表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜眼のハーフエルフ  作者: 二砂音
二章 湖の街編
135/137

131話 抗う5 上級

 ヴイイイイイ。

 魔封じの光に捕らわれる中。


 ついにルーナが目覚めた。


「一体何が……オークが……奴らはどこへ?」


 ズキッ。

 うっ、少し背中が痛い。

 確か斧をくらったはずだが、思ったよりだな。


 そしてその時から今まで、覚えてないのだが……斧にやられて気絶してたのか?


 せっかく出たのに、またこの魔法封じの中に戻って来ていた。


 戸口の辺りが水浸しになっているな? 戸口や壁がボロボロに崩れて穴が開いているが……。

 スライムが混ざってるのが見える。


 もしかして、水槽の水が出る仕掛け、そのままだったんじゃないだろうか。

 子蟹「キッ」

 はさみを上げてる小さな蟹が向こうに見えるが……気のせいだな。


 そして胸元が血まみれだ。

 くん……私の血じゃないぞ。


 ゼラ「はぁ~、よかった~」

 レックス「背中は大丈夫でスかルーナ様」


 ブラッダー「気が付きましたか、斧を食らってからの事、覚えてますか?」


「……斧にやられたようだな」

 見回すと、斧が壁際に落ちている。


 ブラッダー「え? いえ、あなたは……まぁいいや」

 レックス「……」

 ?


 妙に彼が、いや、蛇女も怯えるような、畏縮、してるような感じだ。

 何かあったのか?

 む?


 柱が壊れてるぞ? モードの壊した柱はあっちにあるし……。


「はっ! モード!」

 彼女が倒れていた。


 ブラッダー「とりあえず今はベルちゃんに頑張ってもらいましょうかね、ルーナさんのケープのおかげで上手くいったんですよね」

 あれ? ケープを着てないぞ? 鞄も、あぁ鞄は傍に置いてある。


 ゼラ「それより、なんでオークロードがいきなり逃げたのが……」

 レックス「今は運がよかったと言うことにシておきまシょう」


「?」

 ブラッダー「ルーナさんがぶっ飛ばした後、目覚めたんですがそのままどっかに行ったんですよね」


 ゼラ「水漏れで敵達も全部今は出て行きましたからね」

 ほう?

 水漏れは幸運だったようだな。


 ベル「やっほールーナ!」

 うん? ベルが拘束の外に出て、魔法薬をぶら下げて手を振っていた。


 あの魔法薬、上級のか? 前も見たことがあるな、道具屋の上の棚のと同じだ。

 ブラッダー「ルーナさん、あれ神父様が“わざと”置き忘れて行ったみたいなんですよね」

「ふむ?」

 ゼラ「そうだよ! ベルちゃん! 早くその薬を隊長に!」


 ベル「あっ、うん! モード~」

 彼女はそれをボロボロのモードへ運んだ。

「うんしょ、あれ? 開かないっ、どうやって開けるの?」


 ブラッダー「仕掛けを外さないと栓が抜けないんですよね、ベルちゃん、そうっ、そのとっかかりを……」

 ゼラ「あっ、違うっ、ベルちゃん、そこの金具を上に、あぁ、そこじゃなくて……」


 レックス「ええいっ、身体サえ動けばっ」


「だいぶ動けるようになったな」

 魔法は全然だめだが……歩いていけるか?


 ゼラ「うおっ!? ルーナさん、歩けるんですかこの中を!?」

 ブラッダー「おおっ柱が減ったからですかね?」


 オフィーキュス「だ、大丈夫なのでスか? 体の方は……」


 レックス「ルーナ様! 柱を!」

「ああ」


 ベル「あっ、ルーナ! はぅわっ……あ!」

 よそ見をした少女は手が滑って魔法薬を落としそうになって掴んだが、その時に掴んだ金具が動いて、瓶の口にある蓋の仕掛けの片側が外れ掛け、仕組みを理解した。


「……?」

 おかしい、身体が変だ、魔法封じのせいじゃないぞ。

 立ち上がって歩いた途端、ふらついた。

 背中に食らったせいか?


 ズキズと刺すような痛みがあるが、斧をぶつけられて切ったのだろうか?

 ケープや鞄が脱げているんだが……あ、倒れた先に、ケープが落ちていた。


 あぁ、もしかしてベルごと外に投げたのか?

 きっとブラッダーの作戦だな、見事だ。


 何だか、魔力の乱れがさっきよりも激しいな、何故だ、柱も照射される光も弱まっているはずなのに……。

 瞑想を……いや、急いで出なければ……光の外はすぐそこだ。


 ドサッ。

「ぐっ……」


 私も這いずって外に出よう、ベルを助けて、柱を壊す。

 ザザ。


 ずっと自由を奪われていたクリオス達の悔しさが、痛いほどにわかったぞ。

 奴らが居ない今しか機会はないだろう。


 ゼラ「ルーナさん、やっぱ調子悪そうですよ!? ねぇ、旦那も動けないの?」


 レックス「ぬおおお!!」

 ドサァッ!


 立っていることしかできなかった彼は、銛を床に突き立て、彼女にならって這いずるように脱出を試みた。

「おっ、己っ!」

 だが見る見るうちに力が入らなくなり、とどまってしまった。


 ゼラ「ルーナさんさっきの鞭捌きの時よりも? ですよね」

 オフィーキュス「弱って、おられまスわ」


 ブラッダー「うーん……怪我や魔法封じの影響とはちょっと違いますよね、まさか、魔力酔い?」


 ゼラ「頑張れルーナさん! 旦那も!」


 レックス「ソの、頑張る力自体が吸われるのでス!」

 その時、彼の鞄に光るものをゼラが見た。

「旦那っ何ですかその背中に入れてる光ってんのは?」


 ブラッダー「この魔法封じの中で? ちょっと取り出して見せてください」

 レックスは鞄から例の重たい塊を取り出した。

 ゴトンッ。

 ゼラ「こんな重いもん背負ってるから動けなかったんじゃ旦那?」

 レックス「儂にとってはソんなに重くないでスゾ」


 ポンッ!

 ベル「開いた! やった!」

 ゼラ「よっしゃ!」

 ブラッダー「傷口にそっとかけてくださいっ半分は残して飲ませるんです」

「わかったー!」


「……ぐぅっ」

 ザザッ。

 いかん、誰か廊下を通って来る音が……水音が聞こえる。

 あと少しで外だ、落ちてるケープに手が届く。


 ケープ、そうだっ、中に偽の爆裂茸があったな?

 あれを使えないか?


 ベル「よいしょっ! モード! 起きて!」

 トプトプトプ……。


 ゼラ「ストーップ! 戻して! 全部零れるよベルちゃん!」

 ベル「すとーぷ? あっ、とととっ、残しとくんだよねー?」


 見ると、モードのズタズタの火傷切り傷が、みるみると塞がり小さくなっていく。

 流れる魔法薬に洗い流されるように血も落ち、毛の間にピンクの切り傷が小さくなっていくのが見えた。

 ブラッダー「止めてって意味ですよ、そうですよベルちゃん、残りは飲ませてあげてください!」


 クリオス「お姉ちゃんもう少し!」

 レックス「ルーナ様が抜け出シソうでス!」

「ぐっ」

 手が……出た!


 サワッ!。

 ケープに指が触れた。

 中指が、布の中に消えたっ、穴の入口か?


 出て来いっ中の絵よ!

 手を魔法袋の中に突っ込んで、頭の中に中の絵を浮かべる。

 行けるか? 魔封じから出れたのは手だけだがっ。

 ――ザザッ。


 小さな彼女が口元になんとか傾けた魔法薬の口から、赤色の水が流れ落ちる。

 しかし、口は開かれず頬にしたたった。


「モード飲んで! モード! ほら、ねぇ、あそうだ! おいしいお酒だよーモード! おいしいよ~」

 ピクッ。

 彼女の耳が動く。

「……ぅ……んぐ……ゴプッ! ……苦っ……」


 ゼラ「やった! 飲んだよ!」

 レックス「やりまシたな!」


 やがて、モードの傷が更にゆっくりとだが塞がってゆく。


 その反面、びくびくと痙攣けいれんし、弱々しく崩れ落ちる姿が目立った。


 ピチャピチャ……。

 ブラッダー「はっ、しまった、誰か戻ってきますっ!」

 ジジジッ。

 彼は調べていた魔力のこもった塊から、視線を戸口に向けた。


 ゼラ「くっそ!」

 レックス「柱サえ破壊できれば!」

「あの天井、崩せないかな?」

 彼は柱の上にまで広がる、天井の崩れかけた亀裂を見た。


 もっとも、崩れればこの部屋も埋まりそうだったが。


 ゴソッ……出せたっ。

 カチャッ……。

 偽爆発茸が二つ、手の中に転がっていた。

 絵を出すよりも、中を引っ掻き回せば指に当たった。


 中に散らばる物の中から、吸い付くように爆裂茸が向こうから手に入って来たことに後悔と反省を覚えた。

 今までずっと呼び出してばかりで、こういうこともできると知らなかったのだ。


 モード「ぷはっ、う、まずい……あれ? ……ベルさん? ……私は……」


 ゼラとブラッダー「「隊長!!」」

 レックス「モード殿!」

 クリオス「おばちゃん!」

 オフィーキュス「……あぁ、よ、よかった……」


 ベル「あっ、起きたモード? ペロッ、うえっ、にっがーいこれぇ!」


「モード!」

 目を覚ましたが、全然回復してないぞ?

 傷はみるみる塞がっていっているのに、魔力が減ったままだし、意識もはっきりしていない。


「……あ……み、皆さんは、無事に、隠れ、てます……ダロムさんっ、が、守って、ますからネ……大丈夫、ですからネ……」

 そう言うと彼女は目を閉じ寝るように、上げた頭を床に横たえた。


 オフィーキュス「ああっ! ……あ、ありがとうごザいまス!」

 ゼラ「隊長?」

 

ブラッダー「……意識の混濁こんだく、急激な睡眠? 治療による反動? 肉体の正常な反応ですよね」

 レックス「???」

 ゼラ「早く休ませて、何か食べさせないと……」

「そうですよね、かなり体力を消耗してるはずですよね」


 よくわからんが、眠いのか、これは、意識を失いそうだな。

「モード! 風壁は見事だったぞ!」


「……フフ……ーナさん、もっ、魔法っ、剣……事でした、私もっ、なに、か……呪文、風のっ、し、“シルフ”と……きっと……シル、フも……気に入ってくれ、くれる、はず…………」


 トサッ。


 ベル「モード! 死んじゃダメェ!」

 ゼラ「しぃーっ、死んでないからっ、気絶しただけだよベルちゃんっ」


 ブラッダー「師匠……」

 レックス「モード殿っ!」


 戸口の向こう。


「……おおっ! ちゃんと“無事にある”ではないか! でかぶつはどこへ? ぬおおお!? スライムか!? “儂の腕”を食うなああ!!」


 ゼラ「くそっ、こんなときに、ギャレスかっ」


「? シルフ……」

 ビュオオウッ!


 何だ?

 ――……LaLa~♪ ――。


 またか? 誰だ?


 ベル「ふぇ?」

 彼女も聞こえたのか? きょろきょろしてるな。


 クリオス「わっ!?」

 オフィーキュス「風?」

 ゼラ「何?」

 レックス「今のは……ルーナ様?」


 ブラッダー「おぉっ、こんなに強い“初期詠唱”が……彼女は本物ですよね」

 ?

 初期詠唱? ウンディーネの時にも変なことになったが……。


 ギャレス「ぬお!? きっ、貴様小娘! またこそこそと抜け出そうとしておったのか!」

 髭が入って来て、這い出ようとしている私を見て驚いた。

 酸で溶けかけのちぎれた腕をぶら下げて。


 ギャレス「ぬっ、おのれ! 待っておれよ! ここに置いておいて……」

 抜剣しようとしたのか、片腕がふさがっていたのに気が付いたようだ。


 ゼラ「ギャレス! あんた溢れた水槽かなんかを止めに行ったんじゃないのか!」

 レックス「あの腕を取りにでも戻ったのでは?」


 ブラッダー「ギャレス隊長、こちら側に戻って来て私達を解放しなさい! 僕が団長とラグザ隊長を抑えてあげますから。一緒に敵を倒せば俸給ほうきゅうが上がる絶好の機会ですよ?」

 ううむ、今更戻って来るとは思えないし、もし戻って来ても、処刑するんじゃないのか?

 嘘の気がするぞ。

 あと、ラグザとは、彼を探しているという隊長の名前だったか?


 ギャレス「ええいごちゃごちゃうるさい! レグトス人めが、儂はもうこんな国に未練はないわい!」


 すみの何もない床に腕を置いてから、魔力の宿った剣を抜いた。

 ジャキンッ!


 ギャレス「儂はリコアを探しておっただけだ! 魔物や帝国人共等、手伝うわけなかろうが!」


 ゼラ(旦那、探してたのは腕じゃなくてリコアちゃんだったね)

 レックス(……片腕という括りなら間違っておらぬ)

(ええ……)


 クリオス「ひえっ」

 少年が溶けかけのちぎれた腕を見て衝撃を受けている。

 あまり子供には見せない方が良い物なのかもしれない。


 ベルはギャレスの視界に入ってないようだな、静かに背後に飛んで回り込んでいる。

 空の魔法瓶を持って。


 ギャレス「フッフッフッ! 何だ豹変して気絶して、起きたはいいが、結局力尽きたのか小娘? 貴様も儂と同じように、その細腕斬り飛ばして、スライム共に食わしてくれるわ!」

 髭がこっちに来た。

「……おいっ、貴様何を持って、何をしている? 小娘!」


 カチカチッ、カチカチッ、カチカチッ。


 私は偽爆発茸のゼンマイ、とやらを回していた。

 回す手を持ち代えようと離した一瞬、足らしき部分が動いたが、まだ回るようなのでどんどん回す。

 とりあえずこれを柱にぶつけて壊せるか試してみよう。


「おいこら何を持っている!?」

 髭はどうでもいい。


 この状態でも多分倒せる。

 何故かはわからないが、足運びや仕草か? 奴の強さ、腕前がなんとなくわかったからだ。


 その魔法の剣は髭にはもったいない、とうとうもらう時が来たな。


 待て、どういう魔法がかけられているのだろうか?


「ギャレス、その魔法の剣、どんな力があるんだ?」


「ああん? 何を言っとるのだ小娘、魔法の剣だと? おい! いいからその手を止めろ! それを離さんか!」

 何?

 こいつまさか、知らなかったのか。


 ベルが髭の真後ろに回った。


「わかった」

 まぁいい、言う通りにしよう。

 コトッ。


 ゼンマイを巻く手を止めて、柱の方向へ向けて床に置いた。

 足の構造と一瞬動いた感じなら、多分、歩き出す気がする。


 ジーッ……。

 ものすごくゆっくり、歩き始めた。


 一同「「?」」


 足の部分が動き出したが、まだ一歩を踏み出してあげたところだ。

 中で複雑な音が聞こえているが、ジーっという音が一番大きくてうるさい。


 ベルが興味深そうに髭の背後からのぞき込んでいるな。


 その空き瓶で殴るつもりじゃなかったのか?


 ギャレス「ばっ! 爆裂茸かぁ!? い、いや、違うっ、はは、何だふざけおって! オモチャではないか――」


 シュウウウウーーーーーッ!


 カタカタカタカタカタッ!


 ギャレス「うわああああ!?」

 ベル「わあ!?」

 皆「「うわあああ!?」」


 偽爆裂茸が突然、白い煙を吹き出してすごい速さで床を滅茶苦茶に走り回った。


 ギャレス「なっ、何だ貴様は!? のわぁっ!」

 背後に回り込んでいたベルの大声に驚かれてしまった。


 ベル「あっ、えい!」

 スポンッ――バリインッ!

 外した!


 カタカタカタカタカタッ!


 ベルの声に気が付いて振り向いた髭が、空き瓶を振りかぶったベルの不意打ちを見破り咄嗟にしゃがんで躱した。

 空き瓶は彼女の手から離れ飛んで、壁に当たって割れて、周辺の瓦礫の仲間入りをした。

 危ないな、直ぐ近くにモードが倒れてるんだぞ。


 ジャキッ!

 ギャレス「この羽虫がっ」

 っ髭が剣を彼女に向けるっ!

「ギャレス足元! 爆発するぞ!」


「なっ!? ひええっ!」


 カタカタカタカタカタッ!


 嘘をついてみた。

 だが偽爆裂茸が髭の足元に走って来たのは本当だ。


「うわああ!? ……ぁ」


 カタカタカタカタッ……。


 飛び避ける髭、そして、偽爆裂茸は戸口を通って外に行ってしまった。


 一同「「……」」


 クリオス「走って出てっちゃった……」

 ゼラ「……え!? 行っちゃったんだけど!?」

 ベル「あれー?」


 ギャレス「~~~~っぬぐうう! 貴様ぁ! 死ねえ!!」

 ジャキッ!


 ゼラ「ルーナさん!」


 髭が真っ赤になって剣を振り降ろして来た――。


 キイイイイイィィィンッ!


 ――ケープに突っ込んだ手から抜き取ったもので防ぐ。


 それは輝くミスリルの矢だった。

 片腕の髭の魔法剣を、魔法封じで満足に力の出ない倒れたままの私は、両腕で掴み上げた矢の柄で防いだ。

「ぐっ」

 流石に体重を乗せた髭の切り込みの方が強いな。


 そして髭の腕にしては、中々の早さだった。


 早すぎた。

 まさかこれが魔法の力か?


 レックス「ルーナ様が押シ負ける!?」

 ゼラ「あの剣筋!?」


 ブラッダー「多分魔封じと、魔法の剣の仕業ですよね」

 ほう。


 チリッチリチリッイイイイイイイッ!

 魔法剣の刃とミスリルの柄がチリチリとぶつかり、魔力が反応しているのか、矢が震え出した。


「うっ」

 腹を踏みつけて、更に体重を乗せて来た。


 髭は魔法封じに足が入っても気にせずに、ちぎれた腕側の肩を剣の根元の背に乗せて、全体重で剣を押し込んでくる。

 頭も光の中に入った。

 髭は拘束内に、身体の半分が入り込んだぞ。


 ギャレス「もっと早くこうしておればよかったのだあ! 儂を馬鹿にする奴は全員死ねえええええ!」


 ズズズズッ!

 ベル「~~んもうっやめなさあい!」


 ブオオンッ!

 ベルが、何かを引きずり振り回して来たっ!

 あの巨大な斧だ!


 一同「「うわ――」」


 ブオオウッ!

 ギャレス「なっ、また――ヌボアアッ!」


 ドゴオオッ!!


 瓶と逆の方にギャレスが、巨大斧の刃のない、石棺のような大きさの、槌になってる側に、押しつぶされるようにしてベルの手からすり抜けた斧と一緒に吹っ飛んでいった。


 ドガアアアアンッ!!

 そして奥の壁にめり込んで壊した。

 なんと柱のすぐ横だ。


 ヴイイイイイイ……。

 その柱は無事に、私達に光を浴びせ続けている。


 そして奥に、廊下側ではない向こうにも何か、空間があったようだ。

 

 ゼラ「ああっ! 惜しい!」

 レックス「当たってない? 壊れてないのか!」


 ベル「え? 当たったよ?」

 ゼラ「いや、そうだけど、柱も巻き込んだらよかったねって……」


 カラアアンッ!

 パシッ。

 落ちる魔法の剣を受け取り掴むことはできなかったが、跳ね返るそれを捕まえた。


 イイイインッ。

 薄めの刃が揺れて、揺れ動く魔力によるものか、魔石灯の反射によるものか、僅かに青く輝いた。


 奴の魔法の剣を拾ったぞ。


 柱を壊そうとした偽爆裂茸は走って出て行ったが……。


 読んでくださりありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ