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竜眼のハーフエルフ  作者: 二砂音
二章 湖の街編
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72話 作戦

 アリエスタ「うおおおっ! ガルアアアア!」


 彼は最初は驚いたものの、途中から飛び込んでいく盗賊達を脅した。

 唸ったな。


 リゾット達「うおお!? な、よけろ――? あれ?」

 ぶつかると思ったら消えたな。


 彼は小さな虫にでも変化したのか、まるで転移したみたいにいなくなった。


 子供達を頼んだぞ。


 連中はぶつかるかと思って目をつむったり身構えたりして、自らそれを見逃した。

「あれ? どこいった? おいっおまえら探せ!」


 手下「げひっ、おおお親分、そそれより、すす、スライムが!?」

「ああ? 融合しただけだろが、崖でも酸スライムがそうなっただろ! さっさとクソチビを探しやがれ!」


 ほう、やはり、こいつらがあの巨大スライムを作り出していたんだな。


 私はその隙に動き、足場を一度跳んで別のに移動した。


 ヌタッ。

 よし、まだ気付かれてない。が、ここは狭いな。


 一体一体が小さかった毒スライムの群れが、盗まれた薬とやらのせいか、みるみるとそれぞれくっつきだして、肥大化してゆく。


 チャプウウウウ。

 同時に活発になるようで、動き回って、スライムの水――毒液の溢れる底から、盗賊達に近い場所でどんどん膨れ上がり出して、奴らの目を引いた。


 手下「うおお! なんだぁ!?」

 リゾット「ああもう、何だぁ!?」


 ヒュッ、タタッ、タンッ。

 私は更に連続で飛び、湖から飛び出た小さな瓦礫から瓦礫へと、壁も蹴って移動した。

 すぐ間近のスライムがとりついてくる間もさせずに離れ跳ぶ。


 ニュニュニュ――そうしてると、アリエスタが子供達を掴む手下の背後から、突如“鳥の両足”を突き出して、二人をがっしりと掴む。

 ゴキッ!

 そしてそのまま、兄妹と男の背後から、大鷲の嘴で男の首に噛みつき、へし折った!

 ミウとフィン「??」


 あっという間に鷲が表れた。

 首根っこを捕まえられた手元で奴らとスライムに向いてた兄妹には見えていない。


 そして、手が離れた兄妹を取り戻しながら、羽ばたき、首の折れた死体を近くの手下にむけて思い切り放り投げた。

 鷲アリエスタ(はむらあっ!)


 リゾット「ひいっ!」

 正確には“リゾットへ”にだったが、小柄な奴は、帽子を押さえうずくまる。

 手下「へっ?」

 死体が通り過ぎて、急に目の前の視界が開けて目を見開いている手下にぶつかった。


 死体をぶつけられた手下の背後の直線状には、膨れ上がった毒スライムがいた。

「うおお!?」

 ガッ。


 その手下はとっさに持ってた盾を構え迫る死体を防御するが……。


 鷲アリエスタ『くたばれっ、“息吹”!』

 ボゴンッ!


 大鷲の開いた口から、風の塊のような魔術が飛び出た。


 投げられた死体ごと盾男に激しくぶつかり、盾を少しひしゃげさせ、男を崖となっている崩れた足場から弾き飛ばした。


 私の眼には魔力の塊が飛んでいくのがはっきりと見えた。

 ずっと練られていたのはこれだったのか。


「ぎゃあああっ!」


 足場から毒スライムの湖へと飛ばされた男と死体は、大毒スライムにぶつかり、そのまま取り込まれ、中で生きたまま毒に侵され変色し、徐々に溶かされてゆく。

 

 その際、すぐに反応して、触手をいくつも伸ばし、広げた手で掴むような動作をして二人を見事に捕えた。


 油断できない素早さだった。

 連中より危険かもしれない。


 アリエスタはこうなるのを予測してたのか?


 ビュオオオオウッ。

 戸口から突き出て崩れ残る足場にいる連中全てをはたき飛ばすかのように、突風が吹き荒れる。

 が、しゃがんだままのリゾットが素早く戸口の扉を掴みまぬがれた。

 追従して他の手下達も戸口の壁や、壁のめり込んだ小剣の柄を掴み落ちなかった。


 首が折れたのと、弾き飛ばされた盾持ちを覗き、後三。


 元々戸口の奥から見てる奴らも居る。


 ミウ「とんでる!」

 フィン「ふぎゃああ! 別の(魔物)に捕まったにゃ!?」


 鷲アリエスタ『魔物違うわ! 俺だっつうの!』

「しゃべった! にゃんで?」

「すごい鳥の、獣人さんにゃ!?」


『ルーナっそっちは!?』


 ああ。

 ルッコ「わあっ!」

「もう大丈夫だ」


 私は、ルッコとやらの避難? していた斜めに壁に倒れる大きな瓦礫に飛びつき、駆け上って、彼の元に辿り着いた。

 樹と同じだな。


『観念しやがれ雑魚盗賊共ぉ!』


 リゾット「っちくしょう! 俺様を馬鹿にしやがって! 許さねぇっ!!」

 む、なんだ。

 倒れたまま、外套から取り出した。


 蒸気銃か。

 弩はとうに落としている。


 短剣を抜き構えるが、ちょっとアリエスタの鷲羽で見え辛い。

 どいてくれ。


 銃が私達を狙う。


 ルッコ「ひいっ!」

 この距離なら躱せる。

 震える彼を抱き寄せる。


 むっ?

 あれは前に見た物と若干、違うぞ!


 リゾット「こいつをくらいやがれ!」


 ジャコンッ!


 ルッコと私の間に球はめり込んだ。

 かと思われた。


 いつもの、金属球ではなかった。

 速度も遅い。

 狙いも悪いように思える。

 少し細長で、金属に包まれた瓶の中に、液体が見えた気がした。


 すぐさま抱えたルッコとここから跳ぼうとしたが――奴は防ぐかのように“新たな蒸気銃”を抜き様に連射してきた。

 ジャコジャコンッ!


 ビチャッ!

 一発目が私のしゃがむ足元に。

 続く弾がこちらに飛んで来る――キィンッ!


 バチャッ!

 短剣で弾いた。


 最後の(三発目)が想定? より下に飛んでゆき、瓦礫頂上の少し下に当たる。

 ビチャッ!

 

 そして、球と瓶がひしゃげ潰れ、中の液体が弾け広がった。

 ジュワアアアアッ!!

 見る見るうちに瓦礫の石材を溶かし広がる。


 ものすごい腐臭と煙の、とても“強い酸”だ。

 なっ、短剣が溶けていくっ。


 バサッ。

 鷲アリエスタ『おいおいおい!』

 ミウ「ルッコ! ルーナ!」

 フィン「溶けてるにゃ!?」


 リゾット「見たか! 俺様の“射出砲”の威力は?」

 射出砲?


 メキッガラアッ――いかん、瓦礫が溶けて崩れる。


 タッ。

 ぼろぼろと崩れ落ちる瓦礫から跳ぶ。


 だがその瞬間を、リゾットの奴、また外套から抜いたいつもの蒸気銃で狙い撃って来た。

 早い、いかん。

 ドオンッ!


 バッ。

 ルッコ「わっ――」私は彼をアリエスタに放り投げた。

 受け取ってくれるだろう。

 ドスッ。

 金属球は先ほどの酸弾よりはるかに高速で、私の腿へとめり込んだ。

 見事だ。


 崩れる瓦礫から跳ぶのを阻まれ、共に落ちようとしていたルッコを投げて、彼が嘴で加え受け取るのを見届け、私は毒スライムの湖に落ちる。


 ――鷲アリエスタ『むぅーむぁー!』 ルッコ「わあああ食べないでえ!」


 ――ミウ「ルーナ!」 フィン「姉ちゃーん!」


 リゾット「ククク今度こそあばよイカれエルフぅっ! おい! お前らさっさとあのクソ鳥を撃ち落とせ!」


 ――酸の射出砲と、蒸気銃、球切れか? 三発と、一発か――。



 バチャアアドポオオウンッ。


 読んでくださりありがとうございます。

 射出砲は二連装填で、一丁目は一発しか入ってませんでした。

 試射でもしたんですかね。

 蒸気ではなく弩のように仕掛けで飛び出すからくりです。

 何故なら蒸気圧で瓶弾が暴破裂して手がえらいことになるので。

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