108話 洞窟3 構造
ゼラ「やれやれ、やっと終わったかな?」
レックス「はぁ、噛み付き魚に水グモ、異常なスライム、進化した池鮫と、後は大亀に湖の覇者池鰐で、最後はよりによって甲羅蟹か……」
ダロム「くっくっくっ、もはや戦ジャな奥地は」
そう言いつつも、なんだか二人は楽しそうだ。
モード「皆さんお疲れ様ですネ。ふむ、冒険者には、奥地の湖は難易度が高過ぎるようですネ」
ゼラ「そりゃそうですよも~あ~やばかった。」
お前蟹とは戦ってたか?
槍が相性悪いのはわかるが、多分柔らかい部分は狙えたはずだ。
まぁ、私の側を警戒していたのは立ち位置で分かっていたが。
ザ、ふむ、砂か。
足場が悪いのをわかってて“待ち”でいたのかもしれない。
蜥蜴族は平然と動いていたが。
レックス「モード様、儂ら漁師連中でも近寄りまセんゾ」
「よく戦った」
ダロム「ハッ! ルーナ様」
それはやめてくれないかな。
私はすぐ慣れたが、それぞれ違うんだ、皆や他の種族のできることをちゃんと見ないとな。
奇襲をかけて来た甲羅蟹の集団を退けた。
連中は岩壁にたくさんある穴の奥に引っ込んでゆき、気配を消していった。
岸辺にはレックスぐらいの巨体の、甲羅の潰れた死骸が十数体あちこちの砂に、巨体鮫の死骸を背景にして崩れ落ちていた。
しばらく休んだ後、モードが指示を出す。
「では皆さん、血に誘われてまた何か寄ってくる前に、ささっと鮫を稼いだ獲物を解体しましょうかネ。レックスさんとダロムさんでヒレと肉を……ゼラ様は牙を二、三本……」
ゼラ「了解です」
レックス「ハッ!」
ダロム「承りまシた」
早速レックス達は解体を始めた。
早く、手際がとても良い。
巨大鮫を鋭い中剣のようなナイフで皮や肉を断ち切っていた。
思うが短剣とナイフは少し違うな。
あれは斬る専用で、短剣は両刃で突き刺す向きだ。
あとレックスのナイフが大きく背に鋸が付いててすごく良さそうだ。
体内を覗いて、何やら魔石は砕けていると話して首を振っているな、少し残念そうだったが、こっちを見て頷いている。
すまん。
ふむ、もう少し上の脳を狙っておけばよかったな。
どうも気が高ぶり過ぎると冷静さを失う、気を付けなければ。
そういえばアリエスタの氷の棘魔法はのど奥の魔石までは届いていなかったな……。
ゼラは大亀の魔法で吹っ飛んだ部分の顎から、取れかけの歯を引っ張っている。
ベル「はむはむ」
彼女は取り出した大き目の干し肉をそれぞれ両手に持って、一枚を口に頬張り三枚をぶら下げていた。
バキッ。
「その三つだけだぞ」
この先どうなるかわからないから。
「もむむぅ~」
私も一枚引きちぎりながら食べる、硬いなこれ。
だが塩気が強く、美味い。
噛めば噛むほど肉汁が出てくるな。
確か、買った道具の中で、一番高かった気がする……。
ちなみに肉は皆に配ってもう食べ終わっている。
モードも懐から出して分けてくれた。
今はベルのお代わり中だ。
この甲羅、盾に凄く使えそうだな、自分のと、ビクターにお土産に持って帰ろう。
コンコン……。
中剣で軽く突く。
?
モード「さて状況も状況ですので、ルーナさんとベルさんにもお手伝いをお願いしましょうかネ、あぁ、ルーナさん、お気付きでしょうが、甲羅は残念ですが、大した素材にはなりませんネ (きれいですけどネ)」
ベル「もにぇふにゃい~? (お手伝い?)」
食べ終わってからでいいですよ? とモードが話してる。
甲羅は何故か、剣の切っ先が先程とはまるで感触が変わり、簡単に傷を付けたのだった。
「魔法……障壁か?」
モード「あらっ、そこまで分かりますか? 流石ルーナさんですネ」
適当に言ったら当たったぞ。
ミナトスがベルの鎧でそういうことを言っていた気がするからな。
ベル「ごくんっ……あたしの鎧と同じ?」
モード「え? あらあら、それは、王蜜蜂の素材ですか? そうですよ、しかし驚きましたネ」
しかもそれ、女王種の色合いっぽいですネ。
多分そうだよーっ。
と彼女はベルの鎧を褒めていた。
ドサッ。
ゼラ「よいしょ、ふぅ~~倒すより解体の方が面倒なんだからなあ」
彼が鮫の大きな牙を抜いて持ってきた。
「あっ、ルーナさんもやっぱその甲羅を使おうと考えましたか? 残念ですっ!」
彼は私が調べていた手に持つ甲羅に気が付く。
モード「ええ、皆がっかりするんですよネ、スイレーンが長年調査して来ましたが、素材の硬度はあるにはありますが、結局蟹の魔法で硬くしてるようなので、協会の魔法薬の材料か、食器ぐらいしか使い道がありませんですネ」
ゼラ「モードさん、貴族連中で絵具とか、顔料等の販路が増えてますよ、王都ならそれなりの化粧品に加工されてますから、今度ルーナさんにプレゼントしますね?」
?
「はぁ、ならその分も含めて蟹からも回収しちゃいましょうかネ、あと」
ゼラ&モード「身は全て回収で!」
高級食材らしいからな。
ベル「はむにゅ、もぐ、んむぅ~っ! むぃひ~~!」
あっ、折れ零れかけ垂れていた蟹の肉に彼女が食いついて味見をしたぞ。
モード「“刺身”もよいですが、蒸して焼いて、魚のお出汁と蟹脳にからめて食べるのがよいですネ、大変お酒に合います、袋に入りきらなけらば鮫のお肉は捨てもいいくらいですネ」
ふむ?
しかし勿体ないな。
無限に入る袋はないのだろうか?
話を聞きながら、試しに甲羅を持つ手に魔力を籠めて、甲羅に行きわたらせてみてからそれで小剣を叩いてみると、キィンと言って跳ね返した。
ふむ、すぐに“魔力が霧散”して、タダの甲羅に戻ったが。
コンコン。
本当に皿ぐらいにしか使えないのだろうか?
ゼラ「あれ? 今」
彼は甲羅が生きている時の様に攻撃を跳ね返すのを見た気がした。
まぁ、ミナトスの工房に少し持って行って見てもらおうかな。
鞄によさげな大きさの甲羅を選んで仕舞い、解体を手伝った。
大きめの甲羅も持って帰ってみたいが、肉が優先だな。
また取りに戻ればいい、どうやら地下道が向こうにあるみたいだからな。
読んでくださりありがとうございます。




