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竜眼のハーフエルフ  作者: 二砂音
二章 湖の街編
134/137

130話 抗う4 機会

 ヴイイイイイ……魔封の光が柱から放たれ、皆捕らわれの中にある中。


 ルーナは未だ目覚めなかった。


 ギャレス「ひっ、ひい、何だ? 何がっうぅ、痛いぃぃいうお!? 右腕が!? おいっオーク共! 腕を探せ! どけろこのデカブツを! 千切れて下敷きにい!」


 その様が中から、大きく空いた穴から見えていた。


 下敷きになったギャレスがオーク達に引っ張られ、気絶するブロンコスを傾けさせ、ようやく出てこれたが、ちぎれかけの右腕がないことに騒いで探させていた。


 その水浸しの顔が透明スライムの酸によるものなのか、所々荒れていたが全く気に留めていなかった。



 リゾットうお「酸だ! やっべえ! おい神父さんよっ、魔法で防いでくれよ!」


 ボシュウウウッ!

 炎魔術による高熱でシュトレイの周囲の水が煙を出して蒸発する。

 彼らは簡単に水を避けて、部屋を出始めた。


 ヴァイン「ああん? スライムが混ざってやがるのか」

 シュトレイン「ハッ、どちらにせよ不潔な水だ我々にはかけるなよ水教徒!」

「あぁ、アーマーが錆びるんだよ」

 連中の周囲には水が入り込んでこなく、円を描くように水が煙を出して止まっていた。


 ギャレス「あっマッマイケル殿、わ、儂の腕に治療をっ!」

 マイケル神父「まぁまぁ、順序がありますから、少々お待ちを……水泡よ……水の加護よ……“水泡陣”」

「儂のっ、大事な腕の方がっ最優先ですぞ!!」


 ヴァイン「うるせえ髭!」

 神父は盗賊と自分、他のブロンコスやギャレスも含めた周囲のオーク達にもかけた。

 清涼せいりょうな水のまくが、スライムの混じる汚水の侵入を防いだ。


 ピチャ。

 リゾット「おおっ水が避けてるぜえおい」


 モードにもだ。

 魔法封じに拘束された者達は離れていたのもあり、かける必要もないのか、及ばなかった。


 シュトレイ「ええい不浄な、ラチがあかん、行くぞヴァイン」

「ええ!? こいつらは!?」


「貴様は馬鹿か? これは牢屋と同じだ、見張りでも置いておけ! 来い!」

 水漏れ騒ぎの中、慌てふためいてスライムの酸にやられて右往左往するだけのオークを見て、うんざりしてシュトレイが動いた。


 マイケル神父はその中の一人、ギャレスの切断された腕に治療術を掛けていた。

 ギャレス「ひ~ひ~、ふぅ~~っ、ん? リコア? リコアはどこだ!? モードの奴めを殺さねば! あっ、炎術士殿っ、おっ、お待ちを!」

「治療から動かないでください、無駄にする気ですか」


 ヴァイン「チッ、おいそこのピッグ! その剣を寄こせ! あとオークロードを叩き起こして見張らせておけよ!」


 オーク「ブヒッ!? お、オレノ剣、とらレタ……」


 リゾット「あーあ、せっかく処刑が見れると思ったのに」


(盗賊! 何をしてる! 水槽の部屋へ案内せんか!)

 出て行った向こうでシュトレイが怒鳴る。


 ヴァイン「調子乗ってんじゃねぇぞてめぇっ」

 ドカッ。

 戸口に居たヴァインは通り過ぎるリゾットの尻を蹴った。

「はっ、はいい! ただいま! あ痛ぇっ! 蹴ることないでしょぉ騎士様ぁ」


 マイケル神父「……」

 部屋に残った神父が瓦礫に埋もれ、血塗れで倒れるモードを苦渋の表情で見ていた。


 ヴァイン「……おいっ、神父プリースト、てめえは先に行け」

 戸口を挟んだ暗い廊下の中に立つ騎士は、暗い眼でオークから奪った長剣をだらりと下げ大柄な神父にそう言った。


「ええ、勿論です、スイレーンの施設に、一番水に詳しいのは私ですからな、うおっと!」

 ガシャアンッ!

 カラァンッ、コロコロ……。

「おい何やってんだ、どんくせえ爺だな」


「いやおや、もう年ですからな、水泡の加減を間違えたのか、濡れててどうもいけません、年寄りはいたわるものですよ? まだ若いが立派な騎士殿」


 コロ……。

 喋りながら、マイケルが長いローブに隠れながら、躓いた瓦礫の中に何かを転がした。

 後方で見ていたブラッダーが、ゼラが、僅かに気が付いた。


 ヴァイン「うるっせぇんだよおべっかなんて、それにあんた言うほど爺じゃねぇだろが、ふざけんじゃねえぞ、さっさと行け!」


「ええ、すいません、よっっこいしょ……ところで、最近“あなた方の狙いの一人”であるセレナールに珍しい本をお貸しましてね? 黒頭巾殿の魔術の一つでもある転移に関するものでして、今頃“逆転移”の記述まで読み進めてるんじゃないでしょうかねぇ、今度お貸ししましょう……」


「ブラブラブラッ、うるせえ早く行けよ! ブックなんてつまんねえもん読むわけねえだろ? 馬鹿かお前? ……」

 舌を出し入れして吐き捨てるように言って、去っていった。


 部屋の外にはまだ、水浸しな状況に騒いでいるオーク達がいた。


 ゼラ(爺呼ばわりしてんのはお前だろクソガキ! さっさと行って水を止めて来いバーカ! そのまま溺れ死んじまえっつーの!)

 レックス「……その声量では奴に聞こえまセんゾノーデント卿」

 

 オフィーキュス「……あれ、あ、あれが、本当に、騎士なのでスか?」

 ゼラ「あれ絶対出世しませんよ」


 ブラッダー「あんなのより、あれっ見えますか? 魔法薬ですよね、それに神父様の言ってたこと聞きましたか? 逆転移とか」

 レックス「儂にはさっぱり、本を貸シたとやらなにやら……」


 ゼラ「違和感ない感じになんとか頑張ってくれましたけど、もしかしてセレナール様が?」


 ブラッダー「……恐らく、さっき牢屋で話して下さった、転移魔法陣の巻物の関連ですよね? セレナール様が転移を利用して救援に来てくれるかもという手掛かりを、きっと神父様は話してくれてたんですよね」

 レックス「なっ、なんと!?」


 オフィーキュス「ああ、シ、神父様、信ジておりまシたわ」

 クリオス「??? 神父様、敵じゃないの?」


 ゼラ「あっ、皆っ、ベルちゃんが出て来たよ!」


 向こうの、拘束されている彼らの外に落ちた魔法のケープが丸まって落ちている中から、ベルが出て来て顔を出した。

(ん? あっ! 動くぅ! 元気!)


 皆 ((しぃーーっ!!))


 ケープにくるくると包まれて放り投げられたベルは、眼を回したものの、しばらくすると、ぐるぐるが治り、ついでに身体の調子が元に戻ったことに気が付いてなんとか外に出ようとしたが、くるまれ過ぎて大変な脱出劇であったが、なんとか出てこれたのであった。


 元気いっぱいで立ち上がり、両手を上げて叫ぼうとしたが、向こうの方からしいーと言われて止められた。


 ベル(ねぇ、誰もいないよー?)


 クリオス(しぃーっ、外に居るよっ)


 ゼラ(わかってるから、それ! あれ! 魔法薬!)


(え? 何? どれ? うわっ、何この水? あっ、お外にまだオークが居るよっ)

 羽がちゃんと動くのも背後を見て確かめて、少し動かして見てから、ゆっくりそろそろと飛び上がった。


 見ると、彼女の出たケープの床より、少し段になって低くなっていた戸口付近に、汚れた水が、甲羅蟹こうらがにの岸辺の浅瀬あさせの様に波打っていた。


 戸口の向こうでは、巨大なオークを起こそうと数体のオークが彼の巨大な腹をペチペチと叩いているのが大きな崩壊した穴から見えていた。


 ブラッダー(そうですね、ベルさんいいですか? 魔法薬を取って、モードさんにかけてあげてくださいっ)


(あのキラキラだ、うん! まかせて! モード待ってて!)


 神父がわざと落とした魔法薬を身振り手振りで示した皆の頑張りによりそれに気が付いたベルがすぐさま飛び寄って持ち上げた。


 だがその時、瓶の下部の球体部分を持ち上げたことによって、先に口と蓋のある細長い胴部分が持ち上げたベルの手を軸にして、回転する様にして床に軽く当たった。


 クルンッ――コオオンッ!


 それは思った以上に高い音を立てた。

(あっ)


 戸口に近い、外のオーク「ブゥッ? クンクン……フェアリー臭い?」

 そのオークが長の頭を持ち上げていた状態でよそ見をして体をひねったためか、ブロンコスの頭を取り落として、床に彼の頭がぶつかった。

 ゴンッ!


 ブロンコス「んはぁっ! 痛デぇナ馬鹿ァ!!」

 ボゴオンッ!


 ドガラアアアンッ!!


 グルグルドサアッ!


 ゼラ「うおわぁっ!?」

 衝撃で目覚めたのか、起きるや否や、痛いのをやらかした部下のオークを殴り飛ばした。


 その威力にオークは吹っ飛ばされ、壁をぶち抜いて研究室に転がり拘束下にある彼らの元まで飛んで来て倒れた。

 首の骨が折れて死んでいた。


 クリオス「ひいっ!?」


 外に居た最後のオーク兵「ブヒイイィ!」


 ブロンコス「んん? オイ! コら、待て! 何ダこノ水ハ!? あト……クンクン……んン?(この臭い、ナンダ、オレ、怖い)」


 レックス「死んでる? 何と言う力! (ルーナ様は更に大斧の一撃を背中にだゾ……)」

 ブラッダー「うーん、正確には、壁はあの大穴で崩れかかっていたようですね、首は床に落ちた時に折れたようですよね、ホラ、ぶん殴られた後はここにあります」

 そう言って死んだオークの腹をつついた。


 レックス「ソんなことより、デカブツが目覚めまシたゾっベル殿がっ」


(よいしょ、う~ん、なんかうまく運べないなぁ)

 魔法薬を運ぶベル。

 ズズズズ……。


 まだ怪力の調子が出ないのか、低空で、仕方なしに魔法薬を引きずって運んだ。


 ブロンコス「んん? オデの斧はドコダ? 人間タチ、ドコいったぁ? 何ダコノ水の球ハァ?」

 巨大なオークがノロノロと起き上がり、部屋に入ってこようとしていた。

 自分の周りに貼られている水泡を突きながら。


 皆 ((ベルちゃん! ああっ!! 隠れて隠れて! 後ろ!))

(うんしょっ、え? なあに? 今あたし忙しいの……え? 後ろ?)


 奴が入って来るのと、ベルが戸口前を横切ったのが同時になってしまった。


 その時、二人は出会った。


 ブロンコス「んん?」

(え?)


「んん? んんん? お前ぇ……」

 巨大なオークロードは前屈みに、目を細ませ、小さな小妖精の少女を見つめた。

「あれ? ブロコス? ブロコスだよね?」


「アア!! ああアアあ!!!!!! お前ハアアアあああ!!!!!!!!」


 皆「「は?」」



 ――10数年前――


 とあるオークの少年が、森に迷い込んだ。

 枯れたの山とは違い、次第に緑に溢れ豊かになる森の探索に夢中になって奥に進んだ為だ。


 空気は瑞々《みずみず》しく豊潤ほうじゅんでうまく、乾いてもすすけた臭いもせず、同様に木の実や果実はよく実って大きく美味かった。

 夢中になって頬張りボロボロの袋にありったけ詰め込んで進んだ。


 そして濃い霧の中に消えていった。


 気が付けば入ってはいけない場所へ入り込んでしまった。

 そこは棲み処の灰色の世界に比べれば、毒々しいくらいに色の濃い、夢のまどろみの沼へひたるような、練りこんだ水飴みずあめの様にまとわりつく空気だった。


 思わず息をのむが、むせ返るようにせきを吐いた。

 すると、空気の泡になって、虹色に浮かんで空に飛んでいった。


 塗りたくった絵具の様な虚像きょぞうの空へと。


 楽しい乙女たちの声が聞こえる。


 陽気な音楽と律動りつどうも。


 一瞬、得体の知れないものへの恐怖と警戒心が湧き上がるも、少年は生来せいらいの強い好奇心と直感に従って進んだ。

 

 柔らかな上等な毛皮の様な木々の葉をどけてそこを見ると、始めて見た柔らかな色とりどりの光球に目が疲れてまたたいてしまった。


 ベル「きゃははは! あれ? 誰ー?」


 小妖精たち「遊ぼ! 遊ぼ!」「仲間! 仲間!」「この子、いい匂いがする」

「オークの子? かわいいね!」

 ベル「あ! 木苺だ! ちょーだい!」

「ねぇ、名前はなんてゆーの?」「一緒に踊ろうよ!」「うふふっ」「きゃははっ」


「え? ウ、お、オイら、ブロンコスだ」


 ベル「ブロコスかー、あたしベルだよ! 遊ぼうっ」

「んン? オラの言うコト、ワカルのか? ブロンコスだっテ!」

「ふぇ? わかるよー? なんで?」


 小妖精たち「なんでだろー?」「なんでかなー?」「わっかんなーい!」


 ブロンコスは喜んで輪に入って踊った。

 自分の種族意外と出会うと、襲われるからだ。

 言葉も通じないからだ。

 食われるからだ。


 だからこちらも襲うし、食った。

 それが種族の日常であった。


 今日までは。


 我を忘れて妖精たちと遊んだ。

 不思議な場所だった。

 川や池や、森や、洞窟や、屋敷で遊んだ。

 食べて、寝て、踊って、遊んで、繰り返した。


 おかしいな?

 変だな?


 帰らなきゃ?

 何日たった?


 あれ?

 昨日は今日?

 今日は昨日?


 判らなくなって不安になるが、直ぐに消えて、妖精たちと回って踊った。


 そこに茸が輪になって生えるまで。


 遊び疲れて休んでいる時、うとうととまどろみの海で舟をいでいる時、ひそひそと聞こえた。


 小妖精たち「……いらしいんだよ、オークって」「えーっ?」「キャハハ」「だって、ジョンが食べさしてくれたもん、おいしかったぁ~」

 ベル「ええ? あたし食べてないよ?」


「だってあなたは遊んでたじゃな~い?」「ぐるぐるぐる♪」「ジョンが寝ちゃった」

「ベルが誘って寝ちゃった♪」「ずうっと眠るの♪」「輪に入っちゃったの」


 ベル「ねぇ、何のことー? ジョンはもう帰ったの? 追っかけっこしてたら勝手にどっかいっちゃったんだよ? お昼寝してたの?」


「大丈夫、もう起きて出てったから」「ジョンはもじゃもじゃ、真っ白けっ」「キャハハハ」

 ベル「???」

「ブロンコスも?」「あら、いけない子っ」「ウフフフ」「キャハハハ」


 大人の妖精「おやつだよー」


 小妖精たち「「わーいっ」」

 ベル「あっ、やぁーっ全部食べちゃダメ~、待って~」


 木陰で話す小妖精たち「くすくす、ブロンコス、大きくなったね?」

「かわいいかわいいブロンコス」「輪になって踊りましょ♪」

「一緒に入ってお昼寝しましょ♪」「まん丸ぽっちゃり」


「「食べごろねっ♪」」


 そう言って影に潜む妖精たちがこちらを見た。

 覗き見てたのが見つかった。


 ブロンコス(ひいいい!!)


 走った、ひたすら走った、景色が、空気が懐かしい錆色さびいろの乾いた色味のないものに変わるまで。



 ベル「おっやっつっだっよ~っ、あれ? 姉ちゃんたち、ブロコスはぁ?」

 小妖精たち「知らな~い」「お帰りはあちらで~っす♪」


「ふ~ん???」

 ひょいと飛んで、菓子を頬張りながらブロンコスの去った向こうを見る。


 外の世界を、どこか寂し気に、夢見るように遠くを見ながら。


 小妖精たち「だってぇ、ずっと居ると泣いちゃうもの」「そうよ」「そうね」「ジョンみたいに」「うふふふ♪」「あら、いけなくて?」「かわいい妹をしぼって蜜を集めるなんて、許さないわっ」

 タンタンタン、トントントン。


「かわいいのよ」「だから忘れて、お眠りなさい♪」「そうね」「ぷんぷんよ」

「甘~い蜜♪」「ベルの蜜♪」「クスクスクス」

 妖精たちが輪になって踊る。


 ベル「ざんねーん、ちょっとかじらせてもらいたかったなぁ~」

 戻って来て輪に加わる。


 茸が輪になって生えたその上に座って。


 小妖精たち「あら、だめだめ」「だめよ」「お肉なんてだめよもう」「無限大なんだから」「さぁお眠りなさい」「“八人”だったかしら?」「そうよ、お眠りなさい」


「“九人”じゃなくて?」「かわいいベル」「ベルも入れなきゃだめよ?」「うふふ」

「忘れなさい」「末妹ベル♪」「ベル♪ベル♪」「“まだ早い”のよ」「ららら~♪」

「まだ集まらないの?」「そうよ、まだよ?」「もったいぶるんだから」


 ベル「なあに? なんのことー?」


「お菓子は私が食べといてあげるわ」「ふぅーっ」

 鱗粉が舞う。


 ベル「? むにゃ……?」


 小妖精たち「「“お姫様”が迎えに来るまで……今だけはどうか安らかに」」


 トンッ、コロコロ……。

 その手の菓子が落ちて転がる。


 いつしか水が流れ、蔓が生え、彼女を守るようにくるむ。


 蓮の花が幻のように現れ、うとうとと丸くなって眠るベルを優しく包み込んで。


 あっという間に夜になり、蛍が舞い、影から歩き茸がのぞき込んだ。


 ベル「むぐむぐ……くぅ」



 ブロンコスは故郷に帰った。

 “生み親”は死んでいた。

 兄弟も皆挑戦に敗れ死んでいた。


 嫌っていた生み親の兄弟の強いのが、“家父”を殺して新たな家の長になっていた。


 自分の兄弟の、家長になるはずの長男はとっくに死んでいた。


 強い家だったが、無くなって、家無しの一人になった。



 それから、心が冷え固まり、強くなった。戦士になった。


 しばらく一番下から初めて、働いて鍛えた後、次々と上役に挑戦し階級を上げて、長に挑戦しとうとう勝った。


 一族をまとめる長になった。


 妖精の事なんてとっくに忘れていた。


 それからしばらくすると、魔族と赤鎧とかが来て、戦に参加した。


 豊かな湖を全部自分たちのものにできる。

 楽しみだった。



 そうして敵が攻めて来たので行ってみると、そこに小妖精のベルがいた。


 ああ、この戦は勝てないと思った。


 小妖精はだめだ。



 ――現在――


 巨大なオークがベルを見るなり、みるみると汗を流しその顔が驚愕と、恐怖に歪んだ。

 ブロンコス「ブオオオオ!? うぎゃあああああ!! クワレルウウウウウ!!」

 ドガアアガラアアアンッ!!


 ドスンドスドスンドスンドスン……。


 オークロードは巨体をひるがえし、転びかけながら、戸口を破壊しながら、大慌てでベルを見ながら逃げ出した。


「あっ、え? ブロコス!? ブロコスぅーー!」


 一同「「!? ……」」



「……?」

 むくっ。


 何だ?

 変な夢を見た気がする……ベル?


 ゼラ「うおおびっくりした!? ル、ルーナさん!?」

 レックス「ルーナ様!!」


 ブラッダー「今、凄いのを見逃しましたよね!?」


 クリオス「お姉ちゃん! 起きたよ!」

 オフィーキュス「……え? 今、何が……あっ、ルーナ様」


 ベル「あ! ルーナ起きたー!」


 コンコロンカンッ。

 魔法薬の容器が引きずられ音を立てた。


 モード(……うぅ、い、痛いですネ……)


 読んでくださりありがとうございます。

 思わぬ展開でベルの過去がちょっと明らかになりました。

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