117話 潜入3 暴れ球
ガァンッ! ボオンッ! ボンボンッ!
螺旋の階段を下り終わると小部屋の様になっていて、奥に少しだけ開いた扉があった。
そこから明かりと共に、音が漏れて来ている。
そっと覗くと、オーク達が球で遊んでいた。
大柄な奴らにとっては小さいようだが、アリエスタを丸めたぐらいの大きめの球だ。
――幻聴のアリエスタ「何だその比較は!?」――
投げ合ったり、壁にぶつけて返って来るのを取り合って掴んだりしてフゴフゴ言っている。
言葉じゃなくてもフゴブヒ言ってる。
遊んでいる連中は水槽と同じような格子蓋を重ね合わせた箱の様な大きな檻の中で球を投げ合っていた。
ゼラ(んん~?)
モード(はて?)
その中に四体居る。
檻に獲物を立てかけている、槍、盾と剣、棍棒、曲剣だ、弓矢も置いてある。
外側にはちょっと見え辛いが三体だ。
壁際の卓で何か食っている。
大剣と中剣二本、双剣使いか。それと、戦斧だ。
卓に居る連中は他のオーク達と比べ位が高そうだな、先輩か何かか、そして、なかなかやりそうだ。
モード「……」
ルーナのすぐ下で中を調べていた彼女は、頭上から殺気のようなものを僅かに感じ取った。
ベル(何食べてるのかな? 汚ちゃないね食べかた)
漂ってくる匂いもそうだが、ちょっと想像したくないな。
大きなその檻が邪魔で見え辛いが、奥の壁に別の出入り口らしき扉がある。
そこ辺りから、組合の食堂の様な匂いが漂って来ているな、向こうに食堂とやらがあるのかもしれない。
キィ……牢屋と呼ばれた部屋は、他にも人一人が入れるような大きなの檻が幾つも天井からぶら下がっていた。
中で座って足を延ばせば、床に触れる低さだ。
幾つも壁に添うようにずらりと並んでいた。
そして、その一つ一つに囚人、捕えられた人々が入っていた。
生きているが、皆ぼろぼろで俯いて動いてない。
六人か……人族の男女、ドワーフ族、獣人たち、蜥蜴――いや蛇だ。蛇族、か?
魔物かと思ったが、ボロボロの商人の服を来ていて、女性の様だが、随分弱っている。
下半身に足がなく、蛇の様な尾が垂れさがって檻からはみ出ている。
蛇の女性「……うぅ……」
彼女、魔力が最初に出会った時のソニーぐらいある、魔術士かもしれない。
ただ、何故か魔力が“額の眼の絵”の部分に集中してる
モード(あら……獣人に……あれは蛇族の女性でしょうかネ)
当たったみたいだ。
あの羊、らしき獣人の子はまだ子供だ。
僅かに魔力があるようだな。
近くで、飯を食っているオークが何か投げつけ来て怯えている。
羊「……ひっ」
奴らは笑っているな。
泣きはらした眼から涙の跡がかろうじて見えるが、もう何も出ないようで、絶望した目をしていた。
(ルーナさん、落ち着いて下さいネ、殺気で見つかりますよ)
モードは警告した。明確な怒気がルーナから発せられたためだ。
何っ。
そうなのか。
レックス(どうでスか? ダロムッ、早く教えろ)
皆で覗けないので、大柄のレックスは後ろで待っている。
(私の方からは球で遊んでいるオーク共達シか見えまセん……)
モード(三、四――六人が捕らえられています、状態は悪そうですネ)
ベル(かわいそうっ)
(助けよう)
ゼラ(ちょ、まっ、一旦待ってくださいっ、あの球っ)
モード(はい、あれ、副隊長ですネ)
他の皆 ((えっ?))
(ですよねモード隊長っ、あれただの球に見えますけどね? 人ですっ、獣人です)
(こんなところにいたんですかネ……)
下を見ると彼女が困惑して首を振っていた。
二人が説明した内容は驚きだった。
衛兵団の第四中隊は遊撃を担当とする精鋭部隊だ。
あそこでオーク達が遊んでいる、丸い球はそこの副隊長の、ブラッダーという男らしい。
あの冒険者組合の依頼書掲示板にあった、行方不明の人物だった。
モード(私の古巣ですネ……)
ほう。
ゼラ(……それで、滅茶苦茶頭が良くて、部隊の作戦は彼が全部考えてるんです。土の魔術士で強いし、あ、あとモード隊長の弟子ですからね)
ほう。
ベル(何が? 誰ー?)
ゼラ(だからあれがだって)
(? えー、あれは玉だよ?)
掲示板で行方不明と挿絵付きで描いてある依頼書を思い出した。
アルマジロの獣人、だったか。
それと、そこの隊長とやらにはまだ出くわしてないな。
彼を探してるのかもしれない。
モード(どうりで森の捜索で見つからないわけですネ、“ラグザ”さんが哀れです)
誰だ?
ダロム(ラグザ様は第四中隊の、獣人の隊長でス、ルーナ様。ちなみにご婦人であられまス)
ごふじん……あぁ、女か。
レックス(……狂暴な“暴れクズリ”でスゾ)
くずり? 知らない動物だな。
そしてレックスも知っているようだな?
ゼラ「ラグザ隊長ったら、残りの隊員引き連れて総出で捜索しに行ったまま、ずうっと街に帰って来ないんですよ、たまに伝令が報告と食べ物の調達に戻りますけどね? 森中ひっかきまわしてるとこですよ今頃」
そうなのか。
話しの流れからすると、モードの後任、なのだろうか? ゼラも昔は第四中隊だったのか?
そして、今まで得た武具は、彼女の部下の遺品か……。
だがここに、生き残りがいたようだ。
レックス(シかシ、本当にあの球が、あの“暴れ球”殿?)
?
二つ名持ちか。
(確か、アル、マジロ族、でシたか)
アルマジロだぞダロム。
ベル(あれ小っちゃく丸くなってるの? いいなー、おもしろそうだねっ)
ゼラがベルにアルマジロについて説明していた。
球をよく見ると、細い縄でがんじがらめに包んで縛っているが、僅かに鎧の様な甲羅? が見える。
あれがアルマジロ族の特技なのか。
そして、縄の下に札が幾つも混じって貼られていた。
球が飛びまわっていてよく視えないが、多分、魔術文字だ。
魔法封じの紋様ととても似た。
土の魔術士らしいのに魔力を全く感じないのはそのせいか。
だからただの球だと思っていた。
バインッ、ボウンッ。
球「……」
床まで四方を囲う檻の至る所にぶつけたりしてオーク達が中で遊んでいる。
奥の檻の壁に出入口が作られているな。
あそこから入れるようだ。
後で聞いたが、第一は団長ケイラッド本人が部隊長の詰め所である要塞とやらに駐屯しているそうだ。
他には第二は髭――ギャレス隊長で、主に外を巡回する実動部隊で、ゼラはここの副隊長。
これはよく知っているが第三、別名守護隊はレガリアが隊長で、門番や外壁、町内の巡回等の街の警備だな。
港も守っていたな。
しかし、“暴れ球”という二つ名のようだが、全然暴れてないな。
モード(あの水槽でも見た、四方を囲む檻、それに魔術的な紐、恐らく魔法封じの呪いがかけられているようですネ)
ふむ?
嫌な音も光もしてないな、魔法を使わなければ普通の縄にしか見えない。
ゼラ(解放すれば絶対に役に立ちます、助けましょうっ)
レックス(ひどく痛めつけられているようでスが)
ダロム(暴れ球殿はあの程度、岩スら砕くのでス)
ほう!
モード(ふむ、別れますかネ)
ゼラ(えっマジですか?)
(この面子なら問題ないでしょう)
めんつ?
ゼラ(じゃ、じゃあ僕はブラッダーさんをっ)
モード(私は……あの檻も水槽と同じ魔法封じですネ? 魔術士はちょっと入れませんネ)
では、球助けはレックスとダロムとゼラかな。
(卓に座ってる連中、できるぞ)
モード(ですよネ、それじゃあそっちはルーナさんと……)
レックス(儂もルーナ様と戦う)
ダロム(お供シまシょう)
あれ?
モード(……私もそっちがいいですネ)
ゼラ(……あれ? 僕一人だけですか?)
モード(別に問題ないでしょう? ((やれやれ、どうも旋風が解散して貴族やら衛兵入りやらで実戦が少なくなったのか、昔ほど牙が尖ってないようですネ))……)
ふむ、池鮫に突っ込んだのを見たしいけると思うが、一人というのもひどいか。
モードと二人でやってみるか。
蜥蜴族達を見る。
(すまんがゼラと一緒にアルマジロを助け出してくれ)
レックスとダロム((御意))
彼らはずっとこう言ってるが、“ぎょい”とはどういう意味だろうか。
ゼラ(ルーナさぁんっ!)
皆 ((しぃっ))
ベル(ねぇ、私はー?)
(とりあえず、袋に入ってて)
(ええ~? あたしも助けたいっ)
うむ、特に考えてなかったな。
さて、どう攻めるか、卓で食事しているオークの猛者達は私とモードで、檻の方はゼラ、ダロムとレックスで細かい戦法を話す。
ゼラ(僕は槍がありますからね、格子の隙間からでも行けますけど、旦那の三又は通らないから、やっぱり回り込んで、扉のとこでやりましょうか)
レックス(陣形は……)
ダロム(あの壁に立てかけてある弓矢が怖いでスな)
ゼラ(そうだっ、ベルちゃんに盗ってもらえばいいんじゃない?)
ベル(え? そっち? うんっ、やるやるっ)
彼女を取られたな。
そうだ、彼女が使っていた、ケープの中に入れてあった石を渡しておこう。
モード(こっちは適当でいいでしょう、ルーナさんにお任せしますネ、私は“隠形”しつつ(細)剣で隙を狙います……私の魔法には期待しないで下さいネ?)
隠形? とにかく、隙をその細剣で狙うんだな。
(わかった)
ヴンッ。
私は呼び出したミスリルの矢に適当に魔力を籠める。
射線の先に捕えられた人々の吊り篭はない。
レックス(もっもう行くのか?)
ダロム(落ち着けレックス、ともかく暴れ球の救助に集中シろ)
ブブブ……。
三本に程よく魔力が籠り、矢がそれぞれ独特な輝きを更に増して、震えた。
躱せるかどうか、試してみようか。
ダロム「! (なんと、湖上の戦からサほど時経ておらんだのに、既にモノにシておられる)……」
(行くぞ)
――――
なんだか、ルーナさんが隊長みたいになってるね?
ゼラはふとそう思った。
元上司であり、組合の室長でもあるモードが港を出てからずっと、一歩引いて若い冒険者達に任せてるのも手伝って、自分もそうしていたのだった。
彼は自分でも気が付かずに、冒険者時代のパーティ“旋風”での立ち位置に戻っていた。
昔の通りの、先頭を行くマルコやガストンの横にいる心持ちになっていたのだ。
その先頭役を、全くの新人であるエルフの娘が当たり前のようにしている事実を、戦いの中で自然に受け入れていたのであった。
――――
グブブブッ、ボオンッ、ガアンッ、ブアッハッハッ、カチャ、ガチャ、バクバク、ペチャクチャ……。
オーク「ムシャムシャゴクンッ……これダケじゃ足りナイッ、オカワリだっ」
「オゥ、おかワリだっ、人族ハ食べてイイんだったカ?」
「ウゴ、ソウダ、獣人トカはボス様のブンだゾ。あの大キなオス人族がイイな、肉屋ニさばいテもらウ」
「オレ様は隣のメスが食いタイゾ、ジュルり」
「うまソウなメスはもう少シ太らせてカラ食いタイなあ、ブブヒヒ」
卓のこっち側の二人が立ち上がった。
人族の大柄な男「……なっ、なな何だ!? こっちを見てるぞっ!」
人族の女「……ひっ! ああっ、わ、私達の番ですのね!?」
む、いかん、囚人達が食われる。
ギイィ――。
ただ、淡々と普通に扉が開く。
気付かない者は気付かない自然な形だ。
卓の手前の二体の向かい側の座っている一体が、皿を舐め取り顔を上げる動作のまま、扉の方を見た。
そこには、矢を三本弓に構える亜人の女が扉から出て来てこちらを狙う姿があった。
驚くことに、見たこともない見事な矢を、三本も、魔力を込めて振動させ狙っていた。
信じられないくらい美しく、恐るべき竜眼の、希少なエルフ族の娘がそこにいた。
バシュヒイイィィィィンッ!
目撃したオーク「――ッブガアアア! 『ズドドドッ!』ッグゥッ!?」
奴は咄嗟に大きな四角い卓を、下から勢いよく持ち上げながら立ち上がり、向かいの二体を巻き込むようにして横倒しにする。
その卓に全て、乗る皿も料理も弾け飛び散る。
それは、人族の指や腕らしき、人間の肉だった。
既に犠牲になった囚人のものだろうか。
矢が放たれ、卓が壁の様にそそり立つも、だがそれを貫通し、卓を投げ倒した一体が矢に貫かれた。
魔力の集中部分である魔石を外して。
(む! 躱したっ)
だが、奴は卓を持ち上げ倒しながら、身体をひねって急所を躱した。
仕留めきれてない。
猛者オークは、卓を盾にしたときからすでに避ける動きに入っていたのだ。
そして卓に押し倒された手前の二体にも当たらずに、卓と向こうの猛者オークを貫通し、背後の壁に飛んで行ってめりこんだ。
急所を躱したが矢の勢いに倒れ飛んだ。
ドガラアッシャアアンンッ!!
そして、卓が盛大な音をさせて倒れた。
大きな騒ぎに檻内で球遊びするオーク達がその手を止めこちらを見る。
「何ダ!?」「アっ! 誰ダ!?」
ルーナの後から飛び出す皆を見て一体が大声を出す。
他の一体が無言で檻に立てかけてある武器、弓矢の元に走る。
レックス「走れ!」
ゼラ「おいっ、こっちだオーク共!」
檻のオーク達「フゴッ!? マタ入って来タ!」「トカげダ!」
チャキッ――中剣を抜きながら飛び出す。
モードは気配を消して壁沿いを音もなく遅れて走っているのを感じる。
ドカァンッ!
目の前で倒れた二体が卓を軽々と蹴り飛ばして立ち上がろうとしている。
手に持つ戦斧もうまく使って。
わずかに起き遅れている双剣を狙う。
ガギイィィンッ!
オーク「ブグググッ! ナぁっ!?」
ズグッ!
振り下ろした中剣が、倒れた体制のまま咄嗟に抜き交差した奴の双剣に阻まれたが、押し負けて腕が下がり、刃が腹に入った。
「フンッ!」
逆手に持ち代え、そのまま奴の喉、魔石を両断する為、思い切りこちら側へと剣を引き入れる。
ズガガガバアアッ!
オーク「ブギュブブブググウッ!」
バキンッ。
喉まで行った時、中で何かが割れた。
魔石を砕いたのか、双剣のオークが死んだ。
モード「……(あらまぁ、すごい力ですネ。オークの筋肉を骨ごと裂きました)」
彼女は森の盗賊拠点から街に運ばれて来た、オーク死骸の調査検分から判明していた彼女の戦いの痕跡よりも、更に評価の高い戦闘力を、その目で垣間見た。
斧オーク「ブゴオッ!」
そこに、すぐ隣で立ち上がったオークが戦斧を私の頭を砕こうと振り下ろした。
ヴヴンッ。
シュオンッ!
中剣をしまい、続けてケープに先ほど拾い仕舞っていた曲剣を取り出すや否や、隙のある腹に向け、横なぎに掻っ捌きながら、背後へ回った。
ゴガシャアッ!
腹を切り裂かれながらもオークは戦斧を振り下ろし、腹から上を両断され床で倒れ死んでいる、双剣オークの割れた頭を叩き潰してしまう。
ズンッ!
そして、刃の湾曲したそれを後頭部から魔石へと突き入れ、止めを刺した。
斧オーク「ガッ!? グブッはっ、早イィ……」
ドオオオンッ!
モード(“加速の魔術”等かかっておらずにこの速度、もはや並の冒険者ではありませんネ)
ジャキンッ!
見ると、蹴り飛ばされ壁にもたれるように倒れた卓で邪魔されなくなった向こうで、猛者オークが肩や胸に穴を開け、口等、あちこちから流血しつつも、大剣の刃を地下の遺跡の天井高くに向け両腕に握る柄を血を吐く顔近くにし、こちらに構えていた。
それは作りは荒いが分厚く、重そうな、斬るというよりは叩き割るための大剣だった。
モード(このオークは中将級のようですけど、どうやって倒すんでしょうかネ?)
背後ではゼラ達が檻の向こう側へ走り出入口へ侵入しようとしていた。
途中、弓矢が撃たれたようだが、感じていた気配では無事なようだ。
ベル「えいっ! もうだめだよっ!」
ゴンッ!
オーク「あ痛ア!」
弓矢持ちへ石を投げたのか、奴は片目を抑えている。
彼女が矢筒を持ち上げて上の方に飛んでいて、追撃はできていないようだ。
モードは壁沿いに走っていたが卓が飛んで来て一瞬止まったものの、既に大剣オークの背後にいる。
何故か、背後に隙がある奴に手を出していない。
私にやらせてくれるようだな。
ふふふ。
高まった戦いの熱なのか、この部屋中の全てが把握できる。
檻では槍のオークが扉を開けまいと守り、ゼラと槍の応酬をしている。
他のオークや、ベル、背後のレックスとダロムがこちらに気が向いてしまっているのもわかる。
更には食堂らしき向こうに、魔力の強い何者かが居るのを感知している。
モードが息を潜め細剣を握る気配も。
囚人達が目を丸くして乾いた喉で飲み込む唾の音も。
何故か体内の魔力が暴れ巡り、握る中剣に魔力が集まり過ぎるのを自分で防いでいるのも、浮かべている水球のなかで渦巻く水の魔力も感じていた。
私の中で、いつも以上に研ぎ澄まされていた。
中剣を奴に向け、真似するように眼前に構え腰を落とした。
「私はルーナだ」
オーク「グぷッ、ゼェ、ゼェ、荒レ族の、ガルンゾ」
「行くぞガルンゾ」
「(コとば、ワかルのカ)!? ……来イっ! ルーな! ボオオオオオゥ!!」
ザンッ!
上から斜めに斬り降ろす大剣。
小細工はなく、あの重さにしてはかなり早かった。
多分だが、前の、外の盗賊アジトの時こいつと戦っていたら……なんとか防げただろうが、その剣は折れてしまい、激しい一撃を食らっていただろう。
それを、床石を破壊し爆発するように飛び込んで、体をひねり躱し、そのまま奴の伸びた腕を蹴って、首脇を通り抜けながら断ち斬った。
そのまま首元に突っ込んで魔石を突くこともできたが、その後に追撃してきそうだったので避けて。
ダアンッ! ……ストッ。
モードの立っている位置とは逆へ飛んで、壁にぶつかってから、着地した。
――ゴトンッ。
飛んだ首が床に落ちる。
ドオオオンッ!
ガラアアンッ。
そして、首無しの巨体がゆらりと床に大剣と共に倒れた。
一同「「……」」
モード(あらあら……前より格段に強くなっていません? 異常な成長速度ですネ)
ガルンゾ「……」
「よい戦いだったぞ、荒れ族のガルンゾ」
首だけになったガルンゾの、濁ってゆく瞳を見てそう言った。
少し、食いしばり泡を吹く、端に牙の生え伸びたその唇が、上がった気がした。
読んでくださりありがとうございます。




