123話 火花
黒衣「結界障壁の“核石”を破壊しよったぞこのクズ共っ!? はぁ、作業場が滅茶苦茶に……許さぬ」
拡張も障壁も解かれ、わりと近くに居る黒衣の男が激怒から静かな怒りに変化させながらそう言う。
ゼラ(いや、後ろのはあんたが放った魔道具のせいだからね?)
ゼラ「障壁が消えましたね」
ベル「そーなの?」
ああ、 絶好の機会がまた来た。
レックス「奴をやっと殺れるな!」
「あっでも旦那、奴は攻撃を防ぐとかって話ですよ」
ブラッダー「……ここは撤退しましょう」
何。
彼はそう言って、恐らく土魔法を唱え始めた。
黒衣「ここまでしてやられて、吾輩が逃がすと思うか?」
まだなにかあるのだろうか。
それに、誰が逃げるか。
ジャキンッ。
「覚悟しろ、黒衣の男」
多分、この場合、逃げられないと思うからな。
ベル「そーだよ!」
クリオス「やっやっつけちゃえ!」
オフィーキュス「……で、でスが……」
ゼラがブラッダーに目線を送る。
彼はやれやれと首を振った。
レックス「シュウーッ、貴様こソ、儂らから逃げられると思うな!!」
ガァンッ!
彼が三又銛の石突を床にぶつけて怒鳴る。
黒衣「黒衣の男? ……フッフッフッ、勝てる気でいるぞ、愉快な下等種族共だな。それに何だその呼び名は、吾輩の名は……まぁ良い、軽く遊んでやろう、来い鼠共」
ジャキ、ビュオッ。
――大剣を突き突っ込む。
グゥゥッ!
「っ」
しかし、やはり途中で止まってしまった。
障壁に当たったとかではなく、奴から一定の距離で止まった。
ブラッダー「おや?」
レックス「!?」
ゼラ「あれが報告にあった障壁ですからね」
ググッ。
ズザザッ。
踏ん張ってもやはり足が下がる。
跳ね返す力が見えない奴の周囲にある。
だが、以前よりは深く突き入れられたな。
片手で。
ゼラ「フッ!」
レックス「ガアッ!」
グググッ!
彼らも飛び出し攻撃したが、銛と槍も、途中で止まった。
あらゆる攻撃が効かない。
黒衣「……今度は吾輩の番だな」
「っ! 避けろ!」
(ウンディ-ネッ!)
水壁で奴自体を包むようにして、迸り放たれようと激しく巡る、奴の魔術を囲い込む。
バシシュンッ!
奴が魔道具球を浮かべている手とは逆の片手を軽く振ると、そこからゼラとレックスに向けて光弾が放たれ、至近距離からぶつけられた。
バシャッ!
レックス「っグウウゥッ!!」
咄嗟に戦斧と腕を盾にして防ぐ――。
バキャアアンッ!
ドガアッ!
光弾を掻き消しながらもしかし斧が瞬く間に砕け腕の鱗も割り巨体を吹き飛ばし、向こうの壁に激突した。
ガラァンガランッ!
レックス「ぐはっ!」
パシャアッ!
バガアアッ!
ガラガラアァンッ!
ゼラは踏ん張り盾で防いだが簡単に割られて、軌道が逸れるも貫通し迫った光弾を、なんとか避けたが、左肩に当たり衣服を裂かれ血を出して、回転する様に吹き飛ばされた。
ドサアッ!
ゼラ「っ痛うぅっ!」
水壁はまるで役に立たなかったか!?
ザバァッ!
光弾は私にも飛ばして来たが、魔力の流れで察知し、大剣を引きつつ、水球を変化させ水壁に変化させながら、剣の腹で受け流す。
ビキッ!
だが、水壁は完全に間に合わず貫かれ、大剣にひびを入れた。
ズザアアーッ。
その威力に後ろに大きく滑り下がる。
ドガァンッ!
光弾は斜め後ろの壁に飛んで行って穴を開けた。
水壁はまるで役に立たなかったようだな。
光弾の魔力に逆らった感じはしたが……。
黒衣「フン、馬鹿の一つ覚えだな、そもそも実験動物用の障壁と、吾輩の防護のそれが同じとでも思ったのか? 下等種族共」
なるほど。
理にかなった説明だな。
その強固な障壁の出所は、その首飾りか?
服に隠れて見え辛いが、いちいち衝撃に反応してきらめいているな。
魔力の感じでもわかる。
狙い目だな。
バコオッ! バガアアンッ!
奴が言い終わるのも待たずに、奴の背後の地面が突然盛り上がって、岩の棘が背中を貫こうとしたが、砕けてしまった。
ブラッダーか。
黒衣「今度は土遊びか」
背中を見て奴が言う。
ブオンッ!
ググッ……ガラアアンッ!
ひび割れた大剣を投げつけたが、途中で止まって落っこちた。
ヴンッ。
曲剣を出し構える。
中剣より長く、湾曲した刃が気に入った。
残った剣はこの二本だけになったな。
奴は背後を見るその首を正面に戻した。
ブウウンッ!
ゼラ「痛つつ……旦那、もう降参かい?」
ガラガラ……。
レックス「うぐ……馬鹿なことを言わんでくれ、ノーデント卿」
私に合わせるようにゼラが立ち上がり奴に近づく、肩を怪我したが、利き手とは逆らしく、振り回す槍さばきには問題はないようだ。
レックスは遅れて落とした銛を拾い上げて囲みに参加する。
鱗の薄い、くらった腹辺りが紫に変色してるな。
奴が光弾を放つ前に、魔力を籠めたもう片方の中剣を続けて突き入れようとしたのだが……。
ブラッダー「ありゃりゃ、こりゃ、レベルが違いますよね。皆さん、離れてくださいっ」
むっ。
ダンッ!
私達が離れた途端、天井と奴の床の石が一瞬で変化して砂になって、溶けるように水みたいになって奴を包み込む。
というか、少し遅れたレックスの足も巻き込みかけたな。
聞かずにどかなかったら、どうしてたんだろうか。
包まれたそれが岩の様に硬くなり、縮み始めた。
パキパキパキッ。
グググッ。
奴の障壁の形が丸わかりになった。
卵のような岩が目の間に出来上がった。
モードの念道魔術の様に、凝縮させているようだが、全然凝縮しない。
そして、まだ彼は何かするようだ。
ブラッター「……はる……なる……いちに……ノームよ……土封っ」
小声で早口の詠唱だが、それだけ聞こえた。
?
のうむ?
ゼラ「あ、やばいっ、もっ、もう少し離れて二人とも!」
彼が慌てて下がる。
ズズズズンッ!
黒衣の両脇の地面から棘が見る見る生えたと思ったら、両手を合わせて叩くかのようにその地面っごと飛び動いて、奴を刺し挟んで閉じた。
バタアアアン!
パラパラパラ……。
分厚い石の地面が、まるで閉じた本の様に奴を挟んでいた。
まるで四角い巨大な岩だ。
ベル「すっごーい! ねっ、すごいね、クリリス」
クリオス「う、うん、僕、クリオスだよ? 妖精のお姉ちゃん」
三号[……マスター、オデカケデスカ? イッテラッシャイマセ]
作業台の向こうに居た使い魔らしき奴が、キョロキョロと部屋を見渡してそう言った。
そこにいるぞ多分。
奴の強大な魔力は健在で、強固な障壁の形をした魔力も岩の四角の中に視えていた。
魔法も全く効かないようだな。
ブラッダー「こりゃ全然だめですよね、団長呼んでこないと殺されますよね僕達」
団長、ケイラッドか。
彼は随分魔力を使ったようだ、けっこう減っている。
確実な手だったようだし、かなり強力な魔術だったな。
だが、奴の障壁が上だった。
流石に少し落胆、している。
ゼラ「ええ? 全然? これで?」
レックス「倒シたのでは?」
首を振るブラッダー。
どうやら彼も振動とかで奴が平気なのだとわかっているようだな。
「一個思いついたのがある」
その作戦に、皆はさすがに首を振って拒否した。
気が付けば、扉の向こうでオーク達が騒ぎに集まって来ているのを感じた。
怖がって入って来ないようだが……。
拠点は大騒ぎの様だな。
走り回る連中の足音の振動を足裏から感じる。
それと天井の隅の、排気口か何かの奥の細い空間の向こうに誰かが潜んで来ている気配がする、まだちょっと遠いが。
バガアアンッ!!
ザバアアアッ!
奴が魔道具から何か放ったのか、四角い岩が弾け飛んだ。
瓦礫片となって炸裂するかと身構えたが、途端に砂状に崩壊して弾けて床に溜まった。
そういう攻撃を奴がしたのか、そういう土魔術だったのかはわからないが。
黒衣「やれやれ、長時間続ければ窒息はするかもな? これだから下等種族は、四属性しか扱えんとはな……」
三号[……マスター、オカエリナサイマセ]
黒衣「やかましい、ずっと居ったわマヌケがっ」
全然無事だったな。
ふむ、窒息、か。
四属性、火水土風だな。
他にも空間とか、念動とかあるが、一体何を話し始めたのだろうか。
戦わないのか?
あとその言い方だと、自分は他の魔術も使えるような言い方だな。
奴の手の平に黒い炎が灯った。
転移か!?
黒衣「……流石の貴様らでもとっくに気付いているだろうが、我々魔族は基本的に魔道に通じておってな、いや、魔法そのものに近い存在だと言える」
黒炎が多くなっていく、転移じゃないようだ。
奴の魔力からしてみれば、私が息をするように出す水球と、同じような量でやっている。
しかし、見てると気分が悪くなるなあの炎は。
奥にちらつく緑のような、青白いような灯を見てると気が滅入る。
ベル「あれ、なんかやーっ!」
ブラッダー「……黒炎ですよね」
ゼラ「魔族めっ」
オフィーキュス「シュルルッ、ス、水神様、どうか、ご加護をっ……」
レックス「?」
皆あれが苦手なようだな、感覚が同じで少しほっとした。
ゼラとブラッダーは見たことがあるようだな。
どこでだろうか?
「……ハーフエルフの小娘よ、貴様のどっちかしらんが親のエルフ族も、忌々しいことに“同様の性質”を持っているな、どうでもいいが」
ふむ、私の親か……。
そうなのか?
私は石棺の中で記憶を失くして眠っていたんだが、親とやらは何をしてるんだろうな……。
黒炎の球が大水球の様に大きくなったぞ。
飛ばしてくるなら、小鬼の洞窟の呪術士が放って来たワンドの大火球の時の様に、大剣で跳ね返すか。
ゼラ「ちょ、ちょっとあれ、やばいんだけど」
レックス「ルーナ様、お下がりをっ!」
黒衣「このように、下等種族の貴様らドブネズミ共に扱えぬ闇魔術も、当たり前のように種族特性として身に付けているのだ」
ボボボボボッ。
腕を上げて、大黒炎球を頭上に押し上げた。
種族特性? 私にもそう言うのがあるのだろうか?
黒衣「邪神様の恩寵たる闇の魔力が備わっている事こそ、あらゆる種の上位種たる確固たる証拠なのだ!」
邪神だと?
ふむ。
「何で上だとわかるんだ、下じゃないのか? 小鬼の呪術士も、闇魔術とやらを使っていたぞ」
あれは目隠しだったな。
中々効果的な魔術だったが、火球とかの方が強いと思う。
ゼラ「うわっ! 言い返したよ!?」
レックス「流石でス、ルーナ様」
ベル「もっと言っちゃえ!」
黒衣「黙れ小娘! 私の魔術を愚弄するか! 本物の闇の魔法はこんなものではないのだ! だから吾輩は魔道具を駆使して……ぇえいどうでもいいわ! 消炭になって死ねえええ!!」
私達を実験の材料にするんじゃないのか?
どうやら怒らせたようだな。
振りかぶって大黒炎球を投げつけて降らして来るが、すごく遅い。
「お前がな」
(ウンディーネ、そして風の精霊よ、力を貸してくれ――オウス)
――~♪ ――。
魔力を貯めたもう片方の手に持つミスリルの矢に、水の刃を纏わせ奴に殴りつけるようにして魔水を出しながら、槍の様に射出させた。
イイイイイッ!
黒衣「ぬおっ!?」
グググヴヴヴッ!
魔力を流し込み続ける。
ブオゥッ!
風も流れ込んで矢に飛び混んできた。
奴の跳ね返す障壁に、鋭く尖った水の矢じりを纏うミスリル矢が、風も手伝って、今までで一番深く突き入った。
障壁が無理をしてるのか音が変化するほどに。
イイインッ!!
「っ」
だが、奴にぎりぎり届くところで押し負け、斜めにズレて、とんでもない速度で跳ね返って上の方に飛んでいった。
黒衣「うぐっ!?」
奴の頬を少し切って。
ズドオオオンンッ!!
バラバラバラ……。
奴の斜め後ろの、壁の、天井に近い辺りを大きく砕いて穴を開けた。
黒衣の男「うわっ!? わ、吾輩の“斥力障壁”に侵入しただと!?」
ポタッ。
奴の黒衣に、紫の血が垂れた。
震える指で頬をなぞり、自分の血を驚いて見た。
「おのれ小娘――」
奴が降り落ちる頭上の黒炎を操つり、皆の方ではなく、真下に居た私に落として来た。
――だが、入ったな?
ヴンッ――すぐさま、大剣と入れ替え出した“雷石”を、手刀の内に持ち、矢が進んだ箇所に向けて突いた。
落雷の魔道具より強力かもしれない、腕ごと、身体も黒焦げになるかもしれない。
だが、機会は今しかないだろう。
グググググッ!
ミシッミシッ!
指先の骨が軋む、とてつもない跳ね返す力が邪魔をしていた。
バチバチバチッ!
雷石が光って火花が弾けている。
破裂しそうだ。
空いた手で水壁を、いや、鞄の甲羅で、黒炎球も――。
黒衣「――何だその石は!?」
「――皆伏せろ! オウス!!」
手の平の雷石を奴の眼前に向け、石と手の内の間から水球、いや水刃が出るように願いを込めそう唱え、放った。
パキッ――カッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ドガアアアアアアアアアッ!!!!!!
部屋中を、稲光が今までで一番瞬く。
バリバリバリバリイイイィィッ!!
樹枝のような電光があちこちに走る。
三号[……コレ以上攻撃ヲ続ケルノナラ、マスターニ報告ヲシマス――ピガガッ!!]
ボウンッ!
やつが雷に貫かれ爆破して壊れるのが横目に見えた。
ボボボボオッッ!
稲光が頭上の黒炎を、叩き散らすようにかき消した。
バリィンッ! ガシャアンッ! ドガッ! ズガアンッ! ボコオッ!
一瞬にして黒衣の男の研究室とやらの機材を破壊し、天井や石壁さえも砕いた。
ズガガガッ!
クリオス「うわあああっ!」
ゼラ「ひええっ!」
ベル「きゃああ! ルーナー!」
レックス「る、ルーナ様ぁ!」
オフィーキュス「ひいぃっ」
ブラッダー「眩しいっ! ? あまりこちらにこないですよねっ」
彼が準備していた土魔術の岩壁がそそり立ち、皆を電光から守る。
だが、迸った電光は彼らの元へはあまり届かなかった。
前方のエルフの娘におびただしい稲妻が当たっていたからであった。
――――ゴロゴロゴロ………。
パラパラ、ボロボロ、パリンッ……。
部屋は焦げ、くだけ、ボロボロになっていた。
ルーナの矢が跳ね返った天井部分の大穴は、雷が直撃したのか、大きく崩れかかっており、近付き難い状態となっていた。
雷の嵐が収まったそちらを恐る恐る見ると、ルーナと黒衣の男が佇んでいた。
ルーナからは白い煙、湯気が漂い昇っていた。
ゼラ「ルーナさん!?」
レックス「ルーナ様ぁ!」
黒衣「……フッフッフッ、ハーッハッハァ! よくぞやってくれた! これだけあれば十分だ! 想定以上に魔力が充填されておるぞ!」
何かを高らかに持ち上げ喜ぶ男、ずっといじっていた魔道具を手に持っていた。
ギュゥンギュゥンギュゥンッ……。
唸るような音をさせて、その魔道具内部の機械の奥が紫に輝き、僅かに小さな火花のような電光がほとばしっていた。
ベル「あれ? ピンピンしてるよ?」
ゼラ「くっそ効いてなかったのかよ!」
ブラッダー「どうも利用されたみたいですよね」
ドサッ。
そして、ルーナは膝をつき崩れ落ちた。
体のあちこちが僅かに焦げているものの無事であった。
彼らからは見えていなかったが、彼女の首に下げている“三又の首飾り”が、青白く輝いていた。
そして、その手に持ち掲げていた鞄と、彼女の周囲の石床が弧を描くかの様に水に濡れ、熱湯にでもなったのか、大量の湯気を出していたのだった。
一番焦げ付いて、所々穴の空いた皮の鞄から、甲羅がのぞいていた。
黒衣「? 小娘、なぜ無事なのだ? あぁ、雷を“変異導球”がほとんど吸収したからか? いや、それにしては妙だな、私とは違って障壁なしで爆心地に居たのだぞ?」
変異導球とは、その片手に浮かばせている、球体の魔道具の名か。
雷石の雷を吸い込んだのか、なんてことだ。
«……ありがとう……どう……か……無事に……逃げ、てくれ……»
ベル「サンゴー壊れた? ばいばーい」
何だ?
三号か? 何故かわからないがそう感じた……犠牲者だったのか?
うぅ……力が入らない。
魔力もだいぶ使った……。
水壁と甲羅の障壁でなんとかなったか?
出来過ぎな気もするが……。
やはり雷、をくらうと体が痺れてしまう。
すぐ動けるようになるだろうが、今は隙だらけだ。
ベル「ルーナーっ」
彼女が飛び寄る。
クリオス「お姉ちゃん!」
オフィーキュス「ルーナ様……」
ブラッダー「……“水壁”ですよね? でも、あの稲妻を防げるとは思えませんが……」
黒衣「まぁ、どうでもいいか、フフフ、これでめどが立ったな、遅れに遅れていた計画を進められる……貴様らの街は風前の灯火というやつだな」
何だと?
私は、奴を、手伝ってしまったのか!?
ブラッダー「計画?」
レックス「ノーデント卿!」
ゼラ「あいよ!」
彼女の元に走り寄る彼ら。
黒衣「はぁ、貴様らいい加減邪魔だ、動くな。“※※※※”(“拘束”)」
奴が指輪のはめられた指を、虫を払うようにして振った。
「……っ離っれっ!」
又だ、皆、離れろっ。
ガコンッ。
部屋中に音が響き渡る。
それと共に、部屋の四方の角の辺りの、壊れた機材やガラスの破片が、音を立て転がる。
地面の中から、四角い柱がそれぞれの角から四本、揺れて破片を落としながら伸び出て来た。
ゼラ「なになにっ!?」
レックス「ム!?」
ブラッダー「っ!?」
ガコンッ!
ヴィイイイイイインンッ。
出きって止まったところで突然、紫の光が柱から放たれ、部屋中を照らし出す。
同時に妙な振動音が四方から私達に向けて放たれた。
黒衣「改良型だからな、設計思想としては、魔術行使時の魔力流動を乱す本来の用途以外にも、魔力適性が低い者等の内在魔力にこの波動を反響振動させて、身動き取れなくできるはずだ……リゾットとか言う下等種族の提案を取り入れたものだが、実地試験をさせてもらおう」
奴はずっといじっていたその球のからくり魔道具を眺め、球周りに魔法陣を浮かべながらそう言った。
何?
うっ、何だ!?
あの光、文字か!? 眩しいが、見たことがあるっ。
ヴィイイイイイイッ。
くっ、力が、抜けていく。
耳を塞ぎたくなるような嫌な音を出している。
ブラッダー「!? 魔力が!?」
彼は驚いて手元と指輪を見ていた。
ベル「はぇ~~っ?」
パタリと常に飛んでいたベルが床に落ちて倒れた。
まるであの時の様に。
これは、魔法封じだ。
読んでくださりありがとうございます。




