115話 潜入1 囚人
リゾットにスライム増殖の作業を命じられたオーク達だが、ダラダラと喋りながらやっていた。
なにやら、機械を操作するのにまごついて? いるようだ。
「えーと、これがあれで、これはあっちだから……」
「こっちダロ」「イヤ、それハ水門ダ、さっキいじっタノ見てタダロ? まだダメダ」
「コノ赤いのダヨ、下げるゾ」
「待テ! ゼッタイさわルナッ、水がゼンブ湖ニ流レルゾ!」
「エエ? オイッ、マルゴスッ、オマエがいじる役目ダロッ、教エロッ……あレ? マルゴスは?」「ニクを取りに行ったダロガッ」「アッ、そうだっタ」
なんだか、呑気な奴らだな。
モード(ルーナさん、どうしたのでしょうかネ?)
ダロム(はっ、モード様。実は、夕餉の時に酔ったルーナ様が、オークの戦士と話シたとか……)
オーク達「アア、早くニンゲン、たらふく食いタイナァ」「戦がたノシミだナァ」
「ナぁ……囚人共はナンデ食べちゃダメなんダ?」
「ダカら、丸いのはずっと硬いママだから、ムリダロ」
「フゴ、違ウッ、道で捕マエタ、馬車の奴ラダヨっ」
囚人共? 道で捕まえた馬車の奴ら?
「アノちっコくてモコモコしてうまソウな奴ナラ、いなくナっテモバレないダロ」
「だめダ、獣ビとハ全部、ボス様が使ウから、勝手ニ食っタラ、オマエが“肉屋”に殺サレて食ワれるゾ」
「プギュー……肉屋、オレ、怖イ」
「アイツ、ボス様の手伝イしてカラ、ヘンにナッタママだナ……」
「トニかく、食っテイイのハ、昨日バラした“デぶひと”ダけダゾ」
「……おレ、脂っコイのニガてナンだよナァ……」
「オデはスキ!」
何だと?
囚人が他にも何人もいて、すでに殺されて食われてると言ったのか?
肉屋という、黒衣の男の手伝いで変になったオークらしき奴も気になるが。
もしかして変異したオークとかじゃないだろうな。
皆に知らせた方がいいな。
(うおっ?)
見ると、皆私を見ていた。
ベル(ずっとお耳がぴくぴくしてたよっ)
モード(それで?)
片方の眉を上げるようにして聞いてきた。
ゼラ(ちょっと今ダロムから聞いたんでスけどホントに分かるんですか? 奴らの言葉)
レックス(流石ルーナ様でスっ)
ふむ、彼女はどうやら私が(奴らの言葉が)解ってて(話を)聞いてたことを知っているようだ。
あれ? 直接このことを、誰かに話したかな?
誰かにリゾットを逃がした時の話をした時に、少し話したかもしれないが。
ダロム(あ、ルーナ様、昨日の夜会の酒席でお話シていたの事を、疑っていたというわけではないのでスが、何ぶん、皆サん酔っていたので、余興か何かと思っておりまシたが……)
そうだったか? そう言われると、そういう気がする。
モード(説明してくださいますネ?)
(ああ、実は囚人が――)
オーク「――あ、ワカッた、コレだ」
ガッシャンッ。
話そうとした時と同時に、オーク達が動かした仕掛けか何かが、重たい響く音をさせ始めた。
ギギギギ……ガコンッ。
ガコンッ!
モード(あっ、入って来た穴がっ)
何と、格子を外して入って来た穴が、半魚人の扉みたいに下から壁がせり上がって閉じてしまった。
もうあそこに引っ込めれない。
ブシャアアアアッ!
モード(うわっ、水を流して来ましたよっ!?)
勢いよく足元に流れて来た水に驚き飛び跳ねるように避け、レックスにしがみついた。
壁の穴から水が勢いよく飛び出して来て、最初の波が床に広がったんだ。
やはり水を出す穴だったか。
他の水槽と違ってまだ奇麗なので、多分湖から引いてきた水だ。
その匂いもする。
ドバババビチャビシャ。
格子で蓋がされ出られない水槽に、どんどん水が溜まって行く。
隣の黒スライム水とは勢いが違う、そして混ざり出した。
モードは風防を唱えるが、そこで異変に気が付いた。
(あらっ……あらら……魔法が、全然使えませんネ)
ゼラ(えええ!?)
なにっ。
視るとモードの魔力の巡りが乱れていた。
上を見る彼女にならって見上げた縦横の格子の金属から、なんと魔術文字が光り浮かび上がっていた。
紫の光、例の嫌な音もしている。
魔法封じの檻か!
ドドドドドドドドッ。
水は、もう膝まで溜まって来ていた。
魔法が使えない?
流れて来た足元の水から水球を作ろうとしても駄目だった。
体内の魔力の巡りが乱されているな。
だが、さっき無理をした後程、激しくかき乱されている感じではない、使う時に邪魔される感じがするだけだな。
何故この魔法封じの檻の蓋が水槽に取り付けられているのだろうか?
それよりも、なんとか水槽を脱出するか、さっきの穴に無理やり戻らないと溺れるな。
塞がれてしまってるが。
ドドドドドドドドドッ。
ベル(水だっ、すごい勢いだねっ)
ゼラ(飛んでるから余裕だねベルちゃんは!?)
モード(風防は作れませんよっ)
そうか、さっき彼女の風防が消えたのは檻のせいかっ。
(水はいいが、スライムが見えんゾっ)
ダロム(だがレックス、我々は息が続くがルーナ様とモード殿がっ)
ゼラ(上の檻、外せないのかな? あれ? 旦那、額のそれは?)
ドドドドドッ。
もう腰まで溜まって来た。
音はうるさいから、気にせずに動いて斬るか。
「フッ」
ザバァッ、バキイィンッ!
あっ。
皆「「!?」」
腰から抜きながら飛び、格子を振り斬ったが、幅広小剣が負け、折れてしまった。
思った以上に硬いぞこの金属。
ドボォンッ。
着水すると、もう胸元まで溜まっていた。
ゼラ(くそっ、なんつー頑丈な檻だよっ)
レックス(いや、剣で檻を切れるのか?)
ダロム(流石に太サがありまシたからな……)
それに、小剣も随分使い込んでいたからかもしれない。
よい剣だった。
ダロムからメイスを借りてもう一度やるか。
よく見れば、格子に切り傷が付いている。
モード(だめですか……ルーナさん? 額に何かついてますネ)
うん?
ゼラ(旦那ってっ、あれ? ダロムも?)
(どうシまシたノーデント卿。む、卿っ額が何か、光っていまスゾ)
ダロム(お前もだレックス。皆サん、額に光る鱗の様なものが現れていまス)
ベル(あたしも? みんな一緒だ! あっ、フーケのおまじないかな?)
彼女は水を避け、一番高いレックスの頭上に座っている。
ほう。
しかし、何の効果があるのかはわからん。
ゼラ(そんでこれ、一体何の効果があるのよ?)
ドドドドドッ。
水が首元まで来たな。
(ダロム、メイスを――)
バシャッ!
その時だ。
水が激しく流れぐるぐると渦を作るように周り巡り溜まるその流れの中から――透明スライムの割と大きいのが、顔に飛び出して来た。
腕を曲げ拳を振り下ろすようにしながら短剣を逆手に呼び出し、迎え刺そうとした。
が、出てくるはずの短剣が出てこなかった。
「なっ」
寸前で首をひねり避ける。
ポチャンッ!
ダロム(ルーナ様っ)
スライムは流れる水に消えていった。
パシャッ、バシャッ!
次々と塊になっていたスライムが私達に飛び出して来た。
さっき水門が少し手順違いで開いた時に、隣の水槽から黒水に紛れて流れ込んできた奴らだ。
レックス(フンッ!)
ブジュルッ。
剛腕で受け止め、スライムが酸か毒を出す間もなく、握り潰した。
ゼラ(何? ルーナさん?)
一体、何が起きた?
ケープの中を意識するが、おかしい……。
何も見えない。
中の絵が意識に浮かんでこなくなった。
モード(まさか、ケープもですか?)
いや、だが、その中に“手は”入れることができた。
手探りで短剣を取り出す。
ベル(出せたー?)
モード「……(もしや、“呼び出し”が封じられてたのでしょうかネ?)」
ザバッ!
今は考えてる場合ではなかった。
またスライムが流れて来る。
狙いは魔力の集中部分、透明魔石だ。
この小ささで魔石が出来ているかはわからないが、恐らく急所だろう。
シャパッ――パシャンッ……。
そして、狙い通り、溶けるように水に濡れ光る体がくずれ、水流に流れて見えなくなった。
魔石を砕いた感覚はなかったが、急所で間違いなかった。
バシャッ!
ダロムは躱して、流れるままのスライムの手前に抜き出した短剣で見事に二つに切り裂いていた。
ベルはレックスの上から見ているな。
だが同様に乗っていたモードは彼の上から、魔封じの檻を調べて抜け出す術を探っている。
魔法使えないからな。
ケープから手元に武器を呼び出す力は檻で防がれているのかもしれない。
だが彼女の様に、魔法袋から直接取り出すようなことはできるようだ。
ジャバッ!
ゼラは水中でも関係なく、僅かな動作で槍を的確についてスライムを刺しているが、見えていないはずの魔力の集中部分を外していない、見事だ。
だが流石に、連続で突いて次々と倒せてはいなかった。
ドドドドッ。
水が溜まり尽くし、もう頭が埋まる。
ゼラ(ルーナさん、息をたくさん吸ってくださいっ)
ダロム(ルーナ様、ご武運をっ)
彼とダロムもだ。
レックスはまだ胸元までだが。
バシャンッ!
ベル(あっ、モード――ムギュ)
流れて来たスライムがレックスの肩を足場に、流れるまま飛んで上を調べて背を向けているモードに当たろうとしたところを、ベルが間に入った。
彼女は手鏡を出して向こうを見ていたようだ。
いかんっ。
モード(えっ? あっ! ベルさんっ)
ベル(―むぎゅ、あれー? 平気だよ?)
ポチャンッ。
なんと、ベルを包むように飛び込んだスライムは、そのまま、身震いしながら飛ぶ彼女を置き去りにそこから落ちて、流れの中に見えなくなった。
驚くベルの額の鱗が、とりわけ光を強くしているように見えた。
ゼラ(え? 襲われない? ……おまじないの効果かな?)
モード(むしろ、さっきからスライムは流れて来ただけで、私達がたまたまその先にいたみたいですけどネ?)
レックス(どの道、ここから出られんと皆やがては溺れ死にまスゾ)
モード(ここの二つ向こうの水槽の角が崩れていて、檻はそこまでではなかったですネっ)
ベル(えっ? えっ?)
(穴が空いてて出られますネ)
ゼラ(ってもスライムだらけの汚染した水槽二つ隣でしょう? ここの石壁を壊しますか?)
私達ならいけそうだな。檻と水槽の壁、床? の遺跡の石材か。その隙間をなんとか空ける。
レックス(一旦退いては? 塞がった入口を破壊シまスゾ)
ダロム(だが、流サれて竪穴の底に飲まれるゾ)
待て、スライム?
水門か!
ドボンッ。
一同 ((ルーナさん/様っ!?))
水から潜り、水門に泳ぎ近付く、黒い水が漏れ出て淀んでいる、僅かに隙間が開いている。
(キキー)
?
途中で、子蟹の声がした気がするが、今それどころじゃない。
いるわけがないしな。
ガッ! ギギギギッ。
うん、動かせるな、ずいぶん硬いが。
ギギッ!
少し開いた。
「っ」
うおっ。
ゴボボッ!
向こう側の黒い水と共に、大きめのスライムが顔面に飛び込んできた。
……?
滑るように通り過ぎて行ったぞ?
風防?
いやっ、水球が顔に出現しているぞ?
水が顔を避けるように濡らすことなくどいている。
スライムはそれに防がれたのか。
「息ができる? どうして突然?」
ゴボボッ。
ゼラ(ルーナさんっ、これもおまじないの効果みたいですっ、皆息ができてますからね)
沈んだ彼が、汚れ出した水中にわずかに見える透明スライムに襲われずに、こちらに泳いで来て、水門を開けるのを手伝いながら言う。
皆も続いて来た。
ベル「これで泳ぎ放題だねっ」
私にくっついてそう言う。
声が通る、風防と同じだ。
ゼラ「湖でこれがあれば……もうちょっと早く欲しかったよ」
私に触れる彼も同じように聞こえる。
「これを開けて向こうへ行く」
ギギギギッ。
最もこちら側で作業をしていたオーク「……フゴ?」
バギギィッ。
レックスも参加し、私も力を籠め、水門は簡単に開いた。
彼がなんとか通れるくらいの隙間だ。
(一体こちらに来まスゾっ)
モード(早く入りましょうっ)
向こうの水槽から黒く汚れた水と大量のスライムが流れ込んで来る中、無視して隣の水槽へ入る。
ザアアアアアゴボボボッ。
汚れた水槽内は、篝火や松明だけの地下道の部屋だから、夜の様に真っ暗であった。
夜目で見えるが、同じようにぴったりと魔法封じの蓋がしてありここからは出られない。
もう一個向こう側の水槽に、穴があるようだな。
ドドドドッ。
水槽をのぞき込んだオーク「……? 水門ガ、水が当たっテ、音ガナッタカナ?」
レックス(真っ暗ではないか!)
ゼラ(うわ、これ全部スライム!? 随分小っちゃいけど成体なんだよね? あとなんかすごく臭いんだけど?)
モード(気持ち悪いのもあって最悪な水中ですネ)
ダロム(今にモッカ湖全てが、こうなってシまうのでスか?)
モード(いまいち目的がわかりませんネ)
ベル(お魚いなくなっちゃうね?)
それはそうだが……今までとは違い、何だか遠回りだな。
オーク軍団とやらで攻めて来るというのが、変な感じだがまともに聞こえるくらいだ。
……もっともそんなの、ケイラッド一人で叩き潰せそうだが。
まっすぐ反対に進めばまた水門があるだろうか?
鏡越しに見た感じだと、右にも左にも水槽はあったが。
仄かに光るベルが、スイスイと空中と同じように、だが不思議そうにしながら飛び回る。(「もう一個向こうの部屋ー?)
「多分また水門があるはずだ」
彼女だけなら簡単に飛んで逃げられるが、一緒に居てくれているな。
私はもはや、ベルだけ逃げて助けを呼んできて、と言う気はないが、安全な場所に隠れていて欲しいとは思っている。
外だって奥地だから、きっと危ないしな。
ゼラ(なんか、僕の周りだけすごい集まってないこれ?)
少し手を掻いて濁り黒い、スライムだらけの水中を泳ぐと、水門がやはりあった。
しかも開いている。
いや、壊れてるのか? ひびが入って斜めに歪んでいるようだ。
何だか閉じる途中で引っかかったままの様な。
ダロム(ノーデント様っ)
何だ?
ゼラ(うわっ、うわわっ、何々? いてっ!)
彼の周りに集まっていたスライムが、まとわりつき始めていた。
おまじないで魔物が無視していたのが、効果が切れて来たのか?
驚き慌てふためく彼の額のおまじないの鱗がの光が、何故か弱弱しい。
やっぱりか!
モード(引っ張って隣へっ)
ベル(まかせてーっ)
傍にいた彼女が彼の片腕を引っ張る。
ズオオッ。
ゼラ(うおおっ!?)
ダロム(レックスどこだっ?)
(こっちだっ、皆サん、こっちでスっ)
混乱したが、私と共に水門に居た彼が呼びかけ、すぐに皆集まり水門をまた潜る。
ゼラ(痛てて、あっ、熱い! 酸かよこのスライムはっ)
ガキッ。
ベルに引っ張られるゼラの腕に、包み込むようにまとわりつくスライムを振りほどこうと、その槍を持つ手を振った時、丁度水門を通った時だ、槍の先が水門にぶつかった。
ッガガゴッ!
ズズズンッ!
その途端、水門が突然、落ちるように下に落下した。
彼の胴体に向けて。
ギィンッ!
ベル(わっ!)
ゼラ(がっ!?)
槍が寸前で防ぐが、直ぐに無視する様に重たい石壁の様な門が降りる。
「ッフン!」
レックス(っ! 心得たっ!)
防ごうと動いた私と、呼吸を合わせるかのようにして彼も動く。
ガシイッ!
咄嗟に二人で水門を受け止めた。
ゼラ(ひえっ!?)
ッガガガガガガガガ!!
く、重い。
私とレックスの合わせた力と同じくらいだ。
鮫や鰐の噛む力よりはだがっ。
――ガガッ、ギギギギギギ――
ただの水門ではないな、内部で何か、機械が猛烈に回転するような音が響いて来ている。
それは無理やり抑えられて、悲鳴を上げるように、更に力を出して来た。
まるで暴れる魔狼の突進を無理やり防いでるみたいに。
モード(ベルさん引っ張ってっ)
ベル(よいしょっ)
「皆通れっ」
レックス(モード殿っお早く! サっサと行けダロム!)
モードとダロムも通らせる。
――ウウウウガガガガガッ! ――
ゼラ(ルーナさんっ旦那も!)
レックス(ル、ルーナ様っお早くっ)
「先に行けっ私は寸前ですり抜けるっ」
小柄だからな。
(っく、御意!)
レックスが水門をぎりぎりまで支えたまま、それを上に押し戻すようにしてそこを起点に、足から向こう側へ滑り越えた。
すぐさま、私も真似する様に動く。
ガガガガガガガガッ!!
途端、彼の力の抵抗を失った門が、池鮫や鰐の閉じる顎のように降り下がって来た。
するりと避けて目の前に集まる皆の元へ――あ、レックスの長い尾が、挟まるぞ。
レックス(ガアッ! ――)
――挟まっても無事かもしれない、痛いだろうが。
だが、この力だ、ちぎれるかもしれない。
どちらにせよ通り過ぎ終わる前に、咄嗟に鞄を滑り込ませる。
魔法封じでだめかもしれないし、できないかもしれないが――鞄の中に外側を覆うように押し入れた“甲羅蟹”を上にして、魔力を無理やり籠めて、落ちる水門を受け止めさせる――。
ガキイイィンッ!
できた!
レックスの尾はすごい勢いで門からすり抜ける。
障壁が出たぞ。
魔封じ檻が魔法を使えなくさせるかと思ったが、魔力を籠めるのはいけるのか?
一瞬だけ、鞄より太い尾の部分に水門がめり込んだが、大丈夫だろうか?
すぐに鞄を引っ張る。
ズズズズンッ!
オーク達「なンダ?」「ああ、アソこの、引っカカってた壊れ水門がやっト動イタ」
ゼラ(はぁ、はぁ、おっ、お守り効いてないじゃないのっ、もうっ)
ザシュッ。
また集まって来るスライムを避けて、槍で刺し仕留めながら彼は言う。
レックス(~~~~っル、ルーナ様、大変っ、感謝いたシまスっ)
ダロム(痛むかレックス? いや、聞くまでもないか)
無事でよかった。
彼らはまだ守られているようだな、鱗の光も変わらずだ。
ゼラだけだな?
ベル(ちゃんとチュウしなかったからだね?)
スライムがまとわりついた腕の服が少し溶けたのか穴が空いていた。
ボコポコ……。
ざっと見渡すと、第二の水槽も濁った水とスライムだらけだったが、唯一、廊下とは逆の壁に覆われた側の水槽の壁に、仕掛けの門が閉じている大きな穴があった。
もしかしたらここから湖へ水を出すのだろうか。
あれを壊し通ったら湖に直接出られるのか?
モード(あそこっ、あの角、魔封じの蓋の範囲外まで壁が崩れてますネ)
それより目指す脱出口の水面が、斜め上に灯に照らされていた。
(さっさと水から上がりましょうっ、やれやれですネ)
しかし、魔封じ檻は脅威だったな。
フーケのおまじないがとても役にたった。
さて、水から出てオークを倒し、牢屋の囚人を救出しようか。
読んでくださりありがとうございます。




