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竜眼のハーフエルフ  作者: 二砂音
二章 湖の街編
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116話 潜入2 丸

 チャプ……。


 オーク達「ホラ、丸いヤツ」「フゴ、でっかい鼻クソみたいダナ」

 奴らが変異丸をばらまき始めた。

 ヒュッ。


 パシャッ、チャポン、チャポンッ。


 オーク達「ホイッ」「アッ、ばか、そこはモウ入レタぞ、水ガ黒いダロガ」

「アア、間違エた」


 ヒュッ。


(パシッ)…………。

 


 オーク「? チャぽンッていっタカ?」


 ヴンッ――ギリギリ……バシュンッ!


 ズドッ。

 オーク「っグッ!」


 短剣持ちを木矢で喉を魔石ごと貫いた、残り三。


 密かに水槽の穴を静かに出て、すぐ弓矢を取り出し、振り向いた一体を仕留めた。

 ケープがちゃんと使える。

 水球も創り出せた。


「おい、オーク共、人間を食ったのか」

 弓を構えながら話しかけ、廊下を横切り穴から離れる。


 オーク達「ウわっ!? 何だ?」「エ、エルフ? スライムがエルフになった!」

「馬鹿っ、敵だあ――ウグゥッ」

 バシャアッ!

 ヒュドッ!

 叫ぼうとしたのを咄嗟に水球をぶつけ“つんのめ”らせ、続けて撃ち放った矢で仕留める。

 一番奥の、やりそうだった曲剣持ちだ。


 遠いし矢を躱しそうな気がしたので水球で一度体勢を崩した、残り二。


 間を矢が飛んで行き、背後の仲間が倒れるのを仰天して驚くオーク二体、見事に隙だらけだ。


 私のすることはもうないか。


 そんな間に水から上がった冒険者組、ゼラとモードが水を撒き散らしながらも静かに走り寄る。


 漁師組のレックスは巨体が邪魔して穴から出にくく、ダロムは片腕で素早く上がれないからな。


 更に追加の人間がいるとは思ってもみなかったようで振り向いて、私から、素早く走り寄る彼らに気付いた時には、ゼラの槍が連撃で剣を抜くその手と、喉を貫き仕留めた。

 ズドドッ!


 ズッ!

 モードは魔法袋から出した細剣で棍棒持ちの魔石ではなく、心臓を突いたな。

 ドサッ、ドサドサッ。


 モード「ふぅ、もう水はこりごりですネ」

 ヒュンッ。

 取り出した細剣は魔法の武器ではないようだが、ずいぶん良いものに見える。

 魔法じゃなくて剣で戦うのを見るのは初めてだろうか。


「見事だ」

 モード「いえいえ、ルーナさんの“陽動ようどう”と弓術が素晴らしいですネ」

 ゼラ「ルーナさんの美貌びぼうに、こいつらも釘付けでしたよっ」

 釘づけ? びぼう、ようどう……。


 実はミスリルの矢でもよかったし、なんとなく二人連続で貫けそうな立ち位置だったが、やめておいた。

 さっき水中で相談した通りの作戦に従った。


 ドドドドドドッ。

 パチパチッ。


 オーク達を倒した後、周りは焚火の音、水が流れる音が響き渡っているだけだった。

 仕掛けが動いて水が水槽に流されたままだが、いじる気もなく皆放置している。


 傍の壁に掛けてあった鞭がない。


 そして、近くに見える出入口の階段の上や下から、僅かに連中の声や物音や気配が響いて更によく聞こえていた。


 どうやら増援はないようだし、気付かれてもないようだな。


 ダロム「あっという間に……お見事でス皆様」

 レックス「なっ、み、見れなかった……」

 ベル(あれ? もう死んじゃってるっ)


 なんとか体を縮めて魔法封じの格子檻蓋と、崩れた壁のすき間の穴から出たレックスは、片腕で上り辛そうにしてるダロムを引き上げていて、瞬間的な戦いに背を向けていたのだった。

 ベルもレックスの頭の上に乗ってダロムを見ていた為驚いていた。


 フーケのおまじないは終わったのか?

 かなり助かったぞ。今度会う時に礼を言わねば。


 ゼラ「死骸はどうしましょうかね?」


 モード「……水に放り込みましょう、スライムが食べて痕跡こんせきを少なくしてくれます、全部酸を出す種類ですかネ?」

 彼女は倒れたオーク達を探り、武器や適当な装具に荷の袋、短剣で喉奥の無事な魔石を回収しながら、片耳を切り取り始めた。


 ついでに一体だけ両耳を切り取って、片方だけ水槽に投げ入れて見ている。

 小鬼ゴブリンだけじゃなくてオークもやるんだな。


 パシャッ。


 スライムが溶かし始めた。

 シュワワ~~ッ。

 確認するためにやったのか。


 彼女は水槽に寄った際、水やスライムも漏れなく証拠として回収していた。

 モード「ふふふ、今日は大収穫ですネ、稼ぎと原因究明と……」


 それにしても、なんで片耳を取ってるんだろうか。


 ゼラ「あれ? ルーナさんがなんか不思議がってるみたいだよ?」

 ダロム「ルーナ様、耳を取るのは組合に見せる討伐シたという印だと思われまス」


 ふむ、金になるんだったな? 前にも教わったぞ。

 ……ああ、そうか、別に両方じゃなくてもいいか、形が違うから。


 変異丸の入った袋もちゃんと回収した。


 モード「これは大変な証拠品ですネ」

 ジャラ……。


「これもか」

 咄嗟に掴んだ、オークの投げ入れた変異丸を、仕舞っていた腰の小鞄から取り出し、袋を覗いている彼女の持つそこに入れる。


 ベル(飴みたいだね~、ねえ、もう普通にしゃべってもいいの?)

 ゼラ「絶対食べたらだめだよ? 変異しちゃうんだからね」


 モード「ベルさんはまだ静かにお願いしますネ、勿論皆さんも大声は出さないでくださいネ」

 ベル(はーいっ)


 魔物以外が食べたらどうなるんだろうか。

 そして、変異丸が溶けた水を今の今まで泳いできたんだが……。


 モード「あら? もう入りませんネ」

 彼女は、証拠の変異丸の袋が魔法袋に入らないようだ。


 ゴトンッ。

 さっきの下で拾った変な魔力のある金属塊を出して、空きを作り仕舞っている。

「これ、置いていくのは気がかりなんですよネ」


 レックス「重たいようでスな、儂の鞄に入れておきまシょう……ぬぅっ、大きサの割に結構なモノでスな!?」

 ダロム「どれ、あぁ、下ジャなく、一番上にシまっておいた方が楽だゾレックス」

「むぅ、む? 腰を使うのか、マシになった、助かる……ふん、余計な世話を」


 彼の背の鞄に閉まってくれるようだが、重たそうにしているな。

 ダロムが手伝っている。

 レックスの背中の鞄の中に、大きな魔力の塊が見える。


 ボチャン、ドボンッ、ズブンッ……。


 水槽にオークの死骸を入れた。


 シュワシュワシュワ……。


 ベル(う~、勿体ないっ、んぐむぐ)

 オーク肉はうまいから、彼女がけっこう反対したが、しょうがなかった。

 鞄から干し肉の欠片を与える。


 子蟹「キー?」

 水槽の縁に、中を水中を覗き込む子蟹がいたが、誰も気が付いていなかった。

 どうやってついてきた――いや、そういうんじゃないのか?


 皆――ボソボソ……ヒュオンッ。

「ん」

 手に入れた武器等をレックスやダロムが鞄に入れたり、装備したりしようと一緒に話しているゼラ達から、曲剣を借りて振り回していると、彼女が足元に来て腰に手を当てて見上げていた。


 モード「さて、ぼやぼやしてる暇はありませんネ、ゼラさん見張りを、ルーナさん、オークの話を聞かせてください」


「ああ、囚人たちを救出する」


 一同「「え?」」



 オークの会話のことを話した。

 話し終えた時には、水槽の中に沈ませたもうオークの死骸はスライム達に溶かされて消えていた。

 この変異させ増やしまくった透明スライムもどうにかしないと駄目だな。


 モード「その牢屋に捕まった人たちがいるのですネ」


 ゼラ「ねえルーナさん、疑うわけじゃないですけど、ホントに奴らの言葉が解るんですか? ずっとブヒブヒ言ってたというか、ただの“呼吸音”ですよ?」

 レックス「ルーナ様を疑うのでスかノーデント卿?」

「え? だって……」


「小鬼やスライムの言葉も、聞いてるうちにだんだんわかるようになったぞ」

 ゼラ「ええ? ……スライムの、言葉ですか?」

 レックス「なんと……」

 何だか余計なことを言ったような気がする、ゼラが余計に疑うような顔になった。


 ダロム「……道で捕まえた馬車というのがのどうも気になります。若――ケンウッド様から、王都からの“商人仲間の荷馬車隊”が、守護都市を通った最後、忽然と行方をくらまし行方不明だと聞いておりまス」

 なに。


 ゼラ「商隊、キャラバンってやつですね」

 モード「ふむ、どうやらホントっぽいですネ?」

 ふむふむ。

 ケンウッドのあれの、大規模なものかな。


 モード「ウチ《冒険者組合》で捜索依頼が出てますよ、数十人の小規模商隊ですネ、脅威度審査では魔物の襲撃の痕跡なし、盗賊の計画的な襲撃の可能性大、でしたかネ?」


 脅威度、しんさ?

 よくわからんが、たぶん掲示板に貼ってあった依頼書か。


 ゼラ「え? じゃあやっぱり、奴らの話ってホントなんじゃ」

 ベル(だからそう言ってるでしょ~)

「い、いやベルちゃん、わかってる、わかってるんだけど心の準備が……」


 モード「頭が固くて優柔不断ですネ、未だに」

 ゼラ「だって隊長……」


 モード「武装して軍隊を組織する、高度な亜人系の魔物ですよ? 他国では亜人と認めている地域もありますし、そういった種族に一定の共通言語が存在すると、“塔”でも調べが出ていますからネ」

 なんだって?

「長年の勘もありますが、私はルーナさんを全面的に信じますネ」


 塔? 魔物扱いしてないとこもあるのか?

 食べたりしないのか? 奴らはこっちを襲って食べるんだが。


 ダロム「風の噂で聞きまスなソれは」

 風は噂も運んでくるのか、“笑い声”くらいしかまだ聞いてないが。


 レックス「儂も信ジる。スライムはわからんが、知能の高い魔物共はたまに会話シてる様な“ふし”があるな」

 わかるか。

 ダロム「流石ルーナ様でス」


 ゼラ「マジですか」

 彼は隊長呼びが戻ってしまっているな。


 しかし、塔とは何のことだろうな?


 そういえば他にもあったな行方不明の依頼書。

 うん?

「丸くて硬い囚人……」


 モード「……」


 ゼラ「ああ、さっきも言ってましたね、荷馬車の人々とはなんか違う妙な話……うん? 丸くて硬い? あ!」



 行動を、先を進むことになった。

「早く行きましょうっ」

 何だか、ゼラが急に信じるようになったな。


 反対側の黒衣の男らしき、ボス様の部屋が気になるが。


 コツン、コツン。

 出入口を通り、上下の階段の、下を降りる。


 次第に灯の届かなくなり暗くなるが、割と皆夜目が効くので不自由してない。

 ベルも光っているから。


 レックスやオークが一人、余裕で通れる広さだな。

 丸く曲がってぐるぐると降りる形だった。


 そして少し長い、下の音が反射して響いて聞こえて来ているが、まだ下の方みたいだ。


 オークの笑い声が聞こえるが、何かをぶつける音が混じっている。

 ゼラ(ごくり……も、もう犠牲者が出たって? 嫌だなぁ、食われた死体とかだったら……)


(近いぞ)

 下に辿り着いた。


 そこの光景に一瞬驚いた。


 笑い声をあげ、楽しそうに球を投げ合い遊ぶオーク達の姿が映っていたからだ。


 読んでくださりありがとうございます。

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