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竜眼のハーフエルフ  作者: 二砂音
二章 湖の街編
139/144

135話 封鎖

 隠れていた通路に入り、そこから厨房の隠し倉庫へいけるとブラッダーが教えてくれた。


 中では塞がれていた壁を壊して進むことになった。


 砂はブラッダーが土魔法で何とかしてくれるようだ。

 牢屋の扉を土砂で固めたように、砂をどかして固めるのかもしれない。


 ゴオンッ!

 穴が空いて砂があふれ出てきているが、更にレックスが壁を殴るも、分厚くて壊れなかった。

 ゼラ「えらい硬く作って封鎖してあるね。旦那、俺の槍と一緒に銛を穴に刺して、“テコ”で割ってみましょう」

 レックス「良い手でスな」

 カチャッ。


 穴にゼラが槍を、レックスは大きな銛を突き入れた。

 てこ、か。

 ああ、なんとなくわかるぞ、半分の力で動かせるとかだったか。


 ふむ。

 周りの通路、いきなり動き出すゴーレムとやらは、いないみたいだな。


 ベル「ねぇ、ブラッダーならちょちょいと開けられない?」

 彼女は杖を振るような仕草をしている、魔法のことか。

 牢屋の扉を、回りの石を溶かすようにして固めたやつかな。


 ブラッダー「この程度の道中の封鎖ぐらいは、“筋肉さん達”にお任せしましょう。僕の土魔法はいざって時にお見せしますよね」

 レックス「筋肉サん……」

 魔力を温存する作戦だな。


 オフィーキュス「封鎖……ゴーレムは、何故ここに居たのでシょうか? あの、魔道具のような魔物だとお聞きシまシたけど」


 蛇の彼女は少し調子が良くなってきているようだな。

 薬草が効いて来たのだろうか。


 ふむ、確かに、さっきうろついてた鼠のように入り込んだとのとは違う感じだったな。


 この壊れたゴーレム、最初は全然いるのが分からなかった。


 ブラッダー「……何故封鎖したのかが、気になりますよね」

 彼は流れ落ちる砂を見つめていて考えているな。


 ベル「向こうになにがあんだろねー?」

 クリオス「砂? ……骨?」


 ゴーレムは、設置、してあった?

 魔石灯の光を見ながらそう思った。

 いや、だが、動き出した時の感じだと、元々落っこちていたように思える。

 わからん。


 ゼラ「せーのっ! フンッ」

 レックス「ムウウウっ」

 ピキッ、ピシッ!


 ゼラ「硬ってえええっ!」

 少しひび割れはしたが、崩れそうにないな。

 

 ふむ、巨大斧で壊すか? いや、通路が狭いな。


 ゼラとレックス「「ルーナさん/様?」」


 ……感じからして、ここか?

「蹴るぞ」


 ドゴオンッ!!

 割れる音の止まった感じから逆らっている硬い部分、つまり弱点らしき場所の壁を思い切り蹴ってみた。


 一同「「うわっ!?」」


 ブラッダー「あっ!? 皆さんっ、下がってっ」

 彼が皆に手を向けてそう言い、もう片方の指輪をなだれ込んでくる砂に向けた。


 バガラアッ、ドザアアアアアアアッ!!


「むっ」

 ゼラ「うわっぶぷぅっ、うぇっぺっぺっ!」

 レックス「ぬおっ!?」

 ドザアッ。

 魔石灯が落ちて砂に埋まり、急に真っ暗になった。

 ゼラ「ちょまっ、ととっ、強いな!」

 ガラアンッ、ザアアア……。

 彼だけが流れに巻き込まれて槍を落として蛇女と少年の足元まで転んで行ってしまった。

 むぅ、靴の中に砂が入るな。


 顔にかかるわずかな砂を、風球が小さな風壁の様になって防いでいた。

 ふむ、まるで手足の様に操りやすいな。


 レックス「ルーナ様、大丈夫で――いえ、なんでもありまセぬ、流石ルーナ様」

「すまん、こんなに急だったとは」


 ――


 レックス(まるで風の申シ子のようだ)

 流れされたゼラを見て、ルーナを心配したが、全く体を押し流そうとする大量の砂に全然動じていなかった。


 とてつもなく固められた壁を蹴り割った時と言い、巨大斧を持ち上げたことと言い、その華奢な体付きからは想像できない膂力を秘めていた。


 そして、風が先程からずっと彼女にまとわれそよいでいる。

(明らかにモード様に風の呪文を伝授サれてから、一皮むけた存在へとなっているようだ……)

 港で殴り飛ばされてからというもの、彼のルーナに対する尊敬の念は、畏怖から、崇拝へと変化しつつあった。


 ――


 思案するレックス自身も砂には動じていなかった。

 背負うモードどころか巨体の彼の膝下までしか届いていなかった。


 クリオス「砂だあ!」

 ベル「わーっ、砂がいっぱいあるよー? ん?」

 踏ん張って耐えているレックスの頭上から、淡く光る彼女のおかげで、辺りが見える。


 ゼラ「ぺっ、(口ん中が)じゃりじゃりするぅ……砂で埋まっちまうんじゃないの?」

 流れされながら彼が叫ぶ。


 ブラッダー「大丈夫ですよっ、ちょっとだけ辛抱しんぼうしてください」

 彼は腰まで砂に使っているが、流れに手を突っ込んで砂を調べている。


 しかも流されてない。私やレックスとはまた少し違う、魔法か?


 ブルブルと体をゆすって、少し楽しそうだな。

 表皮の鱗の間に砂が入ってるのも、嫌じゃないようだ。


 私は靴を脱ぎたいぞ。

 あと厨房ちゅうぼうで釘を踏んだが、もう全然痛くないな。治ったみたいだ。


 そういえば水場に居た時は反対にゼラやレックスの機嫌きげんが少し良かった気がしたな。

 モードは出発時からずっと嫌がってたな。

 レックスの背中で今は寝ている。


 ブラッダー「しかしルーナさん、見事に風魔術を体得していますね、とても自然で見事ですよね」

 ゼラ「へ?」

 レックス「おおっ」


 お、彼に風球を練習してるのがバレていたようだな。

 流石だ。


「まだまだだぞ」

 今のところ、風で遊んでいるだけだからな。


 ザアアアアッ。


 砂が大量に流れ込んで、私の膝上まで、背後の少年の方は徐々に流れていているが、壁向こうの砂の量を見るに、問題ないようだ。


 オフィーキュス「あ、ノーデント様、大丈夫でごザいまスか?」

 ゼラ「あはは、全然平気ですよ、ところでお加減はだいぶ良くなってきたようですね? よかったです。鱗もなんだかより一層煌いっそうきらめいていて、素敵ですね」

「え? え、えぇ、ソれはどうも有難ありがとうごザいまス……」


 ちなみに、魔石灯をレックスが落としたのでそっちの辺りは真っ暗だぞ。


 鞄に確か、松明があったな、出して点けてみるか。

 モードの灯火の魔法は重要な魔術だったんだな。


 まぁ、皆夜目がある様だから見えるんだが。

 ゼラは大丈夫だったか?

「ブラッダーさん灯火魔法……」


「暗くて見えないですよねっ、灯を拾ってくださいっ」

 そっちだったか。


 というか、彼も使えるようだが、やらないみたいだな。

 明かりを拾えばいいし、温存作戦か。


 ザアアアアアアアッ。

 砂が流れ込んで減ったのか、向こうの廊下の壁が見えて来た。

 流れ込んで来ているのは固まってない砂だけだが。

 突き当りに戸口があるが、その中も砂で埋まっているようだ。


 クリオス「あったよ!」

 少年の方へ流れていっていた魔石灯がチラチラと砂に埋まる足元から光をのぞかせていて、少年が拾っている。


 そこの砂の中から、他にも何かがのぞいていた。


 石?


 丸い、金属の様な線の入った光沢がその石の隙間からかすかに見えた。

 途端に、また例の妙な魔力がそこに現れ始めた。


「!」

 ゴーレムだ!


 ――ガガコッ!

 ゴーレム[ピッ……:;:::]

 クリオス「え?」


 オフィーキュス「あら?」

 ゼラ「はあ?」

 皆は足元のもう一つの光に気が付いた。


 スチャッ――「フッ」


 バキャアッ!

 クリオス「わあっ!!」


 ゴーレム[ピーーーッ……]

 抜き放った短剣が刺さり、また高い音を出して壊れた。


 そして、目の前のクリオスの羊毛や、短剣が刺さって壊れたゴーレムの周囲の砂が風にそよいでいた。


「……?」

 投げた短剣自体が、風をまとっていたぞ?


 驚いて自分の手を見る。

 魔力を込めたつもりはないし、こもってはいなかったはずだが……。

 なんだ? 体の周りに風がそよいでいるな……。


 ゼラ「ちょっ! ゴーレムが砂ん中に混じってますって!」


 ベル「あっ! 見てーあっち!」

 それよりもそれだ。

 感知できなかった。ということは――。


 レックス「な!?」

 壁の向こうの砂の中に、大量の石が転がっていた。

 ただの石にしか見えないが、その中に丸い金属の本体も、むき出しで砂の中から現れて始めていた。

 大きさからして、石も中に本体が入ってるようだ。


 まるで声に答えるかのように次々と魔力が現れてそれがはっきりと分かった。

 そして、次々と真っ暗な壁の向こうで光り始めた。


 ――ガコッ、ガコッ、ガコガコガコガコガコガコガコッ!!


 ゴーレム達[[ピッ;;::;:;::::::]]


 ゼラ「うわうわうわ!」

 レックス「なんと!?」

 ブラッダー「あちゃー」


「下がれっ!」

 ヴンッ!

 弓矢を取り出し構える。


 動き出した何体ものゴーレムが次から次へと変形し始めた。

 蜘蛛だ。


 蜘蛛に変形している。

 変形し終わった最初の一体が砂の上を八本の細かな石が組み合わさった足で壊れた壁の方まで走って来た。


 バシュシュシュシュ!

 矢ならたくさんあるぞ。


 一同「「おおおお!」」

 ブラッダーが指輪を構えたまま固まった。


 壊れた壁の所から、近付くゴーレム蜘蛛を射抜く。

 バキャッ! バキッ! バキンッ!

 ゴーレム達[;;::;:;ピーーッ! キュリルル……][ガガーッ!][プツッ……]


 だが、ものすごい量になって来て次から次へと群がって来た。


 早さを重視した射撃を追い越す量がどんどんと砂の中から出て来て、追いつかなくなって来た。


 ゼラ「うわうわ矢じゃ無理!」

 ブラッダー「連射が追い付いてませんよね!」


 そして、光る部分から光弾を射出して来た。

 プンッ! プププンッ!


「っ、逃げろ!」

 躱しながら下がる。

 ボシュボシュッ!


 次々と飛んでくる光弾が壊れかけの壁や、下がった足元に小さな穴を開けた。


 ブラッダー「みなさんっ私の周りに集まってください!」


 いかんっ!

(ウンディーネ! っシルフ!)

 ヴンッ!

 盾にするつもりで巨大斧を取り出す。


 ププププププンッ!

 ボシュボシュボシュボボシュッ!

 光弾が雨の様に飛んでくる。


 ドガガガガガッ!

 下がりながらも、巨大戦斧の腹で受ける。


 なんとか防げたか!


 魔法も同時にかけたら水壁を、風が弾き飛ばすようにして手前に巻き起こって光弾を弱らせたのか、斧に当たりまくったが……どうやら穴は開けられなかったようだ。


 小さな点が幾つも赤熱してできていたが、直ぐに冷えて消える。


 同時に掛けると水壁が消されるとは。


 風壁をかけることができて防いでくれた。

 だが。


 くっ、だめだっ、防ぎきれない!


 斧で全身は守れず、下半身や腕に光弾が穴を穿とうと飛び込む――ジュインッ! ジュウンッ!


 ゼラ「ああ!」

 レックス「ルーナ様! ――!?」


 なっ!?


 何だ!?

 体に穴が開いたと思ったが……手前で跳ね返したぞ。


 風壁?

 無意識に使った?

 いや、違うっ。


 魔力は全く使っていなかった、むしろ……。


 ガチャガチャガチャッ。

 見る間に増えたゴーレム蜘蛛が光弾を飛ばしながら蜘蛛の群れのようにわらわらと壊れた壁から飛び出して来た。


 プンッ! ププンッ!

 ガアンッ! ザバァッ!

 更に飛んで来るのを魔術と斧で躱し、受け流す。


 ギャリィッ。

 戦斧の柄が壁にこすれて火花を出す。


 光弾はこっちに当たらず、砂に当たってるのもある。


 ジュンッ!

 更に、例の謎の障壁が弾き飛ばした光弾もあった。


 “また”減った。


 ずいぶん狙いがいい加減だな。

 滅茶苦茶に飛ばして来てるだけだ。


 皆がブラッダーの周りに集まる。

 彼は土壁でも作るのか、詠唱を終えようとしてるのが強まる魔力の感じでわかった。

 ベル「ルーナこっち!」

 私を最後にして、集まった。


 ブラッダー「……土環!」

 ボココココオッ!!

 私が走り寄ったその途端、上下の石材が溶けるようにして私達を包み込み出し、閉じ込めた。 まるで土の球の中にいるように。


 クリオス「わーっ!」

 ベル「埋まった!」

 ゼラ「埋まってないよ! 球の中に入ったんだからね?」

 オフィーキュス「つ、土の?」


 ――ウンッ、ウウンッ、ウウウウンッ、ウウンッ……。

 ――ボンボオンボオンボボンッ……。


 ブラッダー「あーびっくりした。まだドキドキしてますよ僕は……ルーナさんが防いでいなかったら詠唱に失敗してましたよね」


 ゼラ「もうだめかと思った」

 レックス「見事な土魔術でスな、ブラッダー殿」


 奴らが外で光弾を撃ち込みまくっているようだが、全然防いでいる、すごいな。

「黒衣を包んだのもこれか?」


 ブラッダー「こくい? あぁ魔族ですか? ええ、よく見ていますねルーナさん。ちなみにその中でも、これは防壁用の丈夫な術ですけどね」


 オフィーキュス「大丈夫でスよクリオス……」

 不安そうにクリオスが彼女にしがみついている。

 ベル「土の臭いがするー?」

 ……そうだな、だけど森の土とは違って乾いていて、香りも強くはなく、生き物が全然いない。


 ゼラ「ふう、しっかし懐かしいですね、土環」

 彼は以前入ったことがあるようだな。

 レックス「あの量、見まシたか? だから封鎖シてあったのでスゾ!」

 そうだな。


 ベラ「いっぱいいたねー、穴開けられない?」


 ……むっ。


 ザアアァッ。

 突然、足元の砂が盛り上がって、光る何かが現れる。

「ゼラ動くなっ!」


 ――彼の元に手を伸ばした。

 もし当たっても籠手の部分だ。

 プンッ!

 ゼラ「うわあっ!?」


 ジュインッ!


 バチイッ!

 ゴーレム[ブスブスッ、ピーーッ;;:;:……]

 偶然ぐうぜん跳ね返って、自分の光弾をくらって壊れたな。


 やはりか、見間違いじゃないみたいだ。

 あと、少なくなってる魔力が今、確実に減った。


 一同「「跳ね返した!?」」

 ブラッダー「……さっき後退時にルーナさん、変に防いでいましたけど、ホントでしたよね」

 レックス「!」

 お、見ていたのか。


 ゼラ「あ、ありがとうございますルーナさん、もう少しで大事なものを失う所でした」

 彼は股間の真下に出て来て光弾を放とうと光っていたゴーレムの射出部分を、震えながら見てそう言った。


 クリオス「中に居たの!?」

「たまたま巻き込んで包んじゃってたみたいですよね」

 ゼラ「そりゃないですよブラッダーさん」


 クリオス「ね、ねえお姉ちゃん、もういない? ゴーレム」

「あぁ、もういないぞ、多分」


 皆「「多分!?」」


 ゼラ「……あれ? 漁船の時はルーナさんけっこう察知してくれてませんでした?」


 レックス「……甲羅蟹こうらがにの時はルーナ様でも見破り辛ソうでシたゾ」

 クリオスやオフィーキュス「「?」」


 ブラッダー「へぇ、甲羅蟹、確か隠遁いんとんの上手い魔物ですよね……僕も看破するの苦手です……もしかして、コレ起きてくるまで魔力察知できないのですかね?」

 おお、ブラッダーもか。

 いんとんとは、隠形のことだな?


「あぁ、寝てる時は全然わからないぞ」

 皆「「ええっ!?」」

 そう聞いて皆は足元の砂を踏んだりして調べたが、ゴーレムの石はなかった。


 ベル「ルーナ寝てるの?」

 ゼラ「違うからね? 敵のこと敵のこと」


 魔石灯とベルの灯が照らす、連中が未だ攻撃し続けている土の球の暗い中で、ルーナの首元に揺れて何が妙に明るく煌めいていた。

 レックス「? ルーナ様、首飾りがっ」


「むっ?」

 見ると、首にかけた三又のそれが青白く光っていた。


 オフィーキュス「あぁ、水神様のご加護が……」

 彼女は祈るような仕草をした。

 ブラッダー「それ、魔道具だったんですか? 大した品ですよね」


 ゼラ「あそうかっ! それが反射したんですねっ! あぁ~助かった」


 レックス「フーケ殿からの品でスな……」

 知らない者達「?」


 反射……あっ、もしかして入れ替えの線を跳ね返したのもこれのおかげか!

 ……雷石が割れた時も防いだのだろうか?


 魔力の量にしてはとても凄い効果だな。

 あまり魔力量だけで強さを測ってはいけないのかもしれない。


 ブラッダーも私も魔道具だと気がつかなかった。

 錆蟲の糞、入れ替えの塊魔道具は魔力が最初あったがもうないし。

 魔人の奴もだ。実際どれだけ持ってるかはわからなかった。


 それと、これについてフーケが何か言っていた気がするが。


 ゼラ「(あれ?) ……ブラッダーさん、団長の剣にも同じのがくっついてませんでした?」

 ブラッダー「あぁっ! 道理どうりでどっかで見たことあると思ってたんですよね」


 レックス「? 教会に……水関連の施設には、三又紋様は多く描かれておりまスが……」

 オフィーキュス「ええ、ソうでスわ」

 見ると、彼女の衣服にも三又の絵、いや、刺繍ししゅう、があった。


 ベル「何ー? 絵のこと?」


 クリオス「水教会? 僕、そこにお世話になるんだよ?」

 うん? そうなのか?


 ゼラ「ええ、そうなんですけどね、団長の剣にはそっくりなのがはまってるんですよ旦那」

 レックス「なんと!?」

 オフィーキュス「まぁ」


 ベル「そんなのあったかな?」

 ブラッダー「あぁ、お会いしたのですか? あれですよ、剣の根本ですよね」


 オフィーキュス「まぁ、街長様にお会いシたのでスか」

 クリオス「すごい! 英雄なんだよっ、ケイラッド様って」


 ベル「え?」

 ゼラ「ホラこの槍のここみたいに、刃の付け根のとこに嵌ってるんだよベルちゃん」

 彼は自分の槍の、刃の根本を指さして教えてくれた。


 ベル「ふーん、じゃあケイちゃんとお揃いだねルーナ」

 皆「「ケイちゃん!」」 


 ふうん。

 彼の剣も同じような反射の魔法を持っているのかもな。


 ベル「ねえゼラ、大事なものってなあに?」

 ゼラ「ええ? ……本当に知りたい?」


「うんっ!」

 クリオス「僕も知りたいっ」


 ブラッダー「ちょっとゼラ君っやめなさい」

 オイーキュス「こらクリオスっ」


 この状況で、随分呑気ずいぶんのんきに話してしまってるが、外をどうするか考えねばな。

 光弾は大人しめになったがかわらず攻撃してきている。


 レックス「コホンッ、これからどう動きまス」


 ゼラ「ちゃちゃっと外で“暴れて”来て下さいよブラッダーさん」

 うん? 例の二つ名の由来、の技か、魔法だろうか?


 ブラッダー「ええ? ……狭いから恰好の機会ですけど、砂が邪魔なんですよね、いっそ全部固めた方が良い気がしますけど、もうそんな魔力は残っていませんよね(まだ奥の砂に埋まってそうですし)」


「魔力を渡せばできるか?」


 レックス「……先程の、魔力譲渡という技でスな」

 ゼラ「下水道でアリエなんとかともやってましたよねっ、そりゃいいや」

 アリエスタだな。


 ブラッダー「良い考えですねルーナさん、ですが、もう流石に魔力が少ないのでは?」

「ああ、全然ない」


 ベル「じゃあできないよー」

 ええ!? と皆が驚く、が。


 レックス「……ルーナ様、今こソ魔力水を使う時では」

「あ」

 ゼラ「もう、ルーナさんたとぼけちゃって、うっかり屋さんなんですね」


 うっかり屋……なにを売ってるんだその店は。


 ベル「ルーナ疲れた?」

「まだまだ元気だぞ、魔力がずっと変だが」

 一同「「変?」」


 ブラッダー「……(オークロードの武技をくらってから様子が妙ですよね)」


 キュポンッ。


 ブラッダー「あ、一応言っておきますが、すごくおいしくいないので、驚いてこぼしちゃだめですからね」

 ベル「ええーっ!?」


「……」

 オフィーキュス「……」

 知ってるようだな彼女も。


 鞄から魔力水を取り出し、蓋を開けて一気に飲んだ。


「っんぐ!」


 ベル「苦い?」

 すごく苦い、なんだこれは? 魔力の味なのか? 魔石もこんな味なんだろうか。


 あと、いろんな草や、薬などの、材料の匂いがするし、鼻がスースーする。


 ベル「おいしくなさそう!」

 クリオス「うぅ……」


 ゼラ「ルーナさんが苦しみながら我慢して飲む姿を見れるなんて」

 レックス「……ノーデント卿?」

 苦、彼がゼラに何故か怒ってるが、それどころじゃないっ。


 ブラッダー「色合いも容器も随分上等なものですからね? お察ししますよね、ですが、一気に飲み干しちゃってください、そうすると一番効き目が出るんです」


 オフィーキュス「……水神様、どうかご加護を」


「んむぐぅっ!」

 ゴクッゴクッ。

 魔力薬の瓶の中の青い液体は、特に魔力を持っているわけではないようだ。


 ヒュオオォッ。

 クリオス「わっ?」

 一同「「?」」

 土環内の砂が密室にも関わらず、巻き起こった風にそよいだ。



 ?

 体内の魔力が徐々に増えてゆく。


 すごく増えていくな?


 だが、身体中がかゆくなってきて腹も痛み出した。

 これ毒じゃないのか!?



 もう二度と飲みたくない!


 読んでくださりありがとうございます。

 飲んだ苦いお薬は魔法薬ポーションのカテゴリーの、魔力水マナポーションになります。魔力薬とも呼びます。

 中でも赤色の体力水ヒールポーションがメジャーなそれになります。これも多少苦いです。


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