でもこれも悪くねえ物だな」

 うむ、確かに。


 並んでいる弓は折れた弓より良いものだな。

 作りがしっかりしていて丈夫そうだ。

 これでぶん殴ったりできそうだ。


 イオ「ルーナちゃん、矢はあるんだね? 弓はなくしたのかい?」

 ガストン「そういや今日は持ってねえよな?」

「いや、折れた」


 鞄から取り出して見せた。

 アリエスタ「あぁ……地下の瓦礫ん中に埋まった時にやっちまったのか?」

 その通りだ。


 イオ「ふーん、ポッキり言っちまってるねぇ、こりゃ駄目だ。弦はそのまま使うんだろ? これ良いもんだよ?」


 ほう、ならば、弓だけ選ぶか、これはどうだろうか?

 赤みがあり太く、以前の物より丈夫で、長い、こしらえもなんだか、植物のようで気に入った。


 イオ「そりゃ大弓だよ? ルーナちゃんじゃ引けないんじゃないのかい?」


 ガストン「見せてみろよ、うわっ、硬ってぇ」

 ビクター「新品だから余計にですかね?」

 そうか?

 しなりは硬そうだが、恐らく引ける。

 アリエスタ「よくわかんねぇけどこいつの馬鹿力ならいけんじゃねえ?」


「ふむ、ではこれに張り替えよう、幾らだ?」


 新たな弓、大弓を手に入れた。

 代金を払ったが、相場がわからんな。


 ビクターやアリエスタの目が見開いてるので高いのかもしれないな。

 ガストンは驚いていないぞ。

 多分大体わかっているのだろう。


 ギリギリギリ……。

 アリエスタ「おいおい、ここで矢番えて撃つなよ?」

 ガストン「おいルーナ、そのまま弦を離して空撃ちをし過ぎると、弓を痛めるからな」

 空撃ち、ふむ。


「わかった」

 イオ「試射してきな? また戻っちまうけど、的が中庭にあるよ?」

 ふむ?



「……まだだぞ」

 戻って来たので少しミナトスに驚かれた。

 ガストン「はは、いやおやっさん、弓買ったから試し打ちさせてくれよ」


「悪い、邪魔をする」

 工房を横切り、中庭に出た。


 開けていて過ごしやすいな。周りはかろうじて向こうが見える高さの柵に覆われていて、幾つかの木々が生え、卓や長椅子、井戸と、湧き水らしき小さな泉があり、イオの趣味? らしき植木がいくつも並んである。


 反対側には芝が剥げて地面が出ている空間があり、幾つかの丸太や的が置かれている。

 あそこか。

 アリエスタ「あれか? 的って」


 少し離れてるが、丁度良いな。

 アリエスタがそちらに歩いて行っているが、彼の背より的は上にあるので、立っている場所から狙い撃った。

 ギリギリギリ……。

 バシュッ!


 ドンッ!

 アリエスタ「うひゃあ! おいこらルーナ! あぶねえだろ!」


 ビクター「おおっ! 初撃ちでこの距離で、ど真ん中!?」


 ガストン「どのみち当たらんよお前さんには。こいつの腕は並じゃないのさ」

「俺の気持ちの問題だってーの!」


 イオ「ひゃ~、あんたホントにやるんだねぇ?」

 うむ。


 弓はとても良い具合だ。

 長さが前よりあるので腰の小剣の柄に少し当たるな。

 だが、握りの上部分にへこみが作らていて、格段に狙い撃ちしやすい。

 試射して良かった。


 弦が緩いので、もう少し引き締めよう。

 体に挟む時に窮屈だが、慣れるだろう。


 まだしなりが硬いが、慣らすしかないな。

「撃つぞアリエスタ」


「わ! 待て待て!」

 的に刺さった矢のところへ面白がってベルと行って見ていた。

 ドンッ! ドンッ! ドンッ! ドンッ! ドンッ! バキャッ!


 あ、しまった。


 イオ「ありゃ、的が割れちまったよ? こんなの始めて見たよ?」

「すまんイオ」

「あっはっはっ、的なんかが壊れたくらいで謝んなくたっていいんだよ」


 アリエスタ「ボロっちいから限界がきたんだろ?」


 ガストン「……いや、矢の威力が強すぎたんだよ、音が異常にデカかっただろ、ルーナ、矢の方がもたないなこりゃ」

 ふむ?


 ガストン「お前さん、前より力が強くなってるんだよ、その弓俺でも腕が疲れるくらいの代物なんだぞ? 一発でぶっ壊れはしないだろうが、いつも以上に矢の数には注意しろよ?」

 なに、わかった。


 近づいて的に刺さった矢を抜いてゆくと、内一本が、ミシリと音を出しているな。

 バキッ。

 軽くひねると折れた。

 アリエスタ「あーあ! 矢って割と高いんだよな?」

「わかった」


 イオ「しっかしあんた本当にやるんだねぇ? 剣もできるのかい?」

 弓の試し打ちをしたがって皆で取り合っているところで彼女がそう言うので、次は剣の練習をやろうという話になった。


 ソニー「ちょっと皆さん! こっち、待ってるんですけど!」

 おや、道具屋の方の庭らしき、柵の向こう側からソニーが怒って顔を出していた。

 背後に犬と猫の娘の気配もするな。


 アリエスタ「わかってるって! 今行くとこだったっつーの!」

 ソニー「ええー? 今剣術のお稽古しようとしてませんでした?」


 ガストン「ははは、そんじゃイオさん、また顔出します、そいじゃ」

 ビクター「こ、今度こそおじゃましました」


「イオ、世話になった」

「はいよ、またおいで?」

 もちろんだ。


 ミナトスは集中していたので話しかけていない。


 剣の修理、改造を頼み、ベルの防御を固め、新たな弓を手にした。

 ガストンやビクターも何か買っていたようだな。


 アレグサンタ「それじゃ皆さん! 今度組合で依頼手伝ってくださいねー」

 ビクターと同じくらいの新人らしき彼はそう言って鎧を抱えて去って行った。


 ガストン「おう! いつでも声かけろよー」

 ビクター「うんっ! じゃあね!」


 アリエスタ「ヤーだよ! 俺はもっと稼ぐんだかんな!」

 そういえば彼の熊糞集めの依頼の手伝いがあったな。


 店を出て、道具屋に入る。


 さて、色々買うものがあったな?


 炉で小さくなった水球を見る。


 読んでくださりありがとうございます。

 ロングボウGETですね。

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